チーフ デラックス【2009～12年】毎週更新の買取査定相場

ハーレーダビッドソン製の空冷OHVエンジンをベースにしたモデルの製造を続けたギルロイ時代、インディアン製モーターサイクルは「Harley Davidson Clones(ハーレーダビッドソンクローン)」と評されており、出来が良くとも”これは本物のインディアンではない"という微妙な評価に甘んじた不遇のモデルがいくつかありました。その時の汚名返上とばかりに、Stellican Ltd(ステリカンリミテッド)による再生を果たしたインディアンが市場へ送り出したのが、復活初年リリースの『Chief Deluxe(チーフ デラックス)』です。

ギルロイ時代の2001年から2003年にかけて販売されていた同名モデルは、当時インディアンを買収したグループの系列であった『California Motorcycle Company(カリフォルニア モーターサイクル カンパニー。略称はCMC)が以前に使用していたH-D製OHVエンジンをベースにした1,442ccの空冷エンジンを搭載するラグジュアリークルーザー。そのキャラクター性は残しつつ、新開発エンジンとステリカンリミテッド体制で新たに発足した新開発チームの手による全面改良が施されたのが2009年モデルとしてリリースされたCDA型 チーフデラックス、というのが大まかな背景。

クラシカルな外観を保ちつつ、大幅なアップデートが実施されたCDA型チーフ デラックスは、先代モデル譲りの鋼管パイプ製クレードルフレームに41ｍｍ径の正立式フロントフォークをレイク角34度でマウントし、前後16インチホイールに5.5ガロン容量のティアドロップ型ガソリンタンクとロングスカートフェンダーを組み合わせた古典的なシルエットが最大の特徴。レースホイールとビレットホイール、ブラックウォールとホワイトウォールタイヤの4パターンに加え、別途オプションとしてショートタイプフェンダーが用意されるなど、クラシカルなボディを美しく見せるための構成を最重視したボディメイクでした。ただしラグジュアリークルーザーとしての品質向上化も同時に図られており、燃料レベル/バッテリー電圧/リアルタイムクロック/ライトオプション/低燃料インジケーター/ギア表示/エンジンオイル低下表示機能などを盛り込んだ多機能デジタルメーターを新規導入し、ライダーの利便性を考えたコックピットへと改良。先代より108mmも高くなったシート高は非常に上質なレザーで作られた座り心地のよい専用シートによるもので、腰高なポジションながら沈み込みがよい車体で足つき性をカバーしつつ、見事な仕上げのフリンジや別途オプションカラーによるセレクトオーダーシステムを導入するなど、自由自在のカスタマイズ性を取り入れるなど、旧体制には見られなかった画期的なシステムを採用しているのも注目に値するポイントのひとつ。その他、ブレンボ製キャリパーと292mm径トリプルディスク採用による制動力も付与されるなど、クラシカルな全体像を壊さないように配慮しつつも、メーカーによるファクトリーカスタムを取り入れ発展性を拡げたのがCDA型チーフ デラックスの特色だと言えるでしょう。

搭載されるのはチーフシリーズ刷新のために編成されたエンジニアチームが開発した新型空冷Vツイン『パワープラス105』で、名称こそ先代チーフデラックスに搭載されていた『パワープラス100』を引き継いだ形ではあるものの、総排気量は1,442ccから1,721ccへと大幅に拡大されると同時に4バルブ化。さらに9:1という高圧縮比とFIの採用により最大トルク135.5Nmへとパワーアップを果たしており、乾燥重量338kgと大幅に重たくなった車体を問題にしないほどのハイパフォーマンスマシンとなりました。また、先代の5速ミッションから6速ミッションにアップデートされているところも注目すべきポイントで、100ポンド/フィートのトルクによるパフォーマンスを最大に活かせるよう、入念なテストによって導き出された各ギア比と滑らかになったシフトフィールが操縦性を向上させ、先代モデルよりも格段に高い推進力と加速を実現することに成功しました。電子制御の類が導入されていないため、エンジンフィールや鼓動感といった面では荒々しさを多々感じるものの、H-D製OHVをベースとしていた先代からの脱却ぶりは素晴らしく、市場からは非常に好意的な評価が相次ぐことに。インディアンで開発の指揮を取る前はH-Dのパワートレイン技術主任エンジニアを務めたニック・グラジャが率いるエンジニア陣にとって、このパワープラス105へ対する賞賛は最大の賛辞にして馳走となったことは言うまでもありません。まばゆいばかりに輝くクロム仕上げによる美しいエンジン外観も本機に華を添える重要なアクセントとなり、まさにステリカンインディアンの船出に相応しい才色兼備のラグジュアリークルーザーだと言えるでしょう。2008年に同時デビューを果たしたチーフスタンダード、チーフロードマスター、チーフヴィンテージと本機チーフ デラックスは4兄弟と言える関係であり、これにアメリカ合衆国軍属航空機とボンバージャケットをモチーフにした特別限定モデル『Chief Bomber(チーフ ボンバー)』を加えた5車種がステリカン期インディアンチーフの代表格といったところです。

ノースカロライナ州キングスマウンテンにて、熟練の職人によって組み立てられるプレミアムモーターサイクルメーカーとしての再スタートとなったCDA型チーフ デラックスの製造期間は約3年で終幕となってしまいましたが、豊富に用意されたカラーバリエーションの数々はポラリス傘下入りとなった後の後続モデルたちへも多大な影響を与え、今日の飛躍につながる大きな礎となりました。以下、本機チーフ デラックスに設定されたメーカー公式カラーリングです。

・単色
サンダーブラック/インディアンレッド/アイボリークリーム

・ツートーン
サンダーブラック&ウィンターホワイト/ミッドナイトブルーメタリック&ウィンターホワイト/サンダーブラック&インディアンレッド/ウィローグリーン&アイボリークリーム/スモークシルバーメタリック&ウィンターホワイト/インディアンレッド&アイボリークリーム/ナバホターコイズ&ウィンターホワイト(計7色)

単色・ツートーン合わせて全10色はこれまでのインディアン製モーターサイクルの中でも最多と言える数で、前述のフロントフェンダー2種/4パターンのタイヤセレクトシステムを適用すると全80パターンものカスタマイズが可能。この80パターンにシートカラーやフリンジを指定してオーダーするだけで自分好みのフルカスタムマシンが納車されるというシステムは今日現在のインディアン製モーターサイクルのビルドモデルシステムに受け継がれていることを鑑みると、CDA型チーフ デラックスが後続モデルたちに与えた影響の大きさが伺えます。

現在の中古バイク市場においては、インディアンモーターサイクルの名が一般的に知られていない期間が長かったことなど様々な要因が絡み日陰の存在となっていましたが、70年代から80年代にかけての日本メーカー製絶版車、海外メーカー製ビンテージバイクブームの影響を受ける形で再評価が進み、2013年ごろは業者間オークションで70万円を割る落札価格を記録していた相場が2017年には135万円を超えるまでに上昇。中古バイクの評価額は外観状態やエンジンコンディション、年式・走行距離などによって大きく異なるのが常ですが、それを鑑みても大幅な上昇率であることは間違いありません。まだポラリスジャパンのようにメーカーによる正規販売が行われていなかった時期であるため、その希少性と状態の良さが評価されての結果となった部分は多少あるものの、生産終了から程ない時期よりも高値がついたという事実は決して無視できる要素ではなく、状態次第ではより高い評価額になることに期待していいでしょう。2017年以降は同オークションでも出品記録がない状況が続いており、程度良好な車両であれば過去最高値の買取価格にも十分期待できるだけに、高額での買い取りを希望されるならばこの機を逃す手はありません。

ステリカンリミテッド時代の幕開けを飾り、今日現在のインディアンビルドモデルシステムに多大な影響を及ぼしたラグジュアリークルーザー・CDA型チーフ デラックスで高額買取を狙うには業者選びが非常に重要で、H-Dのビッグツイン群との違いや独自の魅力への正しい理解に加え、1世紀以上に及ぶチーフシリーズに関する正確な知識と適切に車両状態を評価できる目利き力を大前提とした上で、業者間オークションなどへの転売だけではなく自社店舗による直販体制などを駆使した様々な販路によって利益が出せる業者であることがもっとも肝要だとされており、販売力の差が買取価格に直結するもっとも大きなファクターとまで言われております。弊社バイクパッションはそのどちらをも満たしており、特にH-D製ビッグツインを含む海外メーカー製バイクに関しても単一店舗としては日本最多の販売台数実績を誇る直営店舗を持つ強みを活かし、再販売を前提とした「販売仕入れ価格」を適用した上で相場を大きく上回る超高額買取にも期待できます。

インディアン・CDA型チーフ デラックスの買替、高額売却をお考えでしたら、買取査定は海外メーカー製レアモデルの価値にも精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年10月07日