引っ越しの期限が近いので、なるべく急ぎで売りたいというご相談を受けたカワサキ・Z1の不動車
同時にお申し込み頂いたZ550FXともに不動車で、かなり車体の傷みとくたびれ感が目立つ状態ではありましたが、詳細を丁寧にチェックさせていただいた結果、オーナー様がご満足いただける価格をご提示することができました。
以下、今回拝見させていただいたカワサキ・Z1の車両詳細となります。
足回り
Z1(900Super Four) デビューから45年もの歳月が経過していることに加え、屋外保管でFフォークは点サビ・キズ多数。
見た目はかなり難ありですが、直近数年以内にフォークオイルの交換が行われていたようで、サスの浮き沈みの具合はまずまず良好。
その反面、フォーク下部からディスクローター・ホイールにかけて無数のサビ・キズ・やれが目立ち、なかなかの年代物でした。
一方、リアショックは比較的綺麗な状態を保っており、若干のへたりはあるもののまずまずの状態だと言えます。
ブレーキの消耗度合いは気になりましたが、押し引き・取り回しの感触から気持ち高めの買取評価点をつけさせて頂きました。
外装
ガソリンタンク・サイドカバー・テールなどの外装パーツは、専門業者で再塗装されていたとのことで、Z1Bのオリジナルの色合いに近い再現度でした。
しかし屋外放置していた期間が長く、タンクにやや目立つ削れ傷が有る他、車体全体に細かいキズあり。
タンクキャップを開けてみると、くぼみの部分にはそれなりのサビ・腐食が発生しており、ガソリンを抜いていた期間が長かったことで内部にも目立つサビがちらほらあり。
タンク内が錆びていると、ガソリンと一緒に流入する錆びがキャブレターで詰まりエンストを起こす原因となるので、タンク内のきつい錆びは査定評価のやや大きいネガティブ要因となります。 さすがにこの状態では再商品化が難しいため、大掛かりなメンテナンスが必要と判定。
その他、ハンドル回りの塗装剥離・キズ、メーターレンズの曇り、右サイドカバーの一部は塗装剥離を起こしている点などを総合的に評価した結果、年式平均値よりも低めの評価内容となってしまいました。
エンジン周り
長期間放置していたためZ1のバッテリーは上がっていました。ブースターで始動を試みたところセルモーターはキュルキュルと回りはするものの、エンジンからの初爆がなく、始動性は確認できず。
外観的にそれなりの曇り・サビは出ておりましたが、見た目は決して悪くはなく、45年という経年を考えれば不動車ながらまずまずの部類だと言えます。
全体評価としては不動車という括りになりましたが、エンジン番号とフレーム番号が近く、エンジン載せ替えなしの当時ものままである可能性が高いと判断。
その希少性を加味した上で、ワンランク上の査定評価とさせていただきました。
5年前までは故障なく実働していたという事で、タンク内メンテナンス、プラグ交換、キャブOH、を最低限の整備項目として、状況に拠ってエンジンを開けての確認メンテナンスが必要となりそうです。
フレーム回り
実働状態を保っていた当時はそれなりに大事に乗られていた様子で、事故を思わせるダメージは見当たりませんでした。
その一方で、エンジンのマウント部、ウィンカーステーなどを中心に、やや強めのサビあり。
特にスイングアーム部のサビは広範囲にあり、防塵及び再塗装が必要と判定。
タンク下の見えない箇所も気になるところではありましたが、ダメージを受けている可能性の低さから評価点は気持ち高めとなっております。
電装/保安部品
バッテリーは弱っているものの、セルは回りヘッドライト・ウィンカーもしっかり作動。
エキパイの対熱塗装が剥がれていて下地に非常に目立つにサビが発生、エキパイは錆びで覆われている劣化状況でした。
その一方ランプ類の一部が欠落しており、この部分で若干のマイナス判定に。経年的に左右スイッチボックスの消耗感も強めで電装・保安部品の項目は年式並みをやや下回るという形で査定評価とさせていただきました。
その他
メーカー不明の直管タイプの集合マフラーが装着されており、定番カスタムといったスタイル。
オリジナルのスチール製フロントフェンダー、キックレバー、タンデムバーにもサビが発生しているため、ケアする箇所はそれなりにあります。
また、右ミラー欠品状態となっており、これらの点で軽いマイナス判定となりました。
不動車のZ1の総合評価と買取価格
以上が今回のカワサキ・Z1の査定チェックポイントですが、かなり傷んだ状態であるものの、発売当時の面影を色濃く残した状態であり、エンジンナンバーとフレームナンバーの近似性などから、 実動状態であればかなりの高額買取が期待できただけに残念です。
しかし、カワサキファンであればレストア用車両としては十分商品価値のある状態だと言えます。
今回の買取査定では、以下の点が大きなマイナスポイントとなってしまいました。
- 外装全体の細かいサビ・キズ・やれ・色褪せ・塗装剥離といった使用感の強さ
- 前後足回りの弱り具合とO/Hの必要性
- タンクリムやトップブリッジなど分解した上でのサビ落し・再塗装が必要な傷み箇所
- 右ミラー・純正マフラーの欠品及び右サイドカバーへの大きめの塗装剥離
- 初爆反応なしに伴うエンジンの詳細点検及びO/H作業の必要性
- キャブ詰まりによるエンジンストップを誘発させる可能性のあるタンク内の錆び
その他諸々の難が目立ちましたが、これらが大きなマイナスポイントに。逆に言えば上記の大きなマイナスが無ければ買取額は150万円付近となっていました。
今回は買取査定のご相談連絡をいただいた当日中に来て欲しいということで、オーナー様も売却準備を立てられていなかったそうなのですが、サビがもう少し軽微であるか、 または純正マフラーありという好材料があったと仮定した場合、まだまだ買取金額の伸び代は十分にあっただけに残念です。
お客様の談話|買取査定後記
Z1はもう5年以上うごかしてなくて、Z550FXにいたってはもっと放ったらかしにしてました。当初は手を入れて大切にしてきた旧車が劣化していく様子に心を痛めていましたが、やがて見慣れた光景になってしまって」 と仰るオーナー様は、他にも数台の旧車を所有していらっしゃりご自身でカスタムされてきたそうです。急なお引越しで敷地が手狭になることから放置されていた2台の不動車を売る決断をされたそうです。
「旧車専門店では引上げ賃込みで2台で査定額80万円だったからね。さすがにそれは安いだろと思ってね」と仰られたオーナー様のご希望額を聞けば100万円でした。
「120万円なら愛車との別れもつらさも少しは軽くなるね」と仰って下さったオーナー様のご期待に沿えることが出来て何よりでした。
Z1とZ550FX。次の乗り手に繋ぐよう大切にメンテナンスしてピッカピカに仕上げます。
Z1の査定相場
旧車ブームによってここ10年で中古相場がほぼ倍増した昭和40年代のネイキッド系の旧車。その牽引役は間違いなくZ1とZ2です。
つい先日も、全国で買取されたオートバイの9割以上が取引される業者間市場の平均落札値でZ1とZ2が過去最高値を更新いたしました。
国内未登録の旧車が海外から日本に集まってきている現状からはブームが収まる気配は見えません。
そのような相場環境にあって当然、買取査定相場も高くなっています。
(現在の環境では非常に高値の買取額も、数年すると相場の高騰で安く思えてくるのかも知れません)
さて、Z1を売ろうと考えているオーナー様に、ご自身のZ1の状態に応じて、どのていどの買取額が付くのか?
業者間市場の取引データを使用して、車両の状態(評価点)別の買取相場をご案内いたします。
業者間の取引市場では、直近12ヶ月内のカワサキ・Z1の取引台数は全部で39台あり、平均取引価格156.3万円となっています。
以下は評価点別の落札額の表です。
- ▼40年以上前のオートバイの評価点の目安
- <評価点4 綺麗で良好な状態
- <評価点3 年式相応のガタや劣化あり
- <評価点2 やや劣悪な状態
- <評価点1 事故車や不動車
評価点別のZ1の買取相場の比較 |
評価点/ 落札価格帯 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 2 |
評価点 1 |
200万円以~ |
4台 |
0台 |
0台 |
0台 |
150~199万円 |
8台 |
7台 |
1台 |
0台 |
130~149万円 |
4台 |
7台 |
0台 |
0台 |
100~129万円 |
0台 |
7台 |
0台 |
0台 |
~100万円 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
総取引台数 |
16台 |
22台 |
1台 |
0台 |
(2017年12月時点で、業者間市場の落札データを過去12か月間間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
最高価格は評価点3をつけた車両の322.2万円、最低価格は評価点3の97万円となっており、かなりの幅があります。
しかし、このZ1はすでに生産終了から40年以上経過した旧車であり、純正パーツの欠品がある場合っは中古バイク市場での評価が4までとなってしまうため、同じ評価点でもこのような開きが発生します。
今回、最高価格をつけたZ1もそうした「評価点3車両」のひとつですが、当時ものの社外マフラー・オリジナルの火の玉カラー(オレンジ&茶色)の色合いを残した実動車両で、純正パーツの欠品が多少多くても高額買取が狙えると言えます。
また、純正パーツ欠品数の多さで評価点2となった車両が150.8万円で取引されており、Z1に限ってはよほどの事情がない限りは高値がつく、とお考え頂いて差し支えございません。
これほどの車両価値になってくると、蚤の市車両として出てくることはゼロに近く、直近12ヶ月内でも業者間取引では該当がなく、不動車であってもエンジンが始動できるまで持っていくのがセオリー。
そうした再生コストの都合上、買取業者によってはそのコストを見極められず買取価格が伸びないこともありますが、豊富な買取実績を持つ弊社パッションでは、カワサキ・Z1は大の得意車種のひとつ。
今回の劣化の目立ったZ1不動車の買取価格は、自社販売店を持たない買取業者では真似のできない買取額です。
何故なら、自社販売店を持たない買取店は、業者間市場で売却する他に有用な販路がなく、業者間市場での売却値は良くても90万円が想定される車両状態であるためです。
旧車の買取に強く、巨大な販売店を併設する当社では自社販売店での売値をベースとした買取査定額を提示できる場合もあり、その金額は他の買取専門店の追随を許しません。
Z1を売ろうと考えている方!他社査定でご不満のある方はもとより、安く買い叩かれないかご不安のあるZ1オーナー様は、どのような状態であれ弊社までご一報ください。
全国どこへでもお伺いさせて頂き、どこよりも高い買取金額でご対応させて頂きます。
Z1 豆知識
現在まで続くカワサキ・Zシリーズのルーツとして知られ、今なお旧車の代名詞として絶大な人気を誇るカワサキ・Z1。
国内仕様として、排気量を750cc化した弟分のZ2(750RS)も非常に根強い人気があるバイクですが、やはり900ccエンジン搭載のオリジナル・Z1は格別だと言えます。
1972年に北米・欧州市場向けの世界戦略車として、大型4ストローク4気筒エンジン搭載モデルとして送り出したのが、このカワサキ・Z1です。正式名称は「カワサキ 900SUPER4」でしたが、 型式番号の「Z1」の名称の方が圧倒的に広く認知されているため、正式名称よりも通称の方がメジャーとなっています。
もともとは市販車として世界初となる空冷並列4気筒エンジンとして開発された「N600型」としてのリリース予定でしたが、1969年に発表された「CB750FOUR」に出し抜かれる形で発表延期に。
このN600型エンジンをたたき台とし900ccまで排気量を増大したことがZ1の誕生につながりました。
今日現在まで続くカワサキZシリーズの原点とも言えるモデルで、今でも伝説の名車として高値で取引され、旧車乗りたちから絶大な支持を獲得しています。
Z1【1973~1975年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 132台
- 平均価格: 1,563,128円
- 最高価格: 3,222,000円
- 最低価格: 970,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 0台
- 平均価格: No Data
- 最高価格: No Data
- 最低価格: No Data
相場情報:2017年12月16日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。