BMW「F800ST」は、兄弟モデルとなる「F800S」と共に2006年10月に発売されたミドルスポーツバイクである。エンジンは既にラインアップされていた「F650」シリーズと同様にオーストリアのロータックス社との共同開発モデルを搭載。水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒の798ccエンジンだ。「パラレルツイン」とも呼ばれるパワートレインは、「F800」シリーズがBMWにとって初採用のマシンとなった。
エンジンの組み立ては、ロータックス社の工場で行われたが車体への組付け工程はドイツのベルリンで行われるという2国間の共同作業によって生産されていた。エンジン内部には一次振動と二次振動を打ち消すバランサーアームが搭載されていることから静粛性に優れており、鼓動感を奏でるツインエンジンの特徴はそれほど顕著ではなく、ボクサーサウンドに近いエンジン音である。
兄弟モデルの「F800S」との違いは、本モデルはよりツーリング志向に仕上げられているという点だ。モデル名末尾の「S」は「スポーツ」、「ST」が「スポーツツーリング」の略であることからもコンセプトの違いが垣間見られる。
一目で見てわかる違いはカウル形状だろう。「F800ST」は「S」タイプと比較すると足元まで覆うデザインでシールドも大型を採用。ハンドルは「S」タイプがセパレートハンドルに対して、「ST」はアップ気味のパイプハンドルを採用している。リアフェンダーの形状やホイールデザイン、ラゲッジラックの有無といった違いもある。ただ、車体のベースは同じなので互換性があり「ST」の「S」仕様といった具合でパーツを組み合わせることも可能。
スタンダードタイプの「アクティブライン」に加え、ABSやグリップヒーター、パニアケースホルダなどを装備した豪華タイプの「ハイライン」という2グレード構成であった点も「S」タイプと同じだった。
2013年に「F800GT」がデビューし生産終了となった。

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解説記事更新日：2021年09月05日

BMWモトラッドのミドルクラス「F」シリーズにパラレルツインを搭載するニューモデルが2006年モデルで登場。スポーツモデルの「F800S」とツアラー仕様の本モデル「F800ST」だ。
両モデルとも車体の基本コンポーネントは共用しているが、本モデルには「F800S」には採用されていない以下の装備が与えられている。

・バーハンドル
・リアキャリア
・大型フロントスクリーン
・サイドスタンド(ハイラインのみ)
・パニアケースステー（ハイラインのみ)

パワートレインには従来の「F」シリーズに採用されていた単気筒エンジンではなく、DOHC4バルブ水冷4サイクル並列2気筒ユニットを搭載。ボア・ストロークが82mm×75.6mmの798cc仕様で、最高出力は8,000回転85馬力というスペックでデビュー。
駆動系統は6速ミッションとベルトドライブの組み合わせ。
足回りは、フロントにインナーチューブ43mm径のテレスコピック正立フォークを装備して17インチホイールと320mmのダブルディスクブレーキという組み合わせ。
リアはアルミ製の片持ちスイングアームにモノショックと17インチキャストホイールをセット。ブレーキは265mmのシングルディスクとなる。
ハンドルが「F800S」のセパレートタイプとは異なりバータイプを採用することで、ライディングポジションは上体を起こし気味のスタイルとなり扱いやすい。リアキャリアやサイドスタンドといった装備がツアラーユースを意識したマシンということを表していると言えるだろう。
カラーバリエーションは、「ブルーメタリック」と「グラフィタンメタリックマット」の2タイプを設定。価格は109,8万円(税込)から展開された。

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解説記事更新日：2023年02月20日

オーストリアのボンバルディア・ロータックスと共同開発で誕生した798㏄のパラレルツインユニットを搭載するスポーツツアラー「F800GS」。エンジンは6速トランスミッションと一体型の構造を採用することで軽量コンパクトな車体を実現。乾燥重量は187kgに収まっている。デビュー2年目となる2007年式では大きな仕様変更を受けることなく従来通りの仕様で継続ラインアップとなっている。
車体はアルミ製のブリッジタイプフレーム。ドライサンプ式のDOHC4バルブ水冷4サイクル並列2気筒エンジンは8,000回転で85馬力に達する。スポーティな走行性能を追求するために低重心化を図る目的で燃料タンクはシート下にレイアウトされている。容量は16Lだ。一般的な2輪車が燃料タンクとして使用するエンジン上部のスペースは、エアクリーナーやバッテリーが設置されている。
またリアのアルミ製スイングアームは片持ち式で、駆動方式は4万キロまでメンテナンスフリーのベルトドライブを採用。
ライバルモデルとしては、ヤマハの「FZ6S フェザー」が比較対象になるだろう。ABS非搭載タイプは乾燥重量が186kg。パワートレインは水冷直列4気筒の600㏄エンジンを採用している。格下排気量となるが、最高出力は12,000回転で98馬力に達するハイスペックマシンだ。
なお2007年式の「F800ST」は、「ブルーメタリック」と「グラフティタンメタリックマット」の2カラーで継続。価格は北米仕様が10,475ドルからとなっていた。

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解説記事更新日：2023年02月20日

フルフェアリングにハイウィンドシールドを純正採用してバーハンドルを装着することでツーリング機能を高めた「F800ST」。
パラレルツインを搭載するBMWモトラッドの「F800」シリーズで、快適なツーリング重視するのであれば、本モデル「F800ST」ということになるだろう。なおツーリングよりもスポーティなスタイルを求めるのであればセパレートハンドルとショートスクリーン仕様の「F800S」が良いだろう。
デビューから3年目となった2008年式の「F800ST」は、大きな仕様変更を受けることなく前年モデルと同スペックで継続されている。パワートレインは798ccの360度クランク並列2気筒エンジンを搭載。バランスアームとコンロッドで振動を打ち消すことで高回転まで軽やかに吹け上がるユニットで、最高出力は8,000回転85馬力というスペック。
日本国内向けはベーシックグレードの「アクティブライン」と豪華仕様の「ハイライン」の2グレード構成が用意されている。ボディカラーは「ブルーメタリック」と「グラフィタンメタリックマット」の2タイプで継続。価格は「アクティブライン」が122万4,500円(税込)。「ハイライン」には、ABS、パニアケースホルダー、センタースタンド、グリップヒーターが標準装備となって140.3万円(税込)で展開された。
ちなみにベースモデルの「F600S」は、「アクティブライン」が116.3万円(税込)で、ABSとグリップヒーターが装着される「ハイライン」は131万円(税込)となっていた。

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解説記事更新日：2023年02月20日

2009年の「F800」シリーズには2つのニューマシンが登場。ネイキッドスタイルの「F800R」とエンデューロモデルの「F800GS」である。いずれのマシンも異形2灯式の個性的なヘッドライトを採用している。そしてリアの足回りはダブルスイングアームにチェーン駆動という構造で、片持ちスイングアームにベルトドライブを組みあわせる本モデルとは異なる設計。
なおスポーツツーリングタイプの本モデル「F800ST」は、2009年モデルで以下のアップデートを実施。

・カラーチェンジ
・装備内容変更(ハイラインのみ)
・価格変更

カラーバリエーションは、4タイプが用意されている。「ナイトブルーメタリック」、「グラフィタンメタリックマット」、「ブルーメタリック」、「シャンパーニュメタリック」で、スタンダードグレードの「アクティブライン」は118.6万円(税込)。従来モデルから3万8,500円の値下げ。豪華装備の「ハイライン」は139.6万円(税込)で、0.7万円の値下げとなる。
なお「ハイライン」は従来装備に加えて、LEDウィンカーやオンボードコンピューターが追加されている。装備の充実が図られつつも値下げが実施されてお得感が増した。
メカニカル面での変更は無く、8,000回転で85馬力を発揮する798ccの水冷パわれるツインエンジンを搭載。リアキャリヤは大型フロントシールドを採用してツーリング時の快適性を重視した設計となっている。
ちなみに今回デビューしたネイキッドマシン「F800R」も同系エンジンを採用しているがチューニングが異なり最高出力は87馬力に達する。また重量は199kgで本モデルより11kg軽かった。

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解説記事更新日：2023年02月20日

前年モデルでストリートファイタースタイルの「F800R」とオフロード志向の「F800GS」が加わってラインアップの充実が図られたミドルクラス「F800」シリーズ。今年度の2010年式では、「F800R」にスタントライドの世界チャンピオン、クリス・ファイフーモデルが設定されている。
カウリングを装着するスポーツモデルの「F800S」をツーリング仕様に仕上げた本モデル「F800ST」は、2010年式でカラーチェンジが行われた。
前年は4バリエーションの豊富なカラーリングが用意されていたが、今回はダークグレー系とシャンパンゴールド系の2パターンに絞り込まれている。価格はカナダ仕様が12,500ドルから展開された。
スペックの変更は無く、アルミ製のブリッジフレームに798ccのDOHC4バルブ水冷パラレルツインエンジンを搭載。最高出力は8,000回転85馬力というスペック。最大トルクは5,800回転86Nmという仕様。
ライバルモデルとしては、アプリリアから2010年にデビューした「マーナ850GT」が比較対象になるだろう。パワートレインには840ccのSOHC4バルブ90度Vツインエンジンを搭載。最高出力は8,000回転76馬力となる。本モデルよりもローパワーだがミッションはマニュアルではなくCVT式のオートマチック。そしてフロントサスペンションは倒立フォークを装備する豪華仕様。個性的なディテールを採用するオートマチックツアラーということで人とは違った海外メーカーモデルに乗りたいというライダーにとっては、本モデル「F800ST」と共に候補の一台になり得るだろう。

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解説記事更新日：2023年02月20日

798cc水冷パラレルツインを搭載するBMWモトラッドのスポーツツーリング「F800ST」。日本向け2011年式では従来の「アクティブライン」と「ハイライン」に加えて、リアサイド左右にスポーツパニアケースを標準装備する「スペシャルツーリングパッケージ」も設定された。こちらは価格が143.5万円(税込)となり、「アクティブライン」の119万9,500円(税込)、「ハイライン」の139.9万円(税込)より高価な価格設定となっている。
カラーバリエーションは、「サファイアブラックメタリック」、「ナイトブルーメタリック」、「ライトグレーメタリック×サファイアブラックメタリック×グラニットグレーメタリック」の3タイプが用意された。
主要諸元に変更は無く、204kgの車体に搭載するエンジンは8,000回転85馬力というスペック。足元はフロントに43mmのテレスコピックフォークに17インチホイールと320mmのダブルディスクブレーキを装備。リアはアルミ製の片持ちスイングアームにモノショックをセットして17インチホイールと265mmのシングルディスクブレーキという組みわせ。
ライバルモデルとしては、トライアンフから2011年モデルで投入された「タイガー800」が比較対象になる。210kgの車体に搭載する800㏄の水冷並列3気筒エンジンは9,300回転で95馬力に達するハイパワー仕様。フロントサスペンションは倒立フォークを装備する豪華なマシンだ。本モデル「F800ST」はローパワーとなるが、駆動方式にベルトドライブを採用していることからメンテナンス性には優れている。パワー優先か、実用性を重視するかで選択の判断が分かれることもあるだろう。

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解説記事更新日：2023年02月20日

BMWモトラッドのミドルクラスツーリングスポーツとして2006年に登場した「F800ST」だが、この2012年モデルが最終仕様となる、デビュー以降、パワートレインに関しては大きな変更を受けることなく8,000回転で85馬力を発揮する798ccのDOHC4バルブ並列2気筒エンジンで継続されてきた。
スタイリッシュなカウリングに高めにセットされたフロントスクリーン、リアキャリアといった装備がツーリングモデルであることを表している。特徴的なディテールなるのが燃料タンクの配置だ。16L容量の燃料スペースはシート下にレイアウトすることで低重心化を図っている。そして一般的なオートバイが燃料スペースとするエンジン上部はエアクリーナーやバッテリーが設置されている。ちなみにこの構造は、ネイキッドの「F800R」やオフロードモデルの「F800GS」も同様となる。
2012年式は主要諸元の変更を受けることなくカラーチェンジのみを実施。前年モデルでは3カラーバリエーションが用意されていたが、今回の2012年式はブルー系の1カラーのみとなっている。価格は北米仕様が12,550ドルで展開。
BMWモトラッドとしては初のパラレルツインを搭載して「F800」シリーズのスポーツツアラー(ST)としてラインアップされてきた「F800ST」だが、この2012年式が最終モデルとなり、翌2013年にロングホイールベースのグランドツアラー(GT)タイプ「F800GT」へと世代交代を果たした。

買替や売る際の買取査定は、2012年式 F800STの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2023年02月20日