ホンダウィングGL400カスタムは、1979年に発売されました。
エンジンはそのままで、ティアドロップ型タンク、スポーティなマフラー、より低い段付シートなどを装備したアメリカンスタイルのバイクです。さらには軽量孔あきフロントダブルディスク、フロントにセミエアサス、ハロゲンヘッドライトなどを装備しています。
GL400は500ccベースのため、ライバルの【XS400スペシャル】より車格が大きく、シャフトドライブということもあってロングクルーズに適していました。それがプルバックスタイルにより、一層ロングランを意識した造りとなっています。
それに加えてV型特有のドコドコという鼓動感と排気音などから、XSよりは明らかにワンランクアップの気分を味わえます。当時は大型二輪免許が難関だったこともあり、中型免許で大型の雰囲気を味わえるGL400、GL400カスタムは（好き嫌いは分かれましたが）一部ライダーには人気がありました。
当時はまだ「和製アメリカン」というジャンルが確立されていなかった時代で、メーカーも既にあるエンジンでアメリカンを造っており、今からすれば中途半端でもあり、80年代特有の雰囲気でもあり・・・。
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解説記事更新日：2022年01月30日

1979年のホンダウィングGL400カスタムは初期型です。
【GL400】の縦置きV型OHV2気筒のエンジンを使用し、段付ローシート、プルバックハンドル、ティアドロップ型タンクなどを装備したアメリカンスタイルモデルです。
車重は装備で216kgと重いですが、重さはクルーズ時の安定性にもつながります。V型の「ドコドコ」という鼓動を感じながら楽なポジションでゆったり走るのは、GL400カスタムならではの魅力です。一見フロントフォークのキャスター角も変わっているかと思いきや、26°30′はGL400と同じです。
兄弟車に【GL500カスタム】があり、サイドカバーの排気量表示以外の識別点は、500ではブラックの「裏コム」だが400では通常のコムスター、500ではリアタイヤが16インチで400は18インチである2点です。
もともとGL400は500ccベースの大きい車格で、ハイパワーバイクではありません。くわえてシャフトドライブであることも、アメリカンスタイルには非常に適合していたと言えます。
1980年頃は和製アメリカンが登場し始めた頃で、並列4気筒エンジンを積んだ車種も多かった中、鼓動感のあるV型2気筒はアメリカンスタイルにマッチしていました。また80年前後は、60年代から続いていたジャパニーズバイクの典型＝アップハンドルで殿様乗りスタイルが、【CB750F】のようなヨーロピアンスタイルと、GL400カスタムのようなアメリカンスタイルに分かれ始めた時代でもあります。そして83年にレプリカが登場します。
79年発売の【CM400】もアメリカンですが、GL400はそれらの先鞭をつけたモデルとして、画期的とも言える存在です。
なお「カスタム」とはホンダがアメリカンタイプにつけていた名前で、同様にカワサキは「リミテッド」、ヤマハは「スペシャル」、スズキは「ラグジュアリー」とネーミングしていました。
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解説記事更新日：2022年01月31日

1980年型のホンダウィングカスタムGL400はマイナーチェンジを受けています。ホンダHPによれば、車名は「ウイングGL400カスタム」から「ウイングカスタムGL400」となっています。
79年式からの変更点は、
・コムスターホイールをブラックの「裏コム」に変更
・リアタイヤを16インチに変更
・サイドカバーから「400」の文字を削除
・タンクとサイドカバーのカラーリング変更
・前後タイヤをチューブレスタイプに変更
タンクがツートーンになったことで高級感が、リアタイヤが16インチで太くなったことで重厚感が増しています（余談ですがリアホイールが小さくなったため車重が2kg軽くなっています）。
縦置きV型OHV2気筒のエンジンには変更ありません。縦置きクランクのためにアクセルのオン・オフによるトルク変動によって車体が左右にぶれますが、クラッチ一体を逆回転させてかなり軽減させています。前方に22度ひねったシリンダーがライダーの膝と干渉するのを防いでいるのも、このエンジンの特徴です。
段付ローシート、プルバックハンドルのポジションは、1980年当時のライダーにとって新鮮に感じられたことでしょう。V型エンジンの鼓動を感じながらのんびり走れば、また違う景色が見えてきたに違いありません。そんな雰囲気から、荷物をたくさん積んでロングツーリングを楽しむライダーがアメリカンタイプを好んでいました。
そんな、和製アメリカン黎明期のモデル、1980年型ウイングカスタムGL400の買替や売却をお考えでしたら買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2022年01月31日

1981年型のホンダウィングカスタムGL400はマイナーチェンジを受けています。
・フロントブレーキをシングルから穴あきのダブルディスクに変更
・同時にデュアルピストンキャリパー採用
・フロントサスをセミエア式に変更
・ハロゲンヘッドライトを採用
・点火方式をCDIからトランジスタに変更
・シートの段差を大きく、ハンドル幅を20mm狭くした
が変更点です。
エンジンは発売された79年から変更なく、縦置きV型OHV2気筒、気筒あたり4バルブです。バルブ駆動方式のOHVとは、OHC以前によく使われていた形式で、プッシュロッド（簡単に言えば金属棒）でバルブを駆動します。カムシャフトを省けるメリットがありますが、高回転には向いていないデメリットがあります。しかしGL400では最大出力40馬力を9,500回転で発生しており、同時期のホンダ400cc【ホークⅡ】の40馬力/9,500回転に匹敵しています。こうした高回転を実現しながらも、V型2気筒の鼓動を感じさせるテイストとしたGL400のエンジンは、非常によくできています。シリンダーヘッドがライダーの膝に干渉しないよう、22度前方にひねっているのも、他のどんな車種にもない特徴です。
プルバックハンドルと段付シートで得られるアメリカンスタイルは、80年代に派生した１つのバイクジャンルとして、その後も引き継がれてきました。当時のライダーと同様、ロングツーリングの荷物を積んでゆっくり走れば、また違った風景が見えてくるに違いありません。
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解説記事更新日：2022年01月31日