「ソフテイル」ファミリーの中でも際立ってノスタルジックな存在感をアピールしていたのが「FLSTS ヘリテイジ スプリンガー」だった。1997年に1,340ccのビッグツイン空冷Evolutionを搭載してデビューして早3年の月日が経過したタイミングでパワートレインの刷新を受けた。
従来のシングルカム構造からツインカム構造へアップグレードされ排気量は1,450cc(88キュービックインチ)まで高められたTwin Cam 88Bエンジンが採用されたのだ。ちなみハーレーが新型ツインカムエンジンを開発した背景には当時のアメリカの交通法規が関係していた。国内速度制限の最高速度が引き上げられたことで、よりハイパワーなエンジンの需要が増えつつあったのだ。そこで新型ビッグツインTwin Cam 88を開発し、1999年モデルから「ダイナ」と「ツーリング」ファミリーに採用されたという経緯となる。
「ソフテイル」ファミリーに関しては、1年遅れの2000年モデルから採用。他のファミリーとは異なり、フレームにエンジンをリジットマウントするという構造からエンジンの振動を打ち消すバランサーを内蔵したTwin Cam 88Bタイプが搭載されている。
このニューエンジンとフューエルインジェクションを組み合わせた「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」の2000年モデルは、最高出力が5,500回転63馬力、最大トルクは2,800回転110Nmという仕様でデビュー。前年モデルの56馬力から大幅にパワーアップし、雄大なアメリカの道路でゆとりのクルージングを可能にした。
エンジンのリニューアルの他に本モデルの特徴的なディテールとしては以下の内容をピックアップできる。

・ブラックパウダーコート&クロームカバー仕上げのエンジン
・クロスオーバーレイアウトのフィッシュテールマフラー
・クローム仕上げのスプリンガーフォーク
・フルフローティングフロントフェンダー&ランニングライト
・レザーサドルバッグ
・ホワイトウォール16インチタイヤ
・トゥームストーンテールライト
・エンボス加工レザーシートなど

フロントのスプリンガーフォークはメカチックで複雑な構造だが、作動性が良く乗り心地は悪くない。ヘッドライト周りにはパッシングライトやクラシカルな大型ホーンが装着されており1940年代のパンヘッド時代を懐古させるデザインだ。
リアサイドには本革のサドルバッグが標準装備されており、その内側はサスペンションが装着されておらずトライアングル形状のフレームが剥き出しとなっている。一見するとリアサスペンションがリジット仕様にも見えるのだが、トランスミッションの下にツインショックが水平レイアウトで隠れている。特殊な形状でリアの上下の衝撃が直に伝わるが、デザイン性は優れておりスッキリしたプロポーションを創り出している。
ニューエンジンを与えられた「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」は、カラーチェンジと仕様変更を実施しながら国内向けは2001年式が255.8万円(税込)で販売されていた。
その後は、2003年にハーレーの生誕100周年を記念する専用タンクバッジなどを採用したアニバーサリーカラーを263.8万円(税込)で展開。この2003年式が最終仕様となってキャブレターモデルと共にラインアップから姿を消した。
なお、2005年ラインアップでは細かなディテールで異なる部分はあるが、前後16インチの「FL」スタイルでスプリンガーフォークの「FLSTSC スプリンガー クラシック」が展開された。

買替や売る際の買取査定は、2000~03年式 FLSTSI ヘリテイジ スプリンガーの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2022年11月19日

リジットフレームにスプリンガーフォークという1940年代のパンヘッド時代を彷彿とさせる創り込みの「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」。前年モデルでパワートレインの刷新が図られキャブレター仕様とインジェクション仕様の2タイプ構成で展開され、今回の2001年モデルではいくつかのアップデートを受けている。

・出力特性変更
・カラーチェンジ

マシンの心臓部はバランサーを内蔵した1,450ccの空冷Twin Cam 88Bエンジンがソフテイルフレームにリジットマウントされる。ブラックパウダーコート仕上げにクロームカバーというクラシカルかつ煌びやかなパワーユニット。ラウンド形状の大型エアクリーナーカバーも重厚でメカニカルな車体と良くマッチしている。最高出力は、5,500回転で67馬力を発揮。最大トルクは2,800回転110Nmという仕様。前年モデルの63馬力・110Nmというスペックから馬力アップしている。
なお、出力特性や細部のディテールは各国の法制度に則ってセッティング変更されている場合があるのでスペックは世界共通ではない。ちなみに日本向けの2001年式は3,100回転108Nmだった。
カラーリングは、ツートーンタイプ5パターンを用意。「スエードグリーン×ビビッドブラック」、「ラグジュアリーブルー×ダイヤモンドアイス」、「コンコードパープル×ダイヤモンドアイス」、「ラグジュアリーリッチレッド×ビビッドブラック」、「リアルティール×バーチホワイト」で、価格は255.8万円(税込)。キャブレターモデルは10万円安の245.8万円(税込)で展開されていた。

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解説記事更新日：2022年11月19日

クラシカルな装い肉厚レザーのシートやサドルバッグで高級感すら漂わせる「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」。ノスタルジックな存在感の中にもフューエルインジェクションを採用した本モデルは安定した始動性能を実現しておりシーズンを問わず安心して乗れることが魅力の一つだ。エンジンのリニューアルから3年目となる2002年式では以下のアップデートを実施。

・出力特性変更
・カラーチェンジ

ボア・ストロークが95.3mm×101.6mmの空冷45度OHVビッグツインのTwin Cam 88bエンジンは、2,800回転で110Nmもの最大トルクを発揮する。前年の3,100回転108Nmからパワーアップを実現している。エキゾーストはクロスオーバータイプのデュアルフィッシュテールを採用。ただ、このディテールは仕向け地によっては採用されていない場合もある。
足元は前後16インチのスチールレースホイールにファミリー唯一となるホワイトウォールタイヤを装着。ディープなリアフェンダーには通称「墓石テール」の「トゥームストーンテールライト」が鎮座する。
なお「FX」スタイルで、フロントに21インチタイヤを装着する「FXSTS」もスプリンガーフォークを採用するが、リアフェンダーはボブテールでマフラーは車体右側からデュアル出しなど趣は大きく異なる。
2002年式の「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」は、ツートーンカラーだけでなくモノトーンカラーも設定された。
「ビビッドブラック」、「ジェイドサングロ」、「ダイヤモンドアイス」が250.8万円(税込)。
「スエードグリーン×ビビッドブラック」、「ラグジュアリーリッチレッド×ビビッドブラック」、「リアルレッド×ダイヤモンドアイス」は、前年から据え置き価格の255.8万円(税込)となった。

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解説記事更新日：2022年11月19日

2003年は、ハーレー・ダビッドソンの創業から100年目を迎えるという歴史的な節目のモデルイヤー。そこで各ファミリーが専用デザインのタンクバッジやカラーリングを採用したアニバーサリー仕様を展開。
スプリンガーフォークにパッシングライト、クラシックホーン、フィッシュテールマフラーやトゥームストーンテールといった歴史を感じさせるディテールの本モデル「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」も専用カラーが設定された。
「スターリングシルバー×ビビッドブラック」のツートーン仕様で価格は263.8万円(税込)。
メカニカル機構は前年モデルから変更は無く、2,800回転で110Nmを発揮する空冷Twin Cam 88Bエンジンをフレームにリジットマウント。本モデルの燃料供給方式はフューエルインジェクション仕様で、シーズンを問わず始動性が安定しているというメリットがあるが、チューニングカスタムはキャブレターモデルの様なメカチューンは通用しない部分もあるので注意が必要。ノーマルで乗るライダーや実用性重視のユーザーにとっては特に問題にならないだろう。ちなみにキャブレター仕様は本モデルより10万円安かった。
2003年式「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」の他カラーは、「ビビッドブラック」が253.3万円(税込)で、2.5万円の値上げ。ニューカラーの「ガンメタパール」は、256.3万円(税込)で登場した。
なお、Twin Cam 88Bエンジンを搭載する「FLSTSI ヘリテイジ スプリンガー」は、今回の2003年式が最終仕様。前後16インチホイールを採用する「FL」スタイルのスプリンガーフォークモデルは後の2005年モデルで「FLSTSC スプリンガー クラシック」が展開された。

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解説記事更新日：2022年11月19日