査定させて頂いたのは全損事故車のフェザー8。
FAZER8専用設計のスチール製リアフレームは肉厚の鉄パイプですが、まるで針金が千切れるかのように切断されていて、その様は事故の衝撃の凄まじさを物語っています。
以下、査定内容の詳細をご案内させていただきます。
外装
2011年モデルのパープリッシュブルーの車体ですが、外装でそのままの状態で再利用が可能な部品は見当たりません。
タンクは左側が大きく窪み、フェザー8の特徴であるビキニカウルは大きく割れています。シートカウルやシートにスクリーンに至っては消失しています。
フロントフェンダーやアンダーカバーも擦過傷が多く商業的にはパーツ価値が計上できない状態。ともなって買取価値は計上できず査定の対象とはなりませんでした。
エンジン
FZ1の1000ccエンジンをベースにした779cc水冷4ストローク並列4気筒のエンジンですが、残念なことに商業的な買取価値の多くを失っています。
その理由はエンジン下部に空いている穴です。オイルがだだ漏れするほどの穴ですので、応急処置的な対応ではなく大掛かりな修復が必要となりそうです。
場合によってはフェザー8の長所であるエンジンとフレームの一体成型であるマウント各所を取り外しての作業になる可能性もあり商業的には査定価格を付けずらいと言わざるを得ない状態です。
電装系と保安部品
メインハーネスの切断、ソケットの損傷、ケーブルの断線とフロント周りの電装系を中心に大きく損傷しています。
伴ってキーをonの位置に合わせても電源が付かない状態ですが、移植を前提としても電装系に査定価格をお付けすることはできない状態でした。
保安部品の2大スターである、メーターとマフラーは激しく損傷していてパーツ価値を計上できない状態。
細々としたブレーキランプやウィンカー類も事故の影響で消失や破損していて、保安部品についても査定価格を計上できる要素は残っていませんでした。
フレーム回り
肉厚の鉄パイプで出来ているFAZER8専用設計のリアフレーム(シートレール)は、まるで針金を千切る様にして大きく捻じれるように切断されています。
凄まじい衝撃を物語る損傷ですが、メインフレームの状態が気になります。
YZF-R1以降のフレームの剛性は非常に高く、フロントフォークが折れてもメインフレームは無傷といったケースは多く見てきましたが、 R1の系譜であり、FZ1の金型鋳造アルミフレームを引き継いだフェザー8のメインフレームですが、残念ながらクラックが入っています。
メインフレームにも完全に再利用価値はなく、この時点で買取対照なのか?無料での回収なのか?といった査定評価が決定されてしましました。
メインフレームさえ生きていれば最低でも数万円の買取価格は付くのですが。。。
足回り
足回りのスターの1つである、φ43mm倒立フォークは大きく歪曲して価値を喪失。
続いて両脇役であるアルミダイキャスト製629mmスイングアームと、リアショックですが、スイングアームには事故による傷や削れが目立ち、リアショックについては錆びやオイルも出が目立ち、 多少の査定価格はお付けできるものの、spの状態からその金額は二束三文に留まりました。
その他、ホイールやブレーキ類も劣化や傷が目立ち同様の評価となっています。初めて査定価値を評価できるパーツがありましたが、その価値は出張査定のコストを吸収できる程の値段には至っていません。
総合評価と買取価格
オートバイの価値を決定する2大スターのフレームとエンジンに商業的な価値はなく、 続いて価値の高い外装部品や主要部品も軒並み、事故の影響で査定価格をお付けすることができない状態となっていましたF。
辛うじて価値を計上できたのは、細々とした劣化の目立つ足回りのパーツ。そして高価ではないカスタムパーツです。
計上できるパーツ価値を余すところなく積み上げて、何とかお出しできた査定金額は1万円。
お客様のご感想と買取後記
「80キロくらいで走っていて轍に車輪取られて飛びました」と事故の状況を教えてくださったオーナー様は、オートバイの損傷状況を考えると奇跡ともいえるほどの軽傷です。
任意保険もJAFも入っていなかったそうで、事故現場近くの住宅に置かしてもらっていた現場に駆けつけての査定と引き取り回収となりました。
後日談ですが、オーナー様から郵送して頂いた車検証の所有者欄は購入されたバイク店となっていました。
(ローンは完済済みでしたが)所有権の移転手続きがお済み出なかったようで、弊社パッションにて、所有権の解除手続きと、廃車手続きの双方を買取業務の一環として無料で代行させていただきました。
最後に廃車証のコピーをお客様にご郵送差し上げて買取業務完了となりました。
Fazer8はいくらで売れるのか?適正相場
FZ-1のスケールダウン版として2010年に(2011年モデルとして)リリースされたネイキッド仕様のFZ8(FZ8-N)と、ハーフカウルつきのFazer8(FZ8-S)。
欧州・北米・ロシア・南アメリカ・カナダ・オストラリアと多様な仕向地モデルが存在しますが、日本国内仕様はなく国内では逆輸入車として販売されていました。
因みに輸入販売代理店では2015年モデルの新車が参考小売価格として98.2万円の設定となっていました。
グローバルモデルのMTシリーズの登場と入れ替わるようにして、FZ-1(フェザー)の最終モデルとなった翌2015年モデルにて歴史に幕を閉じていますが、 2018年現在では50~70万円台で販売されているフェザー8の中古車。売却の際はいくらで売れるのでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、 MTシリーズの適切な買取相場をご案内差し上げます。
モデル別の買取相場
2011モデルを皮切りに多くの仕向地で販売されたFZ-8とフェザー8。
2015年モデルで幕を閉じるまで、多くの仕向け地で毎年のように細かい変更やカラーリング変更、グラフィックパターンの変更が行われましたが、型式変更を伴うモデルチェンジはありませんでした。
カラーリングやグラフィックも細かい変更に留まり、アクセントカラーとしての青をホイールなどに配した2013年以降のレースブルーモデルが少し目を引く程度で、年式モデルによる際立った特徴はありません。
買取相場は、型式変更を伴うモデルチェンジの前後で大きく変動することが多いですが、FZ-8とフェザー8に関しては、年式モデルによる買取相場の差は殆どないと言えるでしょう。
そのかわり、ABSのありなし、ネイキッドとハーフカウル仕様といったバリエーションモデルが存在しますので、モデル別の買取相場を比較してみたいと思います。
大別すると下記のようなバリエーションモデルが存在します。
バリエーションモデルの型式と新車価格 |
|
型式 |
新車価格 (2011年式) |
FZ-8 |
RN255 |
90.3万円 |
FZ-8 ABS |
RN259 |
|
フェザー8 |
RN251/25F |
95.5万円 |
フェザー8 ABS |
RN252/25G |
100.8万円 |
(新車価格は2011年モデルの輸入販売代理店の参考希望価格を参照。100円単位は切捨)
ハーフカウル仕様で5万円程度の価格差、ABS標準装備で5万円程度の価格差となっています。CB400SF/CB400SBなどと同様に一般的な設定です。
はたして、新車販売価格と連動した買取相場となっているのか?
上記のモデル別の取引相場を比較した表が下記となります。
モデル別の取引相場|Fazer8 / FZ-8 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
FZ-8 |
40.4万円 |
46.2万円 |
5台 |
FZ-8 ABS |
34.8万円 |
39.2万円 |
4台 |
フェザー8 |
38.1万円 |
51.2万円 |
9台 |
フェザー8 ABS |
41.1万円 |
50.2万円 |
10台 |
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
ABSが無く、ビキニカウルも無い、新車価格が最も安いFZ-8ですが、意外なことにABS装備のFZ-8 ABSや、ハーフカウル装着のフェザー8よりも高い相場(平均取引額)となっています。
ただし取引台数が5台と少なく、状態が非常に良い車両が取引された偶然性も考慮すると下駄を履いた数字である可能性があります。
他の3車種は新車価格と連動した傾向が見て取れます。
結論としては、ハーフカウル装着のプレミアムは少し、ABS装備のプレミアムも少し、ただそれ以上に個体の状態が取引価格に反映される相場と読み取りことができます。
FZ-8/フェザー8は、業者間市場においては、実働車が25~50万円台付近で取引される車種であり、平均的な取引価格が39万円となっています。
上記の取引相場から、査定現場での買取額を逆算すると、20万円台前半~40万円台後半が買取額のレンジとなり、平均買取額は35万円となります。
なぜ?市場での取引価格より買取額が低いのでしょうか?
その理由は業者に買取されたバイクの9割は業者間市場で売却されるためです。
出品手数料や運送費用などの経費に業者の儲けとして、市場での取引額から4万円程度を差し引いた額が大型バイクの適正な買取相場となります。
市場で売却が予想される額から、4万円程度差し引いた額であれば、非常に競争力のある査定価格といえるでしょう。
では、市場での予想売却額を把握する材料として、以下に状態別の買取相場をご案内させていただきます。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|Fazer8/Fazer8 ABS
- 評価点6 極上車
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み未満で軽い難あり
- 評価点3 難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
Fazer8/ABS|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 6 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 1 |
50~54万円 |
1台 |
1台 |
0台 |
0台 |
45~49万円 |
0台 |
2台 |
1台 |
0台 |
40~44万円 |
0台 |
4台 |
0台 |
0台 |
35~39万円 |
0台 |
4台 |
2台 |
0台 |
30~34万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
0台 |
25~29万円 |
0台 |
1台 |
1台 |
2台 |
20~24万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
4台 |
15~19万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
10~14万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(ABS装備のフェザー8 ABSと、ABSなしのフェザー8を合算した数字)
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字
実働車は30万円台が買取額のボリュームゾーン
直近1年間で19台の実働車が取引されたフェザー8(ABS装備モデル含む)。
取引の最高額は51.2万円、最低額は24.6万円、平均額は39.7万円となっています。
評価点別に眺めると、
最高評価点の6点(極上車)を付けた個体は1台で50.2万円と僅差の2位で取引されています。
評価点5(良好車)の個体は最も多く12台取引されていて、うち9台は35~44万円のレンジで取引されています。
評価点4(年式未満)の個体は6台取引されていますが、取引額の分布は分かれていますが、5台は20~30万円台で取引されています。
上記の取引額を元に査定現場での買取額のボリュームゾーンを逆算する(業者の経費と儲けとして4万円差し引く)と下記のようになります。
- ▼状態別買取額のボリュームゾーン|フェザー8
- 極上車:40万円台後半
- 良好車:30万円台
- 年式未満:20~30万円台半ば
上記が基本的なボリュームゾーンとなりますが、走行距離による変動もあります。
2つ下段では、走行距離別の買取相場をご案内していますので、ご参考にしてください。
事故車は損壊状況に応じて
直近1年間で19台の実働車が取引されたのに対して、実働状態にない事故車や不動車が9台取引れています。
比較的高年式の車両としては、事故車不動車の割合が非常に高いと言えます。
9台の内訳は、全てが事故車で、R1の流れを汲むFZ1の1000ccエンジンをベースにした4気筒並列エンジンのトルクや反応の強さを物語っています。
ビビッドなスーパースポーツほど事故車の割合が多く、その意味ではフェザー8の事故車の割合が高いのは公道を攻めるマシンとして大きなパワーを備えていることを物語っています。
話がそれてしまったので、本筋の買取相場に話を戻しますと、
取引の最高額は26.1万円、最低額は13.6万円、平均額は20.6万円となっています。
取引レンジ別の事故車の状態を見ると
20万円台で取引された車両は、パット見て事故車と判断できるほど派手な損壊はなく、テールやフロントなど一部が壊れている個体が中心となっています。
10万円台で取引された個体もパット見て事故車と分かる個体は1台だけで、そのほかはフロントフォーク歪み、フロント潰れとなっています。
上記のことから損壊状況別の買取額を算出すると下記のようになります。
- ▼状態別買取額のボリュームゾーン|フェザー8
- メーター損傷など:~20万円台前半(修理後の価値)
- フォーク歪みなど:~15万円
- 全損事故車:~10万円(残存パーツ価値に応じて)
走行距離別の買取相場
最後の切り口として、走行距離別の買取相場をご案内いたします。事故車の場合は走行距離が影響する比重が弱いため実働車のみのデータとなります。
Fazer8/ABS実働車|走行距離別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
~0.5万km |
~1万km |
~2万km |
2万km超 |
50~54万円 |
0台 |
2台 |
0台 |
0台 |
45~49万円 |
2台 |
1台 |
0台 |
0台 |
40~44万円 |
0台 |
0台 |
4台 |
0台 |
35~39万円 |
0台 |
1台 |
3台 |
2台 |
30~34万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
25~29万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
20~24万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
1台 |
(ABS装備のフェザー8 ABSと、ABSなしのフェザー8を合算した数字)
(2018年5月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
フェザー8は走行距離と取引額の関連性は高いことが見て取れます。
距離別に取引額のボリュームゾーンを整理すると
走行距離が1万キロ未満の個体は、45万円以上に集中
走行距離1~2万キロの個体は、35~44万円に集中
走行距離が2万キロを超えると下位の取引額に集中していることが分かります。
上記の取引額を元に査定現場での買取額のボリュームゾーンを逆算する(業者の経費と儲けとして4万円差し引く)と下記のようになります。
- ▼走行距離別の買取相場のボリュームゾーン
- 1万キロ未満:40万円台
- 2万キロ未満:30万円台
- 2万キロ超:20万円台~
低走行車両の評価が高いことが非常によく出た相場となっています。
ここまで『バリエーションモデル別』『状態別』『走行距離別』にフェザー8の買取相場をご紹介させていただきました。
上記の切り口を組み合わせることで、お客様のフェザー8の市場での想定売却額、ひいては適正な買取額が幅を絞ってお判りいただけると存じます。
より詳しく細心の相場情報もすぐご案内いたしております。
フェザー8の買取は、買取販売店であるパッションにお任せくださいませ!
中間コストを最小化した買取販売店(買取した車両を市場を通さず自社販売店で販売)の脅威の買取額でお客様のご期待にお答えいたしております。
フェザー8とフェザー8 ABS
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 19台
- 平均価格: 397,368円
- 最高価格: 512,000円
- 最低価格: 246,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 9台
- 平均価格: 206,556円
- 最高価格: 261,000円
- 最低価格: 136,000円
相場情報:2018年5月25日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。