VTR1000SP-1は車名が示すとおり、V型2気筒エンジンを搭載した輸出専用のスポーツバイクです。
1,000cc2気筒というレイアウトが生まれた理由は、当時のスーパーバイク世界選手権のレギュレーションが、
《2気筒なら1,000ccまで、3気筒なら900ccまで、4気筒なら750ccまで》
と決めていたためです。
実際のレースにおいて、2気筒であっても排気量の多いマシンが圧倒的に速かったのです。考えようによって2気筒は軽量でスリム、低速からトルクもあり、レースシーンにおいて有利な面も多々あります。それを市販モデルとしたのが2000年から発売されたVTR1000SP-1です。
特徴は、
・エンジンは水冷4ストV（L）型DOHC2気筒・8バルブ
・最大出力は133馬力/9,500rpm
・カムシャフト駆動はギアトレーン
・フューエルインジェクション採用
・高剛性のアルミツインスパーフレーム
・Φ43 mmの倒立フォーク
・320 mm大径ディスク
・デジタルメーター
などです。
フレーム剛性を追求したため車重は2気筒としては重く、200kgあります。
実際の走りはかなりスパルタンなもので、低すぎるほどの両ハンドルを握ると、かなりの前傾姿勢になります。セル1発、インジェクション方式のエンジンはすぐ目覚め、歯切れのいい排気音が響きます。ギアを1速に入れると、やや高い重心を感じさせながらスタート。
SP-1が本領を発揮するのはやはり峠道で、低中速コーナーの立ち上がりは軽量トルクフルなV型エンジンが驚くほど軽快なダッシュを見せます。SP-1のオーナーなら誰もが「買ってよかった」と思う瞬間でしょう。
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解説記事更新日：2022年03月27日

2000年にホンダから新登場したVTR1000SP-1。
WSB用のワークスマシンであるVTR1000SPWのホモロゲーションモデルとして市販された本車。エンジンには水冷 4ストロークDOHC V型2気筒を採用。最高出力は136PS/9,500rpmを発揮した。
それまでWSB用のワークスマシンとして活躍していたVFR750RのV4エンジンからVツインエンジンへ変更したのはWSBの排気量上限が、4気筒750 cc、3気筒900 ccなのに対して2気筒では1,000ccで、なおかつ2気筒の最低重量が4気筒に比べて軽かったこと、車両の軽量化がV4に比べて簡単であること、そしてライバルメーカーであるドゥカティがVツインを採用していたことなどが理由となっていた。
登場した2000年のWSBではVTR1000SPWを駆ったコーリン・エドワードコンビがチャンピオンを獲得、また、同年の鈴鹿8耐では宇川徹＆加藤大治郎コンビで優勝&コースレコードを更新するという快挙を達成、極め付けに二気筒としては史上初となるルマン24時間耐久レースの優勝にマン島TTでは伝説のライダーであるジョイ・ダンロップが駆り優勝。ちなみにマン島にあるジョイ・ダンロップの銅像が乗っているバイクもVTR1000SP-1である。
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解説記事更新日：2021年12月31日

カラーチェンジを受けて発売されたVTR1000SP-1。
カラーバリエーションにはアキュレイトシルバーメタリックを設定。
VTR1000SP-1は軽量化を意識しながらもレースに向けて剛性とフューエルインジェクションやアッパーケース一体型ニカジルメッキシリンダー、バタフライ開閉式の前方エアスクープ、カムギアトレーン機構の採用など、装備を優先したため車重は先代のVTR1000Fの193kgと比べると7kg重い200kgとなっている。また、レースで勝つためのワークスマシンをベースに開発されているので市販商品としてのスタイリッシュさや取り回し性は二の次、実燃費も通常の公道で8.5〜10 km/Lとされており、あくまでホモロゲモデル然としていた。
翌2002年にはフルモデルチェンジを受けたVTR1000SP-2が登場することとなる。
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解説記事更新日：2022年01月09日