「スポーツ・マルチ・ツール・バイク」という開発コンセプトのもとに日常ユースのみにならずツーリング時の快適性も兼ね備えたスポーツモデルとして登場したのが「MT-09 トレーサー」である。
モデル名からもイメージできるが、ベースになっているのはストリートファイタールックのネイキッドモデルとして既に販売されてきた「MT-09」だ。デビューモデルのRN36J型は、2015年2月に発売された。
ヤマハは、基本プラットフォークをベースにしたバリエーションンモデルの展開を強化していた最中で、その取り組みを国内モデルで最初に展開したのが本モデルだった。
車体は、左右分割式のアルミ製ダイヤモンド型フレームを採用。パワートレインには、「クロスプレーンコンセプト」に基づいて開発されたDOHC4バルブ水冷4ストローク並列3気筒ユニットを搭載。ボア・ストロークが78.0mm×59.0mmの846ccユニットで、最高出力は9,000回転110馬力というスペックでデビュー。
足回りは、フロントに専用セッティングを施したインナーチューブ41mm径の倒立フォークを採用し、17インチアルミキャストホイールとダブルディスクブレーキを組合せる。キャリパーには4ポット対抗ピストン仕様をラジアルマウントでセットする。
リアはスイングアームに専用セッティング仕様のモノクロスサスを採用。ABSは標準装備となる。さらにトラクションコントロールに関しても標準で装備される。
スタイリング面では、ウィンドウプロテクションを高めるフロントカウルに高さ調整式スクリーンを装備。そこにインストールされるヘッド来をはLED仕様のニューデザイン。
アルミ製のハンドルはポジション調整も可能で、ライダーの好みに応じて最適なライディングポジションを実現。燃料タンク容量は、ベースモデルの14Lから拡大された18L仕様を採用。少ない給油回数で長い航続距離を実現することでツーリング時の快適性が向上している。
ライバルモデルとしては、スズキの「Vストローム1000」が比較対象になるだろう。
228kgの車体にマウントされる1,036ccの水冷Vツインは、8,000回転で100馬力というスペック。対する本モデルの重量は210kgなので、ライバルより軽量ハイパワーなスペックとなる。
デビュー以降の「MT-09 トレーサー」は、2017年に最初のマイナーチェンジを実施してRN51J型へ進化。翌年には「トレーサー900」へモデル名を変更された。

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解説記事更新日：2022年06月27日

MT-09のバリエーションとして新登場となった2015年モデルのMT-09トレーサー。
コンセプトは“Sport Multi Tool Bike”で、特徴は、
・滑らかな発進性・走行性をサポートするトラクションコントロールシステムを装備
・レイヤー構造を取り入れたフロントカウルやハンドルカバー等により快適性向上
・好みにより高さが調整可能なハンドル・シート・フロントスクリーン
・視認性の高い多機能メーターパネル
・フルLEDヘッドライト
・ABSを標準装備
・出力特性はMT-09より全回転域でフラットにチューニング
などです。
カラーリングは、《マットグレーメタリック3》《ディープレッドメタリックK》《マットグレーメタリック3》です。

解説記事更新日：2021年10月09日

2016年のMT-09トレーサーは、カラーリングが追加されています。
新色が《ダークブルーイッシュグレーメタリック8》で、継続色が《マットグレーメタリック3》《ディープレッドメタリックK》《マットグレーメタリック3》です。

解説記事更新日：2021年10月09日

2017年のMT-09トレーサーは、マイナーチェンジが行われRN51J型となっています。
・TCS（トラクションコントロールシステム）を、従来のON/OFF選択のみから、弱・強・OFFを選べる2モード選択式へ変更
カラーリングは《ダークグレーメタリックG》《ディープパープリッシュブルーメタリックC》《マットダークグレーメタリック6》です。
MT-09トレーサーのコンセプトは“Sport Multi Tool Bike”で、高さ調整可能なハンドル・シート・フロントスクリーンはツーリングの快適性を高めるのに役だっています。
このことから、トレーサーはが単なるツーリングバイクではなく、MT-09のスポーツ性を引き継ぎながら、汎用性や快適性を高めたマルチパーパスな味付けをされていることが分かります。

解説記事更新日：2021年10月09日