1980年初頭のバイクブーム真っただ中で250㏄クラスが注目され始めていた。そのきっかけはヤマハ「RZ250」の登場だ。レーサーマシン「TZ250」のノウハウを市販モデルにフィードバックした2ストマシンの名車である。車検制度の対象外で維持費はリーズナブル、それでいて高速道路も快適に走れるだけの走行性能を備えていたからだ。そこに対抗しようとホンダが市場に送り込んだのが「VT250F」である。その「VT250F」にフルカウルを装着したモデルが「VT250Fインテグラ」であり1983年6月に発売された。
搭載されていたエンジンは水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブだ。モデル名に最初に付されている「VT」の2文字はエンジンタイプのV Twinから取られている。最高出力は11,000回転で35PSを発揮する高回転型エンジンであった。初期モデルにはラジエターに電動ファンが装備されており水温上昇を感知すると自動で作動する構造になっていた。
「VT250Fインテグラ」に装着されていたフルカウルは、ホンダが数々のロードレースから得た空気力学のノウハウを結集して設計されたもので、ロングツーリングや高速走行時にライダーが受ける風の影響を可能な限り低減するように考え抜かれている。またメーター類はハンドル部分ではなくカウル側に設置することでハンドル荷重が軽減されて取り回しが容易になっていた。
性能とスタイリングへのこだわりだけでなく、アッパーカウル両サイドに小物入れを設置することで利便性の追求も忘れてはいなかった。
「VT250Fインテグラ」登場の翌年である1984年には、MC08型から型式の変更は無かったものの「VT250」がフルモデルチェンジを実施し2代目となった。通称2型とも呼ばれた2代目モデルをベースに仕様変更を加えフルカウル化した「VT250F インテグラ」ウィングスペシャルエディションが1995年4月に発売された。
以降、フルカウル仕様の「VT250」シリーズは登場することはなく、MC08型2代目モデルが最後の「VT250F インテグラ」となった。

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解説記事更新日：2021年08月01日

1983年に登場したVT250Fインテグラの初期モデル
ベースモデルのVT250Fは1982年にアッパーカウルを装着して発売されましたが、当時は国内仕様車がカウル装着者の市販は認可されていなかった時代。言い訳の様な理由で認可を取ったのだが、翌1983年にはに一転してカウル装着モデルの市販が解禁。それによりフルカウルモデルとして’83年に登場したのがこのVT250Fインテグラだった。
エンジンや足回りはVT250Fと共通で、最高出力も同じ35ps/11000rpm。乾燥重量ではVT250インテグラがフェアリングの分3kg重くなった152kgだった。
カラーバリエーションにはホワイトとレッドの2色を設定。
新車販売価格は45万円だった。
ベース車のVT250Fについて「カウル解禁前なのに立派なカウル付きじゃないか」という意見はごもっともだが、当時ホンダはそれに対して、ビキニカウルをカウルと呼ばずにメーターバイザーと呼ぶというウルトラC級の荒技を見せた。あくまでメーターの保護と視認性向上を目的としたものとすることで見事カウル規制をくぐり抜けたのである。
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解説記事更新日：2021年09月06日

1985年にスペシャルモデルとして登場したVT250Fインテグラ ウイングスペシャルエディション。
1984年にフルモデルチェンジを受けたVT250Fをベースにフルフェアリングを搭載した派生モデルである本車。フルフェアリングにはインナーポケットが新設され、足回りではブレーキトルク応答型アンチダイブ機構(TRAC)に加えフロントにはアウトボードダブルディスクブレーキを搭載するなど上位モデルという立ち位置になっている。
ボディのカラーリングにはブラック×ホワイトのツートーンカラーを採用。
新車販売価格は46.9万円だった。
VT250Fインテグラはこのウイングスペシャルエディションを最終型として生産を終了。以降はメインモデルであるVT250Fが継続販売されており、翌1986年にはフルモデルチェンジを受けたMC15型となり、そのさらに翌年の1987年モデルが最終型となっている。
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解説記事更新日：2021年09月07日