無料出張査定のご依頼を受けて拝見させて頂きましたのはADV150。
査定現場で拝見させて頂きました軽自動車届済証に記載されている車台番号KF38-100とカラーリングから2020年モデルのブラックメタリックであることが判明。
所有権も入っておらず(所有者欄がバイク店などの債権者名となっていない状態で)、すぐに現金買取できる状態です。
現場で目にしたADV150の第一印象は良好で、高額買取を予感させました。
ところで、高額買取とは相場的にいくらを指すのでしょうか?その疑問にお応えすべく、先ずは買取相場からご紹介いたします。
2020年モデルADV150の買取相場
日本を含めアジア圏で大成功を収めている高級スクーターPCXの上級バリエーションに位置づけられるADV150。
ON/OFF に対応するために専用設計された足回り、兄貴分X-ADVのエクステリアを踏襲しているため、PCXとは全く印象の異なるアドベンチャーテイストに仕上げられていますが、ダブルクレードルフレーム、eSPエンジン等はPCX由来です。
国内で新登場となった2020年モデルの販売価格は41万円(以下いずれも税抜)、36.9万円であった同2020年のPCX150
より4.1万円高い点が上位バリエーションであることを示しています。
気になるリセールバリュー(売る際の価値)はどちらが高いのでしょうか?
買取業者の最大の転売先であり、販売業者の最大の仕入れ先として年間に約20万台のバイクが取引される業者間オークションの取引データを2022年10月時点で直近1年間遡って集計すると
【PCX vs ADV】買取相場比較 |
|
平均落札額 |
最高額 |
台数 |
18~20年モデル PCX150 |
25.3万円 |
34.2万円 |
145台 |
18~20年モデル PCX150 |
26.5万円 |
32.2万円 |
114台 |
20年モデル ADV150 |
37.1万円 |
47万円 |
152台 |
20年モデルPCX150はフルモデルチェンジ前の狭間で極端に取引台数が少なかったため同じ型式(KF30)である18年と20年モデルを合計した数字となっていますが、 ADV150の取引台数が大ヒット機PCXを超えている点は特筆すべきです。
そして(21年モデルでPCX150が160cc化したため中古相場が下落した点を考慮する必要はありますが)圧倒的にADV150のリセールバリューが高い結果となっています。
それでは買取させて頂きました20年モデルADV150にフォーカスして買取相場を見て参りましょう。
直近1年間の最高落札額は47万円、最低落札額は28.2万円を記録。19万円のレンジで152台が取引されていますが、 最大のボリュームゾーンは54台が取引された30~34万円台、次いで47台が取引された40~44万円台、そして42台の35~39万円台と続きます。
車両の状態別に業者間での落札額を比較すると下記のようになります。
【状態別】20年モデルADV150買取相場 |
|
平均落札額 |
最高額 |
最低額 |
台数 |
8点 未走行車 |
42.3万円 |
47万円 |
33.6万円 |
3台 |
6~7点 極上車 |
38.1万円 |
45万円 |
32.2万円 |
40台 |
5点 良好車 |
37.1万円 |
46.2万円 |
28.2万円 |
98台 |
4点 軽い難 |
35.7万円 |
42万円 |
29万円 |
11台 |
2022年現在で現行の1つ前に位置する高年式の20年モデルとあって、全152台のうち24%は極上車、66%は良好車と、取引された9割超が状態良好以上の個体で占められています。
走行0kmの未使用車の取引が3台記録されていますが、落札額は47万円・46.2万円・33.6万円となっています。33.6万円の個体は納車整備が終わっていないことから、実質的には全152台の落札額1位と2位は未使用車が独占しています。
税抜の新車価格が41万に設定されていた20年モデルADV150。47万円で販売業者が落札した個体の店頭車両価格は消費税・諸経費・儲けが上乗せされるため54万円程度となります。
中古車が現行の新車価格を超える値段で取引される異常事態となっているのは、コロナ禍以降、新車供給が細ったことを受けて中古バイクの相場が高騰したことが大きく影響しています。 しかしながら2022年10月現在ではADV150の新車は税込45.1万円の定価で豊富に陳列されており品薄状態にはありません。そのため店頭車両価格54万円の新古車は競争力を失っています。 今後の新車供給の安定度にも依存しますが、新車が定価で買える状況にあるADV150に関しては新車より高い型落ちの中古車は敬遠されるため買取相場は落ち着いてくることが予想されます。
同じ評価点ながら落札額に開きがあるのは、同じ評価点の中でも状態の良し悪しがある他、走行距離やカスタム内容が加味されるためですが、総じて評価点が高いほど平均落札額は高くなっています。
ノーマル車の場合は、
日頃から隙なくケアされている極上車で走行距離が数百kmと浅ければ上位の落札額(査定額)となる可能性が高く、年式並みの良好車で走行距離が1万キロを超えてくる個体は相場平均を下回る落札額(査定額)となってくるでしょう。
カスタム車の場合は付加価値が認められるケースも多く、NITRONやOHLINSのリアサスは大きなプラス査定、ヨシムラなど高価なフルエキなどもプラス査定に貢献する一方で、 純正オプションや社外のアクセサリーパーツのプラス寄与度はパーツの購入価格に対して小さいと言えます。
以上の買取相場を踏まえて、2020年モデルADV150の査定内容と買取額についてご紹介させて頂きます。 (尚、上記の業者間市場における落札額は、買取業者の転売額=販売業者の仕入れ額に相当するため、実際の買取額は9掛け相当となります)
【2020年モデルADV150】相場の推移
【2020年モデルADV150】業者間の取引価格帯
【2020年モデルADV150】評価点別の取引価格帯
買取業者の最大の転売先であり、販売業者の最大の仕入れ先として年間に約20万台のバイクが取引される業者間オークションの取引データ
極上判定となったエンジン
水冷4ストロークOHCの4バルブ単気筒「eSP」エンジンは、KF30型PCX150と同じく8,500回転で最大15馬力を発生させますが、OFF走行を視野に入れた機種特性から低中回転域のトルクと馬力はPCXより高出力の仕様となっているADV150。
オーナー様の愛車の走行距離は1,485km。業者間オークションで直近1年間で取引された152台を材料にすると、上位15%に入る走行距離の浅さは買取評価で大きなアドバンテージとなりました。
エンジン機能は、始動性・アイドリング・吹け上りと好調で機能的には減点が入りませんでした。
惜しかったのは、エアクリーナーやクランクケースに入っていた目立たない近づいて認識できる程度の小傷。逆に言えばそれ以外には減点対象が無かったことの裏返しでエンジン評価は文句なしの6点(極上)判定に。
足回りも極上判定
足回りは手が入りにくいパーツが多いことから劣化が出やすい箇所でもあります。手入れが簡単な外装だけでなく足回りの際まで綺麗な車両は日頃から丁寧にケアされているオートバイとして買取価値が高まります。
OFFを意識したブロックパターンタイヤにはヒゲが残り艶もあります。スクータータイプとしては異例のロングストロークを確保した前後サスペンションには軽度の錆が浮いていますが非常に綺麗です。
本格的なOFF車(デュアルパーパス)と同じくスポークホイールを採用しアドベンチャーモデルと銘打たれた兄貴分X-ADVに対し、やや控えめなアドベンチャースタイルと銘打たれたADV150はキャストホイール仕様。 汚れや磨いて落とせる錆びの出始めは有りますが綺麗です。 その他ステム周りに軽い錆びが浮いていますが、いずれも軽い研磨で除去できる軽度の錆びです。
評価点を大きく下げるオイル漏れなどの機能劣化や、重度の錆びや傷といった劣化はありません。メンテナンスフリーで再販に回せる状態は文句なしの極上判定に繋がりました。
フレーム回りに細かい劣化
PCXと共通のダブルクレードルのメインフレーム、そして軽量化と高く確保した最低地上高に対してシート高が高くならないように改良が施されたシートレールで構成されたメインの骨格は、減点査定が入りませんでした。
エンジンと並んで買取価値に最も影響を与える2大パーツの機能が高評価となりました。
センタースタンド周辺や素ペップ周辺などフレームに接続している関連個所に軽い錆びや腐食が見られましたが、目立たない箇所の安価なパーツとありマイナス評価も極めて限定的で済んでいます。
外装の評価は極上未満
エンジン、フレーム、足回り、電装保安部品と極上判定が入ったオーナー様のADV150。
外装に関しては細かい減点がやや多目に入り極上未満の5点(良好)判定に留まりました。
査定で細かく減点が刻まれた箇所を挙げると、タンクカバー・サイドカウル・サイドモール・アンダーカバーなどの小傷、インナーレッグシールドの削れ傷、ステップボードの使用感などです。
最大のポイントである外装全体の色艶は非常に良いことから、大勢に与える影響は軽微ですが、跨って目につく個所の削れや、目立たないながら傷がやや多かった点が細かく買取価値を下げてしましました。
総合評価と買取額
外装で5点(良好)が入った他は、フレーム・エンジン・前後足回り・電装保安部品で6点(極上)判定となったオーナー様のADV150。
総合評価5.8点で走行距離は約1,500km。カスタムは右側のブレーキレバーに社外品が入っている点を除けばノーマル仕様です。
上段で触れた業者間オークションでの取引データに照らすと、落札額で上位15%付近の評価となり、40万円が想定落札額となります。
40万円の落札額は買取業者にとっては転売額に相当しますので、経費(出品手数料や運送費など)と儲けを差し引いた37万円が非常に競争力のある買取提示額となります。
買取した2022年10月現在では、定価45.1万円で2022年モデルの新車が店頭に並んでいます。踏まえると業者間で40万円の値が付くかは懐疑的にならざるを得ません。なぜなら40万円で落札された(販売店が仕入れた)中古車の 店頭車両価格は消費税+落札手数料+運送費+儲けが加算されて47万円程度となり、新型の新車より高い中古車となってしまいます。 踏まえると、落札額は35万年程度と読みたくなるのが買取業者の本音で32万円程度がギリギリ利益の出る査定額になると見込まれます。
弊社横浜店は日本で一番バイクを売っている店舗です。125~150ccクラスのスクーターは売れ筋の機種でありADV150も売れ筋機種です。
軽整備で販売に回せる状態の良さは販売店仕入れ向きです。弊社販売店であれば税込車両価格41万円程度の値付けであれば直ぐに売れると判断し、買取専門業者では赤字確定となる38万円の査定額をお付けして買取させて頂きました。
【2020年モデル】
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 152台
- 平均価格: 371,671円
- 最高価格: 470,000円
- 最低価格: 282,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 22台
- 平均価格: 271,455円
- 最高価格: 385,000円
- 最低価格: 152,000円
相場情報:2022年10月1日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。