ダートや林道などオフロードで使用されてきた痕跡が各所に確認できたXR230
「河原、ダート、林道と走りまくってコケまくった」とオーナー様が言われるように使用感が強かった1台です。
早速、査定していきましょう。
外装
査定現場で目にしたXR230の第一印象は「やや使用感あり」
外装から詳しく見ていきました。ロゴステッカーが添付されているメインの両センターカウルは特に目立った傷や色褪せもなくまずまず年式並み。 良く見ると、XRのロゴの横に『Miyake Design Factory』とあります。メーカーのステッカーではなく、社外のグラフィックキットを添付しています。 メーターのオリジナルステッカーは保持しておらず、車体の印象を左右するグラフィックステッカーですが、好みに左右されるデザインは、残念ながら若干買取価値を下げてしまいます。
続いて気になったのがカウル類の傷や色褪せ。
鼻先の長いオフ車のフロントフェンダーは傷がつきやすいパーツです。例に洩れず先端部分に細かい凹みが多数確認できます。ビキニカウルの裏側(メーター側)には割れが走っています。
サイドカバーやシートカウルには細かい傷が多数あり、特にシートカウルは色褪せが目立ちます。
シートには色褪せや染み込んだ汚れが目立ち、タンクにも目立つ線キズが散見されます。
劣化や傷がやや目立ち、外装の評価は年式並み未満に留まりました。
足回り
点錆びの目立つインナーチューブ、錆びが目立つチェーンやスポーク・リアショック、使用感の強いグリップやハンドル・ステム回り、腐食も目立つブレーキキャリパー、色褪せの目立つチェーンケースなど。
タイヤを一直線に並べてみますが、足回りの捩れがあるようで一直線に揃いません。「悪路で何度も倒した」とのオーナー様のお言葉を裏付けるように足回りにも歪が生じています。
続いて機能面ですが、ブレーキ類の動作には問題ありませんが、フロントフォークにはオイル漏れがある他、荷重・抜重でコシが弱くヘタリ感が感じられます。
見た目の劣化に機能的な劣化も重なり、足回りの評価も年式並み未満となってしまいました。
エンジン
エンジンを始動させて機能面をチェックする前に先ずは外観から。
悪路走破の痕跡と思われる派手や線キズがクランクケースに多数刻まれています。キャブ・ロッカーカバー・空冷フィンとやや強めの腐食あり。
オイル漏れこそありませんでしたが、見た目で買取価値を損ねていました。
機能でリカバーできるか?セルスターターを押して始動。幸先よく始動は一発、何度か試しましたが始動性は良好です。
続いてアイドリングからニュートラルでアクセルを開放していきます。軽アイドリングは安定していますが、軽い異音あり。
オーナー様の許可を頂いて実走行。シフトアップは問題ありませんがシフトダウンは入りづらく調整か修理が必要です。
ニュートラルで気になっていた異音ですが回転数が下がった時により強くに感じ、排気音にも不調があります。
エンジンにつきましても傷や腐食が目立ち、調子も悪いという事で年式並み未満の査定評価点に留まりました。
フレーム回り
パッと見て、メインフレームの塗装ハゲや錆びや傷が目に付きます。フレームに接合されたペダル・ステップ・スタンドなどにも塗装ハゲや錆び・傷が目立ったXR230。
見て触って分かるような歪みや凹み、接合部への皺寄りはありませんが、ハンドル回りの衝撃を吸収したハンドルストッパーは大きく凹んでいます。
充分に利用できる実働フレームですが買取の評価としては、酷使や転倒の痕跡があり、年式並み若しくは未満に留まりました。
電装保安部品
ウィンカー・ライト・ブレーキ・ホーンなどの指示器やランプ類は正常に動作しましたが見た目の劣化はやや色濃いものがあります。
メーターにも強い使用感が感じられましたが、スピードインジケーターが動作せず要修理判定。ですがシンプルなアナログ式ですので査定のマイナスも小幅で済みます。
排気系の保安部品であるマフラーは、エキパイに濃い錆びや焼けが、社外製サイレンサーには細かい腐食に加えて排気漏れもあります。
電装系は配線加工もなくノーマル。バッテリー通常使用に耐えられますが、店頭での再販となる場合は、プラグと同時に新品交換になるでしょう。
カスタムなど
査定させて頂いていますXR230。
見た目にはノーマルにも見えるのですが、実は多数の社外品や装備品が装着されています。
社外品は、マフラー(デルタBARREL4)、ハンドル、ミラー、ウインカー、グラフィックキット、グリップ
装備品は、リアキャリア、ナックルガード、アンダーガード
改造は、リアフェンダーレス、
上述の通り、純正品のない、独自色の強いグラフィックキット(ロゴなどのステッカ一式)はマイナス査定となりましたが、 純正品のある社外パーツについては、保管している純正品の状態が良かったためノーマル戻しで買取価値が高まりました。
またオフ車で定番の装備品についても一式あることで買取価値を高め、査定額アップに繋がりました。
総合評価と買取価格
まさにオフ車として活躍して使い込まれた跡が見られたXR230
転倒や悪路走破による擦れ傷の他に、劣化が多く見られたため、もう少しケアされていて劣化が少なければ査定価格ももっと伸びていた点を残念に感じました。
とは言っても、悪路でも走破できるのがオフ車の本来の魅力であり、状態が劣悪でも底値が固いのがオフ車の相場的な特徴でもあります。
下段で詳しくご紹介していますが、年式平均並みのXRの買取相場は10万円台前半となっています。
年式を若干下回る状態ではありましたが、装備品やカスタム内容などによる上乗せもあり相場平均なみの13万円で買取させて頂きました。
お客様のご感想と買取後記
「本当はKLX250やXR250にWR250Xが欲しかったんだけど。オフロード走行をメインに楽しみたかったんで、足つきの良いセロー、スーパーシェルパ、XR230、CRF250RDで悩んでたのが懐かしいな。」
「結局、最も操作しやすそうで、最も安かった中古のXR230にしたんだよね。黄色が欲しかったんだけど、安さで白/黒を選びました。確か本体価格で23万円で乗り出しで28万円だったと思う。安いから電車で2時間かけて買いにに行ったよ」
「最後まで迷ったのが新車のマウンテンセロー。35万円位だったんだよ!マジで。乗り出しで43万円位だったけど。」
査定中の談話で印象に残っているオーナー様のお話です。
「やっぱりXR230で良かったと思うよ。軽いから。河原や、ダートコース、林道と走りまくってコケまくったけど、大きな怪我は一切なかったからね。バランス崩しても足ついて支えられたからね。
23万円で買ったバイクを3年使い倒して13万円で売れるんなら悪くないでしょ」と提示した査定額にご快諾頂きました。
悪路走行でバランスを崩すことが多いオフ車は足つきを重要視されるお客様が多くいらっしゃいます。
購入の際の車種選択は悩ましいところですが、買取価値という側面も選択材料にされてみては如何でしょうか?
参考までにライバル車の買取事例を列記いたします。
XR230 買取相場の比較
2009年最終モデルの新車本体価格が49.2万円で売り出されたXR230
2018年現在では、中古車の平均的な税込本体価格は30万円程度で推移しているXR230
はたしていくら位で売れるのか?
日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、XR230の買取相場をご案内差し上げます。
2005~2009年モデルが存在するXR230。
製造期間中に2回のマイナーチェンジが行われましたが軽い変更に留まるため、年式によるスペック差はなく、車両の状態が最も査定価格に影響する車種となっています。
先ずは、状態別の買取相場からご紹介いたします。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|XR230
- 評価点6 極上車
- 評価点5 状態が良く綺麗
- 評価点4 年式並み・やや状態が良く綺麗
- 評価点3 年式並み未満で難有り
- 評価点2 実働車だが劣悪
- 評価点1 事故車や不動車
XR230|評価点別の査定相場比較 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 5以上 |
評価点 4 |
評価点 3 |
評価点 1 |
30万以上 |
1台 |
0台 |
0台 |
0台 |
25~29万円 |
4台 |
2台 |
0台 |
0台 |
20~24万円 |
2台 |
3台 |
1台 |
0台 |
15~19万円 |
0台 |
12台 |
2台 |
0台 |
10~14万円 |
0台 |
13台 |
9台 |
7台 |
5~9万円 |
0台 |
3台 |
2台 |
5台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
実働車の平均的な買取相場は10万円台前半
業者間市場において、過去1年間に54台の取引のあったXR230。
取引の平均額は16万円で、最高額は35万円、最低額は7万円と、10年前の新車価格(2009年モデル)が49.2万円だった車種としては価格の幅とてもが広いです。
その理由は、最高額で落札された車両が走行距離1kmの新古車であることによります。
新古車を除いた、7万円~27.8万円が実走行のある車両の取引価格帯となっています。
全体としては、状態を示す評価点と取引額に相関性が高く、評価点別に取引の多い価格帯を列記すると、
評価点5は20万円台、評価点4は10万円台後半、評価点3は10万円台前半に集中していることが見て取れます。
上記の金額は、業者間市場での取引金額、即ち販売業者の仕入れ値であり、買取業者の売却額です。
店頭での販売価格は、販売業者は儲けと経費を上乗せされるので仕入れ値の凡そ2倍の値付けとなっています。
買取業者の買取額も同様に儲けと経費(出品手数長や運送費など)が差し引かれるため、実際的な買取相場は上記金額から競争価格である3万円程度を差引いた額となり、下記のようになります。
- ▼実際の買取相場|XR230
- 評価点5 20万円台前半
- 評価点3 10万円台前半
- 評価点3 5~9万円
走行距離や細かい状態によって個別に上下する余地は残っていますが、データで見る状態別の相場は概ね上記の買取額に収斂されることを物語っています。
事故車や不動車の買取相場は数万~10万円
事故車や故障車など実働状態にない車両を示す評価点1のXR230は、過去1年間に12台が取引されています。
最低額は5.1万円、最高額は13.9万円とコンパクトであり、底値が固いオフ車の特徴(オフ車はそんなに状態が劣悪でも一定の値段での取引がされる)を有しています。
取引額の下位の方には、劣化の非常に目立つ不動車が取引されていて、上記の方には写真からは損傷個所が特定できない程綺麗な見た目の事故車が取引されています。
取引額は概ね、実働化した際の想定取引額から実働化するためのコストを差引いた額となっています。
例えば、キャブ洗浄で実働化する綺麗な車両は高くなりますし、焼き付きで見た目も劣悪な車両あの取引額は低くなります。
と個別事情に拠るところが大きいのですが、実働車と同様に業者の儲けと経費を差引いた、実質的な買取相場を求めるとその額は数万円~10万円程度となります。
年式モデル別の買取相場
XR230は製造期間中に目立った仕様変更がなく年式モデルによる相場差は少ないと申し上げましたが、本当のそうなのか検証してみましょう。 2008年モデルからラインナップされた、オン・オフ対応の兄弟モデルXR230モタード(2009年モデルの税込本体新車価格は50.8万円)と一緒に比較したのが下記表となります。
▼年式モデルの変遷
- ▼XR230
- 2005年 フレーム番号MD36-10
- 2006年 フレーム番号MD36-11
- 2008年 フレーム番号MD36-12
- 2009年 フレーム番号MD36-13
- ▼XR230モタード
- 2008年 フレーム番号MD30-12
- 2009年 フレーム番号MD30-13
- ▼CRF250
- 2012年 後継機のCRF250
(※年式は発売年ではなくイヤーモデル)
年式別の相場|XR230とモタード実働車 |
相場/ 年式モデル |
平均落札額 |
最高額 |
取引台数 |
XR250 2005年 |
17.9万円 |
26.8万円 |
13台 |
XR250 2006年 |
16.7万円 |
25.2万円 |
9台 |
XR250 2008年 |
16.9万円 |
27.8万円 |
5台 |
XR250 2009年 |
14.6万円 |
35万円 |
27台 |
モタード 2008年 |
21.5万円 |
27.8万円 |
15台 |
モタード 2009年 |
20.1万円 |
26.4万円 |
5台 |
(2018年2月時点で、業者間市場の落札データを過去1年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)
XR230は低年式=高相場?
先ずXR230から見ていくと。 販売期間が長かったという事もありますが、最終モデルの取引数が多いことが目を惹きます。
販売数が尻すぼみになって生産終了していくパターンとは異なり、XR230の後継機CRF250の爆発的なヒットがその理由を代弁しています。
さて、相場ですが、取引数が少なく傾向としては弱いのですが、面白いことに低年式=高相場と、セオリーと逆の様相です。
期中に中古相場を変化させるような仕様変更もなく、カラーリングかとも思い調べましたがカラーリングによる相場的な特徴もなく、年式モデルによる相場差は誤差であると読んでいいでしょう。
続いてXR230モタードを見てみましょう。
XR230モタードの方が5万円高く売れる
XR230モタードの様は、2008年と2009年モデルの2つしかないのですが、2012年まで販売された2009年モデルの方が取引数は少なくなっています。 それよりも、2009年モデルの新車価格でXR230に対して1.6万円しか高くなかったXR230モタードですが。中古の取引相場では5万円程も高くなっています。 店頭の中古車の実勢販売価格では差異はないので、一時的な差異かとも思い、過去2年に遡って調べましたところ、やはり4万円程高く取引されています。 したがって、XR230モタードの方が4~5万円程高く売れる車種で、買取相場の高い車種であると言えます。
XR230/モタードの買取査定は、相場以上の査定額でお客様のご期待にお応えしています誠実対応のパッションにお任せ下さいませ!
XR230
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 54台
- 平均価格: 159,981円
- 最高価格: 350,000円
- 最低価格: 70,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 12台
- 平均価格: 102,917円
- 最高価格: 139,000円
- 最低価格: 51,000円
相場情報:2018年2月7日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。