水冷ビッグトリプルを搭載するトライアンフのアドベンチャーシリーズ「タイガー1200」は、2022年式でフルモデルチェンジが行われた。従来モデル同様にオンロードタイプとオフロードタイプの2系統でラインアップされるが、モデル名による差別化に用いられてきた「XR(クロスロード)」と「XC(クロスカントリー)」という名称は廃止となった。あらたに採用されたネーミングは、オンロードタイプの「GT」とオフロード仕様の「ラリー」で、よりマシン特性がイメージしやすくなったと言えるだろう。そのオンロード向け「GT」のミッドグレードに位置するのが本機「タイガー1200 GT プロ」だった。日本仕様は2022年4月に発売された。

車体は完全新設計のフレームとエンジンという組み合わせ。シャシーはスチール製メインフレームとアルミ製サブフレームをボルト接続することで軽量スリムな車体を実現した。シャシーの設計見直しによってフレーム本体は先代モデルより5.4kgも軽くなった。
エンジンは従来の1,215㏄から1,160㏄まで排気量ダウンした水冷DOHC4バルブ並列3気筒ユニットを採用。ボア・ストロークが90mm×60.7mmの心臓部は、9,000回転で150馬力の最高出力を発生する。エンジンコンパクトを実施しながらも9馬力アップに成功している。最大トルクは、7,000回転130Nmというスペックで8Nm向上していた。走行モード選択機能は、「ロード」・「レイン」・「スポーツ」・「オフロード」・「ライダー」の5メニューから任意に変更可能。ちなみオフロードタイプの新型「ラリー」系は、「オフロード プロ」メニューは無く、トータル5モード仕様だった。駆動方式はメンテナンス性に優れたシャフトドライブで継続された。

足回りは、前後ショーワ製の電子制御式サスペンションキットを採用する。フロントは大径49mmの倒立フォークを装備して19インチのアルミキャストホイールを履く。ブレーキは320mmダブルディスクとブレンボの高性能グレード「Stylema」モノブロック4ピストンキャリパーを組合せる。リヤは片持ちスイングアームが廃止されてトライリンク式両持ちスイングアームへ変更された。モノショックをセットして従来比で1インチアップの18インチホイールを履く。そこに282mmディスク&ブレンボ製シングルピストンキャリパーというブレーキ構造。

マシンの電子コントロール系統には、コーナリングABS、トラクションコントロール、シフトアシスト、アダプティブヘッドライト、ヒルホールドコントロールを標準装備する。そしてコクピットには7インチの大型TFT液晶パネルを設置してマシンコンディションを確認可能。アクションカメラの「Go Pro」コントロールやスマホ連携機能も実装された。

比較対象としてはBMWモトラッドから展開される「R1250GS」が候補になるだろう。本機より11kg重い256kgの車体にマウントされるパワーユニットは、136馬力・143Nm仕様の1,254cc空水冷フラットツインエンジン。シート高は870mmと850mmで、本機と変わらない。足元は、フロント19インチ、リヤ17インチというサイズ。トルクフルで扱いやすいマシン特性が特徴だが、ホイールサイズやマシンデザインなどで好みが分かれるところだろう。

なおデビュー以降の「タイガー1200 GT プロ」は、2024年式で最初のマイナーチェンジが行われラインアップを継続している。

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解説記事更新日：2024年08月08日

トライアンフのオンロード向けアドベンチャーシリーズで旗艦モデルに位置する「タイガー1200 XR」シリーズが世代交代する流れで登場したマシンが、「タイガー1200 GT」シリーズだった。グレード構成は、エントリークラスの「GT」、中間グレードの「GT プロ」、豪華装備の「GT エクスプローラー」という3タイプが展開された。ベースグレードの「GT」は日本市場へ導入されなかったので、国内向けでは本機「タイガー1200 GT プロ」がエントリーモデルと言えるだろう。デビューモデルとなった2022年式は、同年4月に以下のカラーリングで発売された。

・「ルーサンブルー」　239.4万円(税込)
・「サファイアブラック」　239.4万円(税込)
・「スノードニホワイト」　236.4万円(税込)

ボディカラーは3バリエーション構成で、鮮やかな印象とアクティブなイメージのブルーに加えて、どんなシーンでも馴染みやすいブラックとホワイトが設定された。
大幅刷新されたシャシーと新型パワーユニットの組み合わせはマシン重量が245kgで、先代モデル「タイガー1200 XRT」より24kgも軽くなっていた。ユーロ5に適合したエンジン排気量は55ccコンパクト化されて1,160㏄まで排気量ダウンしたが、最高出力は従来比で9馬力も向上して9,000回転150馬力というスペックで登場。最大トルクは7,000回転で130Nmを発生する。5タイプのラインディングモードやシフトアシストが、刺激的かつ快適なアドベンチャーライディングを可能にする。駆動方式はメンテナンス性に優れたシャフトドライブ方式を採用。

ひと目で気付く構造面の変更はリヤの足回りだろう。従来モデルで片持ち式だったスイングアームは、新たにアルミ製の両持ち式に変更。さらにホイールサイズは、1インチアップの18インチへ大径化された。よりアドベンチャー色の濃いマシンへと進化を遂げていた。

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解説記事更新日：2024年08月08日

新型「タイガー1200」のオンロードタイプ国内向けは、本機「GT プロ」と豪華装備の「GT エクスプローラー」の2グレードが導入された。充実装備の「タイガー1200 GT エクスプローラー」には、本機より10Lも大容量の30L燃料タンクのほか、後部座席のシートヒーターやタイヤ空気圧モニタリングシステム、さらにはコンチネンタル社との共同開発の「トライアンフ　ブラインドスポットレーダー」も標準装備となる。
2023年式の本機「タイガー1200 GT プロ」は、デビューから間もないタイミングということもあってか、仕様変更は行われずキャリーオーバーで展開となった。カラーリングも以下の3バリエーションで変わらない。

・継続「ルーサンブルー」
・継続「サファイアブラック」
・継続「スノードニホワイト」

新設計フレームにマウントされるマシンの心臓部は1,160㏄の水冷トリプルエンジン。最高出力は9,500回転で150馬力を発生する。最大トルクは7,000回転130Nmという仕様。ライディングモードには、「ライダー」モードも選択できる。ABSやトラクションコントロールといった電子制御の介入精度や出力特性を走行シーンや好みに応じてセッティングできた。ちなみにオフロード志向の「ラリー」シリーズには、「オフロード プロ」モードも用意されていて、トータル6モード仕様だった。

なおシート高は「タイガー」シリーズの特徴である2段階調整式が採用されたが870mmと850mmで、先代モデルの「タイガー1200 XRT」より15mmアップしていた。

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解説記事更新日：2024年08月08日

新設計フレームやリヤの足回り構成を刷新することで、さらにオンロードアドベンチャー色が強められた2022年式以降の「タイガー1200 GT プロ」だが、デビュー3年目となった2024年式で最初のマイナーチェンジを実施。以下の内容でアップデートが適用された。

・エンジン仕様変更
・クラッチ仕様変更
・クラッチレバー形状変更
・ダンパー付きハンドルライザー採用
・フットペグポジション変更
・シート形状変更
・アクティブ・プリロード・リダクション採用

パワーユニットの出力特性は150馬力・130Nmから変わっていないが、内部パーツのクランクシャフトやオルターネーターローター、バランサーなどに改良が入った結果、低回転域から高回転に至るまでスムーズな加速&減速が可能となってフィーリングに変化が見られた。さらに低回転域でのトルク伝達性が向上したことで扱い易さもアップ。加えて、これまで「エクスプローラー」グレードに採用されていたダンパー付きのハンドルバー&ライザーを新たに採用。シート形状やフットペグポジションも見直されたことで、より快適なライディングポジションとマシンコントロール性を実現した。

さらに注目のアップデートポイントとして、「アクティブ・プリロード・リダクション」機能の搭載がある。これはハンドルスイッチの「ホーム」ボタンを1秒間押すことシート高が最大20mm下がるという機能。仕組みとしては、リヤサスペンションのプリロードを遠隔手動操作して高さを調整するというもの。信号待ちや停車直前に使うことで足つき性の不安を解消することができるだろう。

仕様変更によって完成度が高められた2024年式「タイガー1200 GT プロ」は、以下のカラーバリエーションと価格で展開された。

・継続「サファイアブラック」　246.5万円(税込)
・継続「スノードニアホワイト」　243.5万円(税込)
・新色「カーニバルレッド」　246.5万円(税込)

カラーバリエーション数は引き続き3タイプを展開。デビュー時から設定されていたブルーが廃止となって新たにレッドが加わった。

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解説記事更新日：2024年08月08日