オフロードマシンの様なシャープな車体にオンロード仕様の足回りをセットする「ハイパーモタード」だが、2010年モデルで新たなミドルクラスマシンが登場した。それが、本モデル「ハイパーモタード 796」である。
既に上位クラスに「ハイパーモタード 1100」がラインアップされているが、「1100」がスパルタンでレーシーなフィーリングに仕上げられているのに対して、本モデルは日常ユースでもストレスなく扱えるようなマイルドさも備えている。

車体は新設計のスチール鋼管製トレリスフレームを採用している。そこに搭載するエンジンは、ボア・ストロークが88mm×66mmの803㏄空冷2バルブL型ツイン「デスモデュエ」となる。「モンスター 696」に搭載されているユニットとボア径は同じだが、ストローク量を延長することで排気量アップされたエンジンである。さらにプラグやツインではなくてシングル仕様となっている。
デビューモデルとなった2010年式の日本向けは、最高出力が8,000回転81馬力というスペックだった。最大トルクは、6,250回転で75.5Nmを発生する。
トランスミッションは6速ギヤボックスにスリッパー機構付きの湿式クラッチでストップ&ゴーを多用するストリートでも扱いやすい。ちなみに上位モデルの「ハイパーモタード 1100S」は、湿式クラッチでダイレクトなフィーリングが特徴だ。
本モデルの足回りは、フロントにマルゾッキ製のインナーチューブ43mm倒立フォークと17インチキャストホイールという組み合わせ。ブレーキは305mmのダブルディスクにブレンボ製ラジアルマウント4ピストンキャリパーをセットする。
リヤはアルミ製の片持ちスイングアームにザックスのモノショックをセット。ブレーキは245mmディスクと2ピストンキャリパーという構成。
実用装備面では、「ハイパーモタード」のトレードマークとも言える折り畳み式でハンドルバーエンドに設置される「ハイパーミラー」も採用されている。

ライバルモデルとしては、後発マシンとなるが2011年にトライアンフから展開された「タイガー 800」が比較対象になるだろう。
エンジンは水冷DOHC4バルブの並列トリプルで、排気量は800ccだった。最高出力は9,300回転95馬力というハイパワー仕様。最大トルクは、7,850回転で79Nmに到達する。ただ、マシン重量は210kgで、本モデルより重い。シート高は810mmで本モデルより15mm低い。

なおデビュー以降の「ハイパーモタード 796」は、2012年式まで設定されて翌年に水冷L型ツインを搭載する「ハイパーモタード 821」へ世代交代となった。

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解説記事更新日：2024年02月05日

モタードカテゴリのエントリークラスとして2010年にデビューした「ハイパーモタード 796」は、日本向けが同年9月に発売された。
カラーバリエーションは、ブラックのフレームとホイールを採用する「マットホワイト」と「マットブラック」が115万円(税込)、レッドのフレームにブラックのホイールを組合せる「レッド」が119万円(税込)で発売された。
専用設計で新開発されたスチール製トレリスフレームに搭載するエンジンは、803ccの空冷2バルブL型ツイン「デスモデュエ」ユニットとなる。最高出力は、8,000回転で81馬力を発生する。最大トルクは、6,250回転75.5Nmというスペック。
エキゾーストパイプはシート下を通ってリヤ中央にデュアル出しレイアウトを採用することで、スリムな車体を実現。
ミラーもハンドルバーエンドにセットする「ハイパーミラー」を採用することでマシンのサイドビューが高さを抑えたスマートなフォルムに仕上がっている。

ちなみに上位クラスの「ハイパーモタード 1100」は、2010年式で95馬力パワーアップしたエンジンを与えられた「ハイパーモタード 1100 EVO」へ進化していた。出力アップを実現しながら、エンジン本体は5.2kgの軽量化に成功しており乾燥重量は本モデルと僅か5kgしか差がない172kgとなっていた。価格は149万円(税込)で本モデルより30万円アップとなるが、スペック重視でアグレッシブなラインディングを楽しみたいのなら新柄フラッグシップの「ハイパーモタード」もアリだ。
一方、日常ユースでの扱い易さを求めるなら本モデルがマッチするだろう。

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解説記事更新日：2024年02月05日

湿式クラッチの採用や扱いやすい低~中回転域の出力特性で幅広いライダーをターゲットにする「ハイパーモタード 796」だが、デビュー2年目となる2011年式は目立った仕様変更を受けることなく従来通りの仕様でラインアップ継続となっていた。
カラーバリエーションと価格も変わらずで、「マットホワイト」と「マットブラック」が115万円(税込)、「レッド」が119万円(税込)となっていた。
エンジンは、空冷2バルブL型2気筒の「デスモデュエ」を搭載する。803ccの心臓部は、8,000回転81馬力というスペック。最大トルクは、6,250回転75.5Nmとなる。
825mmのシート高でアイポイントも程よく高く見晴らしの良い視界を確保。日常使いからワインディングまで、様々なシーンでマシンを操る楽しさを味わえるマシンだ。シリーズのフラッグシップモデル「ハイパーモタード 1100 EVO」よりはマイルドで扱いやすいマシン特性に仕上げられているのでビギナーライダーでも不安なく楽しめるだろう。

ちなみに本モデルと同系エンジンは、ネイキッドモデルの「モンスター 796」にも搭載されている。こちらはセッティングが異なっていて最高出力は8,250回転87馬力のハイパワー仕様。最大トルクも6,250回転78Nmとなっている。乾燥重量は167kgで同じだが、シート高は800mmで本モデルより25mm低い。価格は119万円(税込)で4万円高となるが、スペックや足つき性といった要素を優先したいのであれば「モンスター 796」も検討候補の1台となり得るだろう。

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解説記事更新日：2024年02月05日

「ハイパーモタード」シリーズのエントリーモデルとして2010年に発売された本モデルだが、デビュー3年目となる2012年式が最終仕様となった。
登場して以来、仕様変更は受けていない。2012年式も従来通りのマシン構成で、カラーバリエーションは3タイプ。「マットブラック」と「マットホワイト」が115万円(税込)で、「レッド」は119万円(税込)で販売された。
スチール鋼管製トレリスフレームにマウントされるエンジンは、803ccの空冷2バルブL型ツインユニット。最高出力が8,000回転81馬力で、最大トルクは6,250回転75.5Nmというスペック。
足回りは、フロントに43mmのマルゾッキ倒立フォークを装備して17インチキャストホイールにピレリの「ディアブロ ロッソ」を履く。ブレーキは305mmのダブルディスクにブレンボキャリパーという組み合わせ。
ストリートユースはもちろんのことサーキットでの本格的なスポーツ走行も十分対応可能なスペックを秘めている。

比較対象としては、格下排気量となるがKTMが展開する「690 デューク」が候補に挙がるだろう。本モデルより17.5kg軽い乾燥重量149.5kgの車体が抱えるパワーユニットは、690ccのOHC4バルブ水冷単気筒エンジンだ。最高出力は7,500回転68馬力で、最大トルクが5,500回転70Nmというスペック。パワーは劣るがストリートでの軽快なハンドリングやフットワークという運動性能の面では、いい勝負になるだろう。

なお2012年式が最終モデルとなった「ハイパーモタード 796」だが、翌2013年には水冷エンジンを与えられた「ハイパーモタード 821」が登場して新たな世代へと移行した。

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解説記事更新日：2024年02月05日