査定させて頂いたのは2009年モデルのシルバーウィングGT400。
外装の損傷が非常に目立った事故車ですが、いったいいくらの買取金額となるのか?
早速査定していきましょう。
外装
一目見て事故車であると認識できるシルバーウィングGT400。
外装の破損が多く、フロントカウル・スクリーンは大破。
両サイドスカート・左シートカウル・フロントフェンダー・左サイドカウルは大破して欠品。
6段階の調整機能を持つライダー用のバックレストも欠品となっています。
左サイドカウルも広範囲に抵当傷がついていて、損傷がないカウルは右シートカウルにテールカウル・インナーカウルといった状況。
カスタムブームとなった250ccのフュージョンやマグザム・マジェスティであれば1~2万円程度で廉価な汎用品が出回っていますが、シルバーウィングGT400の外装一式を探すのは困難です。
外装についてはほぼ全損で、大きく買取価値を下げる結果となりました
エンジン/電装・保安部品
スクーターにおいて珍しい2気筒エンジンや、出足や低速域のトルクを増強するTモードなどエンジンが実働状態にあるのかは1つの大きなポイントでしたが、キーを回しても電源が点かず残念ながらエンジンの始動を確認することは出来ませんでした。
電源が点かない理由は、事故の衝撃で損壊したフロントカウルを突き破りフロントのハーネスの断線や電装系の損傷によるものです。
オイル漏れがあるもののエンジン自体は大きな外傷もなく始動すれば実働状態になると思われますが、ハーネスの一部が無くなっていることもあって電装系の回復は採算的にも厳しい可能性もありそうです。
保安部品の動作確認でもできませんでしたが、ウィンカーやヘッドライトなどフロント周りの保安部品は全損となっています。
フレーム/足回り
最重要項目はフレームとフロントフォークになります。 フロントが損壊しているだけにフロントフォークの歪みが疑われますが、アウターチューブに大きな凹みがあります。 アウターチューブがこれだけ大きく凹んでいると、内部との干渉もあり強度面でも使用はお勧めできませんので、骨格部品(アウターチューブ)としては商品価値がないと言わざるを得ません。
フレームについては、フロントからの衝撃を受けやすいステム付近の接合部やネック部分にも皺寄りなどはなく、再利用可能な状態に見えます。
フロントフォークこそ再利用は難しい状態でしたが、フレームに大きな損傷が無かったことは事故車のシルバーウィングGT400にとって朗報となりました。買取価値があることがはっきりと確認できました。
ブレーキレバー折れ、ハンドル曲り等ありますが、足回りは、損傷も少なく、ホイール・シングルディスクのブレーキやキャリパーなども一通り使えそうです。
事故車としての総合評価と買取価格
大きく買取価値を下げていたのは、損壊しているフロント周り、ほぼ全損の外装、損傷したハーネスによって機能しない電装系や始動しないエンジン、大きく凹んでいるフロントフォークなど。
実働車の平均的な買取相場が20万円程となっているシルバーウィングGT400。修理に必要なパーツ代だけで予算オーバーとなってしまうため、採算的にはレストアが厳しそうな損傷状況です。
一方価値を計上できたのは、どれも若干の瑕疵がありますが、始動すれば使えそうなエンジン、フレーム、足回り、マフラー、一部の外装など。
再利用できそうなパーツ価値を何とか積み上げて5万円の査定金額で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「売れればいいかなくらいで考えてたんで」と査定金額にご快諾頂いたオーナー様。
「JAF呼んで運んでもらったんだけど、運搬してくれた人の話だと、『修理するより中古を買った方が確実に安い』ってことだったんで自宅に運んでもらって。さぁそうしようかって。Lineで写真送ったら仲間がパッションさん薦めてくれたんで」 と査定に呼んで頂いた経緯を教えてくださいました。
オーナー様もお怪我がなく、査定額でもオーナー様のご期待にお応えでき、査定員にも喜ばしい結果となりました。
事故車は当日引上げさせて頂きまして、後日、廃車手続きを完了させまして、お客様に廃車証のコピーをご郵送差し上げて買取完了となりました。
シルバーウィングGT400 査定相場の比較
2001年11月に発売され、2009年にシルバーウイングGT400(2017年生産終了)へとフルモデルチェンジされるまで販売されていたシルバーウィング400。
2001年モデル当時のメーカ希望小売価格は74.9万円で、なんと先行発売されていたシルバーウィング600と同じ価格設定でした。
多くのケースでは、小排気量となるスケースダウン版は廉価な価格設定になるところ、シルバーウィングの2001~2002年モデルでは600ccと400ccが共通価格となっていました。
それだけ600ccとの共通仕様が多く、600cc寄りで開発された車種であることが分かります。
2003年モデルからは異なった価格設定になり、最終の2008年モデルでは、シルバーウィング600が83.4万円、シルバーウィング400が70.8万円と13万円近い開きが出ていました。
新車の価格設定に特異性のあったシルバーウィング<400><600>ですが、2009年に発売されたシルバーウィングGT400は生産終了の2017年まで価格変更はありませんでした。
2018年現在では、中古車が46万円の平均価格で販売されているシルバーウィングGT400はいくらで売れるのでしょうか?
日本の中古バイクの(販売/買取)相場を決定している、業者間オークション市場の取引データを使用して買取相場をご紹介いたします。
状態別の買取相場|シルバーウィングGT400
- ▼状態を表す評価点の目安|シルバーウィングGT400
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
シルバーウィングGT400|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
30万以上 |
3台 |
0台 |
0台 |
0台 |
25~29万円 |
7台 |
7台 |
0台 |
0台 |
20~24万円 |
1台 |
40台 |
2台 |
0台 |
15~19万円 |
0台 |
4台 |
0台 |
5台 |
10~14万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
5~9万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
4台 |
0~4万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(ABS搭載モデルを含めた数時)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の平均的な買取相場は20万円程度
2009年の発売から生産終了の2017年まで79.9万円(ABSモデルは85.3万円)で販売されていたシルバーウィングGT400。
過去1年間に64台の取引がありましたが、最高取引額は41.4万円、最低額は16.2万円、平均取引額は23.4万円となっています。
状態と取引価格の相関性も高く、評価点5の車両は25万円以上で取引されているのに対して、評価点4の車両は20~24万円での取引が集中しています。
年式並みの車両は20万円台前半で、状態の良い車両は25万円以上で取引されていることがクッキリと読み取れる相場となっています。
全体で見ると全64台の内、89%に当たる57台は20万円台で取引されています。このことは、お客様が買取業者に売ったシルバーウィングGT400も9割弱の可能性で、業者間市場で20万円台で取引されることを示唆しています。
相場の上限に目を向けると、25万円以上で取引された5台は全て評価点5で走行1万キロ未満ですが、最も状態が良かったのは26万円で取引された走行距離976キロで総合評価点は5プラスの極上車でした。
そのことから、買取業者としては26万円で取引された極上車をベンチマークにせざるを得ないので、26万円が買取の際の上限目安となる可能性は高いです。
上記はいずれも業者間市場での取引額ですので、実際の買取相場は3万円程度少ない額になります。
その理由は、買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差引いた額となるためです。
査定現場での買取額は、年式並みの車両は20万円程度。状態の良い車両は20万円台前半~が目安となります。
レストアベースの事故車は8万円、部品取り車は数万円の買取相場
事故車や不動車などを示す評価点1のシルバーウィングGT400に着目すると、過去1年間に12台の取引があり、最高額は18.1万円、最低額は3万円、平均取引額は12.2万円となっています。
全12台の内訳は、全て事故車となっています。10万円以上で取引されている車両は写真からは目立った損傷を確認できないレストアベースの車体となっています。
10万円未満で取引された事故車は、金額が下がるにつれて写真から伝わる損傷状況も酷い内容になっています。
8.9万円で取引されているのは外装は無傷もフロントフォークが大きく歪曲。
8.1万円で取引された車両は、骨格の大きなゆがみは無さそうですが、外装は激しき損傷。今回買取した車両に近似しています。
最低額の3万円で落札された車両は、フロントカウルが大破しフォークが歪んでいます、もしかするとフレームもアウトなのかもしれません。
以上のように、採算ベースでレストアできそうな車両は実働車の見積もりから修復費用を差し引いた金額で、部品取り車両は部品取りの価値で取引されている傾向が窺えます。
買取相場としては、個体の状況に依存するのですが目安平均としてレストアベース車両が8万円程度、部品取り車は数万円程度なるでしょうか。
続いて前モデルのシルバーウィング400の相場も見てみましょう。
状態別の買取相場シルバーウィング400
シルバーウィング400|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
20~24万円 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
15~19万円 |
5台 |
23台 |
2台 |
0台 |
10~14万円 |
1台 |
17台 |
0台 |
3台 |
5~9万円 |
0台 |
2台 |
1台 |
4台 |
0~4万円 |
台 |
台 |
台 |
2台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(ABS搭載モデルを含めた数時)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の買取金額は10万円台前半がボリュームゾーン
後継モデルのシルバーウィング400GTも昨年に生産終了し、発売開始から約20年、生産終了から約10年が経過しているシルバーウィング400。
過去1年間に52台の取引がありましたが、新車価格70万円超だった面影はすでになく、最高取引額は24.8万円、最低額は8万円、平均取引額は14.9万円となっています。
状態である評価点と、取引額の関係性を示した上記表で特筆する点は、
全52台の内、92%に当たる48台が10万円台で取引されている点です。10万円台で落札された48台には評価点5の全ての車両も含まれています。このことはシルバーウィング400は92%の確率で10万円台で取引されることを示唆しています。
つまりお客様が買取業者に売ったするバーウィング400の9割超は、業者間市場で10万円台で取引されることになります。
業者間市場での取引額が10万円台ということは、買取相場はどうなるのでしょうか?
市場での取引額から、買取業者の儲けと経費(出品手数料や経費)を差引いた額が査定現場での買取額となりますから、10万円台前半が買取金額のボリュームゾーンであることが分かります。
中型車の場合は、買取業者の儲けと経費(出品手数料や経費)の合計として3万円程度がお客様にとって競争力のある適正価格といえます。
レストアベースの事故車は買取、全損事故車は値段が付か良いことも
事故車や不動車などを示す評価点1の車両に着目すると、過去1年間に8台の取引があり、最高額は13.8万円、最低額は千円、平均取引額は8.2万円となっています。
9万円以上で落札された4台の車両は、エンジンは始動し、写真からは損傷が確認できない綺麗な車体でした。
4~7万円台で落札された車両は多走行や車体のヤレが目立つ不動車でした。
最低額の1,000円で落札されて車両は写真を一見してわかる事故車で、フロント部分とテール部分の外装や保安部品が大破しています。
買取相場としては、レストアベースの事故車は買取、全損事故車は値段が付か良いこともありそうです。
レストアベースの事故車は買取、全損事故車は値段が付か良いことも
年式モデル別の買取相場
2001~2008年モデルまで毎年のようにカラーリング変更で新モデルを発表し続けたシルバーウイング400。
対してフルモデルチェンジ後の後継機であるシルバーウイングGT400(2009~2017年)は2009年モデルから新車価格に変化がありませんでした。
ABS装備モデルを加えた4モデルの相場を下記で比較して見ました。
▼年式モデルと新車価格の変遷
- ▼シルバーウィング400/NF0
- 2001年~ 74.9万円
- 2003年~ 64.9万円(ABS/69.9万円)
- 2005年~ 68.2万円(ABS/73.5万円)
- 2008年~ 70.8万円(ABS/76.1万円)
- ▼シルバーウィングGT400/NF03
- 2009年~ 77.7万円(ABS/82.9万円)
発売当初、シルバーエイング600と共通価格だったシルバーウィング400は、2003年に大幅に価格が引き下げられてから2005年2008年で少しづつ値上げされ、 モデルチェンジ後のシルバーウィングGT400で2001年を上回る価格設定となり生産終了の2017年まで据え置かれました。
因みにシルバーウイングGT600は91.8万円、ABSモデルは97.2万円の価格設定でした。
以上、新車か買うの変遷を見てまいりましたが、買取相場はどうなのでしょうか?
以下では400ccの4モデルの相場を比較しています。
モデル別の相場|シルバーウィング/GT400実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
400 |
14.9万円 |
24.8万円 |
32台 |
400ABS |
14.8万円 |
17万円 |
20台 |
GT400 |
23.8万円 |
41.4万円 |
40台 |
GT400ABS |
22.7万円 |
27.2万円 |
24台 |
前モデルのシルバーウィングGT400も平均取引額が23万円程度と、2017年まで製造されていたことを考えるとやや低い数字にも思われますが、 実質的には2009年モデルであることを考えるとシルバーウィング400に若干上乗せされた金額にも納得がいくかもしれません。
他の多くの車種と同様にシルバーウィング400、シルバーウィングGT400とも新車価格ではABSモデルが5万円程高く設定されていますが、中古車の取引では価格差は解消されています。
上記のことから、ABS装備モデルでも買取相場は変わらない。シルバーウィングGT400の買取相場のボリュームゾーンは20万円弱であることが分かります。
400ccビッグスクーターの需要なのか?
延17年間製造販売されてきた車両としては、合計して100台強の取引数は少ないと言えるでしょう。
最後にライバル車と相場を比較して見ましょう。
400ccスクーター・ライバル車の買取相場
▼400ccスクーター・ライバル車の変遷と型式
- ▼マジェスティ400
- 2005年~ SH04J
- 2008年~ SH06J
- マジェスティの買取事例一覧
- ▼スカイウェイブ400/S/SS
- 1998年~ CK41A
- 2000年~ CK42A
- 2002年~ CK43A
- 2006年~ CK44A
- 2009年~ CK45A
- スカイウェイブの買取事例一覧
400ccスクーター・ライバル車の相場 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
マジェSH04J |
6.3万円 |
15.2万円 |
73台 |
マジェSH06J |
12.8万円 |
33万円 |
25台 |
スカブCK41A |
1.5万円 |
3.2万円 |
13台 |
スカブCK42A |
3.4万円 |
4.6万円 |
13台 |
スカブCK43A |
4.8万円 |
17.2万円 |
70台 |
スカブCK44A |
8.8万円 |
17.2万円 |
54台 |
スカブCK45A |
18.8万円 |
37.4万円 |
71台 |
マジェスティ400、スカイウェイブ400の型落ちモデルが数万円の平均価格で取引されていることを考えると、10年前に生産終了となったシルバーウィング400の相場がとても高いことが分かります。
初期のスカイウェイブ400となると実働車でも査定でお値段を付けることが難しい場合がありそうです。
各車種の最終モデルでもシルバーウィングGT400が少し高い相場となっています。
400ccクラススクーターを売るのであれば、シルバーウィング/GT400が最も買取相場が高い車種となっています。次いでスカイウェイブ400の高年式、マジェスティ400の順になっています。
400ccスクーターの買取査定は透明度の高い査定でお評判のパッションにお任せ下さい!相場以上の買取価格でお客様のご期待にお応えしています。
シルバーウィングGT400/ABS
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 64台
- 平均価格: 234,125円
- 最高価格: 414,000円
- 最低価格: 162,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 12台
- 平均価格: 122,167円
- 最高価格: 181,000円
- 最低価格: 30,000円
相場情報:2018年2月15日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。