KTMはミドルクラスネイキッド「790 DUKE」の上位モデルという位置付けで2020年に「890 DUKE R」を展開していたが、2021年には、その「890」シリーズのベーシックグレードというポジションで本モデル「890 DUKE」を投入した。日本国内向けは同年4月に発売された。
既に販売されている「890 DUKE R」の標準モデルという位置付けからマシン各部の仕様はシンプル化されている部分もあるが基本構造は共有している。
車体はクロモリ鋼管製スペースフレームを採用してDOHC4バルブ水冷並列2気筒のLC8c型エンジンを搭載する。ボア・ストロークが、90.7mm×68.8mmのショートストローク889ccユニットとなる。上位グレードの「890 DUKE R」と同系エンジンだが、最高出力は「R」グレードが9,250回転121馬力に対して、本モデルは9,000回転116馬力というスペック。最大トルクも7,750回転99Nmから8,000回転92Nmに抑えられている。
ただ、それでも重量は弟分モデルの「790 DUKE」と同じ174kgなので、刺激的なアクティブライドを楽しめるストリートファイターマシンだ。
ライディングモードは「スポーツ」、「ストリート」、「レイン」の3タイプが標準で選択可能。さらに「トラック」モードもオプションで用意されている。トランスミッションは6速リターン式を採用。
足回りは、フロントにWP製の43mm倒立フォークをセットして17インチホイールにコンチネンタル製タイヤを装着。ブレーキはダブルディスク仕様となる。
ちなみに「890 DUKE R」はタイヤがミシュラン製となり、ブレーキは大径ディスクにブレンボ製マスターとキャリパーがセットされている。
リヤはスイングアームにモノショックと17インチホイールにディスクブレーキという構造。
ライバルモデルとしては、2021年にフルモデルチェンジを受けたヤマハの「MT-09」が比較対象になるだろう。189kgの車体が抱える心臓部は888ccの並列トリプルとなる。最高出力は、10,000回転120馬力という高回転型ハイパワーユニット。最大トルクは7,500回転で93Nmを発生する。パワーウエイトレシオは、僅かな差で本モデルが優れている。
シート高は、「MT-09」が825mmで「890 DUKE」は820mmと、こちらも僅差となる。
2気筒と3気筒のエンジンフィーリングの違いやスタイルの好みでライダーの選択は分かれるだろう。
なおデビュー以降の「890 DUKE」は、翌年にMotoGPマシンをイメージさせるグラフィックやカラーリングを採用する「890 DUKE GP」を展開するなどラインアップを充実させている。

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解説記事更新日：2023年08月16日

パラレルツインを搭載するKTMのハイスペックネイキッド「890 DUKE R」の標準グレードとして登場したのが、本モデル「890 DUKE」である。日本向けのデビューモデルとなった2021年式は同年4月に126.9万円(税込)で発売された。
エンジンは889㏄の並列2気筒エンジンを搭載して9,000回転で116馬力を発生する。そして最大トルクは8、000回転92Nmというスペック。
既存マシンとなる「790 デューク」は、9,000回転105馬力・8,000回転86Nmという仕様で重量は174kgで同じ。排気量アップされたパワーユニットの恩恵により、従来通りのシャープなハンドリングと優れたコーナリング特性はそのままにパワフルなフィーリングも手に入れたハイポテンシャルなストリートファイターだ。
ちなみに足回りは、先行発売されていた「890 DUKE R」が調整式のWP製43mm倒立フォークを採用しているのに対して、本モデルは調整機能が省かれている。また、ブレーキのマスターやキャリパーはブレンボ製ではなくKTMオリジナルに変更されている。さらにハンドルバーも異なっている。各部装備の簡素化が施されている本モデルだが、「DUKE R」との価格差は20万円。この差で本モデルがお買い得と考えるか、それとも「DUKE R」が割安と感じるかはライダー次第だろう。
なおデビューモデルとなった2021年式の「890 DUKE」は、「オレンジ」と「ブラック」の2カラーバリエーションで展開となった。

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解説記事更新日：2023年08月24日

豪華グレードの「R」に加えてベーシックタイプの本モデルが前年に登場したことで、2マシン構成となった「890 DUKE」だが、2022年には新たなバリエーションモデルとして「890 DUKE GP」が展開された。本モデルをベースにグラフィックなどデザイン面を変更することでスポーティなテイストを前面に押し出した仕様だ。ニューモデルの登場で3タイプ構成となった「890 DUKE」シリーズだが、エントリーマシンという位置付けになった本モデル「890 DUKE」は、目立った仕様変更を受けることなく継続ラインアップされている。
パワートレインには、9,000回転で116馬力を発揮する889ccのDOHC4バルブ水冷並列2気筒ユニットを搭載。上位グレードの「890 DUKE R」は、同系エンジンながら9,250回転121馬力というハイスペック仕上げで、重量が171kgで「890 DUKE」より3kg軽い。ただ、シート高が834mmで本モデルよりも14mm高い。
他メーカーのライバルマシンとしては、BMWモトラッドが展開する「F900R」が台頭している。エンジンは895ccのパラレルツインで8,500回転105馬力というスペック。最大トルクは6,500回転で92Nmを発生する。最高出力では「890 DUKE」より劣るが、ピークトルクは本モデルよりも1,500回転下で発揮するので使用シーンによっては「F900R」が扱いやすく感じることもあるだろう。シート高は815mm。ホイールベースは、1,520mmで「890 DUKE」より約50mmロングな設計。
なお2022年式の本モデルは、前年同様に「オレンジ×ブラック」と「グレー×ブラック」の2カラー構成で継続。価格は5.1万円アップで132万円(税込)となった。

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解説記事更新日：2023年08月16日