「自由なスタイルとスタンスでバイクを楽しむ」というコンセプトのもとに2015年に展開された「スクランブラー」シリーズだが、2017年ラインアップではニューマシンが2機投入された。そのうちの、1台が本機「スクランブラー カフェレーサー」で、日本国内向けは2017年1月に発売された。

車体構造は既存モデルの同シリーズと共通仕様で、シンプルなスチールパイプ製トレリスフレームに空冷2バルブL型ツイン「デスモデュエ」を搭載。ボア・ストロークが、88mm×66mmの803ccエンジンは8,250回転で72馬力を発生する。最大トルクは、5,750回転67Nmというスペック。この出力特性は800㏄クラスの「スクランブラー」共通仕様となるが、本機は足回りを中心に以下の専用ディテールを採用していた。

・前後17インチキャストホイール
・ラジアルマウントフロントブレーキキャリパー
・フルアジャスタブル倒立フォーク
・セパレートハンドル
・テルミニョーニ製サイレンサーなど

足回りは、フロントにカヤバ製の41mmフルアジャスタブル倒立フォークを装備して17インチのキャストホイールをセット。そこに330mmディスクとブレンボ製ラジアルマウント4ピストンモノブロックキャリパーを組合せる。
リヤはスイングアームに17インチホイールと245mmディスクブレーキという構造。前後のタイヤはピレリの「ディアブロ・ロッソ2」を履いてスポーティな仕様に仕上げられている。安全装備はボッシュ製のABSユニットが採用されていた。

ライバルモデルとしては、後発マシンとなるがスズキが2018年式で展開した「SV650X」が比較候補になるだろう。スチール製のトラス形状フレームにマウントされるエンジンは格下排気量の645㏄L型ツインとなる。ただ、水冷DOHC4バルブの高性能ユニットで、最高出力は8,500回転76.1馬力というスペック。最大トルクは8,100回転で64Nmを発生する。重量は197kgで本機より9kg重かったので、パフォーマンス重視であれば「スクランブラー カフェレーサー」ということになる。ただ、シート高は「SV650X」が790mmで15mm低く足つき性が良かった。

なおデビュー以降の「スクランブラー カフェレーサー」は、2019年にモデルチェンジが行われてマシンデザインを刷新。安全面でもコーナリングABSが採用された。その後は、2020年式まで販売されて生産終了となった。

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解説記事更新日：2024年05月09日

2017年の「ドゥカティ・スクランブラー」シリーズには、趣が全く異なる2台のニューマシンが展開されて、800ccクラスはトータル5マシンでラインアップ。1台は、ロングストロークサスペンションにフロント19インチの大径ホイールとブロックタイヤを組合せるオフロード色の強い「デザートスレッド」、そしてもう1台が本機「カフェレーサー」である。なお、このタイミングで2015年から設定されていた「アーバンエンデューロ」はカタログ落ちとなっていた。
レトロスポーティな創り込みでデビューした2017年式「スクランブラー カフェレーサー」の日本仕様は以下のカラーリングと価格で同年1月に発売された。

・「ブラック・コーヒー」　135.4万円(税込)

ボディパーツはブラックを基調とした精悍なイメージで、タンクにはゴールドのピンストライプと「Scrambler」ロゴが配される。シートはブラウンのカウル付きソロタイプでサイドには、ブルーノ・スパッジャーリのゼッケン「54」ナンバーが存在感を主張している。
ハンドルはセパレートタイプで前傾気味にレーシーなライディングポジションとなる。足元は、前後17インチのゴールド10本スポークデザインキャストホイールをセット。そこの装着されるタイヤはピレリのハイグリップスポーツタイヤ「ディアブロ・ロッソ2」だった。制動系にもフロントブレーキにブレンボ製ラジアルマウント4ピストンモノブロックキャリパーをセットしていることからシリーズの中でもスポーティな走行性能を重視して開発されたことが伺えるニューマシンだ。

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解説記事更新日：2024年05月09日

2018年の「スクランブラー」シリーズは、これまでの400㏄と800㏄に加えて、リッターオーバーサイズの1100㏄クラスが新たに設定された。デビューモデルとして無印グレードの他、足回りの仕様が異なる「スペシャル」と「スポーツ」も用意され3タイプ構成で展開された。さらに800㏄クラスには、アメリカのカスタムビルダー、「ローランド・サンズ」とのコラボマシン「マッハ2.0」と「ストリートクラシック」の2モデルが登場。400㏄クラスは引き続き「Sixty2」のみの1タイプで続投となった。

なおスポーティな足回りとレトロなスタイルが特徴の本機「スクランブラー カフェレーサー」だが、デビュー2年目となった2018年式は目立った仕様変更を受けることなく従来通りの仕様で継続された。日本国内向けは以下のカラーリングと価格で販売された。

・継続「ブラック・コーヒー」　137.5万円(税込)

ボディカラーは前年通りで変わらずだが、価格は前年比で2.1万円の値上がりとなっていた。
エンジンからフレーム、スイングアームやフロントフォークアウターといった主要部分がブラックアウトされて引き締まった印象だ。エキゾーストはテルミニョーニ製のデュアルサイレンサーを標準装備してドゥカティの空冷L型ツインサウンドとトルクフルなエンジンフィールを楽しむことができる。
本機の特徴でもあるセパレートハンドルやバーエンドミラーはアルミ製を採用することで軽量かつ高い質感を演出してヴィンテージ感あふれるカフェレーサースタイルに仕上がっている。

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解説記事更新日：2024年05月09日

2018年の「スクランブラー」シリーズは、「JOYVOLUTION」というキャッチコピーを掲げてフルモデルチェンジを実施。800㏄クラスのラインアップは、エントリーモデルの「アイコン」、フラットトラックレーサールックの「フルスロットル」、オフロード志向の「デザートスレッド」、そして本機「カフェレーサー」の4マシンに絞り込まれた。
今回のモデルチェンジで実施された主なアップデート内容は以下の通り。

・ボッシュ製コーナリングABS採用
・ワイヤースポークホイール採用
・タイヤ変更
・ヘッドライトデザイン変更
・カラーチェンジ

外観上の大きな変更ポイントは大胆にイメージチェンジが行われたカラーリングだろう。スチールパイプ製のトレリスフレームは従来のブラックから鮮やかなブルーへ変更。そしてボディはシルバーベースにブルーを合わせた「シルバー・アイス・マット」が採用された。ブルーのシートやグラブバーが爽やかな印象を放つ。ちなみにこのマシンカラーは1960年代のレーサーモデル「Ducati 125 GP Desmo」をインスパイアしたものとなる。
また従来モデルからのアップデートポイントとしては、足元の前後ホイールが先代の10本スポークキャストタイプから柔軟性に優れたワイヤースポーク仕様へ変更されたことだ。このホイールチェンジでレトロなイメージがより強められた。そのニューホイールに組み合わされるタイヤは、ピレリの次世代モデル「ディアブロ・ロッソ3」が与えられている。
そしてボッシュ製の安全装備は、コーナリングABSへとアップグレードされてマシンの信頼性が大きく向上した。

フルモデルチェンジによって次世代マシンへとアップデートされた2019年式「スクランブラー カフェレーサー」の日本仕様は、前年から5万円高の142.5万円(税込)で発売された

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解説記事更新日：2024年05月09日

前年にモデルチェンジが行われると同時にラインアップの編成も受けた「スクランブラー」シリーズだが、2020年式では800㏄クラスのエントリーグレード「アイコン」にバリエーションモデルが設定された。マシンの全体をブラックで仕上げた「アイコン ダーク」だ。その他の既存モデルは従来通りの仕様でラインアップ継続となっていた。
爽快なカラーリングとレトロなスタイルで異色の存在感を放つ本機「スクランブラー カフェレーサー」は、以下のカラーと価格で販売された。

・継続「シルバー・アイス・マット」　146.6万円(税込)

1960年代のレーサーマシン「125GP Desmo」をモチーフにした車体は、ブルーのトレリスフレームにシルバーの外装パネル類がコントラストの効いたデザインでスポーティかつノスタルジックなイメージに仕上がっている。そしてサイドカバー部分にはデビュー時から採用される「ブルーノ・スパッジャーリ」のゼッケンナンバー「54」が配される。
価格に関しては前年比で1.1万円の値上げが行われた。

メカニカルも前年通りで主要諸元に変更は無い。
803ccの空冷2バルブL型ツインユニットは、8,250回転73馬力というスペック。最大トルクは5,750回転で67Nmを発生する。
操舵系統はワイドなセパレートハンドルを採用することで独特な前傾姿勢のライディングポジションとなるものの、足元はバックステップというほどではないのでリラックスした体勢でマシンを操ることが可能。

なお2017年から展開されてきた本機「スクランブラー カフェレーサー」だが、2020年式が最終仕様となってラインアップから外れることになった。

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解説記事更新日：2024年05月09日