モトクロッサーのようなフォルムにオンロード用の足回りをセットするクロスオーバーモデル「ハイパーモタード」は、2013年に世代交代を実施して「ハイパーモタード 821」に集約された。そのタイミングで派生モデルの1台として登場したのが本モデル「ハイパーストラーダ 821」だった。日本仕様は2013年6月に発売された。
本モデルのシャシーとエンジンは、「ハイパーモタード」と共用している。スチールパイプのトレリスフレームにL型ツインという組み合わせはドゥカティの伝統スタイル。
パワーユニットは、ボア・ストロークが88mm×67,5mmの821cc「テスタストレッタ11°」を搭載。最高出力は9,250回転で110馬力を発揮する。最大トルクは7,750回転で89Nmというスペック。
エンジンスペックこそはシリーズの他モデルと変わらないが、本モデルはツーリング仕様に仕上げたマシンということで以下の専用ディテールを採用している。

・20mmハンドルライザー
・パニアケース
・大型ウィンドウスクリーン
・センタースタンド
・大型マッドガード
・エンジンガード
・12V電源ソケット

足回りのサスペンションもストローク量がフロント40mm、リヤが17mmショート化されていて、シート高は810mmで足つき性が良いのも特徴だ。ちなみにベースモデルの「ハイパーモタード 821」は850mmで、上級グレードの「SP」モデルは870mmあったので、ライダーの体格によっては足つきに不安を感じることもあっただろう。一方、「ハイパーストラーダ」は、20mmアップのハンドルライザーもセットされていることからライディングポジションもアップライトで扱いやすいマシンに仕上がっている。そのハンドル上部には大型で風防効果に優れた大型スクリーンがそびえ立つ。
加えてマシン後方両サイドにはトータル50L容量のパニアケースを装着。さらにユーティリティアイテムとして12Vの電源ソケットが2か所に設置されていて、ノーマル状態ですぐにロングツーリングに出かけられるような構成だ。
ライバルモデルとしては後発マシンとなるが、ヤマハが2015年モデルで投入した「MT-09 トレーサー」が比較対象になるだろう。本モデルより6kg重い210kgの車体が搭載するエンジンは、846ccの並列3気筒ユニットとなる。最高出力は9,000回転110馬力で、最大トルクは8,500回転88Nmという仕様。エンジンスペックは、ほぼ互角となるが、車体が軽い分パワーウェイトレシオは本モデルが有利。そしてシート高も「MT-09 トレーサー」は845mmで、「ハイパーストラーダ」より35mm高い。
なおデビュー以降の本モデルは2015年式まで展開されて、2016年に「ハイパーストラーダ 939」が登場して世代交代となった。

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解説記事更新日：2024年01月21日

「ドゥカティ」のツーリング・アドベンチャーモデルとしては、「ムルティストラーダ」のイメージが強いが、2013年モデルでは刷新された「ハイパーモタード」シリーズにツーリング仕様のバリエーションマシンが設定された。それが本モデル「ハイパーストラーダ 821」である。
日本仕様は、同年6月に149万円(税込)で発売された。
シリーズのラインアップ構成では、中間価格モデルとなる。無印「ハイパーモタード」より10万円高く、上級グレードの「SP」タイプより30万円リーズナブル。
同じシリーズに属する3モデルとは言っても、本モデルは他2マシンとはコンセプトが大きく異なる。スポーティなライディングよりも長距離移動時の快適性や利便性を重視した設計となっている。そのコンセプトは一目瞭然。フロントスクリーンはロングタイプの防風効果に優れた仕様。リヤサイドにはパニアケースが標準装備となる。
さらにストローク量をショート化した専用サスペンションをセットすることで車高が下がり、シート高も810mmで足つき性が良い。
さらにDC電源ソケットが2か所に設置されていて電子デバイスのバッテリーチャージなどに重宝する。
またセンタースタンドも標準装備化されているので、メンテナンスや駐車時の利便性も他2モデルより優れている。ただ重量に関しては追加装備の兼ね合いもあって204kgとベースモデルより6kg重くなる。
なおデビューモデルとなった2013年式の「ハイパーストラーダ 821」は、「レッド」と「アークティックホワイト」の2カラーバリエーションで展開された。

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解説記事更新日：2024年01月21日

ハイパーモタードが刷新されると同時に登場した「ハイパーストラーダ」だが、デビュー2年目となる2014年式は、従来通りの仕様でラインアップ継続となった。カラーリングも前年から変わらずで、「レッド」と「アークティックホワイト」の2バリエーション展開。
価格は8万3,714円アップの157万3、714円(税込)で販売された。
サーキット走行も十分可能なスペックを持つ「ハイパーモタード」をベースにしているということで、その走行性能は折り紙付きとなる。
マシンの心臓部は、9,250回転で110馬力を発生する821㏄の水冷Vツイン「テスタストレッタ11°」を搭載。最大トルクは、7,750回転89Nmというスペック。
ライディングモードは3タイプから選択が可能。「スポーツ」モードは、110馬力、「ツーリング」モードも110馬力だが、「アーバン」モードでは最高出力が75馬力に制御される仕組みを採用している。
ライバルモデルとしては、カワサキが海外展開する「ヴェルシス」が比較対象になるだろう。アルミツインチューブフレームに搭載するエンジンは、1,043ccの並列4気筒ユニット。最高出力は9,000回転118馬力で、最大トルクは7,700回転102Nmというスペック。格上排気量エンジンのハイスペックマシンだが、重量は239kgで本モデルより35kg重い。シート高も845mmで「ハイパーストラーダ」より35mm高い。
ロングツーリングでの安定性では「ヴェルシス」だが、普段使いの扱い易さも重視するなら本モデルが有利だろう。

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解説記事更新日：2024年01月21日

純正パニアケースやロングタイプのフロントスクリーンを採用しながらもベースはモタードマシンという個性的なハイポテンシャルモデル「ハイパーストラーダ 821」は、デビュー3年目となる2015年式が最終仕様となった。
カラーリングは、従来の2タイプバリエーションから「レッド」の1カラーに縮小となった。価格は日本向けが162.9万円(税込)で前年から5万5,286円の値上げが行われている。
なおメカニカルな部分は変更されておらず、主要諸元は変わっていない。
スチール製トレリスフレームに搭載する水冷L型ツインは、821ccの「テスタストレッタ11°」ユニットとなる。最高出力は、9,250回転110馬力で最大トルクが7,750回転89Nmというスペック。ライドバイワイヤ機構が可能にする走行モード選択機能には、「ツーリング」だけでなく「スポーツ」や「アーバン」も用意されていて、異なるシーンに応じてマシンの出力がコントロールされるマルチなマシンだ。
シートは、ツーリングシートが装着されていて、サスペンションもベースモデルの「ハイパーモタード」とは異なっている。810㎜の足つき性が良いサイズになっているので、大型マシンに不安を感じているライダーでも意外と安心してチャレンジできるだろう。
ライバルモデルとしては、同じく水冷Vツインを搭載するスズキの「Vストローム1000」が台頭する。エンジンは格上排気量の1,036cc水冷90度Vツイン仕様。最高出力は、8,000回転100馬力とロースペックだが、最大トルクは僅か4,000回転で103Nmを発生するトルクフルなマシンだ。スタイリングやフィーリングの好み次第で、どちらのマシンがマッチするかが変わってくるだろう。
なお本モデルは、この2015年式をもってラインアップから姿を消すことになるが、翌2016年には排気量アップしたニューモデル「ハイパーストラーダ 939」が登場して世代交代となった。

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解説記事更新日：2024年01月23日