市販された標準装備のDucatiスーパーバイクとしては初の200馬力超え（以下いずれも海外仕様）を果たした1299パニガーレシリーズ。
CBR1000RR、YZF-R1、ZX-10R、GSX-R1000、S1000RRといったSSのライバル機が1000ccの4気筒であるのに対し、1299シリーズは格上排気量の1285ccながらLツインで、気筒当たり100馬力超と驚異的な数字を達成している。
市販車ベースのレースであるスーパーバイク世界選手権（SBK）のレギュレーションが2気筒1,200cc/4気筒1,000ccであることから2気筒のDucatiは格上排気量となっているのだが、ホモロゲ機（SBKレース参戦用の市販車）である「R」は1299シリーズが登場した2015年も1198ccエンジンを搭載したパニガーレRとして2015年もラインナップされておりレギュレーションを維持している。
そのため純粋な1299シリーズは無印ベースグレードと上位グレード「S」の2機種展開で2015年に登場したのだが、ベースグレードのメーカー希望小売価格が227万円（以下いずれも税抜）であったのに対し、上位グレードである本機1299パニガーレSのそれは278万円と約50万円高いメーカー希望小売価格が設定されていた。
「S」が約50万円高いのは先代1199と同様の価格差であるが、2015年モデル1299パニガーレSでは新たに以下の専用装備が加わっている。

・DES（Ducati Electric Suspension）が進化
・DTC、DWC、EBCの設定をする電子コントローラーをハンドルバーに装備
・フルLEDヘッドライト

先代1199パニガーレにおいて上位グレードの「S」以上に設定されていたサスペンションとステアリングダンパーは先代から引き続きフルアジャスタブルのOhlins製であるが、
新しいセミアクティブ（自動調整On/Offの選択機能付き） オーリンズ スマート 電子制御サスペンションが装備されたことで、ライディングモードや1299シリーズで進化したIMU（ジャイロセンサー）と連動し走行中に最適な減衰調整が、前後サスとステアリングダンパーに対して個別にそして自動でセットアップされる。さらに手元のコントローラーで8段階のDTC、DWC、EBCの設定ができるなど、使い勝手とライディング性能が大きく向上している。
リアは全グレードでフルLEDされているが、1299 パニガーレとパニガーレ R には LED ポジショニング ライトが装備されておりフルLEDヘッドライトはSの専用装備となっている。

また先代1199から継続して上位グレード「S」に設定されている付加装備は以下である。
・Ohlins NIX30 43mmのフロントサスペンション
・Ohlins TTX36のリアサスペンション
・Ohlins セミアクティブ ステアリング ダンパー
・カーボンフロントフェンダー
・マルケジーニのトライ W スポーク鍛造アルミ ホイールと、リムの赤塗装

Sが上位グレードであることを示す足回りの豪華装備は先代モデルから継続して採用されている。
売る際のリセールバリューだが、ベースグレードに対して買取相場は約2割高く推移しているのだが、18年モデルでV4へとフルモデルチェンジを果たしたことから型落ちに伴って相場は下落基調である。
2020年以降コロナ禍で新車供給が細り中古バイクの相場が異常高騰した期間においても相場が下がっていることから、売却をお考えであれば早めの査定が吉となりそうだ。

解説記事更新日：2022年11月19日

前年までの1198ccから1285ccに排気量をアップし、2015年モデルで登場した1299 Panigaleシリーズ。
無印ベースグレードと上位グレード「S」はSBKのレギュレーション破りの2気筒1200cc超えであるが、ホモロゲ機「R」は1198ccを維持して2015年もラインナップされている。
足回りに豪華装備を誂え、実用的な上位グレードとして展開されてきた「S」は最も売れ筋のグレードであるが、出力特性や車重を変更しレースでの戦闘力を突き詰めるホモロゲ機「R」とは異なり、出力特性は無印グレードを踏襲するのが通例となっている。

本機1299 Panigale Sの2015年モデルのメーカー希望小売価格は278万円（以下いずれも税抜）。先代1199パニガーレSの最終14年モデルから約24万円の値上げとなった。
底上げされたパワーをはじめ1299シリーズ全体で受けたアップデートに加え、Sならではのアップデートも受けており、ライディング性能が大きく進化していることから24万円の値上げは納得できると感じているオーナーは多いのではないだろうか。

SSの重要指標であるパワーウェイトレシオとを同年のライバル機と比較してみよう
・S1000RR＝1.02kg/ps（装備重量204kg/199馬力※海外仕様）
・1299パニガーレーS＝0.93kg/ps（装備重量191kg/205馬力※海外仕様）
と1299シリーズに軍配が上がる。S1000RRの国内メーカー希望小売価格は205万円と一見安価なのだが、しかし
オプションの軽量鍛造ホイールセット52万円をはじめ、DDC（各種センサーを感知しての電子サスなどとの電子制御連携）にカーボン製フロントフェンダーなど1299パニガーレSと同等機能を装備すると遥かに高くなる。
扱いやすさではS1000RRに軍配を挙げる向きも多いだろうがスペック的なコストパフォーマンスではパニガーレに分があると言っても良いだろう。

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解説記事更新日：2022年11月19日

仕様上の変更なく継続カラーとなったレッドの1色展開でモデルイヤーを重ねた2016年モデル 1299パニガーレS。
リアタイヤ上部へ伸びるかち上げ式マフラーは騒音規制対応の日本専用仕様（海外仕様はAKRAPOVICのアンダーカウル下出し）であるが、1199シリーズでは1本出し立ったのが2015年モデルでは2本出しとなっているがそのスタイルも継続されている。
実質的なキャリーオーバーであるが、対前年比で約4万円値上がり282万円（以下いずれも税抜）となっている。

1285ccの本機はSBKのレギュレーション（2気筒1200cc/4気筒1000ccまで）から外れているのだが、踏まえてライバル機である同年のZX-10RとSSの重要指標パワーウェイトレシオを比較してみよう。
・1299パニガーレーS＝0.93kg/ps（装備重量191kg/10,500回転で205馬力※海外仕様）
・ZX-10R＝0.98kg/ps（装備重量206kg/13,000回転で210馬力※ラムエア加圧利用）
とZX-10Rの出力に驚かされるがカタログ値の加速力ではパニガーレに軍配が上がる。
2019年モデルで国内向けに初登場したZX-10Rのメーカー希望小売価格は177万円であったことから、コスト的には国産SSに大きな魅力が有る。
売る際のリセールバリューを平均買取額÷新車価格で2015～2017年モデルを比較すると、
・1299パニガーレーS（2015～2017年モデル）＝39％
・ZX-10R（2015～2017年モデル）＝59％
となっている。ZX-10Rが現行モデルであるのに対し、パニガーレは18年モデルでV4へとフルモデルチェンジを果たし型落ちによって相場が大きく下落したことが響いたと結果と言える。

解説記事更新日：2022年11月19日

前年に引き続き、仕様上の変更なく継続カラーとなったレッドの1色展開でモデルイヤーを重ねた2017年モデル 1299パニガーレS。
実質的なキャリーオーバーであるが、対前年比で約2万円値上がり284万円（以下いずれも税抜）となっている。

1285ccの本機はSBKのレギュレーション（2気筒1200cc/4気筒1000ccまで）から外れているのだが、踏まえてライバル機であるCBR1000RRの上位グレード「SP」とSSの重要指標パワーウェイトレシオを比較してみよう。
なおCBR1000RR SPは2017年モデルでフルモデルチェンジを受けている。
・1299パニガーレーS＝0.93kg/ps（装備重量191kg/10,500回転で205馬力※海外仕様）
・CBR1000RR-SP＝0.98kg/ps（装備重量196kg/13,000回転で189馬力※海外仕様）
と加速力ではパニガーレに軍配が上がる。カタログ値ではあるが1285ccで191kgの装備重量には驚かされる。
なお2017年モデル CBR1000RR-SPのメーカー希望小売価格は228万円と、国産SSとしては高位の価格帯であったのだが、装備はパニガーレSに引けを取らず、コスト的にはイニシアチブを発揮していたと言える。
売る際のリセールバリューを平均買取額÷新車価格で比較すると、
・1299パニガーレーS 2015～17年モデル＝39％
・CBR1000RR-SP 2017年モデル＝55％
となっている。CBRは2020年モデルでトリプルアール（RR-R）へとフルモデルチェンジし、パニガーレも翌18年モデルでV4へとフルモデルチェンジを果たしており、型落ちによる相場落の影響を両機とも受けているのだが、国内におけるCBRのブランド力と人気の高さが買取率の違いとして現れた結果だ。

解説記事更新日：2022年11月19日