買取させて頂きましたのは2015年モデル/ブラックメタリックのYZF-R3。
高年式ということもあって、査定するYZF-R3の多くは極上車や良好車ですが、今回は劣化や損傷が目立った転倒傷でした。
早速査定内容の詳細をご案内差し上げます。
足回り
先ずは足回りから査定させていただきます。 車両重量170kgと中型バイクとしては軽めですが、マスの集中化によって、押し引きは車両重量以上に軽く感じられるYZF-R3。
跨って、荷重して抜重して、前後サスの沈み込みと戻り具合をチェックします。車体には転倒を示す傷が多数ありましたが、フロントサスの沈み込みや戻りに問題はなく目視でもフロントフォークに歪みはなさそうです。
前後サスともオイル漏れやヌケもなく機能的には良好ですが、アウターチューブに目立つ削れ傷があり買取価値を損ねていました。
その他の外傷については、ブレーキレバーの削れ、ハンドルの曲がりが確認できます。
リアのサスペンションは錆が目立ち、チェーンやスプロケ、スイングアーム、ホイールなどは小傷の他に使用感が目立ち、2015年モデルとしては劣化の色合いが濃く、外傷と見た目の価値の両面で買取価値を損ねていました。

外装
R3のステッカーが貼られたセンターカウルにはブラックメタリックに対比する白色の削れ傷や線傷が目立つます。
フルカウルのYZF-R3は、外装の価値比重が高く、中でも車体の印象を決定づけるセンターカウルの価値は大きいです。
YZF-R3購入希望者の大半はセンターカウルを見て車両を判断するといっても過言ではありません。
下地まで達する深い傷もありやや大きめのマイナス査定となっています。
その他、外装全体に色艶も失われていて、こちらも不可逆性の劣化でマイナスの査定となっています。
良好や極上の状態が多いYZF-R3の中では相対的に辛口の査定評価とならざるを得ない外装状態といえます。

エンジン
いきなり排気口からになりますが、外装のチェック時に見えた、排気口の周辺に溜まっている黒い煤が気になります。
チェックしてみるとエアクリも真っ黒です。
気になりつつエンジンを始動させますが、セルがやや重く回ります。一発で始動はしますが、調整の必要性がありそうです。
始動後のエンジンはアイドリングは安定していますが、煙を吐き、アクセル解放時にも煙を吐きます。目立つ異音などはありませんでしたが、機能面の査定でマイナス査定が入りました。
見た目は、エンジン回りは劣化が出にくい塗装が施されていますが、それでもボルトや細部などに劣化が目立ちます。
やや濃いめの劣化が目立ったのは、エキパイやラジエーター。錆びや転倒傷が目立ち、買取価値を損ねていました。

フレーム回り
外装・足回りの査定で転倒傷が目立ったYZF-R3。心配なのはメインフレームへの影響です。
ハンドル周りからの衝撃を主に受け止めるハンドルストッパーをチェックすると、大きくではありませんが曲がりが認められます。大き目の衝撃が発生していたことを物語ります。
左右のハンドルの切れ角をチェックしますが左右の切れ角は同等で捻じれはないようです。
続いてメインフレームのネック部分や接合部を入念に査定していきますが、皺寄りなど衝撃を吸収した痕跡はありません。
大要素では良い結果となりましたが、フレームの線傷やステップ曲がりなどもあり細かいところでマイナス査定となっています。<

電装・保安系
電装系はセル始動で異音があり要調整ですが、配線加工がない点は高評価。
シフトタイミングインジケーターもあるR3のメーターですが、埃が積もっており保管状況が良好ではなかったことを物語っています。
ミラーカバーの転倒傷、ウィンカーレンズの傷、エキパイの目立つ錆、マフラーの転倒傷やへこみ等、マイナスとなった査定箇所が多く電装・保安部品の評価も年式並み未満に甘んじる結果となりました。

総合評価と買取価格
以上のように転倒車として外傷が目立ったほか、2015年モデルとしては年式以上に使用感や疲労感が色濃く、車両の状態としては年式平均を下回る難あり状態といえます。
下段で詳しくご案内しておりますが、難あり状態のYZF-R3の買取相場は10~20万円台前半。
走行距離も約2万キロと、低走行車が多いR3の中では相対的にかなり走行距離が多く、煙吹きなどのエンジン不調も加わって、難あり車両としても価値が低く、相場的には10万円台前半の査定価格となる状態でした。
不調が多く、外相の目立つ店頭車両ではありましたが、弊社販売店での修復後の直販も視野に入れつつ、利益を限界まで削り18万円の査定価格で買取させていただきました
お客様のご感想と買取後記
「まさか、エンジンかけてくれるとは思わなかった」とはお客様のお言葉。
転倒後、しばらく動かしていなかったそうで、査定時にはバッテリー上がりでエンジンが始動しない状態でしたが、携帯しているブースターを繋いで根気よくアクセルを回してエンジンを始動させることができました。
多くの場合でエンジンが始動出来たほうが、始動しない場合よりも査定評価が高くなることが多いためエンジン始動できてほっといたしました。
YZF-R3はいくらで売れるのか?適正相場
2015年4月にメーカー希望小売価格63.1万円で売りだされたYZF-R3 ABS(以下YZF-R3)。
2016年と2017年モデルで新色を伴うカラーリング変更が実施され、2018年モデルのカラーリング変更では排ガス規制対応もあったため希望小売価格が64.2万円と1万円強値上がりしました。
兄弟社のYZF-R25(
YZF-R25の買取事例)が排ガス規制対応したたことで2018年モデルから型式がRG10JからRG10Jへ変更されましたが、R3の型式に変更はありませんでした。
発売から2018年モデルまでカラーリング以外のに目立つ仕様変更がなかったYZF-R3。
2019年モデル当あたりでのフルモデルチェンジが予想されていますが、2018年現在では新車の実勢価格として、2017年モデルは45万円台~、2018年モデルは49万円台~の価格で売られています。
実走行のある中古車の多くは40万円台の車両価格で販売されているYZF-R3ですが、売却の際はいくらで売れるのでしょうか?
買取業者の査定価格の指標であり、販売業者の仕入れ値であり、つまり日本の中古バイクの相場を決定している業者間オークション市場の取引データを使用して、R3の適切な買取相場をご案内差し上げます。
状態別の買取相場
- ▼状態を表す評価点の目安|YZF-R3
- 評価点8以上 新車同様
- 評価点7 超極上
- 評価点6 極上車
- 評価点5 良好車
- 評価点4 若干の難あり
- 評価点1 事故車や不動車
YZF-R3|評価点別の取引相場 |
状態/ 落札価格帯 |
評価点 8以上 |
評価点 6~7 |
評価点 5 |
評価点 4 |
評価点 1 |
45~49万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
0台 |
0台 |
40~44万円 |
1台 |
1台 |
1台 |
0台 |
0台 |
35~39万円 |
0台 |
7台 |
8台 |
1台 |
0台 |
30~34万円 |
0台 |
0台 |
16台 |
4台 |
0台 |
25~29万円 |
0台 |
0台 |
2台 |
8台 |
0台 |
20~24万円 |
0台 |
0台 |
1台 |
2台 |
3台 |
15~19万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
3台 |
6台 |
10~14万円 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
2台 |
10万円未満 |
0台 |
0台 |
0台 |
0台 |
4台 |
(2018年4月時点で、業者間市場の落札データを過去半年間遡った数字)
(業者間市場とは全国で買取されたバイクの9割以上が出品される市場で、販売店と買取店の会員企業間で取引されるの業者間のオークション市場。そこで落札された金額が買取業者の査定価格の基準値となっています)

買取相場のボリュームゾーンは30万円弱
上記は、車両状態を横軸に、落札金額を縦軸にして、取引台数を記載した表です。
状態別に取引台数が多い升目を目立つように黒塗りしています。
黒塗した升目が階段状に右肩下がりになっており、状態が良いほど高額で取引される傾向にあり、その逆も然りとなっていることが見て取れ。状態と取引相場(買取相場の前提指標)は連動していることが分かります。
各評価点別の取引額を見ていくと、
評価点8以上で取引された1台は、走行0kmの未使用車で評価点は10点の2018年モデルで取引金額は42.8万円となっています。
この車両が状態の頂点であり、YZF-R3の買取相場の上限の指標となりそうです。
続いて、評価点6~7点の極上車は30万円台後半での取引が多く、評価点5の良好車は30万円台前半に取引が集中し、評価点4の難アリ車は10万円台後半~20万円台に取引が分布しています。
上記がYZF-R3の状態別の取引相場です。
取引相場を買取相場に換算するには、市場での取引相場から買取業者の儲けと経費(出品手数料や運送費など)を差し引く必要があります。
業界構造として、買取業者の販路の圧倒的主流が業者間市場となっているためです。
中型バイクの場合、買取業者の儲けと経費の合計額は3~4万円程度が、お客様にとって競争力のある査定額で適正な査定相場となります。
業者の経費と儲けを差し引いた査定現場での適正な買取相場は下記のようになります。
- ▼査定現場での買取相場|YZF-R3
- 新車同様だと、40万円付近
- 極上車は、30万円台前半~半ば
- 良好車は、20万円台後半~30万円台前半
- 難有車は、10万円台~20万円台前半
R3事故車の買取相場
事故車や故障車・不動車など実働状態にない、評価点1のYZF-R3は直近は6カ月間で15台が取引されました。
最低額の6.1万円で取引された個体はフロントフォークが折れて前輪が車体から分離しています。
一歩、最高額の21.2万円で取引された個体は写真からは損傷個所が特定できない綺麗な車体ですが、フロントフォークが歪んでいる可能性がありそうです。
目立つ外傷のある事故車では、18万円で取引された個体が、左サイドのセンターカウル全損・フレームに目立つ傷・ラジエター変形・アッパーカウル破損。
13万円で取引された個体が、前面潰れでフォーク曲がり大。10万円未満で落札された個体群はフレームが再利用できない状態である可能性が高そうな状態となっています。
以上のことから、市場の取引相場から3~4万円を差し引いた査定現場での買取相場をまとめると以下のようになります。
- ▼事故車の買取相場|YZF-R3
- 全損車両は、パーツ価値で数千円~7万円程度
- フレームが利用可能な場合は、5~15万円程度
続いてカラーリングによって買取相場に差があるのか?見てみましょう。
カラーリング別の買取相場
- ▼2015年モデル|YZF-R3
- ディープパープリッシュブルーメタリック(青/銀)
- ブラックメタリック(艶黒)
- ビビッドレッドカクテル(白/赤)
- ▼2016年モデル|YZF-R3
- ディープパープリッシュブルーメタリック(青/銀)
- ホワイトメタリック(白/赤)
- マットグレーメタリック(艶消黒)
- ▼2017年モデル|YZF-R3
- ホワイトメタリック
- ディープパープリッシュメタリック(青/銀)
- マットブラック(艶消黒)
- Movistar MotoGP Edition(青)
- ▼2018年モデル|YZF-R3
- ディープパープリッシュブルーメタリック(青/銀)
- ブラックメタリック(青)
- ホワイトメタリック(艶黒)
2015~2018年モデルまで、各年にカラーリングとデザインパターンの変更があり、見た目のカラーリングで何年モデルか特定できるYZF-R3ですが、
基本のメインカラーは、『青』『白』『黒』の3色。
『白』は、2017年モデルでアクセントカラーが赤から黄色に変更に、
『黒』は、2016年モデルと2017年モデルの『黒』がマットなのに対して、2015と2018年モデルがメタリックであること。
『青』は、2017年モデルで銀の領域が狭まり、2018年モデルでは青一色となりました。
また2017年のMovistar MotoGP Editionは、ディープパープリッシュブルーメタリックにスポンサーのMovistarとeneosuロゴを配置したMotoGPマシン仕様となっています。
以下カラーリング別の買取相場を見てみましょう。
(カラーリングはセンターカウルの配色)
まず目につきのが、黒系と青/銀(2015~2016年のディープパープリッシュブルーメタリック)の台数の多さ。
人気カラーであることが分かります。買取の際は売れやすい人気カラーということで、気持ち査定価格がプラスに働くでしょう。
続いて、Movistar MotoGP Edition(YZF-R3モビスター モトGP エディション)の取引価格の高さに着目したのですが、取引概数が少ないうえに走行0kmの未使用車も混ざっているため、傾向地としては弱いと言わざるを得ません。
とはいえ
YZF-R1、
XSR900、
SR400、
V-MAX、 BOLT、 マジェスティSなど多くの車種において、、2017年のイエロー/黒ストロボの60th Anniversaryモデルがプレミアムのカラーリングとして相場が高くなっていることを踏まえると、Movistar MotoGP Editionの相場が数万円高そうなことは 想像できます。買取査定価格に反映するにはややデータ不足ではありますが、弊社パッションのように販売店仕入れであればカラーリングでの査定価格上乗せも十分期待できるでしょう。
YZF-R3の買取相場は、季節要因(夏場が高い)によっても変動しますし、発売から3年以上経過していることもあり時系列でも変化しています。
今後はフルモデルチェンジも予想されます。新モデルが登場した後の旧モデルの相場は急変も予想されます。
最新の相場情報は、
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YZF-R3の買取査定はパッションにお任せくださいませ!
その他、どんなことでもお気軽にお問い合わせくださいませ。
YZF-R3
【実働車】の業者間オークション市場における、買取時点直近6ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 56台
- 平均価格: 321,964円
- 最高価格: 454,000円
- 最低価格: 168,000円
【事故車・不動車】の業者間オークション市場における、買取時点直近12ヶ月間の落札データ
- 取引台数: 15台
- 平均価格: 150,133円
- 最高価格: 212,000円
- 最低価格: 61,000円
相場情報:2018年4月9日時点
最新の相場情報は、10秒で買取相場が出る自動査定でチェックして頂けます。
上記金額は、買取業者の最大の転売先である業者間オークション市場の落札データであり、買取業者の転売金額です。
業者間オークション市場とは買取業者と販売業者が参画する競り市場で、年間に約20万台のオートバイが取引される市場です。
買取業者が買取したバイクの約9割は上記市場において転売されています。
その事実が、業者間オークション市場の落札金額が買取業者の査定額の基準値である所以です。
査定現場での買取価格は下記の転売(落札)金額から買取業者の儲けと経費(運送料や出品手数料など)を差し引いた金額となります。
査定現場での正味の買取額は、転売金額である落札額から5~10%を割り引いた金額が適正で競争力のある価格となります。
金額にすると単価の安い原付バイクで1万円から、100万円を超える高額車両では6万円までが適正な割引額です。