アプリリアの50ccと言えば、世界最大クラスの車体を誇るクラシック50、原付クラス最強スペックの呼び声も高い2スト版RS50などが代表格ですが、その陰に隠れたArea51(エリア51)もかなりの個性派スクーター。
全長2,220mmのロングボディに、シート高810mmという125ccオフロード並みの高いシート高。乗りやすさが身上のスクーターモデルではあるものの、本機は前後13インチという大きめのタイヤを採用。同じ50ccクラスのNSR50が前後12インチということを踏まえると、本機が体格に恵まれたイタリア人向けに設計されたことを強く実感させられます。面と緩いカーブが描く大胆なデザインに加え、二灯式に見える一灯式ヘッドライト、250cc並みのロングホイールベースによる直進安定性、片手持ちタイプのフロントサスなど、どれを取っても国産スクーターそこのけの異端児。燃料タンク容量も11.5リットルという圧巻の大容量を誇り、人とは違う原付を探してる方にはうってつけの一台でしょう。その反面、本機の先代的な位置付けにあたるSR50と比べ、メンテナンス性はかなりの難点を抱えており、何をするにも大きなカバーを外す労力が必要。しかも安全性確保のため、ストッパーのビスが4点以上に上る箇所も多く、維持の面ではオーナーの努力が求められます。しかし、搭載されるミナレリ製エンジンのポテンシャルは非常に高く、スロットルの一捻りで軽々と60km/hオーバーの加速力を発揮。欧州仕様のハイギアードセッテングなため、本来のポテンシャルを発揮するには思い切ってスロットルを開ける必要がありますが、2ストエンジンならではの瞬発力はもとより、その加速力が3桁に迫るまで続くのは圧巻の一言。大柄な車体設計のため、居住性と自由性は十分以上のものがあり、腰高なシート高を活かして攻める走りも十分に許容範囲内。気合を入れて攻めるならハングオンすらも可能で、片手持ちフロントサスの挙動にさえ慣れてしまえば、ノーマル状態でもサーキット走行を楽しめるほど懐の深い一面も。路面からのギャップを殆ど感じさせない高剛性の足回りも含め、2ストスクーター特有の「速さ」と維持の手間隙を楽しみたい方のセカンドバイクとして面白い存在です。実はマラグーティ ファントム50と同じエンジンであり、両者は一種の異母兄弟的な関係であるとも言えます。
現在の中古バイク市場においては、日本での販売期間が約3年と短かったこと、外車であったことにより流通数自体が乏しく、直近12ヶ月内での実動車両の取引台数は0台。SYMやキムコ製スクーターなどと比べてもかなりのレアモデル扱いです。セッティングが難しいキャブレター、前述の通りのメンテナンス上の難点もあり、車両価値の評価はまちまちで、扱う業者によっては驚くほど低評価であることも。それでもカバーに大きな亀裂が入った長期放置の不動車両が2万5000円で取引されており、安かろう悪かろうの外車スクーターとは一概に言えないのが現状です。それだけに、エリア51は現オーナー様の維持努力がストレートに車両評価に直結するため、維持努力次第では思わぬ高額買取となるケースも。
弊社バイクパッションにおきましては、この愛すべき個性派スクーター・エリア51をメカニック畑出身の熟練スタッフが査定を担当。イタリア製2ストマシンならではの気難しいエンジンなど、トラブルを抱えた状態でも直営店舗での販売などを踏まえ、どこよりも高く査定評価させて頂く自信がございます。マニアックなARROW製チタンマフラーといったカスタムパーツ装着車に関してもぜひお問い合わせくださいませ！

解説記事更新日：2021年12月25日