無印ベースグレードと上位グレード「S」、そしてホモロゲーション「R」の3グレード展開が定石となっているDucatiスーパーバイクシリーズであるが、1199 Panigaleはスーパーバイク史上でも特に多様なバリエーションが展開された機種だ。
以下が1199シリーズのバリエーションである（登場イヤーの数字、価格は税抜メーカー希望小売価格）
・「無印」：2012～14年　199万円　195馬力/10,750回転（日本仕様は135馬力/8,000回転）　乾燥重量164kg（ABS装備で170.5kg）
（※以下ベースグレードと異なる点のみ記載）
・「S」：246万円　
・「S トリコローレ」：275万円　乾燥重量165.5kg（ABS標準装備）
・「R」：2013～14年　294万円　乾燥重量165.5kg/日本仕様169kg（ABS標準装備）
・「スーパーレッジェーラ」：2014年　620万円　乾燥重量155kg（ABS標準装備）

上位グレード「S」はベースグレードに比べマルケジーニ製アルミ鍛造ホイール、前後Ohlins電子制御サスペンション、カーボンファイバー製フロントフェンダーなどで付加価値を高めた中間グレードであるが、Sよりも約20万円高い最上位グレードである本機1199 パニガーレ「R」では更に以下の差別化が図られている。

・4点での位置調整が可能なスイングアームピボット
・カーボンファイバー製の外装（アッパーカウルのインナーパネル、ヒールプレートガード、リアサスガード、スイングアームプロテクター、リアフェンダー、クラッチカバープロテクター、イグニッションパネルなど）
・付属のレース キット（テルミニョーニのレースエキゾースト システムと専用 ECU、レーシングスクリーンとミラーキャップ）
・約1.5kg軽量化が図られたエンジン
・グラフィック（シルバーラインが入ったタンクやシートカウルなど）
・rpm上限は500回転引き上げられ12,000rpmに

赤に塗装されたフェアリングを除くと殆どがカーボンファイバー製で軽量化が図られている外装。グラフィックもタンクトップやシートカラーにシルバーのラインを配色し両サイドカウルにはDUCATI CORSEが大きく入っている。
エンジンの軽量化は、軽量クランクシャフト フライホイールとチタン製コンロッドやDLCコーティングのロッカーアームの採用によって達成されたがその恩恵としてレブリミットが従来比で500回転上り12,000rpmに。
ホモロゲーションモデルでもある最上位「R」は付属のレース キットを装着することでパワーバンドの出力向上が図られる。具体的には高回転域で3%、中回転域で15％向上し最大馬力は200馬力超を発揮する。軽量化とレーシーな付属品によってPower weight Ratioがストイックに追及されている。

登場の翌2014年モデルは諸元上の変更は無くカラーリングも継続されたが約8万円お値上げ入り302万へ価格が改定されている。
2015年モデルではベースグレードと上位グレード「S」は排気量を1,285ccに拡大し最大205馬力(海外仕様)を発揮する1299パニガーレへと進化を遂げているのだが、ホモロゲーションモデルである本機1199パニガーレRはSBKのレースレギュレーションの縛り（参戦の上限排気量が2気筒は1200ccまで）によってパニガーレ1299の車体に引き続き1198ccエンジンを搭載していた。
なお2018～20年にかけてラインナップされていた1299パニガーレ R ファイナルエディションは幕を閉じることとなったLツインの最後を飾るFinal Editionの記念モデルである。
売る際のリセールバリューだが、低走行でエンジン状態が良く、外装や足回りの状態の良い個体が高額査定に繋がり易く、当然ながら1199パニガーレシリーズでは最上位グレードとして再販価値は最も高い（Superleggeraを除く）。
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解説記事更新日：2022年11月17日

【2013年式】1199パニガーレRは、WBSK（世界スーパーバイク選手権）を制するためのホモロゲーションモデル（出場車として認証を得るための車両）です。
世界スーパーバイク選手権に参戦する『ワークスマシン』と同時開発されたホモロゲーションモデルは、「スーパークアドロ・エンジン」においてはチタンコンロッドは674g、軽量フライホイールは700gの軽量化をはじめとして、カーボンクラッチおよび各プロテクションカバーなどの採用により、1.5kg の軽量化を達成しています。
また、レブリミットも12,000rpmに引き上げられ、日本仕様は ABS を標準装備としながらも、乾燥重量では 169kg を実現しています。

解説記事更新日：2020年08月20日

【2014年式】1199パニガーレRは、SBK（スーパーバイク世界選手権）のレーサーと協力して作られたホモロゲーションモデル（出場車として認証を得るための車両）です。
イタリア本国仕様の乾燥重量165kgは、専用ECU付きテルミニョーニ製フルエキゾースト、リアファインダーを始めとするカーボンパーツ、レーシングスクリーンなどの装着により実現されています。
また、「1199パニガーレ」から搭載されるようになった1198ccのスーパークアドロエンジンも、その内部から手が加えられ、コネクティングロッドはチタン製になり、軽量なフライホイールを採用することで、下位の1199パニガーレモデル（Sタイプ）から、それぞれ674g、700gの軽量化が実現されました。

解説記事更新日：2020年08月24日