1990年代の50ccクラスでレトロスクーターというカテゴリが誕生し、その中で人気争いをしていたスズキのバイクが「ヴェルデ」だ。その登場は1998年3月で、ライバルモデルのホンダ「ジョルノ」が1992年、ヤマハ「ビーノ」は1997年に発売という中で最も遅いデビューだった。
三つ巴となっていたレトロスクーター3車種は、いずれもモデル名がイタリア語と関連している。ホンダ「ジョルノ」は、「こんにちは」を意味する「ボン・ジョルノ」から、ヤマハ「ビーノ」は「ワイン」を意味するイタリア語だ。そして「ヴェルデ」は「緑」を意味する。これは、デビューモデルCA1MA型のカラーが緑(グルーミーグリーン)であったことに端を発している。ただし、グリーンカラーは初代モデルが最初で最後になった。
ネーミングがイタリア語を由来するだけあって、各メーカーのレトロスクーターは欧州のクラシカルなデザインとカラーリングを特徴としていた。しかしながら、「ヴェルデ」は他のライバル2車種とは違った外観的な特徴を持っていた。「ジョルノ」や「ビーノ」が全体的に滑らかな丸みを帯びたデザインだったが、「ヴェルデ」はサイドカウルにメタル素材をプレスして造形されたかのようなラインが入っていたのだ。このデザインが、ライバル車種よりさらにレトロ感を増した印象を与えていた。
パワートレインは空冷2ストエンジンで6.3psが最高出力であった。このエンジンやメカニカルなパーツの多くはAZ50型「レッツ2」と共用していた。大きなデザイン変更は行われず環境規制に対応するためのエンジン仕様変更やカラーチェンジ、装備変更を実施しながら2005年まで生産された。

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解説記事更新日：2021年07月22日

ネオクラシック調の原付スクーターとしてデビューした初代「ヴェルデ」CA1MA型は、1998年3月に17.9万円(税抜)で発売された。
クラシックな雰囲気にラテンテイストを取り入れたデザインとカラーリングを採用する50ccスクーターである。
デビューモデルには、イタリア語で「緑」を意味するモデル名称「ヴェルデ」にマッチしたカラー、「グルーミーグリーン」と「フラッシュシルバーメタリック」が設定された。
メカニカル機構の大半は既に販売されていた「レッツ」シリーズと共用している。エンジンはリーズナブル価格でスズキの原付スクーター代表的モデルにまで成長していた「レッツ2」に搭載されていたものがベースだ。空冷2ストローク単気筒のA148型で、最高出力は6,500回転6.3馬力というスペック。レトロスタイルのライバルモデルとしては、ホンダ「ジョルノ」が64kgの車体で5.6馬力、ヤマハ「ビーノ」は本モデルと同じく65kgに6.3馬力エンジンを搭載していた。パワーや走行性能を重視するよりもデザイン面の好みで車種を選択するユーザーが多いであろうカテゴリのためスペックのみで甲乙はつけがたいが、乾燥重量は「ヴェルデ」が68kgで最も重たかった。
発売後の翌年にはカラーチェンジを実施し、2000年にはマフラーに触媒を内蔵することで排ガス規制に対応、最高出力は6.1馬力へダウンした。このタイミングで1万円の値上げが実施され新車価格は18.9万円(税抜)となった。
その後は、2001年3月に第2世代のCA1MB型が登場するまで販売された。

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解説記事更新日：2021年11月29日

クラシカルデザインのレトロスタイルスクーター「ヴェルデ」は、2001年3月に初となる型式変更を伴うマイナーチェンジを実施。CA1MB型へ進化した。今回の仕様変更は利便性を高めることが主な内容になっていた。
従来モデルでは、シート下が2段階開閉式になっておりガソリンの給油口と2ストオイルの注入口がシート下にレイアウトされていた。そして収納スペースにはハーフヘルメットが何とか入る程度の容量しかなかったため使い勝手はイマイチだった。その部分に今回のマイナーチェンジで改良が実施され、給油口とオイル注入口はシート後方に移設された。このレイアウト変更によってメットインスペースが拡大しフルフェイスヘルメットも収容可能な18.5Lまで広くなった。さらに給油時に収納スペース内を第3者に見られることも無くなりプライバシー性も高まっている。
メカニカルな部分は従来モデルからのキャリーオーバーとなっている。引き続き空冷2ストローク単気筒の6.1馬力エンジンを搭載。シート周りのデザイン変更でシート高は700mmと15mm高くなった。
翌年の2002年1月には再びマイナーチェンジを実施して、センタースタンドロックが標準装備になった。加えて、イグニッションスイッチと、ハンドル・スタンド・シートの各ロックをメインキーで操作できる集中ロックを採用。さらに利便性が高められたが、新車価格は1万円値下げされ16.9万円(税抜)となった。その後は、カラーチェンジを実施しながら2004年モデルまで展開され2005年に販売終了となった。

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解説記事更新日：2021年11月29日