今回査定させて頂くことになった「カワサキ ZXR250」は、1989年製造の最初期フルパワーモデル。
250ccクラス唯一のラムエアシステムを採用し、超高回転型エンジンから生み出される加速と爆音で知られたクォーターレプリカの雄です。
オーナーの高橋様は、職場の先輩から8年前に譲り受けたとのことで、安く降ろしてもらい峠で腕を磨いた相棒と語って下さりました。実車を拝見させて頂いたところ、峠でのスリップ転倒によるダメージが車体の随所に見られます。
最も大きな損傷はフロントフォークの歪みで、低速走行でもブルブルとハンドルが震える状態で走行できる状態ではなかったそうです。 車両の基幹部品ですので、ステムやフレームとも連携していますので大きめのマイナス査定となります。
次に傷み具合が激しいのはセンターカウルやアッパーカウルの広範囲の擦過傷や割れ、フロントフェンダーの大きな割れ欠け、路面との接触による無数の擦過傷など外装カウルに多くのダメージが確認できました。
レーサーレプリカを象徴するセンターカウルは査定の大きな要素の1つでこれだけ多くのダメージは査定価値を下げる要因となりました。 幸いにしてフレームなどへのダメージはありませんでしたが、カウル類の修復は一筋縄ではいかないレベルと言えます。
その他転倒による外傷としては、サイレンサー部分の擦過傷、ダクトテープで留めている折れてミラー、左サイドのフレームの擦過傷など
エンジンはかなりグズつきを見せましたが一応実動状態で、キャブ清掃などで再生可能なレベル。アイドリングの不安定さも確認できましたが、「プスン」と止まってしまうほどではなく、実動レベルという判定をさせて頂きました。
この当時のレプリカモデルとしては珍しくフルノーマル状態を維持しており、マフラーなども全て純正でした。エキパイ部分のサビなど、状態に関しては難ありであることは確かですが、 「バリオスシリーズ」へのエンジン載せ換えなどで需要はあると判断させて頂くことに。
高橋様ご自身も「処分費用がかからなければ助かります」とおっしゃっていた難あり状態のZXR250でしたが、フレームは活用できエンジンも実動状態であることなどを考慮し、 査定評価額33,000円をご提示。これには高橋様も意表をつかれたご様子で、一拍の間を空けて即決でのご成約となりました!
1995年の生産終了以来、多くのフルカウルスポーツモデルが登場しては消えていきましたが、ZXR250は未だにコアなファンがついている車種のひとつと言えます。
近年ではNSR250Rの代表されるように一世を風靡した絶版車の一部レーサーレプリカの相場が高騰していてMC21や最終型のMC28に至ってはここ数年で査定相場が10万円以上がっています。
ですがZXR250に関してはA型もC型もここ数年で相場が跳ね上がっているような事実はありません。業者間の実働車の取引値で10万円台前半の平均値で推移しています。
更に状態が良ければ10万円台後半から20万円台まで十分に狙うことができ、この年代の絶版車の傾向として不動状態でもパーツ価値やレストア価値があれば値段がつきやすい傾向にあります。
今回の高橋様ご所有のZXR250はフロントフォークが歪んで自走不可能の事故車で外装類へのダメージも目立つ車両でしたが、事故による損傷がなければ15万円前後は十分に狙えただけに残念でした。
これまで苦楽を共にしてきた大事な相棒・ZXR250を高値で売りたいとお考え中のオーナー様は、ぜひ弊社パッションへお気軽にご相談ください。 自社での整備力・販売力に自信のあるパッションならではの徹底評価により、あなたのZXR250をどこよりも高額買取させて頂きます!
ZXR250豆知識
1989年に新開発の4気筒エンジン搭載モデルとして、250ccクラスのレーサーレプリカとして登場した「カワサキ ZXR250」。
現在のカワサキスポーツマシンのお家芸となった「ラムエアシステム」を250ccクラスのバイクとしては初採用し、最高出力45ps/15,500rpmという超高回転型エンジンによる加速自慢のマシンです。 1995年には惜しまれつつ廃番となってしまいましたが、後にバリオスシリーズにエンジンが受け継がれ、クラス随一の爆音マシンとして名を馳せた80年代後半の名車と言える存在です。
全長2,000mm×全幅685mm×全高1,090mmとコンパクトな車体に、「ラムエアシステム」を採用した超高回転型エンジンを搭載した250ccレプリカマシン「ZXR250」。
80年代後半は峠最強クラスの高い実力を誇り、甲高いエキゾースト音を轟かせて走る姿は多くのストリートライダー達を魅了した一台です。
250ccクラス唯一のラムエアシステム搭載スピードマシン カワサキZXR250
乾燥重量141kgという軽くてコンパクトな車体を持ち、「K-RAS(カワサキ・ラムエアシステム)」を採用した新設計エンジンを搭載してデビューした250ccレーサーレプリカ「カワサキ ZXR250」。 レーサーレプリカブームの終焉期にデビューしたマシンですが、車検不要の250ccクラスでは無類の軽さと超高回転型エンジンを武器に、尻上がりの加速力を誇るワインディングのスペシャリストとして人気を得たモデルです。 後にはリザーバー付ショックユニットとCVKD32キャブを装着し、レーシーなクロスミッションを採用した特別仕様車「ZXR250R」が追加されるなど、走りにこだわるストリートライダー向けマシンとしてカルトなファンを獲得しました。 規制前の45psというハイパワーを与えられ、現存する250ccレプリカモデルの中ではトップクラスの走行性能を持つため、乗り込んで腕を磨きたいという初心者ライダーにおすすめなエントリーモデルです。
ZXR250シリーズの査定相場比較
1995年まで発売されていたZXR250は1989年~のフルパワーA型、1993年~の後期C型に大別されるほか、台数は少ないものの上位モデルのZXR250RにもA型とC型が存在します。
ZXR250Rは流通数が少ないため、前期後期で区分せず、以下の3つで査定相場に違いがあるのか、業者間の流通価格を比較してみます。
- ZXR250 前期A型(ZX250A-00~)
- ZXR250 後期C型(ZX250C-00~)
- ZXR250R(A型ZX250A-30~/C型ZX250C-30~)
実働車|ZXR250シリーズの査定相場比較 |
モデル/ 落札価格帯 |
ZXR250 A型 |
ZXR250 C型 |
ZXR250 R |
平均落札額 |
11.8万円 |
13.8万円 |
12.8万円 |
総落札台数 |
17台 |
24台 |
4台 |
20~24万円 |
1台 |
4台 |
0台 |
15~19万円 |
2台 |
5台 |
1台 |
10~14万円 |
7台 |
11台 |
1台 |
5~9万円 |
7台 |
4台 |
2台 |
事故・不動車|ZXR250シリーズの査定相場比較 |
モデル/ 落札価格帯 |
ZXR250 A型 |
ZXR250 C型 |
ZXR250 R |
平均落札額 |
4.8万円 |
5.9万円 |
3.4万円 |
5~9万円 |
4台 |
5台 |
1台 |
0~4万円 |
7台 |
5台 |
1台 |
(2017年11月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
上記モデルのZXR250Rは台数が少ないため傾向が把握できませんでしたが、ZXR250ではフルパワーの前期型より後期C型の方が気持ち相場が高くなっています。
査定現場での買取価格は上記表から業者の儲けや経費(運搬は出品手数料や人件費など)で数万円差引かれますので、ZXR250の実働車は状態が良ければ20万円台、中心的な査定価格は10万円前後といった相場になります。
事故車や不動車の場合は、その修復度合いに応じて、数千円~5万円程度のレンジの買取価格となります。
ZXR250【1989~90年式のZX250A型+1991~99年式のZX250C型】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 41台
- 平均価格: 129,756円
- 最高価格: 244,000円
- 最低価格: 54,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 21台
- 平均価格: 53,333円
- 最高価格: 91,000円
- 最低価格: 31,000円
相場情報:2017年11月30日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。