1980年代、日本にはかつて無い程のバイクブームが巻き起こっていました。スポーツタイプ、ネイキッドタイプ、レーサーレプリカ等、各社あらゆるバイクを市場に放って来ましたが、中でも最も注目を集めたのはやはりレーサーレプリカでは無いでしょうか。公道用でありながら、レーシングマシンに限りなく近い性能を発揮していたのが、80年代に劇的に進化した2ストローク250CCマシン達です。その原点とも言えるバイク、そうナナハンキラーの異名を持つRZ250です。数々のライダーを虜にしたこのバイクの紹介．．．では無く、このバイクに4ストロークエンジンで本気で勝とうと、真っ向から噛みついていったチャレンジャーバイク「VT250 F」の紹介です。デビューモデルMC08型は、1982年6月に発売された。
　打倒２ストを銘打って登場したこのバイクは、ロードレース世界選手権の革新的マシンNR500の90度V型4気筒を意識した、ホンダ初90度V型２気筒エンジンを搭載し最高出力は35psとRZ250と同じ出力を出すことに成功しています。乾燥重量はVT250Fの142kgに対してRZ250が139kg。そして、RZ250は35ps/8500rpmに対し「VT250F」は35ps/11000rpmと非常に良く回るエンジンに仕上がっています。噂ではレッドゾーンを超えても吹け上がりがブラックゾーンまで回ると言われているとか、いないとか．．．そのほかにも油圧クラッチやインボードディスクブレーキが装備されており、ホンダの本気具合が伝わってきます。ルックスもかなり仕上がっており、外観やメーターなどはジェット機をモチーフにデザインされています。
発売されてから2年と2か月と言う短い期間で販売累計台数が国内初軽二輪クラスで10万台を記録し、約4年半では国内登録台数累計144,553台を記録すなどホンダのフラッグシップモデルになるほどのヒット車両になりました。ちなみにライバルであるRZ250の販売台数はと言うと発売された1980年から1989年の間で3,3450台です。
ヤマハがFZ250フェーザーを投入すると４ストローク直列４気筒ブームが到来し、ホンダでも直列4気筒であるCBR250シリーズの開発が始まると共に、「VT250F」はフラッグシップモデル並びにスポーツバイクとしての役割を終えることになります。しばらくしてたくさん売れた分、中古市場にはこのバイクが溢れリーズナブルな価格で乗れるスポーティーなネイキッドと言う位置付けに収まる事になりました。
　Ⅴ型２気筒と言う低速トルクがあり扱いやすいエンジンかつ、軽い車重で取り回しもらくちんでスポーツ走行も出来てしまう。そして値段もお手頃と言う事から、中型二輪免許を取ってから初めての一台にお勧めしたいバイクです。
デビュー以降の「VT250F」は、翌年にフルカウル仕様の「VT250F インテグラ」を展開。
翌1984年には最初のフルモデルチェンジを実施して最高出力は40馬力まで向上。乾燥重量は3kg増えて152kgとなった。
デビュー以降、3年連続でベストセラーマシンとなるなど人気モデルへと成長したことを記念として、1985年には特別仕様車を展開。
そして、1986年には2度目のフルモデルチェンジでMC15型へと進化。エンジン内部パーツの軽量化も実施され最高出力は43馬力までパワーアップした。
以降は、翌年にフロントダブルディスクブレーキ仕様を展開して、この1987年モデルが最終仕様となり生産終了となった。
後継モデルは1987年に登場した「VTZ250」となる。
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解説記事更新日：2022年08月31日

1982年に発売されたVT250Fの初期モデル。
「ザ・スーパーパフォーマンスVツイン」をコンセプトに高性能なロードスポーツとして登場した本車。エンジンには専用に開発された水冷4ストロークDOHC90度V型2気筒を搭載。最高出力は35PS/11,000rpm、燃費は45km/L（50km/h）となっていた。フレームにも専用の新設計ダブルクレードル型を採用。足回りにはホンダ独自のプロリンク式リアサスペンションに加えてフロントには250ccクラスでの市販車両としては初となる16インチホイールを採用。乾燥重量は149Kgだった。
カラーバリエーションにはブラック×レッド、ホワイト×レッドの2色を設定。
新車販売価格は39.9万円だった。
発売されてからは当時としては新しかったビキニカウルやレッドフレームですぐに注目を浴び、初年度で販売台数は30,000台を超える大ヒットモデルとなった。以降、約30年続くVTシリーズの始祖となった記念すべき初期モデルである。
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解説記事更新日：2021年09月05日

フルモデルチェンジを受けて発売された1984年モデルのVT250F。
新たにエンジンの吸気ポートにエアガイドフィンを搭載した高慣性吸気ポートを採用、また、コンロッドの軽量化と剛性アップが図られた。最高出力は先代モデルの35PS/11,000rpm→40PS/12,500rpm、最大トルクは2.2kgf・m→2.3kgf・mに向上した。
フレームには角型断面のダブルクレードルフレームを採用、足回りでは新設計のプロリンクリアサスペンションに加えてこちらも新設計のブーメラン型アルミスポーツコムスターホイールを採用。ブレーキにはインボード・ベンチレーテッドディスクブレーキを採用している。
また、カウルが解禁したことで、メーターバイザーではなく晴れてボディマウントフェアリングの採用を公言。点火方式にはフルトランジスタ式を採用、ハンドルは鍛造ジェラルミン製となり、燃料タンクの容量は12L→14Lに大容量化。角形ハロゲンヘッドライトの採用があった。
カラーバリエーションにはブラック・レッド・ホワイトの3色を設定。
新車販売価格は44.9万円だった。
また、翌1985年にはVT250Fが1982年からの3年間で販売累計10万台を達成したことを記念したスペシャルカラーモデルを発売。VT250Fは販売台数累計10万台突破だけでなく3年連続軽二輪のベストセラーを記録、軽二輪月間販売台数過去最多となる8418台(昭和57年7月)を記録するなど快進撃が続いていた。
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解説記事更新日：2021年09月06日

1985年、VT50Fはベストセラーを記念して特別仕様車が発売されています。
ベストセラーとは、
・軽二輪(126cc超250cc以下)クラスで日本初の販売累計10万台
・3年連続で(軽二輪・昭和57年～昭和59年)ベストセラー
・軽二輪で過去最高の月間販売台数8418台(昭和57年7月)
特別仕様車は、ブラック/ホワイトのツートンカラーにイエローのストライプグラフィックとなっています。同年、阪神タイガース日本シリーズ優勝を受け、「阪神カラー」の異名もあります。
主要スペックに変更はなく、水冷V型2気筒のDOHC4バルブエンジンは最大出力40馬力を12,500回転で発生、前後16インチホイール、フロントインボードディスクはそのままです。ちなみに2気筒なのに車名に「F」とあるのは、4バルブを意味しています。
ブレーキがインボード化された理由は、鋳鉄製ディスク板は効きはよいが錆びやすいため、それを隠すためです。なお現在は技術も進み、ほとんどのバイクは鋳鉄製ディスクを採用している反面、錆は少ないです。前後16インチの旋回性は驚くべきもので、曲がる方向に顔を向ければもう曲がっているというレベルです。
1985年といえば、日本が空前のバイクブームに沸いていた頃で、特に250ccクラスでは80年に発売されたヤマハ【RZ250】が2スト復権の旗印となり、83年のスズキ【RG250ガンマ】でブームは一気に沸騰しました。VTも超高回転型4ストで対抗しますが、やはり2ストの速さにはかなわず、83年にレーシングマシンNS500と同じ2スト2気筒の【MVX250F】を発売、87年には4気筒の【CBR250】も登場し、VTは次第にツアラー色を高めていきます。それでもまだVTの勢いは衰えてはおらず、中型初心者や女性ライダーから絶大な支持を集めていました。80年代にホンダが製造した代表的車種の1つがVT250Fです。
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解説記事更新日：2022年01月31日

フルモデルチェンジを受けて発売された1986年モデルのVT250F。
エンジンは吸排気系の最適化、内部の軽量化、摩擦の減少により最高出力は先代モデルの40PS/12,500rpm→43PS/12,500rpm、最大トルクは2.3kgf・m→2.5kgf・mに向上、また、燃費も従来の45km/L→ 52.2km/L(50km/h)に改善された。
フレームには新設計角型ツインチューブを採用、新たにアンダーカウルを搭載。足回りでは新デザインのアルミ製キャストホイールに加えてインボード・ディスクブレーキを採用。さらにシート高は765mm→745mmに低下し足着き性を高めている。
カラーバリエーションにはホワイトとブラックの2色を設定。
新車販売価格は37.9万円だった。
また、同年5月には新色として女性向けのデザインとなったパールクレセントホワイト(アルミ風のサチライトカバードマフラー(付き)を追加。さらにスペシャルカラーモデルとして同じくサチライトカバードマフラーを搭載してサイドカウルにはSpecial editionの文字が配されたエクセランスブルーを発売。新車販売価格は両車共に48.9万円だった。
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解説記事更新日：2021年09月07日

マイナーモデルチェンジを受けて発売された1987年モデルのVT250F。
新たにフロントにアウトボードダブルディスクブレーキを装備。
カラーバリエーションはホワイト×レッド、ガンメタリックの2色を設定。また、車名ロゴはブラッシュパターン風になった。
新車販売価格は47.9万円。
ホンダ調べでは1982年の初期モデル発売から1986年11月までで、144,553台の国内販売を記録していVT250F。1986年にはGマーク選定商品(グッドデザイン賞の前身)にも選ばれていた。
VT250F MC15型としてはこの1987年モデルを最終型として生産を終了。以降は同年に登場したVTZ250及び1980年に登場したVT250SPADAが後継モデルとして登場している。
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解説記事更新日：2021年09月07日