VF1000Rは、1984年に発売されました。
当時CB1100F CB900F、が販売されていましたが、他社との差別化を図るためにホンダはV4エンジンを次世代のメインエンジンに据え、最上機種として発売したのがVF1000Rです。
出力は122馬力と当時のリッタークラスの平均的な数値でしたが、V4ゆえのスリムな車体とフルカウルで、CB1100Rをはるかに上回る280km/hに迫る最高速を記録しました。
市販二輪車として世界初のカムギアドライブ、ラジアルタイヤ（リア）、NSタイプコムスターホイール、バックトルクリミッターなど先進技術も盛り込まれていました。
しかし車両重量280kgという意外な重さ、並列4気筒とは違う低い排気音、アメリカでの関税率アップ、市販車レースレギュレーション変更などから販売台数は伸びず、1986年に生産は終了しています。
一時V4エンジンは消えたかと思われましたが、その後のVFR、RVFシリーズはレースで輝かしい戦績を残し、V4技術は今でもVFR1200などに生かされています。
したがって、今ではVF1000Rは希少車の部類に入ります。V型エンジンファンもいらっしゃいますし、実車に錆が少なく、純正のフルカウルで欠品や欠損のないものは30万以上の高値が可能でございます。
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解説記事更新日：2020年10月18日

1980年代初頭、ホンダはDOHC並列4気筒モデルの【CB1100R】などでインラインフォア（直4）の頂点を極めたあと、V型エンジンを開発し、市販車を次々と発表しました。日本国内で販売された代表的なモデルは、はベストセラーとなった【VT250F】、そして【VF400F】、【VF750F】です。それらV型の頂点に位置するのが【VF1000R】です。
85年モデルは初期型で、次の特徴があります。
・カムギアドライブのDOHC・V型4気筒エンジン
・280km/hに迫る最高速（【GPZ900Rの】253km/hを抜いて当時世界最速）
・バックトルクリミッターを装着
など先進技術も盛り込まれていました。
ホイールはフロント16+リア17インチで、そのため車体は低く前面投影面積も小さいです。フルカウル、シングルシート、2灯式ヘッドライト、シングルシート、星形コムスターホイール、トリコロールカラーなど、ホンダのV4レーサーRS850Rのレプリカでもあります。
申し分ない高性能なのですが、アメリカで日本製バイクへの関税率がアップしたり、市販車レースレギュレーションが変更されたりで、販売に結びつく場面は不運に見舞われました。
しかしバイク自体の完成度は高く、120馬力を10,000回転で発生する高回転型エンジン、フラットトルク、V4独特の排気音など、VF1000R「らしさ」は今も色あせていません。
VF1000Rがなければ、メーカー希望小売価格148万円の【VFR750R/RC30】も、2,190万円の【RC213V-S】もなかったに違いないのです。
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解説記事更新日：2021年12月20日

1986年モデルのVF1000Rはマイナーチェンジを受けています。
・フレームレイアウトを設計変更
・カウルのダクト形状を見直し冷却効率を向上
・シリンダーヘッドを改良し、カムかじりを改善
・ホイールハブ形状変更
などです。
また輸出国の法規に合わせた小変更も随所に見られ、国によって、単眼ヘッドライト、キャニスター(排気触媒)装着、ヘッドライト常時点灯、ガソリンタンク形状変更などが行われています。エンジンの基本に変更はなく、最大の特徴であるV4・DOHC4気筒16バルブ、カムギアドライブは共通しています。
発売当時は、V4独特の排気音（高回転になっても低い音がする）や、CB1100Rより30kg以上も重い車重を嫌ったライダーが多かったものの、性能の高さはピカイチで、当時の《世界最速市販車》の記録が残っています。さらにV4・カムギアドライブというレイアウトは、【VFR750R】、【VFR800】にも引き継がれています。
一世代前の白バイは【VFR800P】でしたが、信号待ちなどで、「ニュルニュルニュル」という独特のアイドリング音を響かせているのを見たことがある方も多いでしょう。あの音こそ、カムギアドライブの音なのです。
あまり人気の出なかったVF1000Rではありますが、その技術と伝統はその後のホンダV4にしっかり生かされているのです。白バイもそうですが、耐久レースにおける【RVF750】は、FIM世界耐久選手権で1989年は全4戦優勝、ル・マン24時間耐久レースで1986～1990年優勝、ボルドール24時間耐久レースで1989年～1990年優勝、鈴鹿8時間耐久レースでは85、86、89、91、92年優勝という輝かしい戦績を残しています。そのルーツたるVF1000Rは、もっと評価されていいバイクに違いないのです。
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解説記事更新日：2021年12月20日