今回売却査定のご依頼を頂戴して買取したRVF400は1996年モデルの事故車。
ハイサイドで転倒してフロントフォークが歪んでいるほか外装各所に損傷が刻まれている車体。
損傷状況は査定価格にどのような影響を与えたのか?
外装
レーサーレプリカの見た目の印象の9割を占める外装から査定していきます。
ハイサイドによる転倒傷が外装カウルのいたるところ刻まれ買取価値を大きく損なっています。
主なところでは、両センターカウルの割れや広範囲の擦り傷
アンダーカウルの大きなクラック
シートカウルの広範囲の擦り傷
アッパーカウルの割れ
その他にもタンクの凹み定位置で嵌らないテールカウルなどがマイナスとなり、外装の査定については欠品扱いに近いパーツ価値となってしまいました。
足回り
サイドスタンドが折れていて自立できない状態のRVF400に股らがしていただき、ハンドルの切れ角や前後のサスペンションの沈み込みと戻り具合をチェックさせて頂きましたが、 フロントフォークは捻じれているようです。目視で確認しても捻じれがあり自走は出来ない状態です。
また、フロントホイールのリム部分は衝突の影響で捲れあがっています。
フロントフォークとフロントホイールについてはパーツ価値を喪失していて欠品扱いの査定となります。
その他足回りに事故による損傷は確認できませんでしたが、前後の足回りともオイル漏れや錆傷などによる疲労感が色濃く、仮に事故による損傷がなかったとしても評価点は年式並み未満の3点に留まる状態でした。
フレーム回り
フロントフォークのねじれがあることが分かった時点で、最も懸念される点はメインフレームへの影響です。ネック部分や接合部を重点的にチェックしていきますが、 剛性の高いフレームに衝撃を吸収した痕跡は見つかりませんでした。
ただし転倒事故の影響でサイドスタンドはフレームの部分から折れて欠損しています。サイドスタンドを接合する部分のフレーム自体が折れていることから転倒時の衝撃の凄まじさが伝わってきます。
末端部分とはいえ、メインフレーム自体の剛性には影響が殆ど及ばない箇所といえ、フレームの一部が欠損している点は買取価値に影を落とす結果となりました。
余談ですが、自立できない状態のRVF400でしたが査定現場では専用スタンドを履かせて査定させて頂きました。
買取後の店舗での撮影ではブロックを噛ましています。
エンジン
キーシリンダーには損傷はなく鍵を挿してセルスターターで水冷4サイクルDOHC4バルブV型4気筒のエンジン始動を試みます。
事故の影響で電装系などが損傷して掛からないかと思われましたが、一発で始動を確認。アイドリングがやや安定せず、加速で若干のもたつきを感じさせましたが実働状態であることを確認。
ただし、腰下からのオイル漏れ、ラジエーターフィンの凹みや曲がり、エンジンの錆や腐食など、状態としては年式並みかそれ未満の状態、査定の評価としては3点に留まりました。
電装系・保安部品
アッパーカウルから折れて配線でぶら下がっているウィンカー、転倒傷が目立つミラーカバー、広範囲で削れているエキパイ、根元と排気口に凹みが目立つ社外マフラーなどが事故による損傷です。
その他には大きな損傷は見当たりませんでした。バッテリーは用充電若しくは交換の状態。電装・保安部品の中では重要パーツであるメーターには目立つ損傷や劣化がなかった点は好材料となりました。
仮に実働車であった場合の査定評価点としては損傷も目立ったため3点の評価となっていたでしょう。
総合評価と買取価格
以上、事故車のRVF400の各部位の査定内容ですが、大きく買取価値を損なっていたのは下記の3点でした。
- フロントフォークの捩れ
- サイドスタンドの付け根から欠損しているフレーム
- 全損扱いに近い外装カウル一式
エンジンが実働状態である点は好材料でしたが、再販する場合の修復コスト、それに修復後の再販価値を考えると、なかなか強気の査定価格を提示することが難しい車両状態でした。
下段の相場情報で詳しくご案内していますが、一見して分かる事故車の買取相場は数万~10万円台前半。
フロントフォーク曲がりの他に目立った損傷のない事故車の買取相場が10万円台後半~20万円台前半となっています。
踏まえると、10万円台前半が何とか出せる査定価格となるところですが、弊社整備工場での修復後の価値を込みで19万円お査定価格で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「友人に勧められて査定を頼んだんですが、その日にこんな価格で買い取ってくれるとは思いもしなかった!」とはご成約後のオーナー様のお言葉です。
非常に高い剛性構造のフレームが折れるほどの損傷を追っていたRVF400ですが、オーナー様は指の骨折だけのお怪我で当日査定現場にお立会い頂きました。
自損事故ということで保険のロードサービスで、最寄りの修理工場に移送されたそうですが、保管期間48時間以内にもう一回だけ無料での輸送が可能ということで、 購入店や修理工場ではなくご自宅に輸送してもらったそうです。写真を撮ってk印字のバイク店に見せたところ全損扱いとのことで中古の購入を勧められたそうです。
そのような経緯で査定金額に驚かれたのことです。
後日談ですが、弊社整備工場が多忙を極め、修理することなく、買取したままの現状で業者間市場に出品したところ落札金額は16.7万円。
経費を含めると4万円程度の赤字となってしましました。。
薄利で多数の買取をモットーとしている弊社ですが、時々赤字を出してしまうこともあります。
ここまでは19万円で買取して赤字となったRVF400の事例をご紹介させて頂きましたが、以下からは、RVF400の買取相場について詳しくご紹介させて頂きます。
売却をご年頭中のオーナー様には適正な売却額がデータからわかる内容となっております。
RVF400はいくらで売れるのか?適正相場
2018年現在、中古車の店頭での税込み車両価格は40万円台~100万円台と状態に応じて幅広い価格帯となっているRVF400ですが、売却の際はいくらで売れるのか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、 以下の切り口でスクランブラーシリーズの適切な買取相場をご案内差し上げます。
状態別の買取相場
買取価格を決定する最も重要な要素である『状態』
買取業界では、総合的な車両の状態を評価する点数があり、1994~1999年頃まで販売されていたRVF400の場合は下記のような点数で状態を示すことができます。
- ▼状態を表す評価点の目安|RVF400
- 評価点5 状態が良く綺麗/極上に近い
- 評価点4 年式並み以上でやや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
それでは、踏まえまして状態によって買取相場に差はあるのか?買取相場の前提指標である業者間オークション市場の取引データを見てみましょう。
中古RVF400|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
70万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
60万円台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
50万円台 |
0台 |
3台 |
0台 |
0台 |
45~49万円 |
0台 |
7台 |
0台 |
0台 |
40~44万円 |
0台 |
4台 |
1台 |
0台 |
35~39万円 |
0台 |
16台 |
3台 |
2台 |
30~34万円 |
0台 |
11台 |
4台 |
2台 |
20万円台 |
0台 |
2台 |
10台 |
5台 |
10万円台 |
0台 |
0台 |
4台 |
3台 |
1桁万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(2018年9月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
買取額のボリュームゾーンは20~40万円台
直近1年間で68台の実働車が取引されたRVF400。
評価点別の内訳を見ると、
(1994~2000頃までの販売で)20年前の車両ということで、5点の評価点が付いた車両の取引はなく、4点の車両が46台、3点の車両が22台となっています。
取引の最高額は70.2万円、最低額は18万円、平均は36万円となっているわけですが、全68台の85%のあたる58台は20~40万円台の価格帯で取引されています。
このことは、買取業者に買取されたRVF400の85%は業者間市場で20~40万円台で取引されることを示唆しているわけですが、さらに詳しく評価点別に取引価格帯を見ると、 評価点4の個体は30~40万円台、評価点3点の個体は10~30万円台が取引のボリュームゾーンとなっています。
オーナー様が保有しているRVF400の状態に応じて、取引されるボリュームゾーンがイメージできたのではないでしょうか? ただし、1点注意が必要なのは 上記の金額はいずれも市場での取引金額であり、査定現場での買取額とは若干異なります。
何が異なるかというと、市場での取引額は買取業者にとっての転売金額であり、市場で売れる金額で買取すると赤字になってしまいます。
市場での取引金額から買取相場を逆算する方法は簡単です。
市場での取引額から、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差引けば算出できます。
では、買取業者の儲けと経費はいくらなのか?
市場での平均取引額が30万円を超える中型バイクの場合、2.5万円程度が適正でお客様にとって競争力のある買取額といえます。
市場での平均取引額から3.5万円を差し引いた、モデル別の平均買取相場は下記のようになります。
- ▼買取価格のボリュームゾーン|RVF400
- 評価点4+のかなりの良好車:40後半~60万円台
- 評価点4の良好車:20~40万円台半ば
- 評価点3の難有車:10~30万円台前半
相場データは、85%のRVF400は上記のか価格帯での買取となることを示唆していますが、4点プラスの個体は40後半~60万円台の査定額が見込める相場となっています。
事故車は数万円~20万円台
事故車・不動車・故障車など実働状態にない車両を示す評価点1のRVF400の取引に着目すると、直近1年間に13台が取引されています。
取引の最高額は35.8万円、最低額は8.8万円、平均は24.4万円となっていて、実働車とそれ程開きがない金額となっています。
全13台の内訳を見ると、
30万円台には、損傷は見当たらず外装が綺麗な不動車。
20万円台には、見た瞬間に劣化が見て取れる不動車や、フロントフォークのみが歪んでいる事故車。
10万円台以下には、一見して分かる事故車が中心となって取引されています。
上段のモデル別の買取相場で触れた、市場での平均取引額が30万円を超える中型バイクの場合、『業者間市場での取引額-3.5万円程度(買取業者の儲けと経費)=適正な買取相場』の公式を当てはめると モデル別の平均買取相場は下記のようになります。
- ▼事故車・不動車の買取額|RVF400
- 損傷なく綺麗な不動車:20後半~30万円台前半
- 劣化の目立つ不動車やフォーク曲がりのみの事故車:10万円台後半~20万円台前半
- 一見して分かる事故車:数万~10万円台前半
絶版車となりリプロパーツはあるものの中古パーツが入手しづらいRVF400。
中古パーツの需要も根強く、パーツ取り状態の事故車でも値が付くのが強みといえます。
【過去5年間】買取相場の推移
近年のNSRやTZRやガンマなどに代表される2ストレプリカの相場の高騰には目を瞠るものがありますが、水冷4ストのレーサーレプリカであるRVF400の相場の推移はどうでしょうか?
過去5年間の相場の推移を検証してみたのが下記表です。
【過去5年間】取引相場の推移|RVF400実働車 |
【推移】 |
平均取引額 |
最高額 |
取引台数 |
2014年 |
32.1万円 |
49.2万円 |
74台 |
2015年 |
34.3万円 |
70.8万円 |
80台 |
2016年 |
35.0万円 |
55.8万円 |
72台 |
2017年 |
35.8万円 |
57.4万円 |
74台 |
2018年 |
70.2万円 |
36.0万円 |
68台 |
(2014~2018年の各年の9月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
上記は過去5年間の実働車の推移です。
2014年の平均取引額が32.1万円に対して2018年は36万円と、毎年約1万円ほど値上がり傾向が続いているRVF400。
買取業者としては言いずらいセリフですが、資産として考えても売却はもう少し先で良いかもしれませんね。
【過去5年間】取引相場の推移|RVF400事故・不動車 |
【推移】 |
平均取引額 |
最高額 |
取引台数 |
2014年 |
17.8万円 |
27.6万円 |
14台 |
2015年 |
20.3万円 |
30.4万円 |
22台 |
2016年 |
19.9万円 |
31.3万円 |
17台 |
2017年 |
20.8万円 |
33.3万円 |
22台 |
2018年 |
24.4万円 |
35.8万円 |
13台 |
(2014~2018年の各年の9月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
上記は過去5年間の事故車や不動車の推移です。
実働車以上に値上がり幅が大きい事故車や不動車のRVF400の相場の推移となっています。
不動車は起こして実働化、全損事故車でもパーツ取り需要が高く、事故車といえどもソコソコ以上の査定額が付く相場となっています。
不動車に関しては実働化コストを実働車後の価値から差し引いた相場となっているようです。
事故車や・不動車は相場の値上がりよりも車両の劣化や痛みによる車両価値の棄損が大きい可能性が高いので、売却を考えているオーナー様は早めの売却が正解といえるでしょう。
歴代のRVF400(TT-F3)レプリカ・シリーズの買取相場の比較
1994年に発売されたRVF400、当時のメーカー希望小売価格は78万円。
1996年にはカラーリング変更が実施されましたが、価格は据え置きの78万円。この1996年モデルが最終モデルとなりました。
年式モデルの見分け方は簡単でセンターカウルのRVFのロゴが白色なのが1994年モデル、黄色が1996年モデル。
カラーリングの他は仕様変更はなく、買取相場は1994年モデルも1996年モデルも差異はございません。
そこで競技用のレーサーマシンであったRVF400(TT-F3)をレプリカした歴代シリーズの買取相場を比較してみました。
- ▼進化の変遷|RVF400(TT-F3)をレプリカした歴代シリーズ
- 1986年:NC21型 VFR400R/VFR400Z/VFR400R SE/
- 1987年:NC24型 VFR400R
- 1989年:NC30型 VFR400R
- 1994年:NC35型 RVF400R
歴代のRVF400(TT-F3)レプリカ・シリーズの取引相場の比較 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
VFR400Z |
18.8万円 |
18.8万円 |
1台 |
VFR400R NC21 |
6.7万円 |
8.3万円 |
2台 |
VFR400R NC24 |
16.6万円 |
22.6万円 |
7台 |
VFR400R NC30 |
27.5万円 |
41.0万円 |
58台 |
RVF400 |
36.0万円 |
70.2万円 |
68台 |
(2018年9月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
NC24以前の型式のVFR400Rシリーズは取引台数が少なく傾向としては弱いのですが、高年式=高相場の図式がピッタリと当て嵌まる相場となっています。
中でもシーリーズ最終形のRVF400の相場が一段高いことが分かります。 RVF400のオーナー様に置かれましては、値上がりを続ける資産と考えて保有されるのもよし、相場の値上がりは今がピーク路考えて売却されるも良し、の相場となっています。
RVF400の買取査定は弊社バイクパッションにお任せくださいませ。
車両価値を余すところなくお見積りして高額査定と、誠実対応でお客様のご期待にお応えいたしております。
RVF400【1995~1996年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 68台
- 平均価格: 360,725円
- 最高価格: 702,000円
- 最低価格: 180,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 13台
- 平均価格: 244,000円
- 最高価格: 358,000円
- 最低価格: 88,000円
相場情報:2018年9月17日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。