SV650買取査定事例｜準極上車の2020年モデル

1998年に発売されたSV400に遅れること1年、ハーフカウル装着のSV650SとネイキッドのSV650の2パターンでデビューしたVP52A型のSV650シリーズ。

2020年モデルは第2世代 VP55B型

日本国内での販売は振るわなかったものの、欧州市場で高い評価を獲得し2006年頃まで販売を継続。その後は一時生産が途絶えたものの2016年に第2世代に当たるVP55B型として復活(税抜 希望小売価格68.4万円)。
2018年にはビキニカウルを装着したメーカーカスタムが施された上位グレードSV650も登場(税抜 希望小売価格72.4万円)しVP52A型を踏襲する2パターン構成に。

2016年の再登場以来、毎年のようにイヤーモデルを重ねてきたVP55B型ですが、2022年モデルでアップデートが入り型式は第3世代に当たるVP55E型に進化しています。

アップデートと希望小売価格(税抜)
イヤーモデル	変更点	メーカー希望小売価格(税抜)
1998	新登場	65.9万円
2016	モデル変更 VP55B型	68.4万円
2018	カラー変更	68.4万円
2019	マイナーチェンジ	68.4万円
2020	カラー変更	68.4万円
2021	カラー変更	73万円
2022	モデル変更 VP55E型	73万円

現行販売モデルは、アップデートのタイミングを境に中古の価値が変動するのはオートバイもスマートフォンも似ています。

買取致しました2020年モデルは、VP55B型で初となるマイナーチェンジ(キャリパーの小変更)が入った2019年モデルと、カラー変更ながら初の値上げが実施された21年モデルの狭間に位置します。
それでは2020年モデルSV650の買取相場をご覧ください。

走行距離と車両状態が査定額に直結

2020年モデルSV650は、直近12ヶ月間で実動車10台の取引が記録されています。2年落ちの大型排気量としては中古の流通数は多く人気の高さを示しています。
取引の最高額は53.8万円、最低は44.4万円、48.9万円が平均となっています（この金額は販売業者の仕入れ額＝買取業者の転売額に相当）。
上は53.8万円から下は44.4万円まで、約10万円のコンパクトなレンジで10台が取引されていますが、取引額と車両状態の傾向は下記のようになります。

• ▼取引額と車両状態の傾向
• 50万円台で取引されたのは3台。そのうち2台は走行距離1,000km台と浅く評価点6(極上)をマーク
• 40万円台で落札されたのは7台。そのうち3台は走行距離0.5万キロ以上、2台は1万キロ以上。評価点は5点(良好)の個体が6台となっています。

オークションの性質上、競りがヒートアップした際に落札が伸びるため例外も散見されますが、走行距離が浅く車両状態が良いと取引額が高くなる傾向が見て取れます。

カスタムはメーカー品でプラス査定も

取引された10台のうち、何らかのカスタムが成されていたのはWR'Sのスリップオンと社外のヘッドライトが入った入門的カスタムの1台のみ。
上記車両はエンジンからのオイル漏れがありながら49万円で取引された事を鑑みるとカスタムによって多少取引額が伸びたと見ることもできます。
ライバル車と比べカスタムパーツの種類が少ないSV650ですが、スズキ＋ヨシムラの組み合わせは鉄板であり、TERMIGNONIのフルエキやADVANTAGEのホイール等も純正品があれば大きなプラスアルファが見込めます。

以上の買取相場を踏まえ、2020年モデルSV650ABSの査定内容と買取額についてご紹介させて頂きます。 （※上記の取引額は、買取業者の転売額＝販売業者の仕入れ額に相当するため、実際の買取相場は9掛け相当となります）

販売開始から2年が経過している2020年モデルのSV650。外装の色艶は非常によく、走行距離もわずか750km。 査定現場で目にした第一印象は申し分のないものでしたが、屋外保管ゆえの難点も僅かながら抱えておりました。 まずは足回りからですが、ブレーキディスクにははっきりとした茶サビが散見。
加えて前後ホイールには飛び石や砂埃に拠ると思われる微細なキズがあり、目立つ箇所は表面の塗料が削れてしまった状態となっておりました。
ただし、入念な研磨作業で充分にリカバー可能であることから、買取価格の減額は小幅です。

エンジンそのものは機関・外観ともに申し分がなく、年式を考慮すると極上の判定に限りなく近い状態でしたが、非常に残念なのがインジェクション周り。
機能的に問題がないことは明らかではあるものの、表面には一見すると溶けたかのような変色が確認でき、わずかではあるもののマイナス判定の対象に。
またラジエターフィンの一部が潰れていることを確認。このため、エンジン関連の評価は「超極上車」を示す評価7点から1ランク下がっての6点に。

また、前2つのマイナスより影響は小さいものの、チェーンカバー部の変色もわずかながら査定を下げる原因となってしまいました。
これはステッカー装着による糊と直射日光による変質が要因で、チェーンカバーの色によっては影響なしとすることも可能ですが、現車は目立ちやすいマットブラックであったがためにマイナスに。
とは言え、キズもほぼなく綺麗な状態であったことを評価し、ごくごく僅かなマイナスに留めさせて頂きました。

プラス査定となったのはステアリング周りのETCキット。スズキの正規販売店で取り付けを依頼しただけのことはあり、純正ハーネス風の見事な処理がされていることを確認。
ETCキット自体は廉価な品物でしたが、小さいながらもプラス査定とさせて頂きました。

外観状態は美車と言っても差し支えないほど色艶の良いSV650でしたが、足回り関連でのマイナスとなってしまったのがこちらのホイールに生じた小キズと、ブレーキディスクに見られる数箇所の茶サビ。
入念な研磨作業によって回復可能ですが、手が入りにくい箇所で工数が掛かるためマイナス査定に。

青丸内に見られる通り、インジェクション外観はかなり目立つ変色あり。
間近で見なければ熱で溶けたかのように見えるほど大きく、超微粒子タイプの液状コンパウンドで優しく磨けば除去できる可能性はあるものの、査定現場では変色原因の特定が難しいため、厳しく判定せざるを得ませんでした。

またラジエーターフィンに凹みが確認されたことも、機能ではない部分でエンジンの評価点を下げる一因となりました。

査定の直前まで貼っていたというステッカーの糊と直射日光によって部分変色してしまったチェーンカバー。
糊の変質単体がであれば除去可能ですが、日光によって部分焼けが生じてしまっているため、根本的なケアは交換しか対処方法がありません。
とは言え、目立つキズ等もないことを踏まえると現状のままで扱うのがベストと言える状態につき、マイナスは最小限とさせて頂くことに。

ハイスペックを追求した作りではないSV650ABSは、中古バイクとして再販売する際もノーマルが歓迎されやすい傾向にあり、現車のようにフルノーマルと言える状態は大いに評価すべきポイントのひとつとなります。
細部で細かい減点が入っていますが、全体的には美車と呼んで差し支えないノーマル車両なので、基礎的な評価は高いものとなりました。

ノーブランド品なのでパーツ単体での上乗せ対象とはなりませんでしたが、現車はETCキットを装着済み。
取り付け工賃を抑えるため、Amazonなどで安く購入したものを自分で取り付けるオーナーも多いものですが、今回の現車オーナー様は納車の際に購入店にて工賃を支払った上で取り付けを依頼。
配線周りを拝見させて頂いたところ、防水テープを目立たないように使って上手く純正ハーネス風に加工するなど、スズキの正規販売店ならではの丁寧な仕事ぶりが伺える状態。
雑な取り付け方をされている場合、電装・保安系の判定は逆にマイナスとなってしまうことが多いのですが、これだけしっかりとした処理をしているのであれば話は別で、わずかながらもプラス査定に。

上記の評価が主なまとめとなりますが、小さなマイナス判定が散見されたものの、逆に言えば大きなマイナスは無く基礎的なコンディションの高さを示しています。
結果、総合評価は5.5点。極上と良好判定の中間です。

販売店の仕入れ価格で買取

上段で触れた買取相場に照らすと、業者間オークションでの取引額（販売業者の仕入れ額＝買取業者の転売額に相当）は50万円前後の想定です。
買取業者としては、出品手数料や運送費などの経費を差し引き、儲けを出すためには45万円以下で買取したいところですが。
当社が提示いたしました査定額は50万円。
単店舗としては日本で一番バイクを売っている直営販売店の仕入れ価格として提示させて頂きました。

『残りローンの処理も廃車手続きも代行してくれて、その金額なら是非』とオーナー様のご返快諾を受けて買取成約となりました。
車両引取り後はお客様の代わりに、残債の返済・所有者から譲渡証明書の取得・廃車手続きを完了させ、買取残金のお振込み・廃車証コピーのご郵送を以って買取完了となりました。
今回は、愛車のご売却を誠にありがとうございました。