チョットした買い物からデリバリー系のビジネスユースまで幅広い用途に対応したファミリーバイクとして登場したのが「モレ」である。デビューモデルとなるFA14A型は1986年8月に発売された。
主なターゲットは女性に設定されており、2代目モデルでは女性の新聞配達員を想定した専用モデルまで展開された。
バーステップを採用した一般的なスクーターとは異なるフレームでフロント部分にはカゴが標準装備となっている。ヘッドライトはカゴの下にレイアウトすることで夜間の積載時でも視認性が犠牲にならないように設計されている。
フレームはアンダーボーン型で、パワートレインは空冷2ストローク単気筒の49ccを搭載。初代モデルは当時のスクーター「Hi」などに採用されていた6馬力の縦型エンジンを採用していた。また、タイヤサイズがフロント・リアともに12インチと大径仕様だったため、リア周りはクランクケースを延長した専用設計になっていた。サスペンションは、フロントがテレスコピック正立フォークを装備していたので乗り心地や安定性に優れていた。そして、リアも荷台の積載に十分対応できるようツインショック仕様。
当時のライバルとしては、ホンダの「エクスプレス」が比較対象になるだろう。5.2馬力の2ストロークエンジンを搭載したビジネススクーターで、オプション設定だったが前カゴも装着できた。日常シーンからスーツ姿でもフィットするデザインを採用し、幅広い用途を想定したモデルという面で「モレ」と共通のコンセプトを持っていた。
「モレ」は、1994年に最初で最後のフルモデルチェンジを実施し2代目モデルへと進化。エンジンを刷新しパワーは6.8馬力に向上。リアタイヤを10インチへ小径化しサスペンションもシングル仕様へと変更された。そして、女性新聞配達員向けモデル「スーパーモレ」を同時発売し、排ガス規制への対応を迫られた2008年まで販売されて生産終了となった。

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解説記事更新日：2021年12月20日

「モレ」シリーズの初代モデルFA14A型は1986年8月に発売された。ビジネスユースにも対応できるファミリーバイクという位置づけで、生活の足としての仕様をメインに想定したディテールとなっている。
車体はパイプアンダーボーンフレームにリードバルブ空冷2ストローク単気筒49ccエンジンを搭載。A124型の縦型レイアウトで、最高出力は6馬力を発揮した。トランスミッションはVベルトの無段変速仕様でスムーズな走行性能を実現。
足回りは、通常のスクーターより大径の12インチホイールを前後に装着している。リアタイヤ径が大きいためユニットスイング式のリア周りは、クランクケースが延長されている。そして、エンジンの動力は逆回転で出力され2段式カウンターシャフトを通してホイールに伝わるという特殊な設計になっていた。ブレーキは前後共にドラム仕様だ。
外観デザインは、主婦層の買い物ユースを想定し、フロントバスケットを装着。そしてリアは荷物を積載しやすいフラットな荷台になっている。積載量はフロント5kg、リア10kgとなっていた。ヘッドライトはバスケットの下にレイアウトされているので長物の荷物を収容しても視認性が遮られることは無い。
「モレ」のデビューモデルFA14A型は、発売開始以降の仕様変更は行われることなく1994年にFA14B型へ進化するまで販売された。

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解説記事更新日：2021年12月20日

ファミリーバイクとして登場した「モレ」は、最初で最後のフルモデルチェンジを実施し1994年5月に2代目モデルのFA14B型へ進化した。
今回のモデルチェンジで初代FA14A型からよりビジネスモデル色の濃いマシンへと変化している。
車体は引き続き足つき性に優れたバーステップを採用したパイプアンダーボーンフレーム。パワートレインはリードバルブの空冷2ストローク単気筒エンジンに変わりは無いが、従来モデルの縦型レイアウトから「アドレス」や「セピア」にも採用されていた横型レイアウトのA147型を搭載。最高出力は、先代モデルから10%以上アップの7,000回転で6.8馬力というスペック。
ホイールサイズは従来モデルの前後12インチからリアのみ10インチに小径化され、前後異径サイズとなった。そして、ツインショック仕様だったリアサスペンションはシングルサスへ変更された。
モデルチェンジと同時に女性の新聞配達員に特化した仕様の「スーパーモレ」も発売。ベースは「モレ」だが、フロントバスケットとリアキャリアは大型化しサイドスタンドも強化タイプを装着している。通常の「モレ」との価格差は6千円(税抜)だった。
当初は主婦のお買い物など日用ユースをメインに想定して開発された「モレ」だったが、いつしかビジネスニーズが多かったため、2000年モデルを最後に通常モデルはカタログ落ちし、「スーパーモレ」の一本化となり2008年まで販売された。

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解説記事更新日：2021年12月20日