査定させて頂いたのは2014年モデルのMT-09。
MT-09 ABSに統合された2017年のマイナーチェンジで型式変更となり、相場が下落した初期RN34J型です。
細かい劣化も見当たりましたが、初期型としては非常に良好な極上車でした。
足回り
先ずは足回りの査定から。車体を押し引きして、シートに跨って前後サスの機能をチェックします。
大型バイクとしては車体重量が非常に軽いMT-09ですが、メーカーが誇るマスの集中化によって取り回しは驚くほど軽々と操れます。
肝心の前後サスペンションの機能は良好で、オイル漏れなどもなく機能的には良好です。幸先の良い査定スタートとなりました。
続いて足回りの見た目をチェックしていきます。
リアタイヤの両サイドに溶けたタイヤの塊が付着しています。車体を倒して攻める走りをしていたことが推察できます。
車体全体に綺麗な印象を持ったので、再販に当たっては(乱暴に乗られていたとの印象を持たれることを回避するためにも)タイヤを交換しても良いかもしれません。
細かいところですが、チェーンのアウタープレートやローラーに錆が散見されます。やや油が薄い印象で、雨天走行や洗車で油が流れてしまったようです。
その他、前後ホイールに小傷、リアショックに錆びの出始めが見られます。
細かいところで軽いマイナス査定がありましたが、逆に言えばその程度しか限定対象がない良い状態です。
エンジン
(大型バイクとしては)珍しい3気筒水冷エンジンを搭載するMT-09のエンジンを査定していきます。
黒に塗装された水冷エンジン周りは傷やさびもなく非常にきれいです。
タイヤ両サイドに攻める走りを示す溶けカスが付着していましたが、走行距離は非常に若く、エンジンは会長であろうとの期待とともにセルスタート。
バッテリーがやや弱い印象ですが、一発始動。アイドリングも安定し、異音や白煙吹きもありません。回転数の上昇・下降もスムーズ、シフトチェンジモスkムーズで機能的にも聴講な状態を確認。
敢えて列記するようなマイナス査定もなく、高い買取価値を有していることがわかりました。
外装
査定現場委に到着して拝見したMT-09の第一印象は極上車。
印象に違いがないか細かく査定していきます。
「ネイキッドとスーパーモタードをハイブリッドさせた“異種交配造形”のデザイン」とメーカーが誇る車体に、買取価値を損なうような目立つ傷や劣化は見当たりません。
外装全体の艶もしっかりとキープされて、2014年モデルとしては買取価値の高い外装状態です。
惜しいのは、タンクについている細かい傷と、フロントフェンダー先端の傷。タンクについている細かい傷は近寄って識別できる程度で、補修によって識別が難しい程度まで回復できます。
フレーム/電装/保安部品
ここまで査定して、転倒を示すような傷はありませんでしたが念のために、ハンドルの左右の切れ角、ハンドルストッパー、フレーム接合部と衝撃を受けた際に兆候が出やすい部分を中心にチェックしていきますが問題なく良好です。
劣化が出やすい、スタンド・ステップなどの接合部も2014年モデルとしては綺麗でほい状態を保持しています。
一体成形のエキゾーストパイプ&サイレンサーに焼けや錆びもほとんど見当たらず、金属の輝きを放っています。
バッテリーの電圧が弱っていますが、走行距離から充電によって回復可能でしょう。フレーム・電装・保安部品も高い買取価値を有していました。
総合評価と買取価格
パット見て、極上車の第一印象だったMT-09、査定後の評価も極上車でした。
足回りなど細かい減点は入りましたが、リカバー可能な減点が多く、簡単なケアで弊社販売店の店頭にすぐにでも並べて売り出せそうな状態です。
下段で詳しくご紹介していますが、
残念ながら、2017年の型式変更で、型落ちとなり買取相場が下落したRN34J型(2014~2016年モデル)は、買取相場の上限が50万円程度となっています。
状態に相応しい相場上限の50万円の査定金額にて買取させていただきました。
お客様のご感想と買取後記
「やっぱり分かりますか。3回ほど遊びでサーキットで走ってます。」とはオーナー様のお言葉。
「もっと本格的なマシンが欲しくなって買い替え予定です」買い替え予定でいらっさyるとのこと。弊社販売店でお買い上げの際には下取り扱いとさせて頂き、2万円割引をお約束いたしました。
MT-09はいくらで売れるのか?適正相場
●2017年のマイナーチェンジで型式が変更となったMT-09 ABS
2017年以降のモデルは買取相場が2段ほど高く推移しています。
型式(年式)モデル別の買取相場。
ならびに、2017年以降のMT-09 ABS、バリエーションモデルのトレーサー900(MT-09 TRACER ABS)やMT-09 SPなどの相場情報については下段でご案内しております。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|MT-09(2014~2016年)
- 評価点7 超極上
- 評価点6 極上車
- 評価点5 良好車
- 評価点4 若干の難あり
- 評価点3 難あり
- 評価点1 事故車や不動車
MT-09(2014~2016年)|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 6~7 |
評価点 5 |
評価点 3~4 |
評価点 1 |
50~54万円 |
3台 |
1台 |
1台 |
0台 |
45~49万円 |
6台 |
20台 |
1台 |
0台 |
40~44万円 |
0台 |
28台 |
4台 |
1台 |
35~39万円 |
0台 |
10台 |
2台 |
1台 |
30~34万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
3台 |
20万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
4台 |
10万円台 |
0台 |
0台 |
0台 |
3台 |
(2014~2016モデルの年MT-09の数字。ABSモデルを含まない数字です)
(2018年7月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
2014~2016年 MT-09の平均買取額は約40万円
2014~2016年まで販売されていたABSが装備されていない最初期モデルのMT-09は、直近1年間で75台が取引されました。
最高額は54.8万円、最低額は34万円、平均取引額は43.9万円となっています。
上記は評価点と落札金額の関係性を示した表です。MT-09の取引相場を見ると評価点が高いほど取引金額も高くなる傾向が読み取れます。
評価点別にボリュームゾーンとなっている価格帯を整理すると、
評価点6~7の極上車は、45~54万円台
評価点5の良好車は、35~49万円台
評価点3~4の難あり車は、34~44万円台
に多く分布しています。
傾向の範囲外で取引されている車両は、需給(仕入れする販売店が競って価格が吊り上がる。逆も然り)の影響や、カスタムパーツの評価(評価点は純正品欠品扱いで低いが、高価な社外品が高額取引につながる)等が要因となっています。
カスタムパーツの評価は査定現場でも当然加味されますが、業者間市場での需給による変動は考慮されません。
したがいまして、買取業者としては車両の状態に沿った取引相場の傾向を、査定価格の指標として使用します。
上記の金額は全て、市場での取引金額ですが、MT-09の査定現場での買取相場はどうなのでしょうか?
MT-09の場合は、市場の取引金額から10%程度である4万円を差し引いた額がお客様にとって競争力のある買取相場といえます。
なぜ?4万円?4万円の内訳は、業者の経費(出品手数料や運送費など)に儲けの合計金額となります。
評価点に応じた査定現場での正味の買取相場は下記になります。
- ▼評価点別の買取相場|MT-09(2014~2016年)
- 超極上:40~50万円
- 良好車:30~45万円
- 難あり車:25~35万円
査定現場では、上記をベースにして、走行距離や詳細の状態、カスタム内容を加味して実際に査定額が算出されます。
上記に逸脱しない買取価格であれば概ね適正な競争価格といえるでしょう
事故車の買取相場は10万円から
部品取りや修理が必要な、事故車は不動車を示す評価点1のMT-09(2014~2016年)は、直近1年間に12台が取引されています。
最高額は41万円、最低額は16.2万円、平均取引額は27.5万円となっています。
いずれの個体も事故車ではありますが、大破した全損車両はありません。
10万円台で落札された個体は、メーター・Hライト・フロントフォークが損傷している前面損傷の事故車。
20万円台で落札されている個体は、フロントフォークが歪んでいるもののその他の損傷は確認駅ない状態。
30万円台以上で落札されている個体は、写真からでは孫壮状況を判別することができない状態。
となっています。上記の取引状況から事故車の買取相場をご案内すると
- ▼事故車の買取相場|MT-09(2014~2016年)
- フォーク歪み/前面損傷:10~25万円
- 全損事故車:残存パーツの価値
走行距離別の買取相場
2014~2016年モデルの走行距離別の取引相場を下記表にまとめてみました。
MT-09(2014~2016年)|走行距離別の取引相場 |
距離/ 落札価格帯 |
~0.1万km |
~0.5万km |
~1万km |
1万km超 |
50~54万円 |
0台 |
3台 |
2台 |
0台 |
45~49万円 |
2台 |
6台 |
12台 |
7台 |
40~44万円 |
1台 |
2台 |
9台 |
20台 |
35~39万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
10台 |
30~34万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
0台 |
(2014~2016モデルの年MT-09の数字。ABSモデルを含まない数字です)
(2018年7月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
大型バイクとしては扱いやすい特性が現れて、高年式車両としてはやや使い込まれた個体が目立つMT-09(2014~2016年)。
走行距離が少ないMT-09は40万円台以上に取引が集中しており、買取の際にも大きなイニシアティブとなることが読み取れます。
ABSモデルや2017年以降のRN52Jなどの買取相場については下段意向をご参照くださいませ。
MT-09シリーズの車種と型式
海外モデル/国内仕様、上級モデルにバリエーションモデル、そして名称変更に、車種の統合と、車両の全体像をつかむのが困難なMT-09シリーズ。
以下にMT-09シリーズの変遷を年表でまとめてみました。
2014年にMT-09とMT-09 Aとして売り出されましたが、2015年にはメーカー呼称がMT-09 AからMT-09 ABSに。2017年モデルからMT-09はモデル落ちとなりMT-09 ABSに統合されました。
2015年には、スポーツマルチモデルの位置づけでバリエーションモデルMT-09 トレーサーABSが発売、2018年モデルではTRACER900 ABSに改名され、上級バリエーションのTRACER900 GT ABSも発売されました。
2018年には、上級仕様のMT-09 SP ABSが発売されています。
- ▼MT-09シリーズの変遷
- 2014年:MT-09/MT-09 A 発売
- 2015年:MT-09 ABS 新色追加(RBシリーズ)
- 2015年:MT-09トレーサーABS発売
- 2016年:MT-09/MT-09ABS 新色追加
- 2017年:MT-09 ABSに統合
初のマイナーチェンジ
- 2018年:上級仕様のMT-09 SP ABS発売。
- 2018年:MT-09ABS 新色追加とグラフィック変更
- 2018年:TRACER900 ABSに改名。TRACER900 GT ABS発売
続いて、MT-09、MT-09 A、MT-09/MT-09 ABS、MT-09トレーサーABS、TRACER900 GT ABS、MT-09 SP ABSのメーカー希望小売価格の変遷を見てまいりましょう。
MT-09シリーズの年式×モデル別|新車価格の変遷
MT-09シリーズの年式×モデル別|新車価格の変遷 |
|
2014 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
MT-09 |
84.9 |
84.9 |
84.9 |
- |
- |
MT-09 ABS |
89.9 |
89.9 |
91.5 |
100.4 |
100.4 |
MT-09 SP |
- |
- |
- |
- |
111.2 |
トレーサー900 |
- |
104.7 |
104.7 |
106.9 |
111.2 |
トレーサーGT |
- |
- |
- |
- |
119.8 |
(単位は万円。100円単位は切り捨て)
上記は、メーカー希望小売価格の変遷を示した表です。
値上がりのタイミングは4つあり、
TCS(トラクションコントロールシステム)を搭載する仕様変更があり2016年モデルのMT-09 ABSが約1.5万円の値上がり。
マイナーチェンジが施された2017年モデルのMT-09 ABSが約9万円の値上がり。
バリエーションモデルでMT-09に先行してTCSが搭載されたMT-09 TRACER(トレーサー)ABSも2017年モデルの仕様変更で約2万円値上がり、 更に2018年モデルのマイナーチェンジで車名がTRACER900 ABSへと変更になり約4万円の値上げが実施されました。
MT-09シリーズの年式×モデル別|型式の変遷 |
|
2014 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
MT-09 |
RN34J |
RN34J |
RN34J |
- |
- |
MT-09 ABS |
RN34J |
RN34J |
RN34J |
RN52J |
RN52J |
MT-09 SP |
- |
- |
- |
- |
RN52J |
トレーサー900 |
- |
RN36J |
RN36J |
RN51J |
RN51J |
トレーサーGT |
- |
- |
- |
- |
RN51J |
2017年の仕様変更でMT-09 ABSと、MT-09 トレーサーABSの型式が変更されています。 面白いのは、MT-09 ABSのバリエーションモデルであるMT-09 トレーサーABS(2018年からはTRACER900)は、別車種扱いとして型式が異なるのに対して、上級仕様のMT-09 SPは型式がMT-09 ABSと同じ点。
メーカーサイトでも型式別のページ構成となっていますね。
また、TRACER900は大胆な仕様変更が実施された2018年の型式変更ではなく、MT-09 ABS初のマイナーチェンジとなった2017年に型式変更されている点。同じ車体で型式変更と仕様変更の歩調が少し違って面白いですね。
さて、MT-09シリーズの解説に多くの時間を割いてしまいましたが、いよいよモデル別の買取相場についてご案内差し上げます。
MT-09シリーズ|年式・モデル別の買取相場の比較
車種×型式別の取引相場|MT-09シリーズ |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
MT-09 |
43.0万円 |
54.8万円 |
75台 |
MT-09ABS RN34J |
46.1万円 |
60.0万円 |
148台 |
MT-09ABS RN52J |
67.8万円 |
83.6万円 |
42台 |
MT-09 SP |
89.0万円 |
89.0万円 |
1台 |
TRACER900 RN36J |
54.6万円 |
71.4万円 |
115台 |
TRACER900 RN51J |
65.3万円 |
81.2万円 |
20台 |
TRACER900GT |
89.2万円 |
89.2万円 |
1台 |
(2018年7月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
MT09シリーズの買取相場は年式によって異なる
2018年発売のTRACER 900 GT、MT-09 SPは取引台数が1台しかなく、取引された個体もほぼ新車の状態で、傾向地としては弱いのですが、上級仕様車の最新モデルらしい値段で取引されています。
その他は、年式と発売当時のメーカー希望小売価格に準じた取引価格となっています。
それにしても型式変更の以前と以降で大きく平均取引金額が異なる点は注目する必要があるでしょう。
2016年以前のMT-09/MT-09ABSと、2017年以降のMT-09ABSでは平均取引額が20万円以上違います。買取相場的には別モデルともいえる開き具合です。
また、トレーサー900はMT-09ABSでないにしろ、2017年の型式変更前後でやはり10万円程度平均相場が異なっています。
上段でもご案内差し上げましたように、上記の市場での取引金額から、4万円程度差し引いた、査定現場での適正な買取相場をまとめると下記のようになります。
- ▼MT-09シリーズ|査定現場での平均買取額
- MT-09:39万円
- MT-09ABS(RN34J):42万円
- MT-09ABS(RN52J):63万円
- MT-09 SP:85万円
- TRACER900(RN36J):50万円
- TRACER900(RN51J):61万円
- TRACER900GT:85万円
(MT-09 SPとTRACER900GTは参考値)
MT-09【2014~2016年モデルのRN34J型】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 75台
- 平均価格: 439,787円
- 最高価格: 548,000円
- 最低価格: 340,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 12台
- 平均価格: 275,250円
- 最高価格: 410,000円
- 最低価格: 162,000円
相場情報:2018年7月30日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。