ヤマハは、1998年にドイツで開催されたインターモト98で、ミドルクラスのスーパースポーツを発表した。それが本機「YZF-R6」である。前身モデルは海外マーケットに展開されていた「YZF600R サンダーキャット」だった。
「最もエキサイティングで、早い600㏄」を開発コンセプトに掲げ、リッター換算で200馬力を発生するコンパクト軽量SSとして1999年1月に発売された。

車体はアルミ製デルタボックス型フレームを採用していた。そこにボア・ストロークが、65.5mm×44.5mmのDOHC4バルブ水冷並列4気筒ユニットを搭載。599㏄のキャブレター仕様ショートストロークエンジンは、13,000回転120馬力というスペックでデビュー。最大トルクは、11,500回転で6.95kgfを発生した。

足回りは、フロントにインナーチューブ43mm径のテレスコピック正立フォークを装備して17インチホイールと298mmダブルディスクブレーキを組合せる。キャリパーは4ピストン仕様だった。リヤはスイングアームにアジャスタブルモノショックをセットして17インチホイールと220mmディスク&2ピストンキャリパーという構造。

デビュー以降は、2001年モデルで最初のマイナーチェンジを実施。今となっては一般的となっているLEDテールライトを2輪車として初採用した。またサーキット走行を想定して開発されたマシンということもありエンジン内部の改良も行われ乾燥重量が1.5kg削ぎ落され167.5kgとなった。
その後もカラーチェンジや仕様変更を受けながら2003年式で最初のフルモデルチェンジが行われた。燃料供給方式はキャブレターからインジェクション仕様へ変更されてエンジンの大部分が新設計となるなど大幅な刷新を受けた。その結果、乾燥重量は162kgまで軽くなり、最高出力はラムエア加圧で123馬力へアップ。

ライバルモデルとしては、カワサキが1995年から展開していた「ZX-6R」が台頭していた。エンジンは、DOHC4バルブ水冷並列3気筒の599㏄ユニット。2003年モデルで比較すると、最高出力はラムエア加圧で13,000回転125馬力というハイスペックマシン。そして乾燥重量は本機より1kg軽い161kgだった。さらにフロントサスペンションは倒立フォーク仕様で豪華な設計だった。ちなみに「YZF-R6」に倒立フォークが採用されたのは2005年モデルだった。

モデルチェンジ以降も「YZF-R6」は、仕様変更やカラーチェンジ、フルモデルチェンジを受けながら2020年式まで設定され、ユーロ5の規制に対応することなくモデルライフを終えた。
なお公道仕様の本機は日本マーケットに正規導入されることは無かったが、プレストコーポレーションから逆輸入モデルが販売されていた。またサーキット専用のレースベース車に関しては受注生産扱いで国内ヤマハからも販売されていた。

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解説記事更新日：2024年06月20日

1999年に新登場したYZF-R6の初期モデル。
エンジンには水冷4ストロークDOHC4気筒を採用、最高出力は120ps/13,000rpmを発揮し、リッター換算では200PSと当時のクラストップとなった。
フレームには軽量のアルミ製ツインチューブフレームを搭載し、乾燥重量では169kg。パワーウェイトレシオは1.4kg/PSとなっていた。
カラーバリエーションにはレッド×ホワイト、ブルー×ホワイト、シルバー×ブラックの3色を設定。
兄弟車としては同社のリッターSSであるYZF-R1が挙げられるが、当時市販車レースの世界選手権に出れたのはこのYZF-R6のみであったため、R1には採用されていなかったラムエア加圧を搭載するなど兄よりもアグレッシブなモデルとなっていた。
2000年モデルではエンジン内部の小改良を受け、2000年にもエンジンコンロッド、エンジン首上、ピストン形状変更、また、同年にはテールランプをLED変更。LEDの採用は2輪車初だった。乾燥重量は169kg→167.5kgへと軽量化された。2002年モデルはカラーチェンジのみ。
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解説記事更新日：2021年10月17日

フルモデルチェンジを受けて発売された2003年モデルのYZF-R6。
エンジンがアップグレードされており、シリンダー、バイパスを更新、インジェクション化を受け、二重構造のチタンパイプやメッキシリンダーなど当時のファクトリーマシンさながらの装備となった。
フレームには軽量CFアルミダイキャストを採用、インジェクション化による重量化を最小限に抑えているどころか乾燥重量は先代比で7kg減の162kgとなるなど新たな進化を見せた。カラーバリエーションにはレッド、イエロー、ブルーの3色を設定。
また、欧州においては車体の左側が月、右側を太陽としてデザインSarata スペシャルカラーモデルが登場。通称ロッシカラーと呼ばれ、ロッシの直筆サインとシリアルナンバーが付属、限定300台の発売だった。
2004年モデルはカラーチェンジのみ。
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解説記事更新日：2021年10月17日

フルモデルチェンジを受けて発売された2005年モデルのYZF-R6。
新たにホイールベースを5mm延長、スロットルボディ、エアファンネルの大型化、足回りでは倒立式のフロントフォークに加えてブレーキにはラジアルマウントキャリパーを採用、フロントタイヤのサイズの変更など全体にわたり大幅に変更を受けており、最高出力は先代比で3PSアップした。
カラーバリエーションにはブルー、レッド、イエローの3色を設定。
ライバル車にはカワサキ600ccクラスのSSであるZX-6Rが挙げられる。2005年モデルの最高出力は130PS/14,000rpm、乾燥重量は164kgで2台のパワーウェイトレシオを比較するとZX-6Rは1.26Kg/PS、対するYZF-R6は1.34kg/PSとなり、加速性能では僅かだがZX-6Rが優っていた。
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解説記事更新日：2021年10月17日

フルモデルチェンジを受けて発売された2006年モデルのYZF-R6。
新たにエンジンをボア67mm×ストローク42.5mmとしてビッグボア＆ショートストローク化、新型のECU、排気デバイス、マグネシウムヘッドやアイドルコントロールを搭載。バルブは狭角&大型化され、最高出力は先代比で7PS向上した127PS/14,500rpmとなった。また、量産車として世界初となる電子制御スロットル(YCC-T)を採用。
ボディでは新形状のCFアルミダイキャストフレームとチタンサイレンサーを採用、足廻りには新型のサスペンション、アルミ製のサイドスタンドが採用された。
カラーバリエーションにはブルーの1色を設定。
この2006年モデルからYZF-R6が身に纏ったのがのちにレイヤードカウルと呼ばれるカウルが何枚も重なっているようなデザインだ。なんでもYZF-R6の開発陣が1枚のスケッチのデザインに惚れ込んだことでデザイン重視の開発が進んだ結果、このような鋭く尖ったまさにアグレッシブなフォルムが出来上がったんだとか。
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解説記事更新日：2021年10月17日

カラーチェンジを受けて発売された2007年モデルのYZF-R6。
カラーバリエーションにはレッド×ホワイトを設定。
同クラスのライバル車としてはホンダのCBR600RRが挙げられる。2007年モデル(海外仕様)の最高出力119.6PS/13,500rpm、乾燥重量は156kgで2台のパワーウェイトレシオを比較するとCBR600RRは1.3Kg/PS、対するYZF-R6は1.27kg/PSとなり、加速性能では僅かだがYZF-R6が優っていた。また、パワーバンドではCB600RRが11,250-13,500rpmなのに対してYZF-R6は12,000-14,500rpmで高回転型だった。
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解説記事更新日：2021年10月17日

フルモデルチェンジを受けて発売された2008年モデルのYZF-R6。
外観的には好評だった先代モデルのレイヤードデザインから大きな変更はなく、見分ける箇所で言えばアンダーカウルのエアインテークが廃止、ポジショニングランプは尖ったフォルムとなり、マフラーの形状が変更されている。
中身の方はしっかり変更が加えられ、エンジンにはYCC-I(可変機構電子制御インテーク)を採用、最高出力は先代比で2PSアップした129PS/14,500rpmとなった。
プレストにおいての逆輸入新車販売価格は112万円だった
カラーバリエーションにはホワイト×レッドを設定。
同年のWSS(Supersport World Championship)においてはヤマハはマニュファクチャーランク2位という結果だったが1位のホンダとは100ポイント以上の差がついておりCBR600RRの独壇場となっていた。
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解説記事更新日：2021年10月17日