国内バイクシーンのレーサーレプリカブームが終焉を迎えネイキッドやアメリカンクルーザーが人気を集めていたのが1990年代半ばだった。ホンダは既に80年代終盤から展開してきた「スティード」が注目を集め始めカスタムベースとしても人気モデルとなっていた。
そして、1996年モデルで最初のマイナーチェンジを実施。そこで追加されたバリエーションモデルが「スティードVSE」である。
当時の東京モーターショーに参考出品したところ、特に若い世代のライダーに好評だったことから1996年1月にニュータイプとして発売されることになった。
車体は既に販売されていた400㏄モデルの「スティードVLX/VCL」と共用する部分がほとんどである。
SOHC3バルブの水冷Vツインエンジンをダブルクレードルフレームにマウント。最高出力は従来モデルの30馬力から僅かにアップして、7,500回転31馬力というスペックだ。キャブレターのセッティング変更とマフラー内部構造の最適化、さらにはミッションのギア比を変更することで実現した出力アップである。ちなみに最大トルクに至っても5,500回転3.3kgmから3.4kgmへアップしている。パワーアップを実現しながらも燃費性能もリッターあたり37kmから37.2kmへ向上した。
スタイリングで特徴的なディテールは、リアホイールだ。全面切削加工が施された高い質感の15インチホールはディッシュデザインを採用。タイヤはチューブレス仕様だ。
リアフェンダーはカスタムテイストを感じさせる跳ね上がりタイプを装着。シートやサイドカバー、クラブバーからハンドルに至るまで専用タイプを採用している。
ライバルモデルは、約2ヵ月遅れでデビューしたヤマハの「ドラッグスター400」だ。ロー&ロングのスタイルにメッキパーツを多用したスタイリングでパワートレインには空冷Vツインを採用。最高出力は33馬力で僅かにハイパワーなスペック。乾燥重量は204kgで本モデルより1kgだけ重かった。
なお、「スティードVSE」は1997年モデルでカラーチェンジを実施したのを最後にカタログ落ちとなり、短いモデルライフをを終えた。

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解説記事更新日：2022年03月27日

1988年の登場以来、国産アメリカンの代表的モデルとなっていた「スティード」シリーズは、1996年モデルで新たなバリエーションモデルを追加。従来の通常モデルと「VCL」に加えて新たに「VSE」タイプが設定された。
カラーリングは、「シルバー×ブラック」と「ブラック×レッド」の2バリエーションを設定。価格は59.9万円(税抜)で「VLX」タイプと同価格で発売された。
外観上のデザインで目を引くのがリアホイールのデザインだ。全面に切削加工を施したディッシュタイプのアルミホイールを採用。タイヤはチューブレス仕様だ。さらにリアフェンダーはテールエンドに向けて跳ね上がるデザインでカスタム性を高めたデザインとなっている。シートやサイドカバー、クラブバーといった部分も専用タイプとなっている。ハンドルも幅広タイプを装着することで、車幅は600㏄モデルも含めた「スティード」シリーズ唯一となる800mmオーバーの865mmだ。
なお、リアホイール周りの仕様変更の恩恵として乾燥重量は、他タイプより1kg軽い203kgに抑えられている。メカニカル機構は共通で31馬力仕様の水冷VツインNC25E型エンジンを搭載している。
ちなみに同年デビューのライバルマシン、ヤマハ「ドラッグスター400」は、乾燥重量は204kgの車体に33馬力の空冷Vツインを搭載していた。

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解説記事更新日：2022年02月24日

OHC3バルブの水冷Vツインを搭載した国産アメリカン「スティード」シリーズの中でもワイルドさと力強さをプラスしたグレードが「VSE」だ。
デビューから2年目となる1997年モデルでは、カラーチェンジが実施された。
バリエーションは従来モデル同様2バターン設定され、それぞれ「ブラック」と「シャインシルバーメタリック」を展開。グラフィックはニューデザインのストライプを採用してワイルドさがさらに強調されている。価格は59.9万円(税抜)で据え置かれた。
国産アメリカン市場は、ホンダ「スティード」、ヤマハ「ドラッグスター」、カワサキ「バルカン」、スズキ「イントルーダー」と各メーカーからラインアップが揃っていた。
最高出力で比較すると「スティード 400 VSE」は31馬力だが、他ライバルモデルは全て33馬力エンジンを搭載していた。乾燥重量は、スズキ「イントルーダー400」が200kgで最も軽く、続いて本モデルの203kg、「ドラッグスター」は僅か1kg差の204kgだった。
エンジン冷却方式や動力伝達方式の違いもありそれぞれ個性が異なるマシン群だが、パワーや走行性能を競うというよりは、カスタマイズ性やゆったりとツーリングを楽しむ快適性が重視されるカテゴリだろう。それで、1990年代後半はクルーザーバイクを好むライダーにとっては選択肢も多く良い時代だったに違いない。

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解説記事更新日：2022年02月24日