TLM260R毎週更新の買取査定相場
- 買取査定に役立つ車両解説
- 買取相場の推移
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- 取引価格帯
- 表示金額について
- 上位20台の取引額
TLM260R の買取査定相場
最も高く売れるカラーリングは白となっています。
因みに事故車や不動車の買取査定相場は修理工数に応じて1.1~11.0万円です。
TLM260R 買取査定に役立つ車両解説
ホンダTLM260Rは、単なる趣味の乗り物という言葉では語り尽くせない、ホンダがトライアルという競技の頂点を目指した時代に生み出された純粋なコンペティションマシンです。このバイクの真の価値は、その歴史的背景と技術的な先進性に根ざしており、一般的な中古バイク市場のデータだけでは決して測ることはできません。現存する個体の少なさも相まって、市場に流通する際にはその状態が価値を大きく左右する特別な一台といえます。一般的なオークションサイトなどで見られる低価格の取引は、多くの場合、書類がなく公道走行ができない、あるいは大規模な修理を必要とする車両の売買を示すもので、良好な状態の個体が持つ本来の価値とは一線を画しています。この車両を深く理解することは、現在の市場におけるその立ち位置を知るための最も重要な一歩となるでしょう。
TLM260Rの物語は、多くの資料が示す1993年の市販開始よりも少し前の時代に始まります。それは、ホンダが当時のワークスライダーであった成田匠選手や小林直樹選手に託し、全日本選手権や世界選手権の舞台で戦い続けた1991年にさかのぼります。つまり、このバイクは最初から公道を楽しむためではなく、勝利のために設計された特別な存在だったのです。ホンダはTLM250Rの単なる排気量拡大版ではなく、フレームやエンジンを含む多くの部分を新設計し、全く新しいモデルとしてTLM260Rを世に送り出しました。これは、当時のホンダがトライアル競技にどれほどの情熱を注いでいたかを示す確固たる証拠といえます。
このマシンの心臓部には、空冷2ストローク単気筒エンジンが搭載されています。モデル名に「260」と冠されている通り、排気量は256ccです。このエンジンがたたき出す最高出力は、わずか5,500回転で発生する13馬力、そして3,500回転という極めて低い回転数で2.0kg-mの最大トルクを発生させます。この数字が物語るのは、最高速度を追い求めるパワーではなく、指先の僅かな動きに瞬時に応えるような、精密なコントロールのための力強さです。ライダーはまるで自分の足の一部であるかのように、極低速でのバランスや、岩を乗り越える瞬間の爆発的なトルクを自在に引き出すことができるのです。2ストロークエンジンは、吸入・圧縮・爆発・排気の4行程をピストンが2往復する4ストロークエンジンとは異なり、ピストンが1往復する間に全ての行程を完了させます。このシンプルな構造により、瞬間的なパワーの立ち上がりが鋭く、軽量にできるという利点があります。
車体構造にも、競技に特化した独特の設計思想が随所に見て取れます。特に特徴的なのが、ボルトで車体に固定される別体式のサブフレームです。トライアルでは転倒がつきものであり、転倒によってフレームが歪むことは珍しくありません。このボルト止め式のサブフレームは、万が一の転倒で曲がってしまっても、車体全体を交換することなく、部品単体で容易に修理・交換できるという合理的な発想から生まれたものです。これは、マシンの耐久性だけでなく、迅速なメンテナンスを可能にし、ライダーが安心して練習や競技に臨めるようにというホンダからの配慮でもあります。さらに、TLM260Rの乾燥重量はわずか89kg、装備重量でも95kgに抑えられています。この驚異的な軽さが、車体を意のままに操るための機敏な動きと、まるで空気のように軽く感じるバランス感覚を生み出します。
TLM260Rのライバルとして、当時の市場に存在した他のモデルを比較すると、その立ち位置がより明確になります。例えば、ホンダの兄弟車であるTLM220Rは、より幅広い層に親しまれた公道走行可能なトレッキングバイクでした。一方、公道走行可能な4ストロークのTLR250Rは、空冷4ストローク単気筒エンジンで14馬力を発揮し、乾燥重量93kgと、TLM260Rに比べてやや重い車体でした。TLR250Rがツーリングトライアルといった用途も視野に入れた設計だったのに対し、TLM260Rは純粋な競技に特化したマシンでした。また、時代を同じくして登場したヤマハのTY250Z スコティッシュは、水冷2ストロークエンジンを搭載し、装備重量が93kgでした。対するTLM260Rの乾燥重量は89kgであり、このわずかな軽さが競技において非常に大きなアドバンテージとなります。このように、TLM260Rはホンダが総力を挙げて開発した、当時の最先端技術を結集した高性能競技車両でした。
このモデルライフ中の具体的なアップデートに関する情報は不明確です。しかし、このモデルで培われた技術と経験は、ホンダのトライアルバイクの系譜に大きな影響を与えました。TLM260Rは、ホンダがトライアルのメインストリームが2ストロークであることを認識し、その技術に本格的に挑戦した時代の象徴です。その後、トライアルの世界選手権ではFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が環境問題への配慮から4ストローク化を推進する流れとなり、ホンダはMontesa(モンテッサ)COTA 4RTを投入し、再び4ストロークへ舵を切ります。この技術的系譜は、2008年のRTL260F、そして最新のRTL260R(2023年モデル)へと引き継がれていきました。RTL260FはRTL300Rへと排気量アップを果たし、RTL260Rでは燃料供給にPGM-FI(電子制御燃料噴射装置)を採用するなど、時代に合わせた進化を遂げ、現代の競技シーンを牽引しています。
長い年月を経て、この特別なマシンもいくつかの特有の弱点を抱えることがあります。オーナーのブログなどでは、エンジンの始動に関するトラブルがたびたび話題に上ることがあります。ある日突然エンジンがかからなくなり、その後、何の前触れもなく始動できるようになるという、まるで気まぐれな生き物のような振る舞いをすることもあるようです。これは、経年劣化による配線の接触不良などが原因である可能性が高く、このバイクと長く付き合っていくためには、電装系の点検と、ある程度のトラブルを乗り越える忍耐力も求められるかもしれません。また、チェーンを適正な張力に保つためのチェーンテンショナーのゴム部分が劣化し、異音の原因になる事例も報告されています。これらの小さなトラブルは、このバイクが単なる「機械」ではなく、時間と手間をかけて向き合うべき「相棒」であることを示しているようにも感じられます。
TLM260Rのような2ストロークの競技車両を維持するには、日々のメンテナンスが非常に重要です。特に、燃料と専用オイルを混ぜて使う「混合燃料」の管理は、2ストロークならではの注意点といえるでしょう。一般的なモトクロッサーやレーサーの混合比は40:1から80:1程度の範囲が主流です。これを怠ると、オイルの潤滑が不十分になり、エンジンの焼き付きといった重大な故障につながる恐れがあります。毎回の走行前には混合燃料の準備が必要であり、これもまた、2ストローク車を愛するオーナーの醍醐味のひとつかもしれません。さらに、競技専用車ゆえの振動も大きく、各部のボルトが緩みやすいため、毎走行後の増し締めと点検は欠かせない習慣となるでしょう。
TLM260Rの買取相場を分析するにあたっては、非常に特殊な市場環境を理解する必要があります。一般的な車種であれば、走行距離や年式、車両の状態といった客観的なデータに基づいて相場を算出できますが、TLM260Rのような希少な車種はそうした単純な評価軸が当てはまりません。事実、国内のオークションサイトで確認できる過去の取引データは非常に限定的で、その平均落札価格は約6万円という数字が提示されています。この金額だけを見て、「このバイクの価値は低い」と判断するのは早計です。なぜなら、これらの取引は「書類なし」「未整備の現状車」といった、公道走行ができない、あるいは大掛かりな整備を前提とした車両が多くを占めているためです。このような車両は、部品取りやレストアベースとして、ごく一部の愛好家や専門業者間で取引されることがほとんどです。
より大衆向けに販売され、流通量が多かった兄弟車TLM220Rの買取相場と比較すると、この特殊な状況がより明確になります。TLM220Rは、過去2年間の平均買取額が約8〜12万円の範囲にあり、車両によっては20万円以上の高値で取引される実績もあります。これは、TLM220Rがより幅広い層に受け入れられるトレッキングバイクとしての価値を持っていることの証しです。一方で、TLM260Rは、トライアルに深い造詣を持つコアなファンや、希少なモデルをコレクションしたいと考える人たちにとっての価値が全てです。そのため、状態の良い個体であれば、一般的な相場からは想像もつかないような価格で取引される可能性を秘めています。
このバイクは、単なる移動手段でも、手軽なオフロードバイクでもありません。トライアルというスポーツの歴史を今に伝える、動く文化財のような存在です。その価値は、スペックや一般的な中古相場といった数字だけでは決して測れないところにあります。もし、TLM260Rが、長い年月を経てなお、その機能と美しさを保ち続けているなら、それは単なる中古車ではなく、特別な歴史的価値を持った財産です。私たちはそうした特別なバイクの真の価値を理解し、その魅力を最大限に評価する専門家です。TLM260Rの売却をご検討でしたら、ぜひバイクパッションにご相談ください。その唯一無二の価値を、正しく評価いたします。
| 車名/型式/年式 | TLM260R / MD23 / 1993年式 |
|---|---|
| 発売年月 | 1993年 |
| 車両サイズ(mm)・重量(kg) | 全長2,010mm 全幅820mm 全高1,080mm・95kg (装備重量) |
| シート高・最低地上高(mm) | 不明確・不明確 |
| エンジン機構・最高出力・燃費 | 空冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒・13ps(9.6kW))5500rpm・52.3 km/L (50 km/h走行時) |
| エンジン始動・燃料供給装置・タンク容量 | キックスターター式・キャブレター・6.0L |
| 新車販売価格 | 不明確 |
| ジャンル | トライアル バイク |
【実働車|過去10年間の買取相場の推移】 TLM260R
業者間オークションの取引価格(買取業者の転売額=販売業者の仕入れ額)の推移
2025年12月時点から 10 年 間遡った数字
【平均買取相場の変動】
【2024年間 vs 2025年】
【2022年間 vs 2025年】
【2015年間 vs 2025年】
取引台数
過去10年間の取引台数÷10
※データ更新:2025年12月19日
【状態別の買取相場】 TLM260R
業者間オークションの取引価格(買取業者の転売額=販売業者の仕入れ価格)
2025年12月時点から 5 年 間遡った数字
【状態別買取額の目安】
平均
最低
取引
0.0万円
0.0万円
0台
平均
最低
取引
0.0万円
0.0万円
0台
平均
最低
取引
0.0万円
0.0万円
0台
平均
最低
取引
0.0万円
0.0万円
0台
平均
最低
取引
8.5万円
6.0万円
2台
平均
最低
取引
10.3万円
8.6万円
3台
平均
最低
取引
0.0万円
0.0万円
0台
不動
平均
最低
取引
6.6万円
2.1万円
8台
※データ更新:2025年12月19日
【走行距離別の買取相場】 TLM260R
業者間オークションの取引価格(買取業者の転売額=販売業者の仕入れ価格)
2025年12月時点から 5 年 間遡った数字
【走行距離別買取額の目安】
|
不明 メーター改 |
最高 | 12.2万円 | 5台 |
| 平均 | 9.6万円 | ||
| 最低 | 6.0万円 | ||
![]() |
|||
※データ更新:2025年12月19日
【カラー別の買取相場】 TLM260R
- ■
- ■ ■
業者間オークションの平均取引価格(買取業者の平均転売額=販売業者の平均仕入れ額)
2025年12月時点から 5 年 間遡った数字
【カラー別 平均買取額の目安】
| ■ | 9.0 万円 | 4台 | ![]() |
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| ■ / ■ | 12.2 万円 | 1台 | ![]() |
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※データ更新:2025年12月19日
【実働車の取引価格帯】 TLM260R
業者間オークションの取引価格帯(買取業者の転売額=販売業者の仕入れ価格帯)
2025年12月時点から 5 年 間遡った数字
【取引価格帯と構成比】
※データ更新:2025年12月19日
買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の(年間 約20万台の)取引データを忠実に反映し、業者の最低限の儲けと経費を差し引いた競争力の高い実際の買取額を表示 しています。
【グラフ領域の金額】は買取業者の転売額です。
転売額とは買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場での落札金額に当たります。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引されています。
実は買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
そのため、業者間市場での取引額(業者の転売額)から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を割引いた金額が査定現場での実際の買取額になります。
業者間での取引額から割引かれる金額は、単価の低い原付バイクで0.6万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正かつ競争力の高い割引額と言えます。
率にすると概ね2%~10%の(高額車両ほど率が低い)割引率なので、業者間での取引額の90~98%が実際の買取額となると憶えておけば、査定額の妥当性や競争力を判断する材料になることでしょう。
TLM260R 上位20台の取引額 (データ更新:2025年12月19日)
| 落札額 | 評価点 | 車台番号 | 走行距離 | カラー | ||
| 1 | TLM260R | 12.4万円 | 2.8点 | TLM260RF-911 | 0km | ■ / ■ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | TLM260R | 11.2万円 | 3.7点 | TLM260RF-931 | 0km | ■ |
| 3 | TLM260R | 10.4万円 | 3.2点 | 260RF301 | 0km | ■ |
| 4 | TLM260R | 8.8万円 | 3.2点 | 260RF921 | 0km | ■ |
| 5 | TLM260R | 6.2万円 | 3.5点 | TLM260RF-960 | 0km | ■ |
【評価点】8点以上:新車 7点:超極上車 6点:極上車 5点:良好車 4点:多少の使用感 3点:難有 2点:劣悪 1点:事故不動
(※3~4点の評価ながら、値段が跳ねているケースの多くは純正品の無いカスタム車です)
【走行距離】単位はkm
上記は買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札金額のデータ
業者間オークション市場では年間に約20万台の中古バイクが取引されています





12月22日〜12月28日