Ducati 900MHR 【1979～84年式】毎週更新の買取査定相場

1979年にリリースされた900MHR(Mike Hailwood Replica)は、伝説的ライダー・マイク・ヘイルウッドが78年のマン島での世界選手権で華々しい復帰勝利を果たしたことを記念して発売されたモデルです。
ワークスマシンのレプリカではなく市販車900SSのフルフェアリングバージョンと見る向きがあったのは、1972年に発売されたレーサーレプリカである750イモラレプリカが最大88馬力仕様であったことが影響しているかもしれません。900MHRのエンジンユニットは71年から続くベベル駆動Lツイン。864ccの2バルブ空冷4ストロークで、7,500回転で最大72馬力、最高速は時速220kmを発生。変速機は5速、チェーン駆動、始動方式はキック式(83年モデルでセルスターター採用)。乾燥重量205kgベースでのパワーウェイトレシオは2.8kg/psといった仕様。因みに購入時に吸排気のバルブ径を38mm/40mm/42mm/44mmから選択できたというのは驚きですが、スペックデータによっては最大76/80馬力といった記載も存在します。
足回りは前後18インチのマグネシウムホイール、前後サスペンションはマルゾッキ製でフロントは330mmの正立、リアは5段階調整のデュアル、ブレーキはbremboキャリパーに280mmディスクがフロント2枚でリア1枚といった豪華装備。
特徴的な赤/緑のフルフェアリングは2枚構成、18リットル容量のタンクはグラスファイバー製です。量産車初のフルフェアリングは1976年登場のBMW R 100 RSと言われていますが、R 100 RSはエンジンを露出させる穴がフェアリングに空いており、本当の意味での初フルフェアリングは900MHRと言えるかもしれません。

モデルライフは79年から84年の5年間ですが、総生産台数は5000台強で登場1979年モデルは英国マーケット向けで約200台が生産されました。
翌1980年にはタンク容量の変更を受け24リットル化、フェアリング下部にDUCATI、フェアリング上部にMike Hailwood Replicaのデカールが入り、フォークスライダーがブラック塗装となっています。
約1,500台が生産された81年モデルではフロントのブレーキディスクが大口径化、ロケットカウル左右にもMike Hailwood Replicaのデカールが入り、リアサスペンションの変更に伴い最低地上高が10mm低い80mmに変更されています。
1982年モデルではグラフィックの変更を受け、フェアリングに白いストライプが3本入っています。
DUCATIがCADIVA傘下となった83年モデルではセルスターターを採用（一部キックスターターバージョンも並行販売）、乾式から油圧式クラッチに、ヘッドライトやハンドルバーの刷新、メーターの変更といった大きなアップデートを受け、フェアリングに900のデカール、シートカウルにグリーンの配色が追加されています。
1984年には同エンジンを973cc化した1000 MHRが投入されたことを受け、900 MHRは最終型となりました。

1979年といえば国内メーカーではCBX1000、Z1000 MKIIといった現在では超プレミアム化している名機が発売されていた時代です。空前絶後の単6キャブ直列6気筒マシンCBX1000は最大105馬力ですから、900MHRはスペック的には当時でも精鋭化していた機種ではありません。しかしながら圧倒的なルックスとその来歴はDUCATI史上でも名の残る名機と言えます。84年当時、MHRはDUCATI総生産台数の9割弱を占める人気を誇り、現在はDUCATIの旧車としてプレミアムな価値を形成しています。900 MHRの買替や売却のご予定がありましたら、買取査定はその中古価値を知り尽くしたバイクパッションに！

解説記事更新日：2022年09月30日