1984年に北米向けに展開されていたVN700 VULCANを日本国内向けにローカライズし、1985年に発売されたのが本機VZ750ツインです。
北米向けには関税対策として当初699ccで展開されていましたが、国内仕様はボア径を拡張することで749cc化されました。なおこの749ccV TWINは1986年モデル以降の北米仕様にも採用されることに。
ボアアップの他、ローカライゼーションを受けたのはタンクやサイドカバーグラフィック・マフラー先端の形状・バックレストのカラーリング・フレームネック部のリフレクターの有無など外観上の違いによって本機VZ750 TWINとVN700/750バルカンとの識別が可能となっています。
北米向けが2006年までのロングセーラーとなったのに対し、国内向けVZ750 TWINの製造販売期間は1985年から87年と短いモデルライフで幕を閉じています。
国内向け85年モデルがA1、87年モデルがA3で、違いはカラーリングのみです。
A1のボディカラーは《ブラック/ファイアークラッカーレッド》のツートーンでフロントフェンダーがクロームメッキ、A3はボディが《エボニー/パールコスミックグレー》でフェンダーがエボニーとなっています。

エンジンは水冷4ストV型2気筒で、最大とトルクと馬力は64Nm＠6,000回転⇒66馬力/7,700回転です。気筒あたり4バルブ、シリンダー挟み角55度のDOHCエンジンは意外に吹け上がりが軽やかです。
VZ750ツインを横から見たシルエットは、ステアリングヘッドとシート後端が高く、中央のシートが低い「V」字型をしています。ポジションは、足を前方に投げ出すような思い切ったアメリカンスタイルで、左右ステップとブレーキペダル・シフトペダルはステアリングヘッドの真下にあります。
他の特徴として、フロント18インチホイールは穴あきのダブルディスク（Z750GPと共通）、リーディングアクスル方式のロングフロントフォーク、いかにも大らかなキャスター角32度、リア150/90の15インチタイヤ、シャフトドライブ、735mmローシート、ティアドロップ型13リットルタンク、プルバックハンドルなど、それ以前のカワサキアメリカン【Z650LTD】、【Z750LTD】、【エリミネーター750】がいずれもハイパワー4気筒エンジンを搭載していたのとは異質です。
それを裏付けるように、VZのカタログのうたい文句は「午後は、Vサウンド」というもので、のんびりゆっくりVツインの鼓動を楽しみながら過ごす大人の午後といったテイストが展開されています。
フロントやリアの造型に見られるダイナミックなスタイリング、エンジンとメカニズムの美しさ、めっきパーツの多さ、エキゾーストとカットマフラーの曲線美など、VZは自由な午後の時間を描いていました。
ライバルは、いずれも縦型のV型2気筒エンジンを搭載している下記の機種が挙げられます。
・1982年に65万円で発売された【NV750カスタム】65Nm＠6,000回転⇒66馬力＠7,500回転
・1986年に69.8万円で発売された【Shadow（750）】69Nm＠5,500回転⇒60馬力＠7,000回転
・1984年発売に69万円で発売された【XV750ビラーゴ】63Nm＠6,000回転⇒60馬力＠7,000回転
で、いずれも似通った出力特性で競われていました。

2024年現在で直近10年間では10万円を挟んだ値段で取引されてきたVZ750ツイン。のご売却やお乗り換えをお考えでしたら、買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2024年02月21日

VZ750ツインは1985年に発売されました。ベース車両は84年に輸出モデルとして製造販売されていた【バルカンVN700】で、そのエンジンが749ccに拡大されています。
VZはある意味異色で、それまでカワサキのアメリカンと言えば、
［最速のオンロード用エンジンを積んだアメリカン］
が特徴でした。事実、VZ以前のアメリカンは、79年の【Z650LTD】、80年の【Z750LTD】、85年の【エリミネーター750】など、いずれもハイパワー4気筒エンジンを搭載していました。
VZ750ツインのエンジンはV型2気筒で、最大出力66馬力も高いとは言えません。このエンジンはVN700にしか使用されていないことからも、VZ750ツインは特異的存在だと言えるでしょう。
VZのカタログのうたい文句は、
「午後は、Vサウンド」
というものでした。
カタログのコピーをまとめると、VZが描いた世界は、速さばかりを求めない大人のステータス、エンジンとメカニズムの美しさ、ダイナミックなエキゾースト＆カットマフラー、所有する喜び、ゆったりと乗れるライディングポジションなどから得られる自由な時間、といったところです。
登場1985年モデルA1のカラーはブラック/ファイヤークラッカーレッドで前後フェンダーはクローム処理が施されています。
デザインも思い切ったもので、ボディを横から見ると、ローシートを中心にフロントとリアが持ち上がったような、V型の形をしています。
さらに、前後キャストホイール、フロントは穴あきのダブルディスク（Z750GPと共通）18インチ、リーディングアクスル方式のフロントフォーク、直進性重視のキャスター角32度、リア150/90の15インチタイヤ、シャフトドライブ、735mmローシート、前後セミエアサス、ティアドロップ型13リットルタンク、大きなプルバックハンドルなど、かなり思い切ったデザインとメカニズムで構成されています。
エンジンは水冷式のV型2気筒で、気筒あたり4バルブ、シリンダー挟み角は55度です。
最大出力66馬力/7,700rpmやライディングポジションなどから、走りはゆったり、のんびりタイプです。ノーマルのスタイリングがかなり自由であることから、カスタムし甲斐はありそうです。
ライバルは、83年発売のホンダ【NV750カスタム】や86年の【Shadow（750）】、84年発売のヤマハ【XV750ビラーゴ】で、いずれも縦型のV型2気筒エンジンを搭載しています。なお85年には【エリミネーター750】も販売されており、カワサキは多様なラインナップをそろえていました。

ただし発売されたのが大型バイク受難の時代ですから、発売から40年が経過した2024年現在では残存する車両は少なく、中古市場で取引されるタマ数は年間に数台。ここ10年ほどは業者間市場では10万円を挟んだ金額での取引に終始しております。
1985年モデルVZ750ツインのご売却やお乗り換えをお考えでしたら、買取査定はその中古価値に精通したバイクパッションへ！

解説記事更新日：2024年02月20日

1987年モデルのVZ750ツインA3型は、カラーリングが変更されています。85年式（A1）は《ブラック/ファイアークラッカーレッド》のツートーンで、A3は《エボニー/パールコスミックグレー》です。
またフロントフェンダーもA1がクロームメッキであったのに対し、A3ではエボニーとなり、中央にゴールドのストライプが入っています。この変更によってA3はやや重厚なイメージとなっています。
スタイリングとエンジンには変更なく、横から見たシルエットは、ステアリングヘッドとシート後端が高くてシート中央が低いV字型。ステアリングステム位置はタンクより上にあり、そこからさらにプルバックハンドルが伸びています。このためライディングポジションはかなり極端なアメリカンスタイルとなり、リアブレーキペダルとシフトペダルはステアリングヘッドの真下にあります。
フロント部で目を引くのは、リーディングアクスル方式でキャスター角32度のフォーク、19インチフロントタイヤです。リアは150/90の15インチタイヤ、シャフトドライブのギアボックスがこれまた重厚。その間に735mmローシートとティアドロップ型13リットルタンクが位置しています。
エンジンは、水冷4ストV型2気筒で、気筒あたり4バルブ、シリンダー挟み角は55度です。4バルブのためか、意外なことにとてもスムーズに吹け上がるエンジンは、最大出力66馬力を7,700rpmで発生します。
カワサキが発売したアメリカンとしては、VZ750ツインはかなり思い切った1台です。この時期にカワサキが販売していたアメリカンは、いずれもハイパワー4気筒の【Z650LTD】、【Z750LTD】、【エリミネーター750】などです。VZ750ツインは、「午後は、Vサウンド」というキャッチコピーでも分かるように、やや違う路線のアメリカンだったことが分かります。
ライバルは、83年発売ホンダ【NV750カスタム】、86年ホンダ【Shadow（750）】、84年発売のヤマハ【XV750ビラーゴ】で、いずれも縦型のV型2気筒エンジンです。いずれも国産アメリカンが、オンロード4気筒エンジンを流用していた時代から、本格的なアメリカンテイストに移り変わる時代だったとも言えます。
1987年A3モデルVZ750ツインのご売却やお乗り換えをお考えでしたら、買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2024年02月21日