1990年代後半のバイクシーンではレトロブームが巻き起こっており、原付クラスでもクラシカルなデザインを採用したマシンが続々と登場していた。その中でホンダは、既に30年近くラインアップを続けていたビジネスモデル「ベンリィ CD90」をベースに1960年代後半から70年代のスポーティテイストを取り入れた「ベンリィ 90S」を発売。
基本コンポーネントはベースモデルと共用しており、T字型のバックボーンフレームに空冷4ストロークOHC単気筒エンジンをマウント。最高出力は7,500回転で7.1馬力を発揮。始動方式はキックペダルのみで、トランスミッションは4段ロータリーだ。
足回りは、フロントにテレスコピック式正立フォークを装備し17インチホイールとドラムブレーキを組合せる。リアはスイングアームにツインショックを採用し、フロントと同径の17インチホイールにドラム式ブレーキという仕様。
外観デザインは、フレームからタンクやサイドカバーまでブラックを基調としたデザインでシックな趣を演出している。その雰囲気中にも前後フェンダーはシルバーを採用することでビジネスマシンのオーラを消しスポーティさを醸し出している。さらにチェーンケースもメッキ仕上げで質感を高めていた。
ベースモデルではキャリアスペースとなっていた後部は、タンデム走行が可能なようにロングシートを装着している。ちなみに「ベンリィ CD90」の標準仕様はソロシートだったがタンデムステップは装備していた。
当時の原付カテゴリでは、弟モデルの「ベンリィ 50S」や同じくビジネスマシンベースのヤマハ「YB-1」といったレトロスポーツマシンが人気争いを繰り広げていた。しかし、いずれも原付1種モデルのためタンデム走行はできなかった。その中で、本モデルは90ccモデルでタンデムが可能という点で一定のニーズがあった。
ただ、デビュー後の「ベンリィ CD90S」は1998年モデルで一度マイナーチェンジを受けたのみで排ガス規制に対応することなく2001年で生産終了となった。

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解説記事更新日：2022年02月28日

1960年代後半からホンダのビジネスバイクとしてシリーズ展開されてきたのが、「ベンリィ」の「CD」シリーズだ。その中の90㏄モデルをスポーティテイストに仕上げたマシンが「ベンリィ 90S」である。デビューモデルは、1996年4月に19.8万円で発売された。
カラーラインアップは、ブラックの1カラー設定。
車体は「ベンリィ CD90」がベースになっており、T字型バックボーンフレームに空冷4サイクルOHC単気筒エンジンを搭載。最高出力は7,500回転で7.1馬力を発揮する。トランスミッションは4速ロータリーだ。乾燥重量は80kgアンダーの78kgと軽量に仕上がっている。ちなみにベースモデルは同じ7.1馬力エンジンだが装備の違いから乾燥重量は80kgあった。
「ベンリィ 90S」の足回りは、フロントにテレスコピックフォークを装備しリアはスイングアームにツインショックを組合せる。ホイールサイズは前後17インチでブレーキはドラム仕様となる。
外観デザインはタンクサイドにシンプルなウィングマークがあしらわれた立体エンブレムを装着。サイドカバーにも控えめにモデル名のデカールが配されている。
そして、前後フェンダーはシルバー仕上げにすることでアクセントカラーになっておりスポーティテイストを演出。
ベースモデルとの違いで最も大きなポイントと言えるのがシート形状だ。「ベンリィ CD90S」は、ビジネスユースに特化した仕様なのでリアには大型キャリアが装着されている。一方、本モデルはタンデムが可能なロングシートを採用している。

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解説記事更新日：2022年02月12日

1990年代のバイクシーンでは、レトロスタイルのマシンが人気を集めていた。その流れに沿ってホンダは既にロングセラーモデルとなっていた「ベンリィ」シリーズをベースに、スクランブラースタイルの「CL50」、スポーティテイストの「S」シリーズを展開してきた。
その中の90㏄スポーツモデル「ベンリィ 90S」は、1998年モデルで最初で最後のマイナーチェンジを実施した。
カラーリングは「ブラック」で変更ないが、エンブレムデザインを変更。タンクサイドは従来モデルでHONDAウィングマークを使用していたが、今回のマイナーチェンジで「Benly」のモデル名を配した立体タイプに変更。サイドカバー部分はチェッカーフラッグデザインに「90S」の文字を配したスポーティテイスト溢れるデカールを採用した。
価格は19.8万円(税抜)で据え置かれた。
また、外装デザインの変更だけでなく足回りのディテールもアップデートされている。外観上で見分けることは簡単ではないが、タイヤチューブが変更され新たに「TUFFUPチューブ」を採用した。
「TUFFUPチューブ」は、既に「スーパーカブ」シリーズで優れた実用性が好評を得ていた。通常のタイヤチューブと異なり、パンク防止液が充填された液室と通常のタイヤチューブ同様にエアが充填された空気室の2重構造になっている。仮に突起物などを踏んでタイヤチューブに穴が開いても液室のバンク防止液が流れ出てチューブの穴を塞ぐという仕組みだ。この構造でパンク時のエア漏れを最小限に抑制することができ、万が一のシチュエーションでの安心感が増している。
なお、「ベンリィ 90S」は1998年モデルが最終仕様となり生産終了に至った。ただ、弟分モデルの「ベンリィ 50S」は、国内排ガス規制に対応し2007年モデルまで展開された。

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解説記事更新日：2022年02月13日