広大なアメリカ大陸を快適に駆け抜けるために進化を続けるツーリングファミリー。その中のフラッグシップモデルとして君臨するのが、2010年モデルで登場した「FLHTK ウルトラ リミテッド」である。2014年モデルでは、ハーレーの生誕110周年という節目のタイミングで立ち上げられた「PROJECT RUSHMORE」の成果がマシンに反映されている。
これまで採用していた1,689㏄のビッグツインエンジンTwin Cam 103は、冷却機構が空冷仕様だったが、今回新たに水冷機構を組み合わせたTwin Cooled仕様へとアップデートされたのだ。水冷システムを構築するにあたっては、冷却水を循環させるパイプラインそしてクーラントそのものを冷却するためのラジエターが必要となる。それらのメカニズムを車体のスタイリングを損なうことなくレイアウトするのは容易ではない。そこで、本モデルに採用されたのは、ウルトラシリーズにのみ装着されていたロワーフェアリング内にラジエターを設置するという方法。それで、この新たな試みは、まず本モデル「FLHTK ウルトラ リミテッド」と「FLHTCU ウルトラ クラシック」の2モデルに採用された。
これら両モデル名の末尾にはツインクールドを意味する「TC」の文字も追加されている。
新世代へと突入したリミテッドのデビューモデル2014年式だが、最大トルクは4,000回転で127Nmというスペックだった。ちなみに空冷仕様最終の前年モデルは3,500回転129Nmだったので、僅かにトルクダウンということになる。
また、エンジンだけでなく足回りはデザインに至るまで各ディテールがブラッシュアップされている。フロントマスクは空力特性を向上させるウィンドウダクトがバットウィングフェアリングに採用されている。またヘッドライトとフォクランプはデーメーカーのLED仕様へアップデート。より洗練された都会的なデザインへ変化している。そしてフェアリングインナーはグロスブラックにペイントされることでスッキリとしたインパネに仕上がっている。
フロント足回りには49mmの大径テレスコピックフォークを装備し17インチホイールとダブルディスクブレーキを装備。重量は412kgで「FLHTCU ウルトラ クラシック」より4kg重かった。
2014年モデルのツートーンカラーは372.3万円(税込)で登場。翌年にはローダウン仕様で小径グリップハンドル、アシスト&スリップ油圧式クラッチを採用して実用性を向上させた「FLHTKL ウルトラ リミテッド ロー」も展開。
そしてカラーチェンジとプライマリーハウジングに小変更を加えた2016年モデルを最終仕様として、翌2017年にはニューエンジンMilwaukee Eight107を与えられ次世代へとアップデートされた。なお、ツインクールドTwin Cam103仕様の最終モデルとなった2016年式のツートーンカラーは、373.9万円(税込)でデビュー当時と1.6万円の価格差があった。

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解説記事更新日：2022年05月16日

世界中のハーレーオーナーたちの声を車両開発にフィードバックするために立ち上げられた「PROJECT RUSHMORE」。プロジェクト立ち上げ直後のラインアップとなる2014年モデルでツーリングファミリーの頂点モデル「FLHTK ウルトラ リミテッド」は、大きな進化を遂げた。
パワートレイン本体は、1,689㏄のTwin Cam103エンジンから変更はないが、冷却方式がラジエターを介した水冷機構を追加。空水冷のTwin Cooled仕様へとアップデートされた。最大トルクは、従来モデルの3,500回転129Nmから4,000回転127Nmへダウンしているが、ビッグツインならではのエンジンの熱対策は大きく改善されている。
スタイリング面では、ニューデザインのタンク&フェンダーバッジを採用。グロスブラックにペイントされたインナーフェアリングのレイアウトも変更されており6.5インチフルカラータッチパネルをインストール。計器類の視認性も向上した。また、サドルバッグとリアトランクに配されるリフレクター形状も変更されている。
2014年モデルのカラーラインアップは、モノトーン仕様の「ビビッドブラック」が366万円(税込)。ツートーンカラーは、「チャコールパール×ビビッドブラック」、「チャコールパール×ブリリアントシルバーパール」、「ミステリアスレッドサングロ×ブラッケンドカイエンサングロ」、「アンバーウィスキー×ビビッドブラック」、「アンバーウィスキー×ブリリアントシルバーパール」の5バリエーションを展開。価格は372.3万円(税込)だった。
ちなみに2013年モデルのツートーンカラーは、342万円(税込)だったので、30.3万円の大幅値上げとなっている。
なお、今回の2014年モデルでは「CVO」ファミリーに本モデルをベースにスクリーミンイーグル製のTwin Cooled Twin Cam 110エンジンを搭載した「FLHTKSE CVO リミテッド」も登場。最大トルクは、4,000回転141Nmというハイパワーなスペック。価格は502万円(税込)とハーレーの頂点モデルに相応しい内容となっていた。

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解説記事更新日：2022年05月16日

時の経過とともに排気量アップを繰り返しモアパワーを手に入れてきたビッグツインは、前年モデルでこれまでの空冷機構に水冷システムを組み合わせたツインクールド仕様へブラッシュアップ。「PROJECT RUSHMORE」の計画のもとに進化を続けている。
なお、この新たな水冷機構を採用したマシンにはモデル名にツインクールドを意味する「TC」の2文字が追加されている。ちなみに今回の2015年モデルでは、本モデル「FLHTK TC リミテッド」、「FLHTKL TC リミテッド ロー」、「FLHTCU TC ウルトラ クラシック」、「FLHTCUL TC ウルトラ クラシック ロー」の4車種が採用していた。
その中でも、フラッグシップモデルとして確たるポジションに位置する本モデルは、2015年モデルでカラーラインアップが変更された。従来モデルではモノトーンカラーが1パターンのみだったが、今年度は「ビビッドブラック」の366万円(税込)に加えて、「スーペリアブルー」の369万9,500円(税込)も展開。ツートーンカラーは、「ディープジェイドパール×ビビッドブラック」、「ブリリアントシルバーパール×ビビッドブラック」、「ミステリアスレッドサングロ×ブラッケンドカイエンサングロ」、「アンバーウィスキー×ビビッドブラック」の4パターンで、価格は373.9万円(税込)に設定された。前年から1.6万円の値上げとなった。
なお、今年度は本モデルの各部セッティング変更を加えた「FLHTKL TC ウルトラ リミテッド ロー」がラインアップされた。シート高は足つき性の良い685mmに設定。さらにハンドルグリップは小径タイプを装着し、プルバックバーが2インチ手前にレイアウトされている。よりリラックスしたライディングポジションと左右のレバー操作時の指の負担が軽減されている。また、クラッチは軽い操作感のアシスト&スリップ油圧タイプとすることで、ストップ&ゴーの多い日本の道路での疲労感が軽減される。特にアジア圏のハーレーユーザーの要望をフィードバックしたモデルで、日本人ライダーにとっては「PROJECT RUSHMORE」による大きな恩恵となるに違いない。

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解説記事更新日：2022年05月16日

これまでツーリングファミリー内でツインクールド仕様のTwin Cam103エンジンを搭載して本モデルとラインアップを継続してきた「FLHTCU TC ウルトラ クラシック」だが、2016年モデルにその姿はなかった。「PROJECT RUSHMORE」の恩恵により展開されたローダウン仕様の「FLHTCUL TC ウルトラ クラシック」もラインアップには含まれていない。それで、2016年でファミリー内のツインクールドエンジンを搭載したマシンは、本モデル「FLHTK TC ウルトラ リミテッド」と「FLHTKL TC ウルトラ リミテッド ロー」の2車種となった。
6.5インチのカラータッチパネルにBluetooth対応オーディオがインストールされるバットウィングフェアリングのインナーはグロスブラックカラーを採用しており視認性とファッション性にも優れた仕上がり。ヘッドライトとフォグランプはデーマーカー製LED仕様。リアのポジション&ブレーキランプ、ウィンカーはツアーパックに埋め込まれており、こちらもLEDでクラシカルな装いの中にも都会的なセンスが演出されている。
2016年モデルは、プライマリーハウジングとダービーカバーのデザインが変更された。そしてカラーリングは、「ビビッドブラック」が366万円(税込)。「スーペリアブルー」は廃止され新たに「ブラッククオーツ」が369万9,500円(税込)で登場。ツートーンカラーは、「ミステリアスレッドサングロ×ベロシティーレッドサングロ」、「ビレットシルバー×ビビッドブラック」、「ディープジェイドパール×ビビッドブラック」、「アンバーウィスキー×ビビッドブラック」の4バリエーションで373.9万円(税込)に設定。いずれも前年から据え置き価格となっている。
なお、最大トルクは4,000回転127Nmで、ツインクールド仕様へとアップデートされた2014年モデルから変化はない。そして、今回の2016年モデルがTwin Cam エンジンの最終仕様となり、翌年にはシングルカムで8バルブ仕様のニューエンジンMilwaukee Eight 107を与えられ、リミテッドの新たなヒストリーが幕開けとなった。

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解説記事更新日：2022年05月16日