1960年代後半から国内ビジネスシーンで活躍してきた「ベンリィCD50」は、デビューから約30年たった90年代半ばにスポーツティテイストに仕上げたバリエーションモデルを展開。それが、1996年4月に発売された「ベンリィ50S」である。ちなみに兄貴分モデルとして「ベンリィCD90」をベースにした「ベンリィ 90S」も同時発売された。
外観スタイリングは、1960年代から基本設計を変えていないマシンがベースになっているだけあって、レトロな趣を感じさせるデザインに仕上がっている。
車体はT字型のバックボーンフレームにSOHC空冷4ストローク単気筒エンジンをマウント。デビューモデルの最高出力は7,000回転で4馬力というスペックだった。トランスミッションは4段ロータリー式を搭載。始動方式はキックペダルのみのシンプルな構造だ。
足回りは、フロントがテレスコピックフォークで、リアはスイングアームにツインショックを組合せる。ホイールは前後共に17インチでブレーキはドラム仕様だ。
外観スタイリングは、セミロングシートがスポーティな雰囲気を演出しつつ、シルバーの前後フェンダーがレトロな印象でファッショナブルなマシンだ。90年代半ばの原付カテゴリは、レトロスタイルのマシンが人気を集めていた。同時期にデビューしたライバルモデル、ヤマハ「YB-1」のその中の1台だ。同じくビジネスバイクをベースにしたマシンで空冷2ストロークエンジンを搭載。乾燥重量は75kgで4.6馬力というスペックだった。対する本モデルは71kgの軽量ボディだったが、パワーウエイトレシオに換算しても「YB-1」が有利なスペックだった。ただ、「ベンリィ50S」はリッターあたり140kmという優れた燃費性能を誇っていた。一方、「YB-1」は80km/Lで、その差は大きかった。
なお、デビュー以降の「ベンリィ50S」は、カラーチェンジとマイナーチェンジを繰り返しながら2007年モデルまで展開し、生産終了となった。

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解説記事更新日：2022年03月27日

ビジネスバイクとして定着していた「ベンリィ CD50」をスポーティテイストにアレンジしたマシンが「ベンリィ 50S」だ。
デビューモデルとなる1996年式は同年4月に18.4万円(税抜)で発売された。また、兄弟モデルとなる「ベンリィ CD90」をベースにした「ベンリィ 90S」も19.8万円(税抜)で同時デビューした。
カラーリングは、「ブラック」の1カラーのみ設定された。フロントとリアのフェンダーはシルバーにすることで、ビジネスライクな印象からスポーティなイメージへ変更。どこか懐かしいレトロな雰囲気すら感じさせるデザインだ。
パワートレインには、ベースモデルと同じCD50E型の空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載。最高出力は7,000回転で4馬力というスペック。
同年にはライバルモデルとして、同じくビジネスバイクベースで2ストロークエンジンを搭載したヤマハ「YB-1」がデビュー。最高出力は4.6馬力とハイパワーな仕様だった。ただ、燃費性能は、カタログ値で「YB-1」がリッター80kmだったのに対して、「ベンリィ 50S」は140km/hという優れた数値をマークしていた。

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解説記事更新日：2022年02月24日

ビジネスバイクをベースとしながらスポーティなスタイリングとレトロなデザインを採用した「ベンリィ 50S」は、デビューから2年目となる1997年1月に特別仕様モデルを発売した。
Tボーン形状のフレームはダークブルーに塗装され外装パルパーツはシルバーというツートンカラーが採用された。そして、タンクサイドの「Benly」エンブレムは立体タイプを採用し、シートはシルバーのパイピングが施され質感を高めている。価格は18.9万円(税抜)で、通常モデルの0.5万円高に設定された。
なお、メカニカル機構に変更は無くリッター140kmという優れた燃費性能の空冷4サイクルOHC単気筒エンジンCD50E型を搭載。最高出力は7,000回転4馬力という仕様。
本モデルは1968年の登場以来、国内ビジネスシーンで活躍してきた「ベンリィ CD50」をベースとしているが、1997年には本モデルに加えてさらにバリエーションモデルを追加。
それが、同年4月に発売された「ベンリィ CL50」だ。基本コンポーネントは共用しているため、本モデルとも兄弟関係と言える。ただ、スタイリングはアップタイプのマフラーを採用したスクランブラー仕様。1960年代に販売していたマシンの復刻版的存在だった。
ロードスポーツスタイルなら「ベンリィ 50S」、オフロードスタイルなら「ベンリィ CL50」と、同じベースマシンで幅広いユーザー層にアプローチを仕掛けるラインアップとなった。

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解説記事更新日：2022年02月24日

「ベンリィ CD50」をベースにしたバリエーションモデルの中でも個性派スポーツバイクとして売り出されていた「ベンリィ 50S」は、1998年モデルで最初のマイナーチェンジを実施。
メカニカル機構に変更は加えられていないが、実用性面で装備の充実が図られた。既に「スーパーカブ」シリーズに採用させており実用性の高さが好評だった「TUFFUPチューブ」を新たに採用。通常のタイヤチューブは、異物を踏んでしまうとパンクしてエアが抜け出てしまうが、「TUFFUPチューブ」はチューブ構造が2重構造になっておりエア漏れの低減効果を期待できる。エアを溜めるチューブの外側にはパンク防止剤が充填された液室層があり、万が一、チューブに穴が開いた場合はパンク防止液が穴を塞ぐという仕組みだ。
車体価格は18.4万円(税抜)で据え置かれた。
カラーリングは、精悍なイメージの「ブラック」と「マックスシルバーメタリック」の2バリエーションを展開。ブラックは、フレームとタンクがブラックだがフェンダーは前後共にシルバーにすることでクラシカルなスポーティテイストを演出。シルバーは、タンクをホワイトとシルバーのツートン仕様にすることで爽やかな印象に仕上がっている。
なお、兄貴分モデルの「ベンリィ 90S」も同じ内容のマイナーチェンジを同時に実施したが、カラーリングは「ブラック」の1カラーのみだった。

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解説記事更新日：2022年02月24日

デビューから3年目となる1999年モデルで「ベンリィ 50S」は、マイナーチェンジを実施。主な目的は時を追うごとに厳しさを増していた環境規制に適合することだった。吸排気系統に仕様変更が加えられキャブレターのセッティングを最適化し、ブローバイガス還元装置を新たに採用することで国内新排ガス規制に対応した。
また、マフラーガードが新たに装着されたことで安全性が高められた。
カラーチェンジも同時に行われ、従来モデルで2バリエーション展開されていたカラーは「マックスシルバーメタリック」の1カラーに絞り込まれた。フレームは鮮やかな「モンツァレッド」を採用することでレトロな印象を演出しつつ強烈な存在感を放っている。
価格は18.9万円(税抜)で0.5万円の値上げとなった。
なお、環境性能を高めることによって出力特性が変化している。最高出力は、従来の7,000回転4馬力から3.8馬力へダウン。乾燥重量は2kg増の73kgとなった。また、リッター140kmという優れた燃費性能が特徴だったが、今回の仕様変更で120km/Lへダウンした。それでも、遅れてデビューした4サイクルエンジンを搭載したライバルモデル、ヤマハ「YB-1 Four」はリッター108kmだった。
なお、従来モデルまで兄貴分モデルとしてラインアップされていた「ベンリィ 90S」は、排ガス規制に対応することなくカタログ落ちとなっていた。

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解説記事更新日：2022年02月24日

1996年のデビュー以降、レトロでスポーティなデザインが幅広いユーザー層に支持されてきた「ベンリィ 50S」は2007年モデルで最後のカラーチェンジを実施。
カラーバリエーションは、従来までの2カラー展開から「ムーンストーンシルバーメタリック」の1カラーに絞り込まれた。バックボーン型フレームはブラックで前後フェンダーと燃料タンクはシルバーに塗分けることで洗練されたイメージに仕上がっている。
さらにシートはブラウンでシルバーのパイピングが施されている。グリップもブラウンでクラシカルな雰囲気も強調している。価格は、19万円(税抜)で0.1万円の値上げが実施された。
主要諸元に変更は無く、引き続き3.8馬力の空冷4ストロークOHC単気筒エンジンを採用。トランスミッションは4段ロータリーで、始動方式はキックペダルのみというデビュー当時からの基本コンポーネントを踏襲している。足回りは前後17インチホイールにドラムブレーキという組みわせ。
ライバルモデルのヤマハ「YB-1 Four」は4.1馬力エンジンを搭載していたが、乾燥重量は本モデルより10kg重い83kgだった。
なお、本モデルは1999年に排ガス規制に対応するための仕様変更を実施したが、再び排ガス規制の壁に阻まれることになる。キャブレター仕様の「ベンリィ 50S」は新規制に適合することができず2007年モデルを最後に生産終了となった。

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解説記事更新日：2022年02月24日