1981年にホンダが先鞭をつけたターボチャージャー付バイクというジャンルに、最後発でカワサキが送り込んだのが1984年の750Turbo（750ターボ）。
空冷2バルブ738ccエンジンに日立製HT-10Bターボチャージャータービンを装着し、最高出力112PSをマーク。「世界最強のリッターキラー」というコンセプトは伊達ではなく、3,000回転から始まるターボ過給による最高速度は怒涛の235km/hは当時の市販世界最速機であったGPZ1100に迫る数字であった。ゼロヨンでも当時の世界最速クラスの成績を叩き出し、コンセプト通りの実力を世界中に知らしめました。
本機のアイコンであるターボユニットはアンダーカウル内にレイアウトされており、タンク上部に配されたインジケーターでモニタリングが可能。
因みにライバル機では、CX500/650ターボは同様にエンジン前方（水冷であるためラジエーター裏）にレイアウトされていたが、XJ650ターボとXN85ターボでは、エンジン後方のキャブレターとエアクリの下部にターボユニットが格納されていました。

ルックスはノンターボのGPzと同様である上、エンジンカバーにもGPzロゴが刻印されていることから、「エンジンはGPz750ベース」と思われがちですが、こちらは空冷第二世代・Z650のザッパー系。フロントフォーク・ディスクブレーキ共に大径化されていることもあり、車体もGPz750とは似ても似つかぬほど無数の相違点があります。
面白いのは装着されているタービンで、当初はCX500ターボと同じIHI（石川島播磨重工）に依頼したものの、「カワサキさんは自分とこで作れるでしょ」とすげなくされ、最終的には日立に落ち着いた、と言う逸話も。
米国KAWASAKIのネブラスカ工場で生産された本機の販売期間は1984～85年。1984年モデルE1の生産台数は約5,500台で、1985年モデルE2は約2,500台で合計約8,000台が生産されている。
因みにE1とE2の差異はスロットルケーブルとブレーキキャリパーのデカールのみ。
国内に還流した逆輸入の個体が少ないことから中古バイク市場ではレア絶版車となっており、中古相場は業者間オークションで取引される個体の状態によって変動が大きくなっている。
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解説記事更新日：2024年02月13日

750ターボは1984年に発売されました。1970年代後半、四輪車が軒並みターボを搭載し始めた余波を受け、バイクにもターボ化の波が押し寄せたのです。国産他メーカーもターボ車をリリース、ホンダから【CX500Turbo】、82年にヤマハ【XJ650Turbo】、スズキ【XN85】が発売されています。
750ターボの車体デザインは、【GPZ750F】に非常によく似ています。ターボではフルカウルが装着され、サイドカバーおよびリアカウルに「TURBO」の文字があります。当時はGPZシリーズが共通のモチーフでデザインされていましたから、その流れでしょう。750ターボのカラーリングは赤と黒をベースに、一部にシルバーの意匠が施されています。
なお750ccが自主規制の上限排気量だった当時、750ccでリッタークラスを上回るパワー（112馬力）を出した750ターボは運輸省（当時）の認可が下りず、輸出専用となったエピソードもあります。これは他メーカーのターボバイクも同様で、その意味では悲運のバイクでした。
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解説記事更新日：2021年08月19日

1985年の750ターボには変更ありません。
国産4メーカーからターボバイクはそろいましたが、どれも1代限りで生産終了しています。バイクの乗り味の重要な要素はレスポンスであって、それが緩慢なターボは、あまりバイクには向いていなかったと言えます。750ターボもこれが最終型です。
ターボの原理は、元々無駄に捨てていた排気ガス圧力を再利用してタービンを回し、それに連結したタービンで空気を圧縮、シリンダーに1気圧を超える圧力で混合気を送ってパワーを出そうというものです。ちなみにターボでないエンジンは「自然吸気エンジン」＝Normal Aspiration =NAエンジンと呼ばれます。
最大のメリットはNAエンジンより大パワーを稼げることで、ターボ全盛期のF1（四輪）は1500ccで1500馬力に迫るパワーを絞り出していました。対してデメリットは、アクセルを開けてからパワーが出るまでタイムラグがある、燃費が悪くなる、タービンの管理にシビアである（材質、温度、オイル交換など）等です。
現在、750ターボの中古車相場は高騰しています。タービンの状態がよい、あるいは低走行車なら、非常な高額査定もあります。1985年式750ターボの買取をご希望でしたら、高額査定に定評のあるバイクパッションにお任せください。

解説記事更新日：2021年08月19日