「カスタム」はかつてホンダが販売していたアメリカンモデルについていた名前で、NV400カスタムは1983年3月1日に発売されました。名前のとおりV型エンジンを搭載しており、VT250Fやハーレーと同様の縦置きです。同日発売の「CXカスタム」は横置きV型2気筒と、形式は完全に違っています。
NV400カスタムのエンジンは、吸気2+排気1の3バルブで、点火プラグはシリンダーあたり2本となっています。6速はオーバードライブ設定の6速ミッション、シャフトドライブ、段付きシート、太めのリアタイヤなどでロングクルージングが快適になっています。
85年のマイナーチェンジでは、ヘッドライトが角から丸になり、リアシートには大きな背もたれが装備されました。
このNVのエンジン、バンク角を52度にしてコンパクトさを稼ぎ、そのうえ位相クランクとして一次振動をなくしています。400ccで43馬力も。つまり軽やかに回る「ホンダらしい」エンジンとなったのですが、当然と言うべきか、アメリカンらしい鼓動感に欠けるという評価を受けました。とはいえ、当時はCB650カスタムなど4気筒のアメリカンモデルもあったので、NVだけ特殊というわけでもありません。NV400カスタムは、今となっては得られない乗り味の、スムーズなアメリカンモデルなのです。
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解説記事更新日：2021年04月26日

1983年型のNV400カスタムはデビューモデルです。
エンジンは、ハーレー等と同じ縦置きV型2気筒、それまでの和製アメリカンが、既にある並列4気筒などのエンジンを使ってハンドルやシートを変更しただけだったのに対し、本格的アメリカンとしての新設計エンジンを搭載しています。
そのエンジンは、
・水冷VツインOHC2気筒
・気筒あたり3バルブ
・気筒あたり2プラグ方式
・シリンダー挟み角は52度
・位相クランクを採用することで一次振動を低減、バランサーを不要とした
・後輪駆動はシャフトドライブ
・水冷ながらデザインを重視しシリンダーにフィンを付加
・ミッションは5速+オーバードライブの計6速
・リアサスにFVQダンパーを採用
全体的なスタイリングは和製アメリカンの例にもれず、ティアドロップ型タンク、段付きシート、極太リアタイヤ、プルバックハンドルなどが装着されています。V型の排気は車体右側にまとめられ、1本マフラーで排気されます。
振動対策を施したエンジンでしたが、それは意外にも「鼓動感がない」と酷評されることもあり、さらにレプリカブーム全盛期の83年において脚光をあびることはありませんでした。
そのため現存車両は少なくなっています。残念ながら希少車としてのプレミアムは付いておらず低位堅調となっていますが、見栄えと状態の良い個体は10万円を超える査定額も狙えます。
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解説記事更新日：2022年02月06日

1985年、NV400カスタムはマイナーチェンジを受けています。
・ヘッドライトを角形から丸形に変更
・ダブルホーンを採用し、見た目のバランスと安全性に寄与
・パッセンジャーシートに背もたれを追加
・タンクカラーをソリッドの黒、赤に変更
縦置きV型OHC2気筒、気筒当たり3バルブ+2プラグに変更はありません。
縦置きV型エンジンは、前から見たときのシリンダー幅がシングルエンジンとほぼ同じです。そのスリムさを損なわないよう、ラジエターは縦長の形となっています。シリンダー挟み角52度に上手く収められたキャブレターも特徴の1つです。ヘッドライトが丸くなったのも、全体のデザインにマッチしています。ただしコーナーを攻めるバイクではありませんから、バンク角は少ないです。ちょっと倒すとすぐステップを擦ります。
ホンダHPによれば、85年当時のアメリカンスタイルバイクは、125ccから750ccまでで11機種13タイプとなっています。アメリカンでない車種もありますから、当時のバイクブームや需要がどれほど旺盛だったかが分かります。
「鼓動感がない」と酷評にも近い評価が多かったNV400カスタムのエンジンですが、意外なことに、その後のスポーツモデル【NV400SP】、ネイキッドタイプ【ブロス】にも使用されています。
あまり人気はありませんでしたが、縦置きV型という珍しいレイアウトのホンダアメリカンとして、NV400カスタムは独特の存在価値があります。
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解説記事更新日：2022年02月06日