ホンダが誇るスリーター「ジャイロ」シリーズの中で、低床タイプリアデッキを装備していたのが「ジャイロUP」だ。
「ジャイロ」というシリーズ名称は、「Great Yours Recreational Original」のアルファベット頭文字を組合せたもの。まずは1982年にビジネス向けモデル「ジャイロX」が登場して、その3年後となる1985年10月に「ジャイロUP」がデビューした。
既に販売されていた「ジャイロX」が配達系ビジネスにおいて好調な販売台数を記録していたので、基本コンポーネントは共用としながらも積載量をさらに向上させたモデルの開発に着手した。そこで誕生したのが「ジャイロUP」というわけだ。「ジャイロX」では、フロントキャリヤとリアキャリア、そしてオプション設定であったインナーボックスすべての合計で16.5kgまので積載量があった。それが、「ジャイロUP」では最大積載量30kgと倍近くまでキャパシティがアップした。リアデッキのサイズは450mm × 570mmで地上高460mmの位置に装備していた。標準タイプでは、この大型リアデッキに30kgまでの荷物を積載することが可能だった。ただし、オプションとして選択できたフロントバスケット(最大積載量3kg)とインナーラック(最大積載量1.5kg)を装着した場合には、リアデッキは25.5kgまでとなる。これは原付の最大積載量は合計で30kgまでと定められていたことによる。つまり「ジャイロUP」は規制値ギリギリ最大量の積載キャパシティを持っていたということだ。
「ジャイロUP」のリアデッキは、他の兄弟モデル「ジャイロX」と「ジャイロキャノピー」とは仕組みが異なり、車体をバンクさせても荷台部分は傾かない。車体前部とは切り離されている後輪軸上に設置されているからだ。この仕組みによりカーブでもデッキは水平を保つことができるので、液体や重量物など傾けると支障が出る品物を運ぶのに適していた。
パワートレインは空冷2ストロークエンジンを搭載していたが、他の2モデルとは異なり2008年のエンジン4ストローク化の対象とならず生産終了となった。

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解説記事更新日：2021年07月22日

オフロードモデルとして展開されたスリーター「ジャイロX」が、デリバリービジネスシーンで人気を集めたことから、さらに配達ユースに特化したマシンを展開。それが「ジャイロアップ」である。
デビューモデルは、1985年10月に24.9万円で発売された。
特徴的な地面と水平の大型リアデッキには、大瓶20本用のビールケースが余裕で収まるサイズということもありリカーショップの配達業務に活躍した。そして、デッキのマウントポジションは地面から460mmという低床設計。重量物の積載も容易で実用性の高い構造になっていた。
エンジンは空冷2サイクル単気筒のTA01E型を搭載。最高出力は6,500回転で5.1馬力を発揮した。トランスミッションはベルト駆動のVマチックを採用しており、滑らかでねばりのある走行フィーリングを実現している。
ちなみにベースモデルとなる「ジャイロX」も空冷2サイクル単気筒エンジンを搭載していたが、チューニングの異なるTD01E型を採用しており、6,000回転5馬力というスペックだった。
「ジャイロアップ」のリア足回りは、コーナーリング時などで発生する左右の車輪回転差を調整するディファレンシャル・ギア機構を採用している点も特徴のひとつだ。

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解説記事更新日：2022年02月05日

コーナーリング時でも荷台の水平ポジションがキープされるスリーター「ジャイロ アップ」は、1991年6月に最初のマイナーチェンジを実施。最高出力アップとカラーチェンジが行われた。
カラーリングはホワイトカラーがベースであることに変化はないが、エンジンカバーやシート、フロアステップといった通常仕様で汚れやすい部分にブルーカラーを採用することでクリーンな印象とし、汚れが目立ちにくいように配慮された。また、シート表皮のパターンが変更されスポンジ部も肉厚を増すことで乗り心地が向上している。
装備面では、左右のバックミラーが丸形デザインから角型に変更され左右方向の視野が広くなり安全性が向上した。
パワーユニットには、従来モデル同様に空冷2サイクル単気筒のTA01E型エンジンを採用。ただ、圧縮比が6.8であったところ7.0まで引き上げられた。その結果、最高出力は6,500回転で5.1馬力から5.3馬力へ向上。最大トルクに関しては、0.60kgmで変わらないが発揮するタイミングが500回転上がり6,000回転となった。
なお、今回の仕様変更でパワーアップは実現しているが、燃費性能が従来のリッターあたり58km/Lから約20%ダウンの44km/Lとなった。
車両価格は、26.4万円(税抜)で1.5万円の値上げが実施された。

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解説記事更新日：2022年02月05日

ホンダのスリーター「ジャイロ」シリーズの中で荷台がスイング機構と切り離されているマシンが「ジャイロ アップ」だ。この構造により450mm×570mmの大型荷台スペースは常に水平状態をキープした状態で走行でき、安定した荷物の運搬を可能にしてる。
デビュー以降は、デザイン変更や最大出力の向上など成熟を重ねてきたが、1993年モデルではカラーチェンジが実施された。とはいっても、ボディカラーは引き続き「シャスタホワイト」を継続し、変更されたのはロゴデザインのみである。
エンジンカバー、シート、フットボードといった汚れが目立ちがちなパーツはクリーンなイメージのブルーを組み合わせることで爽やかな印象に仕上げられている。
エンジンは、5.3馬力を発揮する空冷2ストローク単気筒のTA01E型を搭載。トランスミッションはVマチックを採用し、乾燥重量は101kgだ。
本モデルは「ジャイロX」に続いて展開されたホンダのスリーターだが、1991年には兄弟モデルとしてルーフを搭載した「ジャイロ キャノピー」もデビュー。
いずれのモデルもバックボーン型フレームにフロントがボトムリンクサスでリヤはユニットスイング仕様。最高出力は、本モデルと「ジャイロ キャノピー」が5.3馬力だったが、「ジャイロX」は、4.5馬力にとどまっていた。
1993年式「ジャイロ アップ」の車両価格は、27.4万円(税抜)で1万円の値上げが実施された。

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解説記事更新日：2022年02月05日

安定性が求められる積載物のデリバリーユースに活躍してきたスリーター「ジャイロ アップ」は、デビュー以来2回目となり最後となったマイナーチェンジを実施。
2000年2月に行われた今回の仕様変更は、時を追うごとに厳しさを増している環境規制に対応することが主な目的となった。
平成10年の排ガス規制と騒音規制に適合するためにキャブレターの最適化が図られている。さらにマフラーには酸化触媒を内蔵し、その触媒の活性化を図るためのエアインジェクションシステムを新たに採用した。
環境性能を高めるための仕様変更によって、最高出力は従来の6,500回転5.3馬力から5馬力へダウン。最大トルクについても6,000回転0.6kgmから0.57kgmへダウンした。ただ、燃費性能はこれまでのリッターあたり44.0km/Lから46.0km/Lへ向上している。
また、耐久性の向上が図られリアタイヤとドライブベルトの材質が変更されている。
同時にカラーチェンジも実施。ベースカラーは「シャスタホワイト」から変更は無いが、1991年のマイナーチェンジ時に採用された-シートやエンジンカバー、フットボードのカラーリングを変更。爽やかなブルーからシックなブラックへチェンジ。より、ビジネス色の濃いスタイリングとなった。
価格は29.4万円(税抜)で2万円の値上げを実施。ゴムマットを装備した低床リアデッキが特徴的な「ジャイロ アップ」だが、2000年モデルが最終仕様となり2008年に生産終了となった。なお、兄弟モデルの「ジャイロ X」と「ジャイロ キャノピー」は継続された。

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解説記事更新日：2022年02月05日