ボルトRスペック買取査定事例｜削れ傷が散見された2021年型の極上車

海外専用モデルとして販売されていたXVS950・ミッドスター(2009～17年)の流れを汲む派生モデルとして、2014年モデル(2013年12月発売)でデビューしたヤマハ・BOLT(ボルト)。
上位グレード(ゴールドに彩られたリザーバータンク付きリアサスと切削ホイール等を装備)のRスペックもベースモデルから4.2万円高の87.5万円(税抜)で同時発売されました。

大きな仕様変更は2017年のみ

Rスペックの歩みを振り返ると
登場から4期目の2017年に初のモデルチェンジが入り、ABS標準化やタンクの大容量化とともに型式がVN04JからVN09Jへと変更されました。
現行2021年モデルまで大きなアップデートは上記2017年モデルのみで、2020年にポジションランプが追加された小変更を除けば、カラーチェンジで毎年イヤーモデルを重ねています。

メーカー希望小売価格はABSで統一すると、登場2014年モデルが92.2万円であったのが、現行2021年モデルで95万円となっており緩やかに少しづつ値上げが実施されてきました。

最も大きなインパクトはモデルチェンジの入った2017年ですが、値上げやグラフィック＆カラー変更が毎年のように実施されてきたこともあり高年式になるほど相場が高くなる典型的な特徴を有しているボルトRスペック。
そのため買取した2021年モデルにフォーカスして買取相場をご案内したいところですが、当該年式BOLT R SPECの中古流通数が少ないため、 以下、2019～21年モデルに焦点を当てて見て参りましょう。

走行距離・年式・状態と買取額は連動

買取業者の最大の転売先であり、販売業者の最大の仕入れ先として年間に約20万台のバイクが取引される業者間オークションの取引データを見ると。

2019～2021年型 ボルトRスペックは、直近12ヶ月間に17台の実働車が取引されています。
取引の最高額は87万2000円、最低額は55.6万円、73.4万円が平均と95万円の新車価格に対して優秀なリセールバリューを誇っています。
上は87万円、下は56万円、と31万円の幅の中で17台が取引されていますが、取引額の傾向は下記のようになります。

• ▼取引額と車両状態の傾向
• 取引上位の80万円台で取引されたのは、走行数百kmで隙の無い極上車(評価点で6～7点)となっています。
  全て2020年と21年モデル
• ボリュームゾーンである70万円台で取引された個体は、走行数千キロの良好車(評価点で5点)が大勢を占めています。
  全て2019年と20年モデル
• 取引下位の50～60万円で取引されたのは、走行1～2万キロの良好車～軽い難有車(評価点で4～5点)が中心です。
  全て2019年モデル

オークションの性質上、競りがヒートアップした際に落札が伸びるため例外も散見されますが、傾向を纏めると上記になります。

流行りや高価な社外品はプラス査定

カスタムが施されていた車両は、17台のうち2台とカスタム比率は少なく、社外のフルエキ、ミラー、灯火類、フェンダーレスキットとライトなカスタムに留まっています。
落札額が伸びたのは、車検対応の超小型のウィンカー＆ブレーキランプのカスタム。その他は純正品の欠品と廉価社外品が仇となり取引額に伸びは見れれませんでした。

サイドバッグやリアキャリアなど積載量向上のオプション品を付けた個体も散見されましたが、オプション品については中古価値に応じた伸びしろが計上されているケースもありました。

高年式の相場が高い

年式別に取引の平均額を出すと
2019年型：69.2万円（11台）
2020年型：80.2万円（4台）
2021年型：85.4万円（2台）
と見事に高年式の相場が高くなっています。高年式車両ほど走行距離が浅く外装の色艶も良い点を差し引いても明確な相場差となっています。

以上の買取相場を踏まえて、ライトカスタムが施されボルトRスペックた(2021年モデル)の査定内容と買取額についてご紹介させて頂きます。 （※上記の取引額は、買取業者の転売額＝販売業者の仕入れ額に相当するため、実際の買取相場は90～95％掛け相当となります）

新車購入から約半年という最新2021年モデルとあって、見た目もエンジンも極上と言えたボルト Rスペック。 車検もたっぷりと残っており、弊社直営店舗での再販売を視野に入れての出張査定でしたが、各部を丁寧に拝見させて頂いたところ、非常に細かなマイナスポイントも確認されました。

まずはマイナス材料の多かった電装保安系とフレーム・外装に関してですが、現車にはハリケーン製フェンダーレスキットが装着されており、純正フェンダーは欠品状態でした。
配線処理は上手く行われていたものの、取り付けの過程で付いたと思わしきキズがシートレールに。ミラー外側に飛び石によるものと思わしき小キズ、サイレンサー部に見られる打痕状のキズ、 敷地内から出し入れの際に段差に乗り上げてついたというステップとスタンドのキズが評価を下げる要因となり、雨水によるサビが生じていることからそれぞれ評価5点となってしまいました。

続けて前後足回りについてですが、こちらはホイールとブレーキディスクに見られるサビキズあり。ブレーキディスクのサビは軽微なものでしたが、下段の写真で赤丸箇所のホイールに窪みがあることがお分かり頂けるかと思います。
塗装剥離といった症状がないことから、生産工程段階で生じた可能性が高いものの、再販売を行う上では厳しく判定せざるを得ませんでした。
リア周りはさほどではなかったものの、屋外保管であったためわずかなサビが生じており、前後足回りはそれぞれ評価7点に。 エンジンに関しては申し分がなく、外観状態・機関共に非の打ち所なし。マットブラック仕上げのエンジンがキズが目立ちやすいものですが、砂埃が上手くキズを防ぐ被膜的な役割を果たしており、もっとも高い評価8点を獲得することに。
各部詳細は以下の通りとなります。

バイクのカスタムとしてはポピュラーなフェンダーレス化ですが、低コストで可能な反面、純正フェンダー欠品といったでフェンダーレス化が主流ではない車種では減点が入ることもしばしば。
オーナー様のボルトRスペックは、手頃な価格ながら信頼性の高いハリケーン製品を使用していたものの、カスタムパーツとしての評価は高くなく、純正フェンダー欠品と比較するとノーマルが好まれる車種特性柄マイナスとなってしまいました。

テールランプの配線は上手く処理できていたものの、取り付け加工の際にドライバーでつけてしまったと思わしき引っかきキズがシートレール部にあることを確認。オーナー様にご確認いただいたところ、やはり個人で取り付け加工を行ったとのお話であったため、細かなマイナス判定となってしまいました。

オーナ様のボルトRスペックは純正マフラーを装着していましたが、マットブラック仕上げのサイレンサー部に広範囲の打痕あり。
これだけの規模になるとカバーは難しく、残念ながら減点対象となってしまいました。
ボルトの純正マフラーはサビに弱いのですが、エキパイなどにも目立つサビキズは見られなかっただけに、この打痕は非常に残念なポイントだと言えるでしょう。

オーナー様がお住まいの社宅敷地から出し入れする際、段差に乗り上げてついてしまったというスタンドの引っかきキズ。
毎回気をつけてはいたものの、うっかりバランスを崩して強めに擦ってしまったらしく、ご覧の通りかなり長めのキズが生じることに。
数回に渡ってついたものであるため、塗装が剥げて下地が露出しており、再販に当たっては補修処置をしたいところ。
ステップ前部分にも塗装が剥げない程度のキズがあり、こちらが車体・フレームの評価を若干下げる形に。とは言え、軽微な範囲内であったため、評価的には6点寄りの5点という形で最小限に留めさせて頂きました。

今回の現車査定の上で、もっとも高評価となったのはエンジン。
走行距離773kmとごくごく浅く、まだ慣らし運転中にあたる段階ですが、オーナー様は丁寧なスロットルワークを心がけておられたようで、吹け具合なども申し分のないコンディションを保っておりました。
ボルト Rスペックを含め、エンジンがブラック仕上げの車種は得てしてキズが目立ちやすいものですが、画像の通りほとんどまっさらに近い美観であり、中古バイクへの評価としては最上級の評価8点をつけさせて頂く事に。

エンジン・フレーム・外装と基本要素は最新2021年モデルとあって超の付く極上車であったボルト Rスペック。
惜しまれたのは、前後足回りの目立つサビキズや純正フェンダーの欠品等。細かな減点によって全体的な評価を少し下げてしまい総合評価はの6点(『超』は付かない極上車)に。

上段でご紹介した買取相場に照らすと、業者間市場での取引額(販売業者の仕入れ値＝買取業者の転売額相当)は83万円付近想定。
そこから、出品手数料や運送費を差し引き儲けを出すには80万円がギリギリ限界の査定額となるところ。
弊社が提示した査定額は相場的には赤字確定の83万円。
単店舗として2歩日バイクを売っている弊社直営販売店の仕入れ額としてご提示させて頂きました。
「その価格なら」とオーナー様からご快諾頂き現金買取させて頂きました。