レーサーレプリカのエンジンを搭載するデュアルパーパスという刺激的なマシンが1980年代終盤にヤマハから展開された。それが、本モデル「TDR250」である。当時の国内バイクシーンでは2ストレーサーレプリカが人気を博しており、ヤマハからはモデル名が一文字違いの「TZR250」がホンダの「NS250R」やスズキ「RG-250」とスペック争いを繰り広げていた。本モデルは、その1KT型「TZR250」の心臓部を採用したオフロード色の強いデュアルパーパスマシンである。
海外マーケットにも展開されていたが、国内向けのデビューモデルは1988年1月に登場。
前年にエジプト砂漠で開催されたファラオラリーに参戦した「TDR」がルーツとなる。
車体はダブルクレードル型のスチールフレームにクランクケースリードバルブの水冷2ストローク並列2気筒エンジンを搭載。ボア・ストロークが56.4mm×50.0mmの249ccユニットで、最高出力は9,500回転で45馬力を発揮。トランスミッションは6速リターン式で、スタートはキックペダルのみ。乾燥重量は134kgとなる。
足回りは、フロントにダストブーツ付きのプリロード調整式テレスコピックフォークを装備して18インチホイールと320mmのシングルディスクブレーキを組合せる。キャリパーは対向4ピストン仕様。リアはスイングアームにモノショックをセットして210mmソリッドディスクと対向2ピストンキャリパーのブレーキを組合せる17インチタイヤ仕様。
特徴的なディテールとしては、シリンダー直後でクロスして立ち上げられたチャンバーレイアウトだろう。この特殊な構造を採用することでエンジン下のスペースを確保。230mmの最低地上高を確保することに成功している。
ライバルモデルとしては、ホンダのモトクロッサー「CR」シリーズのノウハウをフィードバックして1989年に展開された「CRM250R」が比較対象になるだろう。バッテリーレスの車体に搭載する水冷2スト単気筒エンジンは37馬力仕様。本モデルよりもロースペックだが、価格は42.9万円で「TDR250」より5万円安かった。
なお、デビュー後の「TDR250」は国内モデルに関しては1988年式が最初で最後のモデルとなった。海外仕様に関しては1990年モデルまで設定された。
今は無き水冷2ストエンジンで、しかも2気筒の250㏄ユニットを搭載するデュアルパーパスという特殊なハイスペックマシンのため中古バイク市場では新車価格を上回る高値で取引されている。特に国内仕様は生産期間が短かったこともあり希少モデルとなっている。

買替や売る際の買取査定は、TDR250の中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2022年12月04日

フルカウルスポーツ「TZR250」と同系エンジンをスチール製ダブルクレードル型フレームに搭載するオンオフ両用モデルが「TDR250」だ。国内向けとなる2YK型は1988年1月に47.9万円で発売された。
カラーバリエーションは、「ブラック」と「ファラウェーブルー」の2パターンを設定。
ヘッドライトやラジエターの左右にはフレームマウントのカウルを装着するオリジナリティ溢れる車体デザインを採用。
搭載するパワーユニットは、クランクケースリードバルブの水冷2ストローク並列2気筒エンジンとなる。最高出力は9,500回転で45馬力を発揮。6速トランスミッションもレーサーレプリカの「TZR250」譲りだが、ギヤ比を変更してローギアード仕様に仕上げられている。
当時の国内250ccクラス2ストデュアルパーパスマシンでは、ホンダの「CRM250R」が水冷2スト単気筒エンジンで37馬力。価格は42.9万円。スズキからは乾燥重量109kgの車体に35馬力水冷単気筒エンジンを搭載する「RH250」が39.9万円で展開されていた。
スペック争いでは断トツで本モデルが有利。
足回りは、前後ディスクブレーキ仕様で、オンオフどちらでも優れた制動力を発揮する「バリアブルタッチブレーキ」をフロントに採用。これは、マスターシリンダーとホースの間にバルブとピストンを組み込むことで、プログレッシブ化を図る仕組み。
レーサーレプリカエンジンをラリーレプリカボディに搭載するという斬新なマシンで、海外では全く新しいカテゴリのマシンと評された「TDR250」だが、国内でのウケはイマイチで、デビューモデルの1988年式が最終仕様となってカラーチェンジすら受けることなく生産終了に至った。

買替や売る際の買取査定は、2YK型 国内1988年式 TDR250の中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2022年12月04日

Twin Dirt Racerを略して「TDR」のネーミングを与えられたオフロードレーサーが1987年にエジプトで開催されたファラオラリーに参戦。「XT600 テレネ」をベースに2スト250㏄エンジンを搭載してクラス別で優勝を飾った。このマシンを公道仕様に仕立てたマシンが「TDR250」ということになる。
オフロードマシンからインスピレーションを受けて開発されているが、前後に装着するタイヤはオンロードタイプのデュアルパーパスマシン。パワートレインはフルカウルスポーツの「TZR250」譲りとなる水冷2ストローク並列2気筒エンジンを搭載。
ボア・ストロークは56.4mm×50.0mmの249ccユニットで、ミクニ製の28mmフラットスライドキャブレターをツインで組み合わせる。最高出力は、10,000回転で46馬力を発揮。海外仕様の本モデルは、国内向けの9,500回転45馬力エンジンよりも高回転型ハイパワー仕様となっていた。
ちなみにベースエンジンとなっている「TZR250」の海外仕様は50馬力で、こちらも国内向けの45馬力よりハイパワー仕様だった。
なお「TDR250」は、デジタルアドバンスシステムを組合せるCDイグニッションを2ストバイクとして世界初採用したマシンである。
足回りは、フロントにエアアシスト式38mmテレスコピックフォークと18インチホイールに320mmディスクホイールをセット。リアはスイングアームにモノショックと18インチホイールを装着。ブレーキは210mmのディスク仕様。
デザイン面ではサテライトクローム仕上げのサイレンサープレートを装着するクロスアップデザインエキゾーストシステムが特徴的だ。チャンバーをアップタイプレイアウトとすることで最低地上高を稼いでいる。
国内仕様の「TDR250」は、デビューモデルの1988年式が最終仕様となっていたが、海外向けの本モデルはカラーチェンジを実施しながら1993年まで生産された。

買替や売る際の買取査定は、3NR型 海外仕様 TDR250の中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2022年12月04日