ドゥカティのオールラウンダーのフラッグシップとして2007年から展開されてきた「ムルティストラーダ 1100」は、2010年に次世代モデルへ移行。そこで登場したのが電子制御スロットルの水冷L型ツインを搭載する「ムルティストラーダ 1200」シリーズだった。そのバリエーションモデルで上位グレードとして設定されたのが本機「ムルティストラーダ 1200S」となる。新型へと移行した2010年当時の「1200S」は、オーリンズ製の電子制御式サスペンションとABSを標準装備することでベースグレードとの差別化が図られていたが、その「S」タイプの中にも「スポーツエディション」と「ツーリングエディション」という2つのグレードが用意されていた。

車体は、スチールパイプを使用したトレリスフレームを採用して1,198.4ccの水冷4バルブL型ツインエンジンを搭載。最高出力は日本仕様が6,000回転102馬力、最大トルクは6,000回転111.7Nmというスペックで導入された。ちなみに本国イタリアモデルは150馬力・118.7Nmのフルパワー仕様だった。
足回りは、フロントに48mm径のオーリンズ製フルアジャスタブル倒立フォークを装備して、リヤは片持ちスイングアームに同じくオーリンズのフルアジャスタブルモノショックをセット。10本スポークデザインの17インチアルミキャストホイールを前後に履いて、トリプルディスクブレーキで足元を固める。フロントキャリパーにはブレンボのラジアルマウントモノブロック4ピストンキャリパーが奢られた。
フェンダー類にカーボンファイバーを使用する「スポーツエディション」とパニアケースやセンタースタンドを標準装備する「ツーリングエディション」の2本立てでラインアップされた「1200S」だが、2012年には特別仕様の「パイクスピークスペシャルエディション」を展開するなどしてラインアップを継続。2013年モデルからは電子制御サスペンションがアップグレードされて「ドゥカティ・スカイフック・サスペンション(DSS)」を採用した。
その後は、2015年に「ムルティストラーダ1200」シリーズがエンジン変更を伴うモデルチェンジが行われ、このタイミングで無印グレードと「S」タイプという2クラスへ編成された。

ライバルモデルとしては、BMWモトラッドから展開される「R1200GS」が比較対象になる。2015年式で比較すると「R1200GS」は、125馬力・125Nm仕様の空水冷1,169ccボクサーツインを搭載していた。6種類のライディングモードの中には「エンデューロ」メニューも用意されていて未舗装路での走行性能も重視したマシンであることが見て取れた。足元は、フロント19インチ・リヤ17インチのキャストホイール。メインの走行シーンが舗装路か未舗装路かで、「ムルティストラーダ1200S」と「R1200GS」のどちらがマッチするかが変わってくるだろう。

なお2015年以降の本機は、目立った仕様変更を受けることなく2017年式まで設定されて次期モデルの「ムルティストラーダ1260S」が登場するまで販売された。

買替や売る際の買取査定は、2010~17年式 ムルティストラーダ1200Sの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年08月12日

ムルティストラーダの最新モデルとして2010年式で展開された「1200」シリーズは、ベースグレードと足回りが強化された「S」グレードの2タイプが用意された。これまでの「ムルティストラーダ 1000 DS/1100」と異なるのは、「S」グレードに2タイプのバリエーションモデルが設定されたことだった。2010年式の「ムルティストラーダ 1200 S」は、「スポーツエディション」と「ツーリングエディション」の2モデル展開。
日本国内向けは、それぞれ以下のカラーリングと価格で導入された。

・「ダイヤモンドブラック」　235万円(税込)
・「ドゥカティレッド」　235万円(税込)
・「アークティックホワイト」　235万円(税込)

いずれのエディションもカラーバリエーションと価格は同じだった。
メカニカルも共通で、新型トレリスフレームには水冷式のL型2気筒4バルブユニットを搭載する。1,198.4ccの心臓部は、本国モデルが9,250回転150馬力というスペック。最大トルクは7,500回転で118.7Nmを発生する。
足回りは前後オーリンズ製の電子制御サスペンションを装備して、安全面ではABSも標準装備となっている。
「S」タイプの両モデルの違いだが、「スポーツエディション」は、エアインテークカバーやフェンダー、ベルトカバーがカーボン製となる。そして「ツーリングエディション」は、ボディ同色パニアケース、グリップヒーター、センタースタンドが標準装備。
新車時からアクセサリーやツーリンググッズを装着することで、幅広いライダーにアプローチする新型マルチパーパスマシンだ。

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解説記事更新日：2024年08月12日

電子制御スロットル仕様の水冷4バルブL型ツインを搭載する新型マルチパーパス「ムルティストラーダ 1200S」だが、デビュー2年目となる2011年式も引き続き「スポーツエディション」と「ツーリングエディション」という2タイプ構成でラインアップ。日本国内向けのカラーリングと価格は以下の通り。

・継続「ダイヤモンドブラック」　219万円(税込)
・継続「ドゥカティレッド」　219万円(税込)
・継続「アークティックホワイト」　219万円(税込)

カラーリングに関しては前年から変わっていないが、価格は16万円の値下がりでアクセスしやすいマシンとなった。なお、いずれのエディションもカラーバリエーションと価格は同じ。メカニカルもキャリーオーバーとなるので主要諸元に変更は無い。
マシンの心臓部は水冷L型ツインで9,250回転102馬力仕様。最大トルクは7,500回転で111.7Nmを発生する。ちなみに本国モデルは150馬力・118.7Nmとハイスペックだった。ライディングモード選択機能には、「アーバン」・「ツーリング」・「スポーツ」・「エンデューロ」の4メニューが用意されている。安全面の電子制御システムは、ABSとトラクションコントロールを標準装備。

フェンダーやベルトカバーに軽量高剛性の高級素材カーボンを使用してスポーティテイストを強調するのが「スポーツエディション」だが、「ツーリングエディション」はカーボンパーツの代わりにグリップヒーターやパニアケース、センタースタンドを装着して長距離移動時の快適性を高めている。2011年式では、センタースタンドの形状変更とパニアケースロックの設計見直しで使い勝手が良くなった。

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解説記事更新日：2024年08月12日

水冷4バルブL型ツインを搭載するマルチパーパスの上級モデル「ムルティストラーダ 1200S」は、2012年式でカラーチェンジとバリエーションモデルの追加が行われた。
新たに設定されたのは、2010年のヒルクライムレース「パイクスピーク」の優勝マシンをモチーフにした「ムルティストラーダ 1200S パイクスピーク スペシャル エディション」だった。シャシーやエンジンは既存の「1200S」と変わらないが、専用カラーの採用やテルミニョーニ製サイレンサーの装着、カーボン製ショートスクリーンのセットで差別化が図られていた。価格は日本向けが247.5万円(税込)で導入された。
なお従来から展開される「1200S」は、引き続き「スポーツエディション」と「ツーリングエディション」の2ライン構成で以下のカラーリングを設定。

スポーツエディション
・継続「ドゥカティ レッド」　219万円(税込)

ツーリングエディション
・継続「ドゥカティ レッド」　219万円(税込)
・継続「アークティックホワイト」　219万円(税込)
・新色「レースチタニウムマット」　219万円(税込)

カーボンパーツを装着する「スポーツエディション」は、メーカーイメージカラーのレッドのみとなったが、「ツーリングエディション」は、ブラックが廃止となって新たにガンメタが用意された。価格に関しては、いずれも前年から据え置きとなる。

メカニカルのアップデートは無く、主要諸元は前年通り。
4種のライディングモード選択機能で出力特性を変更できるパワーユニットは、1,198.4ccの水冷L型4バルブ2気筒「テスタストレッタ11°」エンジンとなる。最高出力は日本モデルが6,000回転102馬力仕様。最大トルクは6,000回転で111.7Nmを発生する。
足回りは、ゴールドアルマイト仕上げのアウターチューブが高級感を放つオーリンズ製セミアクティブ式サスペンションを前後に装着。優れた路面追従性と快適な乗り心地で幅広い走行シーンに対応するハイスペックマルチパーパスである。

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解説記事更新日：2024年08月12日

新型エンジンとシャープなカウルデザインを採用して2010年に次世代へと進化した「ムルティストラーダ 1200」シリーズは、2013年式で最初のマイナーチェンジを実施。上位グレードの本機「1200S」にもアップデートは適用されておりマシンの完成度が高められた。2013年モデルの変更ポイントは次の内容だった。

・エンジン仕様変更
・サスペンション仕様変更
・カラーチェンジ

本機に適用されたメインのアップデート内容は、足回りのサスペンション仕様変更だった。従来から豪華なセミアクティブ式オーリンズ製サスキットを装着していたが、2013年からはザックス製のDSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)へとアップグレードされた。これは走行時の路面状況に応じて最適な減衰力に自動で調整することで快適な乗り心地と優れた路面追従性、マシンコントロール性を実現するというもの。
エンジンはデュアルスパークの6,000回転105馬力仕様「テスタストレッタ11°DS」を搭載する。最大トルクは6,000回転で116.6Nmを発生した。
なお2013年式の「ムルティストラーダ 1200S」は、これまで展開されてきた「ツーリング エディション」がカタログ落ち。さらにグレード名末尾の「エディション」という称号は無くなり「ツーリング」として既存タイプが継続。くわえて、「ツーリング」の収容装備を拡大させて、エンジンガードや大型ウィンドウシールドなどの追加アイテムを装着する「1200S グランツーリスモ」が登場してグレードの再編成が行われた。ハイパフォーマンス仕様で前年に登場した「パイクスピーク」を継続。それぞれのカラーリングと価格は以下の通りだった。

グランツーリスモ
・「ツーリング・グレイ」　239万円(税込)

ツーリング
・新色「マットクロム」　219万円(税込)
・継続「ドゥカティ レッド」　219万円(税込)

パイクスピーク
・継続「コルセ」　247.5万円(税込)

ちなみにエントリーモデルの無印グレードは、「ツーリング」と同カラーバリエーションの185万円(税込)で販売されていた。

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解説記事更新日：2024年08月12日

デュアルスパークエンジンとザックス製の高性能サスペンションを与えられてパフォーマンスアップが図られたマルチパーパス「ムルティストラーダ 1200S」だが、デビューから5年目を迎える2014年式は目立った変更ポイントは無く前年とおなじ仕様で継続ラインアップとなった。各バリエーションのカラーと価格は以下の通り。

ツーリング
・継続「ドゥカティ レッド」　231万4,287円(税込)
・継続「マットクロム」　231万4,287円(税込)

グランツーリスモ
・新色「ドゥカティ レッド」　252万1円(税込)
・継続「ツーリング グレイ」　252万1円(税込)

パイクスピーク
・継続「コルサ」　262万2,858円(税込)

前年に追加設定された豪華ついーリング装備の「グランツーリスモ」は、従来の1カラーからメーカーイメージカラーの「レッド」も加わって、2バリエーションへ増強されていた。

メカニカルはいずれのグレードも変わっておらず、6,000回転105馬力仕様の1,198.4㏄水冷L型ツイン「テスタストレッタ11°DS」ユニットをスチール製トレリスフレームにマウントする。最大トルクは6,000回転116.6Nmというスペック。
長距離移動の快適性を重視して本機に乗るなら新車時から収納グッズのパニアケースなどが装着された「ツーリング」や「グランツーリスモ」がおススメだが、エンジンのポテンシャルを最大限に引き出すアクティブなライディングが好みなら軽量高剛性のマルケジーニ製アルミ鍛造ホイールやカーボン仕上げテルミニョーニ製サイレンサーなどを装着して乾燥重量194kgの「パイクスピーク」が望みをかなえてくれるだろう。

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解説記事更新日：2024年08月12日

最初のマイナーチェンジが行われた2013年式から3年の月日が経過した2015年モデルで「ムルティストラーダ1200」シリーズは大々的な仕様変更を実施。エンジン本体から足回り、電子制御システムに至るまで以下のアップデートを受けて完成度がさらに高められた。

・エンジン仕様変更
・ボッシュ製IMU搭載
・コーナリングABS採用
・ウィリーコントロール採用
・ブレーキ仕様変更
・灯火類フルLED化
・TFT液晶カラーメーター
・コーナリングライト採用
・カラーチェンジ

マシンの心臓部は、サイズこそ1,198.4㏄の水冷4バルブデュアルスパークL型ツインで変わらないが、新たに可変バルブ機構が組み込まれてユーロ4に適合する「テスタストレッタ DVT」へとアップデートされた。最高出力は9,500回転150馬力で、最大トルクが7,500回転128Nmというスペック。
安全面では、ボッシュ製のIMUセンサーを介するコーナリングABSやトラクションコントロール、コーナリングライトなど電子制御面が強化されて信頼性が大きく向上していた。
さらに足元のフロントブレーキキャリパーは、ブレンボ製のM50ラジアルマウント4ピストンキャリパーが奢られ優れた制動性能を発揮する。

また日本国内向けの「ムルティストラーダ 1200」は、2015年の仕様変更を機にラインアップ構成の変更も行われた。これまで設定されていた「グランツーリスモ」や「ツーリング」の展開は無く、無印グレードの「ムルティストラーダ 1200」と上位モデルの本機「ムルティストラーダ 1200S」という2タイプ構成となった。
各部のリニューアルでポテンシャルが大きく高められた2015年式「ムルティストラーダ1200S」は、以下のカラーリングと価格で同年8月に発売された。

・「ドゥカティ レッド」　249.9万円(税込)
・「アイスバーグホワイト」　253.9万円(税込)

ちなみに無印グレードは、レッドの1カラーで219.9万円(税込)だった。

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解説記事更新日：2024年08月12日

可変バルブタイミング機構を備えた新型エンジン「テスタストレッタ DVT」を搭載して電子制御システムの強化も実施された「ムルティストラーダ 1200」シリーズだが、2016年ラインアップには2台のバリエーションモデルが追加された。1台は、過去にも展開されていた「1200 パイクスピーク」だった。アメリカのヒルクライムで好成績を収めた記念に登場した経緯があったが、2016年式で再びデビュー。ベースとなるのは本機「1200S」だが、サスペンションは前後オーリンズ製の機械調整式だった。もう1台は、前後クロススポークホイール仕様でフロントは大径19インチを履く「1200 エンデューロ」。こちらもベースは本機「1200S」だが、燃料タンクが1.5倍の30L大容量化されてアドベンチャー色の強いマシンに仕上げられていた。
バリエーション強化が図られて充実ラインアップとなった「ムルティストラーダ」だが、本機に特筆すべき変更ポイントは無く、従来通りの仕様で継続。日本国内内容のカラーリングと価格は以下の通り。

・「ドゥカティ レッド」　253.9万円(税込)
・「アイスバーグホワイト」　257.9万円(税込)

ボディカラーも前年度同じ2パターンだが、価格は4万円の値上がりとなっていた。
レッド仕上げのスチール製トレリスフレームにマウントされるパワーユニットは、最高出力が9,500回転150馬力仕様の1,198.4㏄「テスタストレッタDVT」エンジンとなる。最大トルクは7,500回転で128Nmを発生する。好みや走行シーンに応じて変更可能なライディングモードやパワーモードの状況はコクピットの5インチTFTフルカラーディスプレイで確認可能。このディスプレイは「ドゥカティ・マルチメディア・システム」も組み込まれているので、手持ちのスマホとBluetooth経由で連携することも可能となっていた。

買替や売る際の買取査定は、2016年式 ムルティストラーダ1200Sの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年08月12日

2017年の「ムルティストラーダ」シリーズには、ミドルクラスのニューマシン「ムルティストラーダ 950」が展開された。エンジンは111馬力仕様の937㏄「テスタストレッタ11°」で、重量は227kg本機より8kg軽い車体。4種類の走行モード選択機能やABSとトラクションコントロールをパッケージングしたDSP(ドゥカティ・セーフティ・パック)も標準装備で優れた安全性と快適性を兼ね備えるマルチスポーツツアラーだった。
なおシリーズのフラッグシップクラスとなった「1200」系は、前年同様に無印グレード、本機「1200S」、「エンデューロ」、「パイクスピーク」のトータル4モデルが日本仕様として導入された。本機は新色を追加して以下のカラーラインアップと価格で展開。

・継続「ドゥカティ レッド」　255.6万円(税込)
・継続「アイスバーグ・ホワイト」　259.6万円(税込)
・新色「ボルケーノ・グレイ」　259.6万円(税込)

これまでのレッドとホワイトに加えてダークなイメージのガンメタブラックが追加された。いずれのカラーもトレリスフレームはレッド仕上げで、リヤサスペンションのスプリングはイエローでマシン全体のアクセントカラーとなっていた。

マシンの心臓部は、可変バルブタイミング機構付きの1,198.4㏄「テスタストレッタ DVT」ユニット。最高出力は9,500回転で150馬力を発生するスポーツマシンさながらのスペックを誇る。最大トルクは7,500回転128Nmという仕様。ショートタイプのデュアル出しステンマフラーからは大排気量4バルブL型ツインの迫力サウンドが放たれる。
足元は、前後17インチの軽量アルミホイールとザックス製のスカイフック・サスペンションを装備。ブレーキは前後ともにブレンボキャリパーで、フロントはM50ラジアルマウント4ピストンキャリパーを組合せる。

なお2010年の世代交代時からグレード編成や仕様変更を受けながらラインアップされてきた「ムルティストラーダ 1200S」だが、今期の2017年モデルが最終仕様。翌年には後継マシンの「ムルティストラーダ 1260S」へと移行した。

買替や売る際の買取査定は、2017年式 ムルティストラーダ1200Sの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年08月12日