買取させて頂きました事故車は、1995年モデル・ミュートメタリックブラックのCB400SFです。
写真でもご覧いただけますよに遠目にも損傷が見て取れる一見してそれと分かる事故車です。
1992年に発売が開始されたCB400 SUPER FOURシリーズは、2011年現在でも現行モデルが発売されている大人気のロングセラーですが、 1999年にはフルモデルチェンジによってNC39型のVTECシリーズとなり、2007年発売モデルではVTECの進化系としてRevoエンジンが搭載されNC42型と、型式が2回変更されています。
VTEC、VTEC Spec2、Spec3、Revoと変遷を遂げ、1992年~1996年まで生産販売されていたNC31型の初代CB400SFは型落ち感が強く、買取相場も軟調です。
はたして、一見して分かるNC31型の事故車は査定でお値段が付くのでしょうか?以下に査定内容のトピックスをご紹介させて頂きます。
事故による損傷
ミュートメタリックブラックのカラーリングが施された1995年式の初代CB400 SUPER FOURですが、タンクは壊滅的に変形してHONDA SUPER FOURの塗装は剥げ落ち錆びた金属が顔を出しています。
この状態のタンクは修復不可能ですので欠品扱いの判定に。
CB400のエンブレムが入ったサイドカバーもバラバラに割れて欠品判定に。
フロントフォークは捻じれていて走行不能の状態。こちらも査定では欠品扱いの判定に。フロントフェンダーも多くなくラックが入って欠けている部分もありコチラも欠品扱いに。
これほどの衝撃を受けているとなるとフレームの状態が気になります。
CB400 SUPER FOURとして車両の買取価値を左右するメインフレームですが、写真でもご覧いただけますように、タンデムシートの部分がテールカウルから浮き上がっています。
これはシートレール(シート下を走っているサブフレーム)が変形しているため浮き上がって見えています。
肝心のメインフレームについてですが、大きな変形は見られないもののフレームのネック部分や接合部分に衝撃痕である皺が寄っています。
この状態のフレームでは一見して大きな衝撃を吸収した事故車のフレームであることが分かります。歪みなどはなさそうなので再利用できないことはありませんが剛性を失ったフレームということで買取価値は極端に下がってしまいます。
以上が事故によるCB400SFの主な損傷状況です。
全ての損傷を修復した場合、中古の流通価値を上回る損傷状況となっています。修理コストを考えると商業的には修理不能の全損事故車の判定となりました。
そのため再利用を前提とした査定ではなく、部品取りの価値での査定に。
事故以外の箇所の査定
フレームと並んで車体の買取価値の双璧であるエンジンですが、
機能的なマイナス査定となるオイル漏れは見当たりませんでしたが、キャブレターの腐食、シリンダーブロックの錆び、クランクケースやジェネレーターカバーといったエンジン下部の傷や錆、 一部割れているラジエーターなど見た目にはやや強い劣化が見て取れます。
セルでスタートを試みるとエンジンは始動します。若い走行距離と合せてこの点は事故車としてはプラス査定ですが、安定しないアイドリング、アクセル解放時の軽い白煙吹きなど要調整の状態のようです。
チェーン、リアサスペンション、ブレーキキャリパーといった辺りに強めの錆や腐食も浮いています。
事故による損傷がなかったと仮定しても、車両の全体的な評価は1995年式としても劣化がやや強く年式並み未満といったところに落ち着きます。
総合評価と査定額
買取価値を著しく損ねているメインフレームの損傷、大きく変形しているサブフレーム、損傷が激しく欠品扱いのフロントフォーク・タンク・サイドカバー・フロントフェンダー。
以上が事故による主な損傷ですが、2011年現在では、実働車の平均買取額が10万円前後となっているNC31型のCB400SF。
修理費用を考えると実働車数台分を買取できる値段となってしまいます。修理コストを考えると商業的には修理不能の全損事故車の判定となり、再利用可能なパーツの価値として3.9万円の査定価格で買取させて頂きました。
【2019年2月追記】の買取相場情報
上記内容は2011年12月時点時点の買取事例です。
2011年12月時点の相場情報に基づいて算出された査定金額です。
上述いたしましたが、1999年のフルモデルチェンジでNC39型VTECシリーズに、2007年の進化系RevoエンジンでNC42型に、2014年にはデザイン変更を含む仕様変更が、2017年には排ガス規制対応の仕様変更が実施され、 型落ち感が一層強まっているNC31型の初代CB400 SUPER FOUR。
はたして買取時点から8年が経過した2019年時点の買取相場はどうなっているのか?
2011年と2019年の相場を比較して、2019年であれば、いくらの査定額となっているか?
買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引データを使用して、NC31型の初代CB400 SUPER FOURの買取相場をご案内差し上げます。
業者間オークション市場での取引額とは、買取業者の転売額であり、また販売業者の仕入れ値です。つまり国内の中古バイクの相場は市場の取引額がベースとなっています。
【2011年 vs 2019年】NC31型 CB400SF 実働車の取引相場 |
【相場の変遷】 |
平均落札額 |
最高額 |
最低額 |
取引台数 |
2011年12月 |
12.6万円 |
24.2万円 |
9.0万円 |
49台 |
2018年12月 |
13.0万円 |
15.8万円 |
10.4万円 |
28台 |
2019年2月 |
12.0万円 |
21.8万円 |
6.2万円 |
152台 |
事故車・不動車 |
2011年12月 |
9.2万円 |
13.9万円 |
3.6万円 |
63台 |
2018年12月 |
7.6万円 |
11.3万円 |
4.1万円 |
19台 |
2019年2月 |
7.9万円 |
13.4万円 |
3.9万円 |
72台 |
(2011年と2018年は12時点で各3カ月間、2019年は2月時点から過去1年間。買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
NC31型の買取相場は下げ止まり、平均買買取額は10万円前後
上記は、買取業者の転売先である業者間オークション市場の取引金額の推移をまとめた表です。
オートバイの買取相場は季節性があり、夏に高く、冬に低くなる傾向がありますので、2011年と2018年と2018年は各12月時点から3カ月を遡って集計いたしました。
また2019年は2月時点から通年の1年間遡って集計いたしました。 その結果、1992~1996年発売モデルのNC31型初代CB400SFの取引相場は下げ止まって安定していることが見て取れます。
過去8年間で変動がなかったため、今後も変動は予想しにくく、NC31型CB400SFは焦って売る必要が全くない車種と見ることが出来ます。
上記は買取業者の転売金額である業者間オークション市場での取引額です。査定現場での正味の査定額は、転売金額から経費(出品手数料や運送費など)と儲けを差し引いたがくとなるので、 平均的な買取額は10万円程度で推移していることになります。
買取上限は10万円台後半、下限額は4万円程度が実働車の買取相場で比較的コンパクトな値幅での買取相場となっています
事故車や不動車は若干下落
事故車や不動車については若干相場が下落しているようです。 ただしその下げ幅は1.5万円程度。今後も平均取引額は7万円台程度で推移していくものと思われます。
買取業者の転売金額である市場での取引額から、業者の経費と儲けを差し引いた、査定現場での買取額ですが、 不動車については状態によって10万円程度まで、事故車は損傷状況によって6万円程度までがNC31型CB400SFの査定相場となっています。
【2019年2月追記】年式別の買取相場
ところで、1992~1996年モデルが存在するNC31型の初代CB400スーパーフォアですが、年式モデルによって買取相場は異なるのでしょうか?
NC31型の製造販売期間は1992~1998年ですが、1997年以降は上位モデルのバージョンR/Sのみの発売となっています。
(参考記事:
【型式/モデルチェンジ別】CB400SFシリーズの買取相場)
NC31型の初代CB400スーパーフォアの年式別の買取相場をご案内させていただく前に、NC31型CB400SFがどのような変遷を遂げてきたのかから振り返ってみましょう。
初代CB400スーパーフォアVTECの変遷/仕様変更と新車価格 |
発売年モデル |
価格 |
フレーム番号 |
仕様変更 |
1992年 |
58.9万円 |
NC31-10 |
新発売 |
1994年 |
58.9万円 |
NC31-12 |
エンジン改良、装備追加 |
1995年 |
58.9万円 |
NC31-13 |
エンジン外観の形状変更 |
1996年 |
58.9万円 |
NC31-14 |
外観のマイナーチェンジ |
(新車価格は当時のメーカー希望小売価格。ベーシックカラーの価格。100円単位は切捨て)
上記は、初代NC31型CB400スーパーフォアの年式モデル別の当時の新車価格と主な仕様変更を纏めた表です。
販売期中に頻繁に車体重量の屁工を伴う仕様変更が実施されましたが、一貫してメーカー希望小売価格は58.9万円(上位のツートンカラーは59.9万円)で据え置かれました。
(最近は小変更で値上がりが繰り返されるのですが・・・)
さて、新車価格は据え置かれたものの、デザインを含めて各年で仕様変更が実施されていた初代NC31型CB400SF。年式モデルによって買取相場は違うのか?以下で検証してみましょう。
【年式別】初代NC31型 CB400SFの取引相場 |
【相場の変遷】 |
平均落札額 |
最高額 |
最低額 |
取引台数 |
1992年式 |
11.9万円 |
21.8万円 |
6.2万円 |
80台 |
1994年式 |
12.1万円 |
15.0万円 |
8.2万円 |
33台 |
1995年式 |
12.2万円 |
18.6万円 |
7.6万円 |
23台 |
1996年式 |
12.6万円 |
16.8万円 |
7.4万円 |
9台 |
事故車・不動車 |
1992年式 |
7.5万円 |
13.4万円 |
3.9万円 |
30台 |
1994年式 |
8.6万円 |
11.6万円 |
6.6万円 |
17台 |
1995年式 |
7.7万円 |
12.4万円 |
4.1万円 |
19台 |
1996年式 |
10.3万円 |
11.8万円 |
9.4万円 |
3台 |
(2019年月2月時点で、買取業者の転売先である業者間オークション市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
年式による買取相場の差は極めて少し
最終の1996年モデルから23年が経過している2019年時点でも数千円ですが、年式モデルによってNC31型CB400SFは相場が異なります。
気持ち程度ですが、高年式の方が高く売れる相場となっています。
相場は下げ止まり安定しているNC31型CB400SF。思う存分乗られてからのご売却でも査定金額はそれほど変わらないことが予想されます。
ただし、事故車や不動車は放置しておくと車体の傷みが進行しますので劣化によって価値を損なう前のごバイク客が正解といえるでしょう
CB400SuperFour
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 49台
- 平均価格: 126,490円
- 最高価格: 242,000円
- 最低価格: 90,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近3ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 63台
- 平均価格: 92,127円
- 最高価格: 139,000円
- 最低価格: 36,000円
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。