ヤマハがヨーロッパに展開していたフルカウルミッドクラススポーツ「YZF-R6」譲りの心臓部を持つネイキッドマシンが「FZ6-N」だ。デビューモデルとなる2004年モデルは同年の3月に発売された。
ちなみに兄弟モデルとなる「FZ6-S フェザー」は、一足早い2003年10月に登場した。1998年に登場したオールラウンドスポーツ「FZS600 フェザー」がフルモデルチェンジする形でデビューしており、本モデルはその派生モデルというポジションになる。
「走りの爽快感」と「日常ユースでの軽快な機動性」の両立を図るために車体はヤマハオリジナルCFアルミダイキャスト製フレームを採用。この新設計フレームにDOHC4バルブの水冷4ストローク並列4気筒エンジンをマウント。2003年モデルの「YZF-R6」に採用されたフューエルインジェクション仕様のパワーユニットだ。
ボア・ストロークは65.5mm×44.5mmの600㏄で最高出力は12,000回転で98馬力を発揮する。最大トルクは10,000回転で6.43kgmだ。燃焼室形状や鍛造ピストン、ライナーレスの直メッキシリンダーといった内部パーツは「YZF-R6」と共通だが、カムプロフィールや吸排気系統のセッティングは専用とすることで、日常ユースで多用する低中速域での扱いやすさを重視した味付けになっている。
足回りは、フロントにインナーチューブが43mmの正立フォークを採用。アッパーブラケットと一体形成のアルミスクイズキャストのハンドルクラウン仕様でナチュラルなハンドリング性能を実現。リアは角型スイングアームにモノクロスショックを組合せる。ホイールサイズは前後17インチで、フロントがダブルディスクブレーキを装備。リアはシングルディスクだ。
ライバルモデルとしては同年デビューのストリートファイター、カワサキ「Z750」が比較対象にできるだろう。乾燥重量195kgのボディに109馬力エンジンを搭載していた。ちなみに本モデルの乾燥重量は180kgでパワーウエイトレシオ換算すると「Z750」が優れた数値となる。
なお「FZ6-N」は、2007年モデルでEURO3に対応し足回りの熟成を図る仕様変更を実施し「FZ6-N S2」へ進化。同年モデルはプレストが逆輸入モデルを販売していたので国内でも入手が可能だった。以降は2009年モデルまで設定され生産終了となった。

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解説記事更新日：2022年03月17日

2004年にヤマハから新発売された1B31型FZ6-N。
FZS600 フェーザーの後継モデルとして登場し、エンジンには同ヤマハ600ccクラスのフラッグシップモデルであったYZF-R6から共有した水冷4ストロークDOHC四気筒を採用。最高出力は98PS/12,000rpm、最大トルクは6.44kg-m/10,000rpmを発揮した。フレームにはアルミ製のツインスパー型を採用、足廻りではフロントに43mmφのテレスコピックフォーク、リアにはリンクレス式のモノクロススイングアームを採用した。
カラーバリエーションにはレッド、シルバー、ブラックの3色を設定。
2005年のカラーチェンジでは型式を1B33に変更、カラーバリエーションはギャラクシーブルー×ブラック、セルリアンシルバー×ブラックの2色に変更。
2006年のカラーチェンジでは型式を1B3Bに変更、カラーバリエーションはダークブルー、ブラック、オレンジの3色が設定された。
兄弟車としては同時にハーフカウルを装着したFZ6-S Fazerが登場している。
特徴的なのはやはりアルミダイキャスト技術を用いて製造されたツインスパーフレームだ。アルミダイキャスト技術は通常よりもより大きなアルミ製の部品を製作できるヤマハお得意の製法で、YZF-R6/R1といったスーパースポーツモデルのスイングアームがこのアルミダイキャスト製となっていた。FZ6-Nは豪華にメインフレームを丸ごとアルミダイキャスト製となっており、シームレスで美しいフレームは軽量で剛性も十分。いや、十二分と言えるものだった。
翌2007年にはエントリーモデルで欧州の免許改定に合わせて最高出力を34PSまで落としたFZ6-N/Sに対し、フルパワーの98PSを保ってフルモデルチェンジを受けたFZ6-N/S Spec2が登場している。
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解説記事更新日：2021年11月24日

2007年にFZ6-Nからフルモデルチェンジを受けて登場した FZ6-N S2。
欧州において免許制度が更新され、「免許取得後2年以内は最高出力が34PSまでのモデルまでしか運転できませんよ」という法律が爆誕。FZ6は大柄な欧州人にエントリーモデルとして人気が高かったこともあり、ヤマハは急遽FZ6-N/Sのエンジンをパワーダウンし最高出力を34PSまで落とすという強行に。しかし従来通りフルパワーで98PSのモデルをなくすことは出来ず、そこで登場したのがこのFZ6-N S2だった。
最高出力はフルパワーの98PS/12,000rpmを保ちつつ、フューエルインジェクションのマッピング更新、足廻りではフロントフォークにアルマイト加工が施され、フロントブレーキは4ピストンモノブロックキャリパー、リアには新形状のスイングアームを採用。メーターは同ヤマハのFZ1と同様にタコメーターがアナログタイプ、スピードメーターがデジタルタイプとなりシートやフットペグの形状など各部にわたり変更が加えられた。
また、この2007年モデルのみヤマハの輸出向けモデルの国内販売を行っていたプレストコーポレーションが逆輸入販売をしており、仕様はプレストの逆輸入車ではなぜか多い南アフリカ向け。カラーバリエーションにはブルーイッシュホワイトカクテル1 、ブラックメタリックX 、ブルーメタリックカクテル 、シルバーメタリック1の4色を設定。
新車販売価格は81万円だった。
翌2008年モデルの変更点はカラーチェンジのみ。バリエーションにはレイブン、コバルトブルーの2色を設定。プレストで逆輸入されたのは兄弟車のFZ6-S Fazerのみ。
2009年モデルも性能面での変更はなく、変更はカラーのみ。バリエーションにはディープブルー、レイブンの2色を設定した。
同年には後継モデルとしてXJ6Nが発売。ちなみに欧州においてはその人気から、XJ6Nの搭乗後も仕様変更は無いままFZ6-S2の販売が数年間継続された(パワーダウンした無印モデルは2009年に生産を終了)。
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解説記事更新日：2021年11月24日