ビモータ YB8 /Furano /E【1990～94年】毎週更新の買取査定相場

1987年のTT-F1(現在のSBK)にて、デビュー初年度ながら八面六腑の大活躍により、チャンピオンマシンに輝くという栄光を掴み取ったビモータ・YB4。同じFZRシリーズのエンジンと基本骨子を継承し、1988年のYB6からより強力な新エンジンを得てのブランニューとなったのが、1989年から1994年にかけてビモータ製マシン最高傑作と称されたYB8シリーズです。

1989年と言えば、ピエルルイジ・マルコーニがテクニカル・ディレクターとして就任した年になりますが、このYB8の設計を行ったのは巨匠・タンブリーニが去った後のビモータを立て直したフェデリコ・マルティーニで、言うなればマルティーニ最後の作品と考えてもいいでしょう。YB8アルミ製ツインスパーフレームの骨格にヤマハ・FZR1000のエンジンという構成は先代にあたるYB6と同様ですが、排気量1,002ccの5バルブ化した新エンジンにより、最高出力を149PSにまで増強しての世代交代となりました。マルゾッキ製42mm径フォークや鋳造アルミニウムホイールなどもそっくり継承される形となり、実質的にはYB6 Tuatara(YB6 トゥアタラ)のマイナーチェンジという仕様。1989年当時は日本での販売を担当したカロツェリア・ジャパンにより、新車販売価格298万円にて販売され、1991年にはFZR1000後期型エンジンを搭載し、カウル類とライディングポジションを見直したYB10へと世代交代しました。

圧倒的な戦闘力で世界の大レースを制したYB4の系譜にしては些かパッとしないと評されていましたが、1991年に世界152台限定で販売されたスペシャルモデルの『YB8 Furano(YB8フラノ)』が登場したことにより、その評価は一変。欧米のバイクメディアからは「モーターサイクル界のフェラーリF40」と評されたこの特別仕様車は、ベースモデルと同じFZR1000のエンジンを採用しつつも、ウェバー・マレリ製インジェクションとピエルルイジ・マルコーニが率いるビモータ技術陣による独自のチューニングが施され、最高出力166PS/10,500rpmと、標準モデルを凌駕するハイパワーを実現。1990年代当時の燃料噴射システムはまだ未熟な部分が多々あり、今日現在とは比べ物にならないほど大雑把なものでしたが、レースの最前線で激闘を繰り広げたビモータ技術陣による緻密なチューニングの成果は非常に大きく、1992年にロードテストを実施したイタリアの『Moto』誌によるロードテストでは276.9km/hという驚異的なスピードを記録。ビモータの拠点であるリミニに面する海にちなんで命名された「FURANO(アドリア海の風の意)」の名に相応しく、心地よい加速と海が時折見せるような荒々しいパワー感に思わず唸らされてしまうハイスペックマシンだと言えます。

車体の方も見所満載で、フレームピボット、トップブリッジ、ステムなど各部にアルミ削り出しパーツを惜しげもなく採用し、前後フェンダーやサイレンサーにシフトロッドなどカーボン製パーツもふんだんに使用。「アンチコロダル」を素材としたYB8のツインスパーフレームよりも厚めに補強された専用フレーム、圧縮とリバウンドダンピング調整機構付きの前後オーリンズ製サスペンション、AKRONT(アクロン)製の2ピース前後ホイールに手塗りグラスファイバーとカーボンを用いた専用カウリングなど、ほぼ全ての構成パーツが専用設計と言えるレベルでした。いくら世界限定152台という特別仕様車とは言え、これほどの専用パーツを盛り込んでも乾燥重量はたった180kgというのが驚嘆に値するところで、同年にリリースされたカワサキ・ゼファー400が乾燥重量177kgであったことと比較すると、いかに軽量であったかが伺い知れるでしょう。この軽量ボディと最高出力166PSを発揮するパワーユニットにより、YB8フラノは古今無双のパワーウェイトレシオを実現し、当時の為替レート換算で約500万円という販売価格以上に魅力のあるスペシャルマシンとして、世界中にその名を轟かせ今日現在でも伝説のスペシャルマシンとして海外ではカルトな人気を保っている希少な一台だと言えるでしょう。

現在の中古バイク市場においては、標準モデルのYB8が573台、YB8フラノが世界限定152台というわずかな生産台数であったため、中古バイクとして流通している車両の多くは標準モデルの『YB8 Forgore(YB8 フォルゴレ・YB8は略称)』の方ですが、時折YB8フラノが業者間オークションに出品されるケースもあり、その際はかなり白熱した競りが繰り広げられることとなっております。2020年ごろまでは業者間オークションで60万円を超えない程度の価格帯で取引されていましたが、新型コロナウイルスの世界的流行により、新車の供給体制が著しく悪化した「コロナショック」を機に新車全体の販売価格が暴騰したことで絶版車人気が加速したことに伴い、本機YB8シリーズも再評価されることに。2016年の取引記録では、YB8としては底値と言える35万円台で落札されていた車両が、2024年には同程度の車両状態でありながら58万円台で落札に至っており、海外メーカー製バイクの中でも大幅に評価が上昇したモデルのひとつとなっております。また、2023年暮れあたりから顕著になり始めた円安の影響により、その為替レートに目をつけた海外業者が日本の中古バイク市場で絶版車を求めるケースが増加しており、世界的にも知られた名車のひとつであるビモータ・YB8フラノは注目株のひとつだけに、高額での売却を希望されるオーナー様にとっては絶好の売り時だと考えていいでしょう。

ビモータ&ヤマハの組み合わせによる戦闘力の高さを見せつけたYB8シリーズで高額買取を狙うには業者選びが非常に重要で、職人による手作業で組立てされた特殊性に伴う車両に関する造詣の深さ、チューナーの手による搭載エンジンの性質への理解とコンディションを見極める能力の高さ、世界限定152台という少数ながら名車の呼び声高いYB8フラノの希少性への理解など、様々な要素を満たした買取業者に任せるのが最善です。弊社バイクパッションはそれら基準を全て満たしており、中古バイク買取業界トップの顧客満足度の高さにより、買取査定をお申し込み頂いたオーナー様からお褒めの言葉を頂戴しております。また、車両状態によっては単一店舗としては日本最多の販売台数実績を誇る直営店舗を持つ強みを活かし、再販売を前提とした「販売仕入れ価格」を適用した上で相場を大きく上回る超高額買取にも期待できます。

ビモータ・YB8シリーズの買替、高額売却をお考えでしたら、買取査定は希少な海外モデルの価値にも精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月21日