G310GS買取査定事例｜細かい傷有の2021年モデル 準極上車

「普通二輪免許で乗れるBMW」をコンセプトに、ストリートファイタールックスに扱いやすいシングルエンジンを搭載し2018年モデルでデビューを飾ったG310R。
2018年から2020年まで400ccクラスで国内販売数トップ10に入るなど好調なセールスを記録しています。
年々盛り上がりを見せるBMW主催のワンメイクレース「G310トロフィー」にもG310Rの姉妹車としてG310GSのエントリーが許されるようになり、開催毎に参戦台数も増え守備範囲の広さを周知させるようになりました。

仕様変更のあった2021年モデル以降で相場が高くなる

デビューからの歩みを辿ると、
デビュー翌年の2019年は継続販売、20年モデルでカラー追加、21年モデルでマイナーチェンジ、現行22年モデルでカラーチェンジとイヤーモデルを刻んでいます。
メーカー希望小売価格は66.99万円であったデビューから現行の70.9万円（オイル & サービス・インクルーシブを外した税込車両価格）まで年々細かく値上がりが実施されていますが、 買取相場は期間中唯一仕様変更が入り、GSシリーズ誕生40周年を記念した『G310GS Edition 40Years GS』（標準グレードより1万円高）が投入された2021年モデルを境に高くなります。

買取業者の最大の転売先であり、販売業者の最大の仕入れ先として年間に約20万台のバイクが取引される業者間オークションの取引データを見ると。

40周年記念の走行極浅車両が高値に

直近12ヶ月間で2021年モデルGS310GSの取引は全4台。発売から間もなくコロナ禍で新車供給が細った事もあり中古の流通は少な目です。
該当車両の中で最高額64万2000円で落札されたのは、某ディーラー店の展示試乗車上がりの車両で、走行距離430kmの浅さが高く評価されました。
次点には総合評価7点（超極上車）を付けた個体が60万4000円で取引され、『G310GS Edition 40Years GS』が1・2位を占める形に。

その一方、標準カラーリングである白(ポーラホワイト)は競争力がそれよりも見劣りしてしまい、総合評価6点と高めであったものの、53万8000円と50万2000円で頭打ちとなってしまいました。
シリーズの長兄であるR1250GSが欧州で人気絶頂を極めているという事情にもよりますが、記念カラーリングは別格の扱いであることがご理解できるかと思います。
その一方、もうひとつの特別色として設定された「ラリースタイル」の出物はなく、該当する2021年モデルを高く売りたいとお考えのオーナー様にとっては、最高値を狙うチャンスだと言えるでしょう。

走行距離に着目すると、落札額上位3台の距離は430km、868km、1,335kmと浅く、最下位50.2万円で落札された個体は5,800kmとなっています。
4台いずれの個体も折り紙付きの極上ノーマル車であり、走行の浅い極上車でもその距離の過多やカラーリングによって取引額に差異が生じている状況です。
傾向を纏めると、60万円を超える取引は、40周年記念車で走行が極浅の極上車。50万円台前半の取引は標準グレードカラーで走行浅目の極上車となっています。
以上の買取相場を踏まえて、走行5千キロ超で細かい傷のあった2021年モデルG310GSの査定内容と買取額についてご紹介させて頂きます。 （※上記の取引額は、買取業者の転売額＝販売業者の仕入れ額に相当するため、実際の買取相場は9掛け相当となります）

2021年夏前に新車として購入し、同年暮れに買取査定させて頂くこととなった現車は、最新の現行モデルだけにかなり綺麗。
立ちゴケによって、フロントカウル先端部の欠損やスイングアームのキズ、Fブレーキディスクやエンジン等にサビ・小キズが散見されるも、総じて綺麗な車両状態でした。

純正オプションのエンジンガードやナックルガードにより、フレーム部へのダメージ等もなかったものの、クラッチレバー操作時の異音など、気になる点もちらほら。
長所と短所が混在する状態でありながら、なぜディーラーの提示価格以上の値段で買い取ることが可能となったのか、追ってご覧ください。

現車を拝見させて頂いた際、真っ先に目についたのがフロントカウル先端部の欠損箇所でした。
砂埃や飛び石等によると思われる細かいキズはあるものの、総じて綺麗な車体であっただけに、余計に目立ってしまう部位であったのが残念なところ。

サイレンサーやホイールなど、埃による汚れはあるものの、他の部位に深刻なキズがなかったため、ここさえ無ければもう1段階上の評価になったのは確実でした。カスタムパーツの大半はBMW純正オプションであり、高価なものだけにこれらをプラス材料としたことで相殺させて頂くことに。

BMW純正オプションのエンジンガードを装着し、転倒に関する備えはしっかり行われていたものの、リアブレーキペダルに擦過傷あり。また、新車購入から半年程度と短期間であるにも関わらず、BMWのロゴ付近やヘッド部にサビが散見されたのも軽微な減点対象に。

高年式モデルとあって減点箇所が少く査定自体は5分程で済んだ2021年モデルのG 310 GS。
総合評価は6点（極上）と1年落ちの車両としては順当な総合判定に落ち着きました。

走行5千キロ超。傷や錆で極上未満の判定に

しかしながら実態は5点寄りの6点であり、以下の点が若干評価を下げたポイントになります。
最大のポイントは、フロントカウル先端部の欠損。細かいキズはあるものの、総じて良好な外観であったため、余計に目立つ箇所となってしまいました。
サイドカウルやタンクにも砂埃等による細かいキズこそあったものの、よく目を凝らさなければ気づかないレベルであっただけに、手痛い減点となり外観の評価は5点と低迷。

続いてはエンジン外観のサビ・腐食が発生しており、機関好調なエンジン評価に曇りを落とすこととなりましたが、それでもギリギリ6点に留まりました。

その他箇所に関しましては、2021年式という高年式車だけあり、程度状態は申し分ないものでしたが、Fブレーキディスクやステップ、ブレーキペダル、エキパイ部に見られたサビやキズが災いし、いずれも6点に。
高年式であっただけに、なおさら痛恨のマイナスだと言えます。

また、押し引き時の確認の際、クラッチレバーの握りこんだ時に金属が擦り合わさる異音が発生。
これはクラッチレリーズ調整などで解決できる可能性はあるものの、原因特定が難しく、分解整備を要する内容であるため、こちらも厳しい結果となってしまいました。

相場的に照らすと40万円台後半の査定額が損益分岐

走行距離は5千キロ台と浅いものの、買取相場の段で上述した2021年モデルの取引動向に照らすと、相対的に多い走行距離です。
業者間で60万円付近の落札を狙うのであれば、40周年記念モデルで走行1,000キロ以下の折り紙付きの極上車が条件となります。

査定させて頂いた『走行距離5,000キロ台、ベースグレード、極上車未満判定の2021年モデル』を業者間オークションに出品した場合、想定される落札額は50万円強。
そこから運送費や出品手数料に買取業者の儲け意を差し引くと、45万円程度で買い取りたいのが買取業者の本音となります。

弊社直営店での販売を前提に、弊社が提示いたしました査定額は56万円。
ディーラー提示の下取価格である55万円を超える買取査定額で、お客様から満面の笑みを頂きまして買取成約となりました。