カワサキのアドベンチャーモデル「ヴェルシス」シリーズの250㏄クラスとして最初に国内展開されたのが、「ヴェルシスX 250 ABSツーリング」である。2017年3月に発売された。ちなみにスタンダード仕様は、1ヵ月遅れとなる同年4月にデビューした。
「Ninja250」のエンジンをベースに当時の排ガス規制に対応させたEX250LE型を搭載。DOHC4バルブの水冷4ストローク並列2気筒エンジンで、最高出力は33馬力仕様だ。トランスミッションは6速リターン式。
同クラスのアドベンチャーモデルとしては、ホンダから「CRF250ラリー」が販売されていたが単気筒エンジンの24馬力という仕様だった。また、一足遅れて同年の7月には、スズキから「Vストローム 250」がデビューした。エンジンはSOHC2バルブだがパラレルツインを採用しており、真っ向から競合するマシンとなる。ただ、それでも最高出力は24馬力にとどまっていた。さらに車両重量は188kgあり本モデルより13kgも重かった。競合モデルのスペックからも、33馬力仕様の本モデルが突出した運動性能を備えていたことがわかるだろう。
「ヴェルシスX」は、アドベンチャーモデルにカテゴライズされるが、ツーリングユースを想定した純正アクセサリーを豊富にラインアップしている。その中のいくつかを標準装備としてツーリングに特化させたタイプが、「ヴェルシスX 250 ABSツーリング」となる。
スタンダード仕様と異なるディテールは、スタイリッシュな形状と大容量スペースを高次元で両立するパニアケース、DC電源ソケット、エンジンガードにナックルガード、そしてセンタースタンドを装備している。これら追加装備の違いでスタンダード仕様との価格差は5万円(税抜)である。
デビュー翌年にはカラーチェンジを行うと同時に、水転写塗装を施した限定カラーを展開。またこのタイミングでモデル名称から「ABS」の表記が無くなった。
以降、2019年モデルからはスタンダードモデルがカタログ落ちとなり、「ヴェルシスX 250ツーリング」へ1本化され販売が継続されている。

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解説記事更新日：2022年01月14日

2017年にカワサキから発売されたVERSYS-X TOURER ABSの初期モデル。
エンジンにはスタンダードモデルであるVERSYS-X ABSと同様Ninja250のエンジンを平成28年の国内排ガス規制に対応させて流用した水冷4サイクルDOHC並列2気筒4バルブを搭載、最高出力は33PS燃費は24.8km/Lだった。
スタンダードモデルにハンドガード、エンジンガード、センタースタンド、DCソケットリレー、パニアケースなどのオプションをあらかじめ搭載しており、アウトドア用品の積載もバッチリのキャンパーには理想的なアドベンチャーモデルだ。
カラーバリエーションにはキャンディライムグリーン×メタリックグラファイトグレーの1色を設定。
新車販売価格は63.3万円だった。
スタンダードモデルから5万円高となったツアラーモデルだが、オプションは一つ一つ追加すれば合わせて10万円を超えるためかなりお得なセットだったと言えるだろう。キャンプ好きのアウトドア派にはうってつけの1台だ。
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解説記事更新日：2021年07月22日

カラーチェンジを受けて発売された2018年モデルのVERSYS-X TOURER。
カラーバリエーションにはメタリックスパークブラック×メタリックフラットロウグレーストーンを設定。
2018年からのABS搭載義務によって車名からABSが省略された。
新車販売価格は先代モデルから据え置きの63.3万円だった。
また、同時にスペシャルカラーモデルとして水彩転写技術でカモフラージュ柄を施されたマトリックスカモグレー×メタリックフラットロウグレーストーンを400台限定で発売している。
ライバル車としてはスズキのVストローム250が挙げられ、パワーウェイトレシオ争いではVERSYS-X TOURER が5.54kg/PS、Vストロームは7.87kg/PSでVERSYS-Xに軍配が挙がっているものの2018年度の126〜250cc販売台数ではVストローム250が約2,300台で8位にランクイン。対するVERSYS-X TOURER はベスト10入りを逃す結果になっている。
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解説記事更新日：2021年07月22日

カラーチェンジを受けて発売された2019年モデルのVERSYS-X TOURER。
カラーバリエーションにはメタリックムーンダストグレー×メタリックフラットスパークブラック、メタリックスパークブラック×メタリックフラットスパークブラックの2色を設定。
新車販売価格は先代モデルから5千円高の63.8万円だった。
ライバル車としてはヤマハのツーリングセローが挙げられる。ヤマハのロングセラーモデルであるセローにスクリーン、ハンドルガード、リアキャリア、アルミダンダーガードなどを標準搭載した上位モデルでVERSYS-X TOURERと同じ立ち位置にあった。最高出力は20PSでパワーウェイトレシオで比較するとツーリングセローが6.65kg/PS、対するVERSYS-X TOURERが5.54kg/PSと走行性では優っているものの、車重はツーリングセローが133kgとVERSYS-X TOURERより50kg軽く、取り扱いやすさの点ではツーリングセローを選ぶユーザーも多かっただろう。
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解説記事更新日：2021年07月22日

●カラー変更を受けた2020年モデル
カラーチェンジを受けて発売された2020年モデルのVERSYS-X TOURER。
カラーバリエーションには「パールブリザードホワイト×メタリックマットカーボングレー」「フラグメントカモグレー×メタリックフラットロウグレーストーン」の2色を設定。
新車販売価格は先代モデルから2千円高の64万円(税抜)となった。
ライバル車としてはホンダのCRF250ラリーが挙げられ、最高出力は24PS、パワーウェイトレシオ争いではVERSYS-X TOURER が5.54kg/PS、CRF250ラリーは6.54kg/PSでVERSYS-X TOURERがリードしているが車重では157kgとVERSYS-X TOURERと比較して27kg軽量だったので取り回しの楽さという点ではCRF250ラリーに軍配が上がっている。

●カラー＆グラフィック変更を受けた2022年モデル
メタリックオーシャンブルー×パールロボティックホワイト」「キャンディライムグリーン×メタリックフラットスパークブラック」
2017年の登場以来、Kawasaki伝統のライムグリーンが初めて採用された。前年から時期続き採用されたホワイトベースは、タンク・サイドカバー・フロントフェンダー・ヘッドライトカウルなどがメタリックブルーとなっている。
メーカー希望小売価格は2万円上がり66万円(税抜)が設定された。

●国内最終となる2023年モデル
国内向けは今回の2023年式が最終仕様となることが正式アナウンスされた。前年からの変更ポイントはカラーリングのみとなる。
カラーバリエーションは従来の2パターンから1カラーのみに縮小。「パールマットセージグリーン×メタリックマットカーボングレー」が用意されている。
パワートレインには、フルカウルスポーツ「Ninja 250」と同系エンジンを搭載。250ccのショートストローク水冷パラレルツインユニットは、11,500回転で33馬力を発揮。最大トルクは10,000回転21Nmという仕様。
エンジンガードやセンタースタンド、前後ワイヤースポークホイールといったディテールがオフロードアドベンチャーをイメージさせるが、どちらかというとオンロードツーリングでの性能を重視した設計となっている。
ちなみに同クラスの直接ライバルとなるスズキの「Vストローム250」は、2023年式で令和2年の排ガス規制に適合してモデルライフの延長が実施された。エンジンはOHC2バルブの24馬力でローパワーだが、足元は前後17インチのキャストホイール仕様でオンロード性能が優れている。シート高は800mmで本モデルより15mm低い。スペック重視なら「ヴェルシスX 250ツアラー」で、日常での扱い易さなら「Vストローム250」といったところだろう。
なお2023年式の「ヴェルシスX 250 ツアラー」は、前年から据え置きとなる66万円(税抜)で発売された。
本モデルの生産終了が決まったことで、2023年時点で国内向けの「ヴェルシス」シリーズはリッタークラスの「ヴェルシス1000SE」のみとなった。

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解説記事更新日：2024年03月05日