買取させて頂きましたのは、2018年モデルSG52J型・マットダークグレーのマジェスティS。
発売当初2014年モデルのSG28J型から2018年モデルで進化したSG52J型ですが、転倒傷や使用感が目立ち、発売から1年強しか経過していない車両としては平均を下回る状態であったMajestyS。
はたして、転倒傷や目立った使用感は査定価格にどのような影響を与えたのか?
以下に相場情報を交えながら査定内容のトピックスをご紹介させて頂きます
左サイドに目立った転倒傷
「時速20km位で、濡れているマンホールで前輪が滑って・・・」とは転倒時のご様子を教えてくださったオーナー様のお言葉。 車体の左側に転倒傷が刻まれています。
2018年モデルで一新されたマジェスティSのフロントフェイスのデザインですが、フロントカウルの広範囲の部分に転倒傷が刻まれています。
この広範囲な削れ傷だと、再販に当たっては買い手が限定され売価に影響するため修理は必須。
修理方法は塗装業者に持ち込んで殆ど回復させるか、2万数千円の純正パーツに交換するか?仕上がりと値段を考えると要交換判定となり、パーツ価格とまでは行きませんが準じた買取額の減額となりました。
古い年式の車種であれば、自社での削りや塗装・ボカシで対応できるケースもありますが、高年式でメーカー塗装が綺麗に残っている車両になると外装パーツは交換となるケースが多くなります。
転倒によって変形したステーの影響でインナーカウルとの間に隙間・ズレが生じています。
このずれを直すには、ステーの修正で済めば工賃は1万円強。ステーの交換となると組み外して組み付ける部品点数が多いため1万5千円強の工賃に。
ただし走行性能には影響せず、隠れた部分であること。さらにそれだけの工賃を再販時の価格に転嫁できない点から修理はせずにそのままとなるでしょう。
販売時には転倒時の痕跡の残った状態であり転倒歴があることを説明する必要がありますので、その分買取価値を損ねていますが、工賃ほど大きな減額には至りませんでした。
フロントフェンダーの先端に広範囲の削れ傷が刻まれています。
フロントカウルに比べると転倒傷の範囲は狭いですが、こちらは純正パーツの値段が7千円程度と比較的安価なことから要交換判定に。パーツ価格とまでは行きませんが準じたマイナ査定となりました。
左側のセサイドカウルには5cm程度の削れ傷があります。マットダークブルーイッシュグレーメタリックのダークなカラーリングと削れた部分の白色との対比で削れが目立ちます。
センターカウルの純正パーツは2万円強と高価な部品です。ここまでフロントカウルとフェンダーで3万円のパーツ代が必要となっています。更に2万円かけて外装を交換するとその合計額は5万円になります。
SG52J型のマジェスティSは、走行距離0kmの新古車が探せば26万円台から販売されています。
5万円かけての修理はコスト倒れとなってしまいます。
センターカウルについてはヤスリ・塗装・ボカシの簡易修正となりそうです。
完全には修正できないためその分買取価値を損ねる結果となりました。
発売から1年強のSG52J型としては使用感が色濃い
(2019年5月時点では)SG52J型が発売された2018年1月から1年強しか経過していない高年式モデルとしては使用感がやや色濃く買取査定の減点対象となりました。 主なところでは
キャストホイールの傷や使用感、ディスクローターの錆び
綺麗に回復することが難しいステップボードの汚れや使用感
水平方向に取り付けられたモノコック式リアサスペンションの腐食とオイル漏れ
ブレーキキャリパーの腐食
フルード漏れによるマスターシリンダーの塗装剥離
等、細かく目につきにくい箇所を中心に使用感が目立ったマジェスティS。
細かい点で買取価格の減額はいずれも入念な研磨作業によって粗方リカバーできることから、少額のマイナス査定で済む内容が中心でした。
しかしながら綺麗にリカバーすることが難しいステップボードの使用感や、細かい部分の使用感が積もって車体全体が醸し出す新鮮さに影響してくるため、綺麗な車体の割合が非常に多いSG52J型マジェスティSの中では相対的に 見た目の印象は低い査定評価点となり、その分買取価値を損ねる結果となりました。
エンジンなど基幹機能の状態
言わずと知れたマジェスティ250シリーズのスケールダウン版としてリリースされたマジェスティSですが、エンジンは新開発の155cc水冷・4ストロークエンジンです。
見た目こそクランクケースや水冷エンジンに細かい錆びや腐食が浮いていてやや使用感を感じさせますが、 3300kmとSG52J型としては平均並みに走行距離の少ないエンジン機能は異音や白煙吹き・アイドル不調などといった不具合を示す兆候はなく年式並みに良好な機能を保持していました。
転倒傷があるものの衝撃自体は外装カウルによって吸収される程度の衝撃であったようでメインフレームには衝撃を吸収した痕跡もなく良好な剛性を持保持していました。
また3連メーターもクリアパネルに細かい傷が散見されるものの機能状態とも問題はありません。
基本的な性能については2018年モデルらしく不具合の無い良好な状態を維持していたマジェスティSです。
年式並み未満の評価も販売店仕入れで高額査定に
以上が査定内容のトピックです。
新車でご購入された高年式車両は、新車の綺麗さを維持したいというオーナー様のご意向が反映されて大切に保管されていたりケアされていて非常に綺麗な車体を多い特徴がありますが、 野晒しで保管され、特にケアすることなく日常使用されていた1台であることが伝わってきます。
(2019年5月時点)発売から1年強しか経過していないため、極上車がの割合が非常に多いSG52J型マジェスティSの中では相対的に使用感が色濃い1台でした。
更に、ダークグレーの車体に刻まれた広範囲の転倒傷がは完全に直すとなるとその修理費用は工賃を含めて7万円強の損傷状況。当然、買取価値を下げる結果となりました。
2019年5月時点で、SG52J型のマジェスティSは、走行距離0kmの新古車が探せば26万円台から販売されています。
さて、最も気になる査定額ですが、
買取業者の転売先であり、中古販売業者の仕入れ先となっている、業者間オークション市場の取引金額(買取業者の転売額=販売業者の仕入れ額)を見ると、SG52J型マジェスティSの平均取引額は22万円強となっています。
この22万円はいわゆる買取相場であり、買取業者にとっては平均的な転売金額となります。
転売金額から、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引いた正味の買取額は(126~250ccの場合は2.5万円程度差し引いた)20万円程度となります。
車両の状態は平均を下回る劣化度合い、更に目立つ転倒傷も影響し、車両の状態は平均を下回ったマジェスティS。
相場から想定される転売金額の根拠については下段で詳述していますが、想定される転売金額は17~19万円程度の状態でした。
踏まえると正味の査定額は15万円程度(赤字を覚悟して17万円)となるところです。
先に弊社の買取額を申し上げますと、19万円。
何故?赤字必死の19万円で買取できたのか?
その理由は、弊社販売店の仕入れ価格で買取できたこと。業者間オークション市場の買取額=買取業者の転売額=中古販売業者の仕入れ額と申し上げましたが、 実は販売業者の正味の仕入れ額には消費税と落札手数料が加算されます。つまり想定され取引額である17~19万円に約10%加算された額が正味の仕入れ額で18.7~20.8万円が想定仕入れ額となります。
この仕入れ額をベースに買取できたことが19万円の査定額に繋がりました。
また、弊社整備工場で安価に修理できる点も高額査定に寄与しています。
弊社販売店でも売れ筋である125~155ccのスクーターは販売店仕入れ価格での買取となる可能性が高い車種です。
買取査定はぜひ弊社バイクパッションにお任せください!
SG52J型マジェスティSの買取相場
1995年発売のマジェスティ250シリーズのスケールダウン版として2014年モデルで新登場したマジェスティS。
2018年モデルでは、排ガス規制対応、フロントフェイスのデザイン一新、12V DC電源ジャックや新LEDヘッドランプの採用などの仕様変更が実施され型式がそれまでのSG28J型からSG52J型へと変更されました。
今回買取させて頂きました転倒車は、SG52J型のマジェスティSですので、ここではSG52J型に特化して買取相場をご案内差し上げます。
買取価格を決定する最も重要な要素である『状態』
買取業界では、総合的な車両の状態を評価する点数があり、高年式のSG52J型マジェスティSの場合は下記のような点数で状態を示すことができます。
- ▼状態を表す評価点の目安|SG52J型マジェスティS
- 評価点8 新車同様
- 評価点7 超極上車
- 評価点6 年式並みの極上車
- 評価点5 年式並
- 評価点4 難が目立つ
- 評価点1 事故車や不動車
それでは、踏まえまして買取業者の転売先であり、販売業者の仕入れ値である、業者間オークション市場の取引データを使用して、マジェスティSの買取相場をご案内差し上げます。
SG52J型マジェスティS|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 7以上 |
評価点 6 |
評価点 5 |
評価点 1 |
26~29万円 |
3台 |
2台 |
0台 |
0台 |
20~24万円 |
4台 |
12台 |
12台 |
0台 |
15~19万円 |
0台 |
0台 |
2台 |
0台 |
10~14万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
5~9万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
6台 |
0~4万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
3台 |
(2019年5月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
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走行0kmの未登録車でも24万円程度が上限買取額
直近1年間遡ると、SG52J型マジェスティSの実働車は35台の取引がありました。
取引の最高金額は26.4万円、最低額は15.2万円、平均額は15.2万円となっています。
2018年モデルのメーカー希望小売価格は37.2万円ですが、探せば走行距離0kmの新古車が26万円台から販売されていることが確認できます。
取引額で注目したいのは、上記表には出てきませんが、走行0kmの未使用未登録車(販売店からの在庫流れ)が25.8万円で取引されている点。
この価格がノーマル車両の上限取引としてベンチマークとなりそうです。
上記は買取業者の転売額ですので、儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引いた正味の買取上限額は24万円程度となります。
評価点別の平均取引額を比較すると、評価点8以上の新古車が25.8万円、評価点7の超極上車が24.2万円、評価点6の極上車が23万円、評価点5の年式並みが21.6万円、評価点4の難有車が16.7万円と状態と平均取引額が 綺麗に連動していることが読み取れます。踏まえて評価点別の正味の平易金買取額は下記になります。
- ▼正味の平均買取額|SG52J型マジェスティS
- 新車同様 23.3万円
- 超極上車 21.7万円
- 極上車 20.5万円
- 年式並 19.1万円
- 難有車 14.2万円
事故車や故障不動車の査定額は数万円が中心に
直近1年間遡ると、SG52J型マジェスティSの実働状態にない事故車や故障不動車は11台の取引がありました。
取引された11台は全て事故車で、取引の最高金額は10.4万円、最低額は4.0万円、平均額は7.0万円となっています。
高額で取引されている事故車はフロントフォークの歪み、中位の金額で取引されている事故車はフロントフォークに付随してメーターや外装が損壊、低位の車両はフレームまで変形している全損事故車となっています。
以上のことから全損事故車でも買取時にお値段がつけられそうです。またフロントフォークなど損壊部位が限られている場合は、8万円程度まで査定額が伸びる相場となっています。
さて、高年式のインジェクション車両ということで故障不動車は1台も取引履歴がありませんでしたが、故障不動車は実働車の想定取引額から修復コストを差し引いた金額で概ね取引が成立する傾向にあります。
エンジン焼き付きなど修理コストが高額になる場合は取引額が低く、安価に修理できる場合は実働車に準じた取引価格となります。
ライバル車PCX150との比較
マジェスティSのオーナー様はご購入時には高速道路走行が可能なライバル車であるPCX150との比較で悩まれた方も多いのではないでしょうか?
先発のPCXは2012年(型式KF12)に32.9万円でデビューし、2014年にはKF18型となり36万円に、そして2018年にはKF30型となり37.3万円のメーカー希望小売価格が設定されていました。
対して、マジェスティSは2014年モデル(型式SG28J)の34万円でデビューし、2018年に型式SG52J型となり37.2万円の希望小売価格が設定されていました。
モデルチェンジのタイミングも新車設定価格も類似するライバル車。はたして売るときにはどちらが高く売れるのでしょうか?
踏まえまして買取業者の転売先であり、販売業者の仕入れ値である、業者間オークション市場の取引データを使用して、同時期の型式でマジェスティS vs PCX150の買取相場をご案内差し上げます。
相場の比較【マジェスティS vs PCX150】高く売れるのは? |
年式 |
平均取引額 |
最高額 |
取引台数 |
PCX150 KF18型 |
18.7万円 |
25.4万円 |
490台 |
マジェスティS SG28J型 |
12.9万円 |
24.6万円 |
520台 |
PCX150 KF30型 |
25.7万円 |
30.8万円 |
30台 |
マジェスティS SG52J型 |
22.4万円 |
26.4万円 |
35台 |
事故車・不動車 |
PCX150 KF18型 |
14.2万円 |
19.1万円 |
77台 |
マジェスティS SG28J型 |
5.1万円 |
13.0万円 |
123台 |
PCX150 KF30型 |
19.0万円 |
25.6万円 |
4台 |
マジェスティS SG52J型 |
7.0万円 |
10.4万円 |
11台 |
(2019年5月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
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高く売れるのはPCX150
マジェスティSのオーナー様にとっては非常に残念な結果ですが、【マジェスティS vs PCX150】高く売れるのは?PCX150という結果になりました。
取引台数は双方とも150ccクラスのスクーターとしては非常に旺盛で流通台数としては人気を2分している状況ですが、査定金額の前提である市場での取引金額では圧倒的にPCX150に軍配が上がっています。
特に型落ちとなった2代目OCX150と初代マジェスティS(共に2014年モデル~)での金額差が大きく、事故車や不動車に至ってはダブル~トリプルスコアの差を付けられています。
新車価格が同等で、仕様にも大差なく、中古市場での流通台数を見る限り人気面においても優劣つけ難いライバル車ですが、売却の際の買取額はPCX150が大きく高い相場となっています。
相場の下落が早いマジェスティSは早めの売却が正解?
ライバル車のPCX150の2代目モデル型式KF18(2014年~)と最新の3代目KF30型モデル(2018年~)の平均取引額を比較すると、18.7万円と25.7万円で先代の型落ちモデルが3割ほど安くなっています。
(参考記事:
【型式/年式別】PCXの買取相場)
対して、マジェスティSの初代SG52J型と最新の2代目SG52J型モデルの平均取引額を比較すると、12.9万円と22.4万円と4割強安くなっています。
このことから、マジェスティSは新モデルリリース後に、型落となった旧モデルの相場下落傾向がPCXに比べてより顕著であることが読み取れます。
マジェスティSのご売却をご検討されているオーナー様にとっては、新モデルがリリースされて中古市場に出回る前の売却が高額査定の秘訣といえそうです。
最新の買取相場をチェック!
上記の相場情報は2019年5月時点の情報です。
Majesty Sのご売却をご検討中のオーナー様は、最新の相場動向が気になるところでしょう。
最新の相場情報は、10秒で査定額が出る
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MajestyS【SG52J型】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 35台
- 平均価格: 224,629円
- 最高価格: 264,000円
- 最低価格: 152,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 11台
- 平均価格: 70,909円
- 最高価格: 104,000円
- 最低価格: 40,000円
相場情報:2019年5月17日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。