「VTR1000F」は1997年4月に発売されたホンダの大型スポーツバイクだ。同年の1月からヨーロッパやアメリカに向けて既に輸出販売されており国内モデルは数か月遅れてのラインアップとなった。「VTR1000F」は国によってモデル名が異なるという特徴を持っていた。アメリカでは「スーパーフォーク996」、ヨーロッパは「VTR1000F」そして日本では「ファイアーストーム」とも呼ばれた。
パワートレインには、新設計となる水冷4サイクル直角V型2気筒のSC36Eを搭載。キャブレターは大口径48パイのCVキャブをを採用して、最高出力は8,500回転93PSというハイパワーマシンだった。しかしながら輸出仕様のマシンはさらにハイパワーで9,000回転110PSというスペックだった。エンジン特性は低~中回転域においてはトルクフルな仕様、高回転では気持ちよく吹け上がる軽快な仕上がりになっていた。
大排気量スポーツバイクということもあり「VTR1000F」は軽量化も重視されていた。フレームは軽量アルミのダイヤモンド型、リアの足回りにはスイングアームをエンジンクランクケースの後端に取り付けるピボットレス構造を採用。軽量化へのこだわりはエンジン内部にまで追及されている。スカートレスのピストンにナットレスコンロッドを使用することで大幅な軽量化に成功していた。
デビュー時は、「イタリアンレッド」と「ブーンシルバーメタリック」の2カラー展開だったが、ほぼ毎年のようにカラーチェンジを実施していった。2001年モデルでは初となる大幅なマイナーチェンジが実施され、サスペンションのセッティング変更や高性能イモビライザーの装着などが行われた。2003年8月には、モリワキ製チタンフルエキを装着してマットブラックの専用カラーを採用した「SPECIAL EDITION」を限定100台、車両価格100万円(税抜）で発売された。この「SPECIAL EDITION」が「VTR1000F」国内仕様の最終モデルとなった。
なお海外モデルに関しては販売が継続されていたが、2007年に生産終了となった。

売る際の買取査定は、VTR1000F の価値に精通しているパッションに！

解説記事更新日：2021年08月04日

1997年にホンダから新登場したVTR1000F ファイアストームの初期モデル。
エンジンには空冷4ストロークＤＯＨＣ Ｖ型2気筒を採用、最高出力は93PS/8,500rpmを発揮した。
フレームにはVTR1000Fの特徴とも言えるアルミ製のピボットレスフレームを採用、ピボットレスフレームとはスイングアームをクランクケースに直接つなぐことでピポットを不要としたフレームのことで、Vツインエンジン特有のホイールベースが長くなってしまうという現象を相殺する意味合いで採用されていた。
また、ラジエーターを車体側面に配置するサイドラジエーターを量産車として初めて搭載している。
カラーバリエーションにはイタリアンレッド、ブーンシルバーメタリックの2色を設定。
新車販売価格は87万円だった。
売却、買い替えをお考えなら買取査定は是非【Honda VTR1000F ファイアストーム 1997年モデル】の中古価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2022年01月09日

海外仕様のVTR1000Fは、1997年1月に北米および欧州を中心に輸出されました。VTR1000Fの「前期型」とも呼ばれます。ペットネームは「FireStorm」。日本国内での販売は同年4月から2003年までで、それから2007年までは輸出専用車です。
エンジンは、4スト水冷V（L）型DOHC縦置きツイン998cc、最大出力は海外仕様が110馬力/9,000回転、日本国内仕様が93馬力/8,500回転。この差はイグナイター、カムプロフィール、インシュレーター、マフラー口径、チェーンサイズ、ファイナルギアなどによります。
開発の動機は、96年に日本国内での大型二輪免許取得の教習所解禁で、その後起きる多様な需要に応えるためです。それまでの並列4気筒・高回転型エンジンではなく、あえて2気筒を採用、低回転からのトルクと高回転域のパンチのある加速感がコンセプトとされています。エンジンやボディデザインなどの車体構成は、ドイツ・アメリカ・日本の3者によるコンペティション形式で開発はスタートしました。出力目標は「1,000ccで100馬力」です。
完成したVTR1000Fの特徴は、
・トラス（三角形）風の構成によるアルミピボットレスフレーム
・スイングアームはピボットレスでクランクケース後端にマウント
・フロント荷重を高めるためのサイドラジエター
・当時のホンダ車最大の98 mmボアピストン+Φ48CVキャブ
・マフラーは左右2本出し、6速ミッション、チェーンドライブ
・乾燥重量は196kg
1997年モデルのカラーリングは《イタリアンレッド》《パールフラッシュイエロー》《フォースシルバーメタリック》《ブラック》です。
市場での評価は、太い低速トルクとパルス感が好評で、太いトルクで軽快に加速するフィーリングを気に入っているオーナーも多いです。
1998年にマイナーチェンジ、国内仕様はカラーリングが変更されましたが、海外仕様は変更ありません。
98年のマイナーチェンジでもカラーリングが変更されました。《パールライブリーオレンジ》《ミディブルーメタリック》《パールフラッシュイエロー》《ブラック》の4色です。
2000年にもマイナーチェンジ、スクリーン前端部カラーリング変更、前後ホイールのカラーがシルバーに変更されました。ボディカラーリングは、オレンジとブルーを廃止、新たに《ヘレスブルーメタリック》と《イタリアンレッド》の2色。
日本においてVTR1000Fの海外仕様流通量はあまり多くありません。しかしながら、熱狂的なファン層をかかえる個性的なバイクであることは間違いありません。
ライバルは、【スズキTL1000S】、アプリリア【SL1000ファルコ】があげられます。
1997年から2000年のVTR1000F前期型の査定やお乗り換えをお考えの方は、VTR1000Fの価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2024年07月06日

カラーチェンジを受けて発売された1999年モデルのVTR1000F ファイアストーム。
カラーバリエーションにはパールシャイニングイエロー(新色)、フォースシルバーメタリック(新色)の2色を設定。また、シート表皮の変更、チェーンはゴールドカラーとなった。
新車販売価格は88万円(税抜)
VTR1000Fの純正カラーの中でも一際人気が高いのがこの1999年モデルのパールシャイニングイエローであるが、実はツーリングの際にイエローはバイクのカラーの中でもトップクラスで虫が集まってくると言われている。
売却、買い替えをお考えなら買取査定は是非【Honda VTR1000F ファイアストーム 1999年モデル】の中古価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2021年12月31日

マイナーモデルチェンジを受けて発売された2001年のVTR1000F ファイアストーム。
燃料タンクの容量を従来の16L→18Lに増加、足回りではリアサスペンションへ新たにサブタンク付きフルアジャスタブル機構を採用。
また、ハンドルのグリップ位置が従来より16mmアップ、メーター周りは再設計され、燃料計と時計機能が新設された。
また、Honda独自の盗難抑止システムH・I・S・Sを搭載、専用のキーでないとエンジンが始動せず、防犯性能を高めた。
ボディカラーにはイタリアンレッド(再登場)を設定。
新車販売価格は92万円だった。
ちなみにリアサスペンションのアップグレードは国内仕様のみで輸出向けモデルは変更無し、さらにハザードランプやハンドルグリップエンドのメッキ加工も国内仕様のみの変更となっており、ホンダが日本企業であり、我々が日本人であることに感謝せずにはいられない。
売却、買い替えをお考えなら買取査定は是非【Honda VTR1000F ファイアストーム 2001年モデル】の中古価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2021年12月31日

2001年、VTR1000Fはマイナーチェンジを受けました。これ以降は「後期型」と呼ばれます。欧州でのペットネームは「Fire Storm」、米国では「Super Hawk」です。
・ユーロ2などの排ガス規制に対応するため、エアインジェクションシステムを採用
・これによって最大出力は4馬力低下した106馬力
・ガソリンタンク容量を16から18リットルに拡大
・フロントサスセッティングをややソフトに変更
・ハンドルバー末端の垂れ角を7度、グリップ位置を16mmアップ
・メーターパネルを一新、デジタルトリップメーター・時計・燃料計を追加
・ハザードランプを追加
・キーにイモビライザーシステム「H・I・S・S」を標準装備
・前後ウインカーを小型化
・カラーリングは《イタリアンレッド》《ラピスブルーメタリック》《パールフラッシュイエロー》
エンジンには変更なく、水冷4スト縦置きVツインで、ボア×ストロークは98mm×66mmのビッグボア・ショートストロークタイプです。1気筒あたり約500ccあるために路面を蹴り出すトルクは太く、VTRならではの加速フィーリングは豪快そのものです。ただし3,000回転低速の低速では1回あたりの爆発トルクが大きいことから、ギクシャクすることがあります。
あえてフルカウルを採用しなかったデザインは新鮮で、横方向から見るとトリレス構造のフレームがよく分かります。ハンドルは前期型より高くなりましたが、それでも前傾姿勢は強目です。
フロントフォークはΦ41mmで剛性は十分、ダブルディスクは296mmの6ピストンキャリパー、リアブレーキは220mmディスクで1ピストンキャリパーです。
2002年から2007年まではイヤーモデルとしてカラーリングが変更されました。2004年からは輸出モデルのみの販売です。
2005年にマイナーチェンジが行われ、フロントフォークボトムケースのカラーが、クランクケース同色のマグネシウム風となり、ブレーキとクラッチのマスターシリンダーが変更されました。
2007年仕様を最後に、排ガス規制ユーロ3に適合できないために製造が終了しました。そのエンジンレイアウトはVTR1000SP1、SP2へと引き継がれていきます。ライバルは、【スズキTL1000S】、アプリリア【SL1000ファルコ】などです。
2001～2007年モデルのVTR1000Fの査定やお乗り換えをお考えの方は、是非バイクパッションへ！

解説記事更新日：2024年07月06日

カラーチェンジを受けて発売された2003年モデルのVTR1000F ファイアストーム。
ボディカラーにはキャンディタヒチアンブルー(新色)を設定。
新車販売価格は92万円(税抜)だった。
VTR1000F ファイアストームの開発責任者はVFやVFRなどホンダのビッグバイクを数多くを手がけてきた齋藤氏で、同氏曰く「公道で最大に楽しめて2乗りも出来る究極のFを目指した」とのこと。本車としてはこの2003年モデルが最終型となり、以降は2007年まで同型が継続して販売されるも国内排ガス規制を乗り切ることはなく生産を終了した。
以降は直接的な後継モデルとは言えないものの、デチューンされた同系のエンジンを積んだアドベンチャーモデルであるバラデロはその後もインジェクション化を果たし継続して販売された。
売却、買い替えをお考えなら買取査定は是非【Honda VTR1000F ファイアストーム 2003年モデル】の中古価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2022年01月09日

ホンダがエキスパートライダーをターゲットに開発したスーパースポーツ「Fire Storm VTR1000F」は、1997年1月に海外展開された後、4月に国内仕様が発売された。
型式はSC36型で正式名称は「ファイアーストーム」となった。ちなみに北米は「SUPER HAWK996」でヨーロッパは「VTR1000F」として展開された。
基本コンポーネントは各国モデル共用しており、車体は軽量アルミ製のダイヤモンド型フレームにDOHC4バルブ空冷4サイクルの90度V型2気筒エンジンを搭載。ただ、国内仕様の最高出力は、8,500回転で93馬力と海外仕様の9,000回転110馬力よりも大幅にダウンしている。このパワー差は、カムプロフィール、イグナイター、マフラーやファイナルギアなどを変更することで生じている。
メカニカルな部分で「ファイアーストーム」を特徴づけているのは、量産マシン初採用となったサイドラジエターを装備していることだろう。直角V型ツインエンジンを搭載することで軽量スリムな車体を実現しているが、構造上どうしてもホイールベースと全長が長くなりがちである。そのデメリットを打ち消すべくホンダが採用したのが、車体両サイドにラジエターをレイアウトするという方法だった。さらにリア周りはピボットレスフレームにすることで、ホールベースは1,430mmに抑えた。その結果、重量バランスは前後47：53という優れた数値を実現している。
足回りは、フロントにインナー41mm径のテレスコピック正立フォークを装備し、17インチホイールにダブルディスクブレーキの組み合わせ。リアはスイングアームにモノショックサスを装着し、17インチホイールを履いてディスクブレーキを装備。
ライバルモデルとしては、同年にスズキが初のリッターVツインスポーツとなる「TL1000S」を発売。最高出力は93馬力で同じだが、重量は211kgと「ファイアーストーム」より4kg軽かった。
デビュー後の「ファイアーストーム」は、カラーチェンジとマイナーチェンジを実施しながら2003年に限定発売された「スペシャルエディション」を最終仕様として販売終了となった。なお、海外モデルは販売が継続され2007年まで生産された。

買替や売る際の買取査定は、国内仕様 Fire Storm VTR1000Fの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2021年12月31日

1997年から海外展開されたVTR1000Fは、1997年から北米および欧州向けに販売されました。日本と欧州のペットネームは「Fire Storm（ファイアストーム）」、米国では「Super Hawk（スーパーホーク）」です。
エンジンは、ホンダが80年代から開発を進めていたV型エンジンを採用、ただしV4ではなく鼓動感を感じることのできる2気筒としています。4スト水冷V（L）型DOHC縦置きツイン998ccエンジンは、最大出力110馬力を9,000回転で発生します。なお日本国内仕様は93馬力/8,500回転です。この差は主に、カムプロフィール、マフラー口径、インシュレーター、チェーンサイズ、ファイナルギア、イグナイターなどから生まれます。
コンセプトは、低回転からのトルク感と高回転域でのパンチある加速感。出力目標は「1,000ccで100馬力」です。
VTR1000Fの特徴は、
・98 mmボアピストン+38mm吸気バルブは、共に当時のホンダ車最大サイズ
・Φ48CVキャブも最大級サイズ
・マフラーは左右2本出し
・駆動は6速ミッション、チェーンドライブ
・トラス（三角形）を基本構成としたアルミフレーム
・スイングアームはピボットレスでクランクケース後端にマウント
・レーサー【NR500】のメカを模したサイドラジエター
・乾燥重量は196kg
・あえてフルカウルを避け、有機的な生き物らしさを表現したカウルデザイン
こうした車体作りは見事に成功し、米「CycleWorld誌」のテストでは、4分の1マイル加速が11.03秒、到達速度124.26mph（198.8km/h）を記録しています。

1999年にマイナーチェンジ、ホイールカラーをシルバーに変更。
2001年にもマイナーチェンジ、16リットルタンクを18リットルに増量（欧州仕様）、フロントサスセッティング変更、ホイールカラーをブラックに変更、メーターパネル変更、イモビライザー採用などが行われました。「手首が疲れる」と指摘されたハンドル形状も、末端垂れ角7度＆グリップ位置16mmアップと変更されています。なお北米仕様のタンクは16リットルで変更ありません。
なおVTR1000Fと、同時期に販売されていた【RVT1000R】別名【VTR1000SP1・SP2】との違いはカウル形状だけではなく、エンジンも含めて完全な別ものです。どちらも、低回転からの爆発的トルクによって、世界中にマニアックなファンが存在します。
ライバルは、【スズキTL1000S】、アプリリア【SL1000ファルコ】があげられます。
1997～2007年モデルのVTR1000Fの査定やお乗り換えをお考えの方は、是非バイクパッションへ！

解説記事更新日：2024年07月08日